仏ですが、何か?   作:サボリ魔ー

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ちょっとタグの追加をしようかなと思います。
それとキャラ崩壊の激しいこと激しいこと。
それに文章も雑になっていく気がする始末。
どうしたものか……!


悪魔のお話

 

 セイバー、アルトリア・ペンドラゴンは愛する男がいる。

 その男の名は、帝。私のマスターでもあり、約七十万年も一緒に過ごしてきた、人間と言っていいか微妙な仙人です。見た目は神も驚いて、窒息死するような美青年。実際、何度彼に見惚れたかはわかりません。強さは、天下無双。私自身、手も足も出ない強さでしょう。性格は、此方が誠意を見せれば、何でも一手で請け負うお人好しの嫌いがあるが、優しい人と言えますね。そして、何よりも料理が美味しい! 私は彼の料理に胃袋を掴まれてしまい、最早彼なしでは生きていけない程に彼の料理を愛しています。ただ、私が彼を愛する理由はそこではありません。

 帝自身は覚えていないでしょうね。彼にとっては大したことではなかったのですから。それもそう、私自身も膝抱えて蹲っているしかない化け物に、修行の一環で向かって行っているだけなのですから。だけど、その時にかけられた言葉を私は忘れた事はない。そして、その時に初めて生前でも経験した事のない胸を高鳴りを意識しました。

 今思えば、あの時が始まりだったと自覚できますが、当時は、生きていたお祖父さんの料理を食べる事で、一心不乱にその気持ちを消し去ろうと必死になっていました。其の姿を帝に見られているのが分かると、余計にご飯を掻きこんでしまって、本当の食べているしかなかった気がしますが。

 お祖父さんが消えた時に分かったことは、あのお祖父さんは最初から私と契約を結んではいなかった事。つまり、何の違和感もないままに消えたお祖父さんは、全て計算の上で、自身ではなく、帝と私が契約している状態にしていたのです。何らかの確信があったのは分かっています。顔を合わせれば嫌味を言い合う二人だったけど、お祖父さんの話は大体、帝の話であり、帝の目にはお祖父さんを追いかける姿が見えました。あの二人は本当に仲が良いと思います。

 帝は私が料理を食べている時に、温かい眼差しと微笑みを浮かべながら私を見てきますが、一体、私をどう言った印象で見ているのかが気になります。今日は、それを聞いてやります。

 だ、だって、好きな人が、私をど、どう思っているかって、き気になりません?

 

 ーーーーーーーーーー

 

「あ、アルトリア。おはよう」

「み、かど?」

「あはは、君は寝起きも可愛いね」

「あ、あれ?」

 

 私は混乱しています。何がどうなって……。

 先ずは、状況確認。

 此処は寝室。粋な造りのアンティークが見える。うん、私がよく侵入する帝の部屋ですね。

 それで、身を包む柔かな感覚は布団ですかね。妙に、気持ち良い……!

 

「は、裸ぁ⁉︎」

「ん? ……酒は飲ませて無いけどなぁ」

 

 よく見れば帝も! スパスパと煙草を吸っている帝は裸で、私も裸。二人はベッドの上で、起きたら挨拶が『おはよう』。

 これって……!

 ボフンと音を立てて、アルトリアは倒れた。顔が真っ赤で何かに恥らっているようにも見える。

 

「お、おい。アル! 如何した⁉︎」

「もうお嫁に行けない……」

「いや、俺の嫁じゃないか」

 

 あ、よく聞けば、セイバーじゃなくて、名前で呼ばれてますね。やった! じゃなくて!

 

「み、帝? それはつまり?」

「いや、一生幸せにするって昨日も言ったけど、もしかして忘れてる?」

「い、いえいえ! そんなことは決してはありません! ええ、ありませんとも!」

 

 というわけで、思い出そう。

 ああ、そうだ。あれは夜の事ーーー、

 

 ーーーーーーーーーー

 

 セイバーは玄関で正座をし、主の帰りを待っていた。其の姿は彼女の大好きな獅子というよりも忠犬といったほうが正しい絵であった。

 物静かで一言も喋ることなく座す事、三時間。そろそろお腹が空いて泣きそうだった頃、主は帰ってきた。セイバーは目的を忘れて、「帝、ご飯下さい!」と言おうとしたが、彼の表情を見て、止めた。彼は俯いていた。そして、そっとあげた顔の表情は苦虫を噛み潰したような苦々しいものだった。

 

「み、帝? ……大丈夫ですか?」

 

 セイバーも当惑した。普段見せることのないその表情はとても辛そうで、彼を愛する自分はその顔だけで胸が締め付けられるように痛かった。

 

「……あ、ああ、大丈夫だよ。セイバー」

 

 問いかけには少しの間を有し、答えてくれた。……嘘の笑顔と一緒に。

 セイバーはその顔を見た瞬間に直ぐに動いていた。

 

「せ、セイバー? な、何を?」

「何も言わないでください。これは私の自己満足ですから」

 

 セイバーは自身の胸の中に帝を包み込む。身長差が30cmもある為、帝は膝をつく形になっているが、帝も知らぬ内に膝立ちになっていたために、セイバーの行動は其れこそ刹那の、そして無意識の動きだったのだろう。

 セイバーは自己満足と告げたが、それは嘘ではない。そうだ、これは帝を癒す行為ではない。愛する人の辛さを分かってやれない自分の不甲斐なさという穴を埋める為の行い。何よりも、彼の顔は見るに堪えないものだったから。

 セイバーは少し、震えていた。

 

「……泣いているのか?」

「……泣いてはいません。……ですが、あまりいい気持ちではないです」

 

 告げたセイバーの顔も笑顔。

 分かる、セイバーのその笑顔も嘘だ。本当では泣きたかったのだろう。

 その思いを汲み取った帝は何も言わずに、今の心地良さに身を委ねた。

 

 それからしばらく、セイバーは彼の頭を胸に抱いていたが、自身の中で整理がつくと、話をしようと帝に言い、どちらとも無く離れた。その時の帝の顔は帰ってきた時の表情ではなく、何かを分かったような顔で、セイバーを見る目には熱がこもっていた。

 二人は若干の距離を保ちながら、いつもセイバーが占領して飯にがっついている茶の間へと歩き、二人は対面に位置したソファにそれぞれ腰掛けた。

 セイバーは凛とした居住まいで、高貴さが見える座り方をしている帝に話しかける。

 

「帝。今日、何があったのか話して頂けますか?」

「ああ、其れよりも先に訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」

「? 構いませんが……」

 

 セイバーは不思議だった。いつもと違う帝の表情は、とても男らしい。いや、男らしく見せようとしているのだろうか。

 今まではこんなことは無かった。私にはそんな男の顔を見せず、家族、或いは子供でも見る大人の顔しか見せてくれなかった。

 それが今、そんな顔をして何を問いかけてくるのだろうか?

 セイバーは疑問符を浮かべながら、頷く。

 しかし、その疑問符が帝の言葉で、感嘆符に変えられるなど思いもよらないことだっただろう。

 

「アルトリアって呼んでいいかい?」

「!!」

「駄目かい?」

「……ダメじゃないです」

 

 セイバー、いやアルトリアは先ずは驚いた。そして、次に真っ赤な顔を俯けて、緊張気味に発された帝の言葉に、蚊の鳴くような声小さな声で承諾の意思を伝える。

 アルトリアは俯いてはいるが、内心は狂喜乱舞だった。ご飯を出された時も、可愛いぬいぐるみを作ってくれた時も、とても嬉しかった。だけど、今はそれ以上だ。嬉しすぎて、どんな表情をして、どんな風に振る舞えばいいか分からない。

 まあ、次の瞬間にはわかることだったが。

 

「やった! アルトリア、うん、いい名前だ。アルトリアアルトリアアルトリア……」

 

 心底嬉しそうに自分の名前を呟き続ける彼。嬉しい。名前を一つ言ってくれる毎に、幸せが溢れ出てくる。彼の美声も相まって、そろそろ本格的にまずい。何がって、あsーー、

 アルトリアはチラと上目遣いで喜ぶ彼を見て、顔の赤みが減るのを感じた。だけど、それは嬉しいという感情が減ったということではなく、愛おしさが胸を、頭の中を、身体中を占有しだしたから。ポカポカと身体中が暖かい。顔が熱いということはないが、目頭が熱いのは感じる。

 ただし、此の儘では話が進まないので、話を進めることにする。この時、アルトリアの瞳はウルウルと涙目であり、頬も赤過ぎることない赤みを帯びた『上気し、紅潮した頬』という印象があり、非常に庇護欲を掻き立てるものだった。

 

「と、取り敢えずは、先に今日の話を聞かせてもらえますか?」

「そうだね。この後のこともそれからだしね」

 

 何やら意味深なことを語った帝はアルトリアが聞く前に、今日の出来事、アーシア・アルジェントの話をした。

 

 

 

 話が終わった後、帝は嬉しそうな表情でアルトリアを見ていた。それはそれは本当に綺麗な笑顔で。

 逆にアルトリアは、怒り狂っていた。

 

「帝……、その教会は叩き潰しましょう」

「うん、それは駄目」

「な! 何故⁉︎」

「こう言っちゃあ何だけど、そんなクズでも弱き者の救済なんだよ」

 

 その言葉にアルトリアは歯噛みした。確かに教会は大切だ。それに自分が一番信用している武器も神が創ってくれたものだ。まあ、今は釈迦である帝の方が大事なので、どちらかと言えば、仏教寄りのアルトリアである。

 だが、やはりキリスト教会が与える影響は大きい。そんなものが一夜で滅んでしまったなどとなれば、世界は大揺れ。大恐慌も真っ青な時代がやってくるだろう。それは私の望むところではないし、帝も望んではいないだろう。何よりも、その少女、アーシア・アルジェントが認めないだろう。

 潰したい。というか根性を叩き直したい。だけど、無辜の蒼生に無用な混乱を与えるのはよろしくない。ならば、如何すればいいのだろう。アルトリアは葛藤に頭を悩ます。

 しかし、そこは最愛の人。なんか凄い適当だが、それでいいような気もしてきた。

 

「まあ、アーシアの事も教会のクズどもの粛清の事も、神が与えた試練という事で」

「確かに……。ですが、そうなった時、私旗頭となって教会を潰します」

「駄目。君に危険な事はさせたくない」

 

 それにそんな事をしたら、どっかの変態キャスターが『ジャンヌ!』とか言って襲ってきそうで怖い、と心の何処かで思ってしまうも、一番は彼女の身を案じたことと帝の性分が大きかった。

 

「ですが、帝!」

「アルトリア。僕はね、自己犠牲という奴が嫌いだよ」

「!!」

 

 少しキツめな言い方に言葉が詰まる。しかし、帝の言い方も酷い。アルトリアは生まれた時から、いや、生が決まった瞬間からずっと、人の為に、民の為に動いてきた。言うなれば、アルトリアはこれ以外の方法を知らない。

 だが、帝は矛盾していた。

 

「だけど、そんな君が大好きだよ」

「え?」

「君を愛している」

「え、ええええええええええっ⁉︎」

 

 帝の二の句は思いもよらないもので。それ以上に、彼を慕うアルトリアにとっては、信じられないような嬉しい言葉で。アルトリアが驚く様子はあれども、拒否や拒絶の雰囲気が全くないのは、帝にとってもとても嬉しいことで。そして、矛盾点だ。帝は、自己犠牲を人一倍嫌悪する一方で、自己犠牲が根幹にある人間に人一倍魅力を感じるのだ。

 そう、過程が逆とも言える、そんな矛盾。『自己犠牲をする女性を好きになって、その女性の自己犠牲の行いを嫌悪する』のではなく、『自己犠牲を唾棄すべきものと嫌いながら、その行動をとった少女を愛おしく想ってしまう』というもの。いや、女性の場合がこれであり、男性の場合は健全な友情なので心配しなくてもいい。そして、重要な事は、これがもう一人に当てはまるという事だ。そう、アーシア・アルジェントだ。

 だが、アーシアには肝心なところがない。滅私奉公のアルトリアでさえも今は、料理が大好きで、ぬいぐるみも大好きで、それ自体にとても愛情があるが、アーシアにはそれがない。それが後を引くように、自己形成の何もがない。故に、彼女には、『アーシア・アルジェント』が存在しないのだ。そして、それは帝の彼女との別れの言葉でもある。帝が彼女に伝えたかったのは、『アーシアに魅力を感じた自分は嘘ではないから、そんな俺の想いを踏み躙らないでくれ』と『何もアーシア自身が自分を貶める事はない』ということだ。なんとまあ、女々しい行為だろうか。だけど、気がついて欲しかった。『君を愛している人間は此処にいる』と。

 伝わらないことはないだろう。だけど、彼女の自己がない心に響くかどうかは分からない。難しいところだ。だが、俺は信じている。きっと、アーシアなら気付ける。大丈夫、アルトリアだって、って何⁉︎

 帝は漸く気が付いた。アルトリアが野獣のような目で此方を見ている事を。仲間になりたそうではない。家族になりたそうな目だ。俺がアーシアの事を考えている内に、アルトリアの方の心中でも一波乱あったようだ。まあ、兎も角、アーシアはきっと見つける筈。あの涙が答えだ。

 それとこっちは、

 

「責任は持つよ?」

「み、帝おおおおおおおおおぉ!」

 

 ーーーーーーーーーー

 

「激しかったね?」

「うぅぅ……」

 

 なんという事でしょうか。獅子には憧れていましたが、あの場面で情け無い。ああ、騎士として失格だ……。

 騎士らしからぬ行動の末を結末がこれという事に、かなりの言い知れぬ感情が押し寄せてくるが、帝はそれに気付いたように私の頭を撫でながら、私を安心させてくれる。

 

「君は騎士だけど、今は俺が男で、君が女」

「むぅぅ……ですが」

「ですがもヘチマもないね。君が俺の愛する女で、俺が君を愛している。これに騎士が入ってくるのは無粋じゃないかな?」

「……ふふふ、そうですかね?」

「ああ、そうさ」

 

 紡がれる言葉の一言一言に愛情があって、とても安心できる。ああ、これは、気持ちが良い。……もしかすると、こんな風に愛してくれる人が居たら、ブリテンは滅ばなかったかもしれない。……いや、既に帝に操を捧げた身。帝以外の誰かなど想像できない。そうだ! 絶対、帝よりも料理は美味しくない!

 

「君が愛してくれてるのが分かるのは凄く嬉しいけど、それはちょっとなぁ……」

「ふぁっ! 乙女の秘密を勝手に詮索してはいけません!」

「いや、顔に出てたよ」

「なっ!」

 

 政や謀を何度となく躱してきた私のポーカーフェイスを見抜いた、と? 凶悪だ……! 私の旦那様は……。あ、今のいいですね。

 

「アルトリア、声に出てるよ」

「何ですとーーっ!」

 

 馬鹿な! 声に出ていた、だと! ありえない! そうだ、私は騎士王! そんなことは絶対にありえない! …………でも、直感は口に出てたって告げてくるんですよね……。

 まあ、いいでしょう。

 

「帝」

「ん? 如何したの?」

「重要な事です。この時を逃したら、後悔するような気がして……」

 

 帝は手に持っていた不思議な煙草を灰皿に捨て、此方を青眼に見据え、居住まいを正した。いや、裸で何やってんでしょうか。

 私はシーツに若干見える赤い跡を見なかったことにして、キリと顔を締め直し、帝に言う。

 

「ご飯にしましょう」

「ですよねー」

 

 ーーーーーーーーーー

 〜一誠side〜

 

 目が覚めた。

 何処、ではないな。自室だな。

 

「起きたかしら?」

 

 ガチャッと音がしてドアが開き、その向こうから紅い髪の美女が出てきた。

 リアス先輩だ。

 あーやっぱり綺麗だnーーー、

 

「あのね。私は帝以外の男の肌を見るつもりは無いから。速く服を着て貰えるかしら?」

 

 ……。

 

「いやん」

 

 ーーーーーーーーーー

 

 服を着た。

 リアス先輩が現れた。

 説明された。

 悪魔すげえ。

 一緒に飯を食った。

 登校している。

 

 ん? 何だ? 文句あんのか。

 はいはい、説明、端折ってごめんなさい。

 これには訳があるから、言わせて貰うけどね。

 あのね、俺も男子だよ? それに思春期。

 いくら俺も尊敬している先輩とはいえ、説明の時に悪魔の話半分、帝先輩とリアス先輩の惚気半分でお送りしなくてもいいと思うんだ。羨ましかったよ、コンチクショウ。

 

 それと、親愛の感情は凄くリアス先輩から伝わってくるけど、異性という認識は全くされていない。というか、聞く限り、帝先輩以外は『帝以外の(興味ない)男』っていう枠組みに入るみたい。

 つまり、俺とリアス先輩のフラグは立たないし、立ったら立ったで面倒くさそう。チクセウ。

 

 んで、少し、悪魔の事は凄かった。

 会話だけ聞かせてあげよう。

 

『何で説明してくれなかったんですか?』『えーっと、気づいて欲しかったのよ、自力でね』『……本当は?』『帝の事で一杯一杯だったわ』『……』

 

『悪魔って何ですか?』『悪魔は、神の敵対者で、……いえ、もし仮に帝が神だとしたら、私は何になるのかしら……』『そういえば、リアス先輩って普段、先輩のことを【帝君】って呼んでるのに、此処では呼び捨てって如何してですか?』『え? そ、それは、ほら。み、帝の前だと恥ずかしいじゃない?』『……』

 

『まあ、話を戻すわ。要するに帝と私の禁断の恋よ』『絶対違うと思います』『気にしなくていいわ。そういうニュアンスという話なのよ』『ニュアンスって、可笑しな言葉を使いますね』『ええ、私の帝への想いは本気なのにね』『……』

 

『悪魔にはね、敵対者がいるわ。それが堕天使と天使』『堕天使は昨日の男のことですか?』『ああ、帝。貴方はどっちなの? 私をどうしようもないほど引き寄せる笑顔は天使のようで、でも、私の想いを知っていながら(※リアス先輩の脳内お花畑です)、そうも知らんぷりする貴方は悪魔のようで……。でも、どっちでも構わないわ。私はそんなことを気にしない。だって、私は貴方がす、好きだから』『……如何したんですか?』『い、一誠! 如何して此処に居るのよ!』『え? 此処俺の部屋dーーー、』『いいから出て行きなさい!』『……』

 

 凄えだろ? 結局、何が何だかちっとも分からなかった。

 だけど、リアス先輩の帝先輩以外への対応が悪質だって事は理解した。ああ、悪魔的だ。

 詳しい説明は放課後ね、と微笑んでいたが、帝先輩との惚気が主なら聞きたくはない。

 

 

 

 放課後だ。

 使いを出すと言っていたが、誰だろうか。「キャー! 木場君よ!」「木場きゅーん!」

 

 ……一体、誰なんだろうか……⁉︎

 

「やあ、君が兵藤君だね?」

「いえいえ、ひょーどーです」

「リアス部長の使いだよ」

 

 話聞け。これだから、イケメンは……。いや、帝先輩は超絶イケメンであって、こんな残り物を漁る意地汚い奴と同類ではない!

 俺に話しかけてきたのは、木場祐斗。イケメンである。

 しかし、イケメン枠は帝先輩一人で一杯一杯どころか余るほどであり、木場はその中で息抜き要素の高いイケメンだ。

 この学園の不思議とも言えることだが、実は帝先輩を狙う女子はそう多くない。何故ならば、敷居が高すぎるから。もはや、チョモランマである。だが、それでもと帝先輩を狙う女子は皆、異常なレベルの高さである。

 レベルの高さ故に振るい落とされた女子共の多くが、木場に行く。とっつきやすい程度で理想的なイケメンだからだ。帝先輩? 近寄り難い神聖さのある幻想的な超絶イケメンですが?

 

 気に食わないイケメンこと、木場きゅんに先導され、訪れたオカルト研究部の部室。……きゅんはねえわ。

 

「此処だよ。中には皆、揃ってるから」

「おう」

 

 ノックの後に、リアス先輩の声が聞こえた。その声に返すように、木場はガチャリとドアを開けた。

 中では異様な光景が繰り広げられていた。

 

 雰囲気作りの為なのか、蝋燭やら赤や黒を豊富に使った絵画などの悪趣味極まりないものが列挙する中、これまた陰鬱となるような装飾のアンティークに腰掛けて、何かをしている三人組。

 相当な力を使っているようで、「んぐぅぅぅ!」と言っている。角度的に見えないが、何をしているんだろうか。

 気になって、近付こうとすると木場に止められた。

 

「待って、兵藤君!」

「な、なんだよ」

「あれはね、こっくりさんをやっているのさ」

「は? ……それで何で待てねえといけねえんだよ」

「それはね、途中で止めると呪われるからさ。……物理的に」

「怖っ!」

 

 な、なんだそりゃ! こっくりさんってそんな悍ましいものだったのか⁉︎ つうか、何で昼間からそんなことをしてんだ⁉︎

 

「帝様の正妻を決めているんだよ」

「はぁ⁉︎ 正妻⁉︎」

「うん、帝様非公認のね」

 

 あ、そう。

 ……帝先輩に彼女が出来たら、一体如何なるんだろうか? ……戦争が起きそうだ。

 というか。

 

「それより、お前は如何して帝先輩を帝様って呼ぶんだ?」

「あ! 兵藤君、それはまずいよ!」

「は? どうsーーー、グベエエエエ!」

 

 俺はちょっと訪ねたつもりが、帰ってきたのは意味不明な答えと凄まじい腹の痛みだった。あ、木場の答えがこれってことね。

 何だ、これ。ぶっちゃけ、昨日の光の槍よりも痛いかもしんない。

 

「あらあら、この部室で帝君のことを帝様以外で呼ぶのは厳禁ですよ?」

「な、なんだってー」

 

 痛みを堪えて発した言葉は、やる気のない蚊の羽の音のよう。非常に聞こえ辛い。

 俺を見下ろして、冷たい眼差しで見てくるのは、リアス先輩と並んで『二大お姉様』と呼ばれる姫島朱乃先輩。極寒の冷気を伴う視線は震え上がりそうだ。しかし、我々の業界ではご褒美です!

 そう考えた瞬間に、姫島先輩は身震いしながら、体を抱き込んだ。その姿勢がまた、胸を強調するようでGOODです!

 

「朱乃、それくらいにしときなさい」

「うふふ、部長がそう言うなら仕方がありませんね」

 

 さっと穏やかなニコニコ笑顔になる朱乃先輩。

 今、考えるとさっきの言葉って、帝先輩にお熱ってことだよな? てことは、姫島先輩も……。

 

「はい、帝君が大好きですわ」

「あ、はい、知ってました」

 

 やっぱりかああああああああ! 先輩っ! おっぱいのお裾分けをおおおおお!

 俺の心の叫喚は聞こえない。自身の胸中で、殊更に虚しく聞こえる言葉を闇に捨て去り、三人目を見る。

 恐らく、リアス先輩と姫島先輩は確実だろう。ならばと最後の一人に視線を移すと、そこには、この学園のマスコットとして人気が高い塔城小猫ちゃんがいた。

 

「……いやらしい目。帝さんはそんな目をしません」

 

 ああ、分かったよ。君もか。

 

 ーーーーーーーーーー

 

 話は分かった。だけど、帝先輩の話を四方八方から浴びせてくるのはやめて欲しい。そして、喧嘩するのもやめて欲しい。

 俺はオカルト研究部で話を聞いていたが、殆どが木場の説明で、リアス先輩と姫島先輩と小猫ちゃんの話は全て、帝先輩が如何に素晴らしいかに逸れてしまい、脱線に次ぐ脱線で、三時間経って漸く話が終わった。あ、朝の段階で父さんと母さんの洗脳は完了しているらしい。ああ、そうだ。『帝様に迷惑をかけるなよ』なんて父さんが言うのは、きっとインペリオをくらったんだ。あーあ、アズカバンを作ってくれないかな?

 

 それはいいとして。

 

 先ず、天使と悪魔、堕天使の三勢力があって、堕天した所為で天界を追われた堕天使が、居場所として悪魔の巣食う冥界を選んだ。そこから、堕天使と悪魔による抗争が始まるが、元来悪魔は神の敵対者であり、神の僕である天使とは不倶戴天の仲であった為、こちらも抗争を続けていた。ただし、天使も主人である堕天使が世に蔓延ることを良しとせず、此方も抗争を始めた。で、忽ち出来た三竦みのお陰で、どの勢力も手を出しあぐねていた。

 しかし、フラストレーションが爆発し、予定調和のように戦争が起こった。まあ、長らく続いたそうだが、木場も生まれていない時代の話なので、詳しい話は聞いていないそうだ。そんで、それ自体は数百年前に終わったのだが、悪魔は当時の魔王と純血悪魔なる者達の多くを失ったらしい。他の勢力にも被害は大きく、なりを潜めるように派手な抗争は最近、起こっていないらしい。ただ、被害の大きさは具体的にはわからないと。

 で、現状、悪魔達は人間を転生させて悪魔にすることで、今はまだ体裁を保つことができている。つまり、人間を悪魔にすることが出来るシステムを開発したと。それを用いて、リアス先輩が半死半生の俺を助けた、とのことである。

 

 ありがたい話だ。九死に一生を得た身であり、あまり文句は言いたくはないが、帝先輩の話ばかりでそんなに盛り上がらないでほしい。しかも、時々木場も目を輝かせて参加してるし。

 ……ええ、寂しいです。

 先輩の素晴らしさは分かる。夕麻ちゃんとーーー、

 俺はそう言えば、と思ったことをこの場の全員に訪ねる。

 

「帝せ、帝様は悪魔とか、知ってるんですか?」

「いえ、それはないわ」

「それはあり得ませんね」

「兵藤先輩、最低ですね」

「兵藤君、それは無いと思うよ」

 

 一斉にジロリと此方を向いたと思ったら、いっそ冷淡なまでの回答が返ってくる。

 うぐっ! 俺の人生そのものが否定された。

 しかし、言わねばならない。ここで言わななければ、負けた気がする。

 

「でも、夕麻ちゃんの事を堕天使って言ってましたよ?」

「「「「!!」」」」

 

 俺がこの前の会話を思い出しながら言うと、驚愕というのが丸分かりな顔をする皆さん。素晴らしい一体感ですね。

 

「朱乃! 私は帝君を呼んでくるから!」

「いえいえ、部長にそんな手間をかけませんよ。私が行きます」

「……先輩たちにさせるなんて真似は出来ません。一番年下の私が行きます」

 

 や、やべえ。肌がぞわぞわする……。

 俺は「よろしい、ならば戦争だ」とばかりに謎の圧力を放ち出すお姉様方と小猫ちゃんに戦慄する。

 目を移すと、木場も顔を真っ青にしている。ああ、それが普通の反応だ。

 

「その必要はないよ。皆、落ち着いて」

 

 ガチャリとドアが開く音がした。ーーー

 

 ーーー振り向くと、其処はハンサムだった。

 

「み、帝君!」

「帝さ……ん……!」

「如何して此処に⁉︎」

「ああ、一誠がそろそろじゃないかなぁ、とね。ていうか、昨日も殺されかけたみたいだし」

 

 はっ! イカンイカン。……このままでは木場の二の舞だ。あれ? 自分で言ったのに、何の話だ?

 そうだ、クールになれ。

 男、兵藤一誠。好きなものはなんだ?

 

 おっぱい。

 

 よし。

 俺は先輩に、夕麻ちゃんの事を訪ねようと口を開く。

 

「先pーー、

「帝さん、ホットケーキ作って欲しいです」

「あらあら、帝君は私とお茶をする予定ですから」

「いいえ、帝君は私と此れからについて語るんだから!」「「うわ、はしたないですね、部長……」」

「な、何よ!」

「元気そうで何よりだけど、皆一旦、落ち着いて席に着こうか」

「「「はい!」」」

 

 失敗。

 

 ーーーーーーーーーー

 

「先輩、如何して夕麻ちゃんが堕天使って知ってたんですか?」

「あんなあからさまに悪い子ですって、オーラを出してればねぇ」

 

 そんなものなのか?

 俺と帝先輩は対面する位置で座っていた。先輩は、俺に用事があったため、女子の要求を柔らかに突っぱね、俺と話すと言って会談と相成った。あはは、痛い痛いよ、リアス先輩、姫島先輩、小猫ちゃん。視線が痛い。マジで死んじゃう。

 リアス先輩と姫島先輩、小猫ちゃんはハンカチの端を噛みながら、引っ張っていた。そんなあからさまに嫉妬してますってやりますかね?

 それはともかく、先輩はよく分からない回答をしてきた。いや、先輩ならなんでも出来そうで分からなくも無いのだが、本気で気にしているのにこんな感じでは少し腹がたつ。

 

「まあまあ。要するに、ちょっとした力の話だね。因みに、君の中の力も気付いているよ」

「話を逸らされた気がしないでも無いですけど、俺の力って何ですか?」

「うーん、神器より格が高い赤くて力強く暴力的なもの、かな?」

 

 結構、具体的ですね。何かは全く分からないけど。

 俺は、座っているだけなのに、超一級の絵画でさえも表せないような綺麗な絵になっている先輩に見とれる。

 

「まあ、俺にはそういう能力があるって事だから、気にしないで。じゃあ、俺はこれで」

「え? ああ、はい」

 

 先輩は微笑みながら、席を立つ。分かる。分かるぞお。リアス先輩が俺を親の仇のように見ているのが。姫島先輩が俺をどう処刑するか考えているのが。小猫ちゃんが俺を袋にしようと、シャドーをしているのが。あ、因みに、姫島先輩的には今の所、毒殺が有力らしい。なんかゴリゴリやってるのが分かる。

 

「じゃあ、リアス、明日お話しようか?」

「え、あ、うん!」

「うんうん、笑顔が可愛い。朱乃も今度、二人でお茶しようか?」

「うふふ、はい。楽しみにしていますね」

「小猫、ホットケーキくらいならいつでも作ってあげるからね?」

「にゃん!」

 

 それでいいのか……! うまく丸め込まれてる気もする。というか、絶対そうだ。

 俺の心中はお見通しとでもいうような軽快なウインクを決めてくる先輩。あ、今の所、もう一回流してもらえますか?

 先輩は今度は完全に無視を決め込み、去っていく。

 ああ、なんかね。

 

「「「「「帝先輩、かっこいい……」」」」」

 

 一致団結しました。

 

 その後は悪魔の仕事的なもののちょろっとされて、先輩が言っていた謎の力について、少し説明を受けた。

 そして、リアス先輩を部長、姫島先輩を朱乃さんと呼ぶ許可を貰い、今日の集会は終わった。

 夜十時前という怪しい時間に帰宅した。

 

「父さん、母さん、ただいま」

「帝様ばんざーーい!! 帝様ばんざいーーい!!」

 

 おし、部長に直訴に行こう。

 Uターン。




セイバーはですね、最初から攻略対象の一人。そして、面倒くさい人の一人。
ああ、話が進まない。しかも、コレジャナイ感が酷い。
一誠sideと帝の話で時間の流れが違ったりして、読みにくいかもしれないですが、何方も話の続きが考えつかなかったんですね。ほーんと、
どうしたものか……!
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