天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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プロローグ
Ending before Beginning


ポケモンバトルが強い人は誰?と聞かれると真っ先に思いつくのがリーグチャンピオンだろう。リーグチャンピオンとは、地方ごとに置かれたポケモンリーグを制した者のことだ。

 

次に強い人は?と言われると挙がるのが四天王である。四天王は別枠で、リーグを制するというプロセスがない代わりに競争率は300倍を超える超人気職業だ。リーグチャンピオンは割とすぐに変動することもあるのだが、四天王は2年に1度という試験に合格しなければならない。その地位は磐石なのだ。

 

そしてその次は?と言われると、御馴染みのジムリーダーだろうか。子どもでも取ろうと思えばバッジを取ることが可能なので、強いイメージがないのもそれはそれで理解できる。だがそれは手加減されてのもので、本気のジムリーダーとぶつかって勝てる人となると限られてくる。それもそのはず、ジムリーダーだって職業なのだ。加えて地方に8つしか枠がない。先に述べた四天王よりもとっつきやすいためか、枠は2倍といえど合計すると倍率は500をも超える。細かくいえば街によって違うのだが、今は置いておこう。

 

チャンピオン、四天王、ジムリーダー。

 

つまるところ、地方でこの14人は最も強いということだ。それは周知の事実であり、分かりきった常識である。

 

 

 

ではその常識が覆されたら?

 

 

 

もしもこの14人が負けたら?

 

 

 

本気で戦った上で勝てなかったら?

 

 

 

それは確かに好奇心をそそるものであり、しかし同時に有り得ることのない幻想だ。勝てないからこそチャンピオンであり、四天王であり、ジムリーダーである。

 

 

ありえない話なのだ。

 

 

 

彼らが現れるまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、いよいよ始まります!」

 

その日、会場の熱はマックスにまで上がっていた。観客のボルテージは最高潮、ある番組の視聴率は60%を超えたほどだ。

 

スポンサーはかの大企業デポンコーポレーション、会場はホウエン随一を誇るカナズミスタジアム。

 

そのイベントの注目度はまさに誇張無き世界レベルのもので、世界中から観客が押し寄せている。中継のカメラは何台もつまれ、恐らく過去最高の規模のイベントだ。

 

「チャンピオン、四天王、ジムリーダー。果たして誰がこの14名によるチームの結成を予想できたでしょうか!選手の入場です!」

 

歩く姿はそれだけで強者を思わせ、深みを帯びている。

 

「まずはこの人!ここカナズミシティのジムリーダーの選出方法は少し特殊で、トレーナーズスクールの主席がジムリーダーに勝ったらその時点でジムリーダーになるという奇抜な選出によって選ばれた、いわタイプを主流とするツツジ!!」

 

観客の歓声には一切答えず、真っ直ぐ前だけを見て歩みを進める。余裕からなのか、動じないその態度に大人は子どもなのに凄いと素直に感心していた。

 

「そしてムロタウンジムリーダー、トウキ!!彼はかくとうタイプの使い手で、引き締まったその身体はポケモンと共にトレーニングしたからだとか!」

 

悠々と進むその姿に怯えは一切見えなかった。

 

「キンセツシティジムリーダー、テッセン!!彼はポケモンバトルだけでなくジムの改造やニューキンセツの建設に携わったりと、マルチな才能を発揮しています!」

 

今にも笑い声が聞こえてきそうなその笑顔に、周りも楽しくなってきそうなほどだった。

 

「次に歩いてきたのはフエンタウンジムリーダーのアスナ!!ほのおタイプの使い手であり、彼女とコータスのコンビネーションは圧巻の一言に尽きます!」

 

大舞台というのに緊張を一切感じさせないのは、大物であるとともにその舞台を楽しんでいるからなのか。

 

「次にトウカシティジムリーダーのセンリ!!ノーマルタイプの使い手で、その基本に忠実なスタイルからトレーナーの鏡と言われるほどです!」

 

凛々しい表情で周りを一瞥し、一つ礼をして歩き出す。

 

「ヒワマキシティジムリーダーのナギ!!ひこうタイプの使い手で、変幻自在に空を飛び回るポケモンでバトルを展開していきます!」

 

観客を一切意識せずマイペースに進む心の強さは言わずともわかるだろう。

 

「そしてこちらは珍しい!トクサネシティジムリーダーのフウとラン!!見てわかるとおり子どもであるにも関わらずジムリーダーをしており、二人三脚で行うダブルバトルは無類の強さを誇ります!」

 

ニコニコと手を振ってスタジアムに入る2人はなんとも仲睦まじげである。

 

「ジムリーダーも最後となりました、ルネシティジムリーダーのミクリ!!彼はバトルだけでなくポケモンコンテストでも結果を残す、テッセンとは違ったマルチな才能を持っている青年です!」

 

きゃー!と黄色い声援を浴びながら登場する姿にはどこか慣れも感じた。

 

「続いて四天王の入場です!あくタイプのエキスパート、カゲツ!!その容赦ない戦いぶりには若者にとっての憧れであります!」

 

ポケットに手を突っ込んでずんずん進んでいく。恐れは微塵も感じさせていない。

 

「ゴーストタイプのエキスパート、フヨウ!!その若さで四天王にまで辿りついた実力は未だに計り知れません!」

 

観客に手を振り返しながら入場しており、人当たりの良さを感じさせる。

 

「こおりタイプのエキスパート、プリム!!どこを切り取っても美しいそのバトルにはコーディネーター顔負けの華やかさです!」

 

センリと同じく一礼をしてから進む。清楚な(たたず)まいは否応なしに美しいと思わせられる。

 

「そして四天王の大将、ドラゴンタイプのエキスパートであるゲンジ!!その四天王の座を守ってきて早30年!彼の強さは一線を画しています!」

 

早く戦いたいと言わんばかりの闘志を剥き出しにして静かに歩いていく。

 

「最後にリーグチャンピオンであるダイゴ!!その強さは折り紙つきで、ほかのチャンピオンとも遜色ないでしょう!」

 

こちらもゲンジと同じく闘志を携え、その覇気はいつものクールなものとは全く異なるものと誰にでも理解出来た。

 

「これで最強の14人が出揃いました!いやー、やはりこの面子は見ているだけで圧巻ですよね。どうですか、解説のオダマキ博士」

 

オダマキ博士。研究職は年功序列なところもあるのだが、彼は20代にして既に研究所を与えられた名誉ある博士である。

 

「そうですね、おそらくこの状況は誰しも想像はしたことあるでしょう。しかしそれが不可能ということも容易に理解できます。これをエンターテインメントと捉えるなら、大成功なんでしょうね」

 

「そうですねー。しかも内容がこの14人を半分の7人で相対するのですから、注目度も凄いというのは簡単に想像できます」

 

司会も早く見たくて待ちきれないのか、高揚した気分を落ち着かせるために一息ついた。そしてついに7人の紹介に入る。

 

「ジムリーダー9人を半分の4人で、四天王4人を半分の2人で、そしてチャンピオンを1人で相手をします。果たしてこの7人はどこまで戦えるのでしょうか!近日中にオープンするバトルフロンティア、そのフロンティアブレーンである7人の登場です!」

 

それぞれが歩く姿に恐れはなく、威風堂々という言葉が相応しいだろうか。白煙を切って出てきた7人は颯爽と14人の前へ並んだ。

 

「いよいよ始まります、ホウエンオールスターVS(バーサス)フロンティアブレーン!!どんな戦いを見せてくれるのか!」

 

 

 

 

 

そして、その日は全世界に刻まれた歴史となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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