天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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疎通

翌日の正午、私とジンダイとコゴミ、それにクスノキ君はポケモンセンターに移動した。中にはコゴミのお父さん以上にムキムキの男性が立っていた。間違いなくアオギリだね。

 

「やあやあ、久しぶりだね。アオギリ」

 

その声に反応すると、嬉しそうに肩を叩いて挨拶を返した。

 

「おお!!ひっさしぶりだなあ、エニシダ!どうだ、調子は?」

 

「勿論ベストさ!アオギリはどうだい?」

 

「当たり前だろ、ベストに決まってんじゃねえか!!」

 

「それは温暖化で水面が上がってきてるからかい?」

 

「海がある限り俺の調子はベストのまんまだぜ!!」

 

「「HAHAHAHA!!!」」

 

いやー、やっぱりアオギリのテンションはいいね!否応なしに元気になれるところには一種のカリスマ性を感じるよ。

 

「こんにちは、アオギリ君。僕のこと覚えてる?」

 

今度はクスノキ君がアオギリに話しかけた。

 

「おお?お前は…クスノキか!懐かしいなあ、おい!今も艦長やってんのか?」

 

「最近は研究とかが多くなったけど、今も現役で艦長だよ」

 

「おお、そうかそうか!んで、そこの二人も知り合いなんだろ?紹介してくれよ」

 

それを聞いたクスノキ君は大雑把に説明した。

 

「エニシダ君の同僚のジンダイさんとコゴミちゃんだよ。二人ともバトルが強いらしい。特にジンダイさんはエニシダ君と引き分けるほどだそうだよ」

 

その言葉に目を丸くしたアオギリはまたも聞いてきた。

 

「お前らはどういう関係なんだ?同僚つっても、お前と引き分けるレベルって普通じゃねえだろ」

 

「言いたいことはなんとなく把握したよ。これから何年後かにできるバトル施設があるんだけね、彼らは、というか私達はそこのボス的存在になるんだ。私達はそのことをフロンティアブレーンって呼んでるよ」

 

予想よりも早くバトルフロンティアのことを言ってしまったけど、むしろこれなら結果オーライかな?

 

「アオギリ、私は君をそのフロンティアブレーンに勧誘をしたいと思っている。けどね、いきなり言われてはいそうですかなんて言えるもんじゃない。そこでだ。ポケモンバトルで決めないか?」

 

「勝った方の言うことを聞くってか?」

 

考える素振りを見せたが、快活に応えた。

 

「俺にもやらなきゃならねえこともあるんだがな。まあいいか。やろう!今度こそは勝つ!」

 

意気込むアオギリに水をさすようで悪いけど、このバトルはジンダイが闘うことを伝えなきゃ……って。

 

「アオギリとやら、そのバトルの相手は私が受け持っていいか?」

 

「お前がジンダイか。まあ別に強いやつなら誰でもいいぜ。早いとこ片付けて断らなきゃな」

 

獰猛な笑みを浮かべるアオギリに、こちらも負けんばかりの視線で睨み返して言った。

 

「スクール時代の復習だ。井の中の蛙って言葉を教えてやろう」

 

「うっせえ」

 

「はいはい、じゃあルールはどうする?」

 

そう私が問うと、アオギリが妙な提案をしてきた。といっても私からしたらもっともなもので、彼の使うポケモンを見たら一目瞭然である。

 

「俺の希望は使用ポケモン2体で1回ずつフィールドを変えたいんだが、だめか?」

 

「フィールドを変える?」

 

「ああ。俺の一番の相棒なんだけどよ、そいつは海の中で一番真価を発揮するんだ。陸でやるだけがバトルじゃねえってこと」

 

「面白い提案だしそうしたいのは山々なんだが、ここのポケモンセンターに水のフィールドなんてないぞ?」

 

「それなら私の家で勝負しようか。バトルフィールドはあるし、水の中ならプールがある」

 

「プールだと狭くないか?」

 

そう言ったのはジンダイだ。確かにバトルフィールドに比べると少し狭いんだよね。深さもそんなにないし、バトルには適さないかもしれない。

 

「まあそこなんだよね。水のフィールドなんて普通のバトルだとあんまり見ないし」

 

うーん…。どうしたものか。水だけでしか動けないポケモンだっているし、大抵そういうポケモンは鑑賞用がメジャーだからねえ。

 

そんな時、ここまでほとんど話していなかったコゴミが口を開いた。

 

「ねえ、ここカイナシティなんだしさ。ポケモンコンテスト会場に水のフィールドあるんじゃない?アタシそういうのテレビで見た覚えがあるよ」

 

「「「それだ!!!」」」

 

私とジンダイとアオギリの声が重なり、コゴミはしてやったりと胸を張っている。

 

「コンテストのフィールドでするなら僕が話をつけるよ。そこのオーナーなら顔が利くんだ」

 

「そうか。すまないね、頼むよ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

私達は今バトルフィールドの観戦席に座っている。あれからコンテスト会場に移動して、クスノキ君が話をつけてくれた。さらに審判も良い練習になるからといって本職の方を貸してくれた。まさに至れり尽くせりだね。

 

ジンダイとアオギリは既にバトルフィールドにおり、また審判も定位置についている。

 

「ルールの確認だ。使用ポケモンは2体。しかしポケモンは一度出すと交代はできない。なおどちらか一方が負けたらバトルをその場で中断し、水上フィールドにうつってもらう。いいな?」

 

「ああ」

 

「早くやろーや、なげえんだよ」

 

傍目から見ても二人の闘志は透けて見える。アオギリなんて闘志というよりむしろ殺気だね。コゴミが少し怯えてるよ。

 

「勝負、始め!」

 

掛け声がかけられると同時に二人はモンスターボールを投げた。

 

「バトルの時間だ、グラエナ!」

 

「行ってこい、レジロック!」

 

ジンダイはレジロックかレジアイスのどっちかだとは知ってたけど、アオギリはグラエナか。あくタイプといわタイプなら技の選択よりもどれだけ相手の攻撃を避けて自分の攻撃を当てるかに限る。弱点のタイプならその限りではないけどね。

 

グラエナはボールから出た瞬間にいきなりレジロックの元へ走り出し、攻撃を当てた。指示はなかった。

 

「ふいうちだ。つっても硬そうだからダメージなんてあったかしったこっちゃねえけどな」

 

「レジロック、ロックオン。終わり次第でんじほう」

 

レジロックがロックオンを始める。ポケモンによってロックオンの方法は違うが、レジロックの場合は単純に相手を見ることのようだ。

 

「させんな!かみくだく!!」

 

グラエナはレジロックに向かって一目散に走っていき大きく口を開けた。ロックオンの最中で身動きが取れないレジロックはなす術もなく肩口を噛まれたが、なんともないような素振りを見せている。

 

ロックオンが完了しでんじほうをグラエナに向けて放った。一般に威力が高いとされる技はそれだけ精度が低くなり、でんじほうも例に漏れず命中しにくい。過半数当たれば良い方だ。

 

しかしロックオンはその制度をほぼ100%に変える。勿論いくつか対策はあるのだが、仮に動かない目標物があれば必中と言っても過言ではない。

 

「グラエナ、当たる前に極力近づけ!」

 

近づけとはレジロックに対してだろう。そして再度近づいたグラエナにでんじほうは当たり決して小さくたいダメージを負いながらもグラエナはアイアンテールを使った。今度の威力は高く、そしてタイプでも相性がいいので流石のレジロックにもダメージが見られた。

 

「さすがだな、お前ならやってくれると思ったぜ」

 

「指示も無く意のままに動かせるとはな。信頼関係の成せる技か。私とレジロックならまだ無理なところだな」

 

自嘲にも聞こえるジンダイの呟きに私はある日のことを思い出した。レジアイスを捕獲する前日、ムロタウンで彼がレジスチルとレジロックを外に出していた時のことだ。あれは一刻も早く信頼関係を築きたかったが故の行動だったのかと、遅まきながら気付いた。

 

私は最近捕獲したポケモンでも年単位であり、そのような気持ちには些か麻痺していたのかもしれないね。

 

「アイアンテールを連打だ!」

 

「させんよ、ストーンエッジで道を塞げ!できるなら当ててもいい」

 

レジロックはグラエナの進行方向に岩を地面に突き刺すが、するすると避けてアイアンテールを幾度となくぶつける。元来レジロックは鈍足なので避けるにはスピードが足りない。余りある防御力ではあるが、ここまでやられると流石のレジロックも心許ない。

 

「このままだと負けるな。……よし、決めた。レジロック、だいばくはつだ」

 

「何!?」

 

直後、レジロックの体から光が漏れて爆発が起きた。爆風を散らして見えてきたのは体を横たわらせたレジロックとグラエナだった。

 

「両者戦闘不能!よって引き分け!」

 

いやー、にしてもこれは驚いたね。確かにあの場面から勝つ戦略は思いつかなかったし、ましてやレジロックなんて出会って一週間そこらだろう。その中で機転の利いた戦法なんてとれないか。

 

「お疲れさん。この勝負は負けじゃなくて引き分けだ。次の水中戦で決着を決めよう」

 

「こすいことしやがるなあ……とか言いてえが、正直あの采配は理にかなっているしな。俺の土俵で決着を決めてくれるんならむしろこっちからお願いするレベルだ」

 

私がアオギリと闘った時は水ポケモンを出していた覚えはなかったが、彼は海の事を愛しているのだ。水ポケモンが奥の手であってもなんら不思議ではない。

 

そこに無機質な音が響いた。

 

「これはポケナビだよね?誰だ?」

 

少なくとも観客席ではないのでバトルフィールドを見ると、アオギリがポケナビを取り出した。ジェスチャーですまないと謝り、コールに出た。

 

『 もしもし、アオギリ様ですよね?今カイナシティのどこにいるのですか?置いていったっきり何も言わないなんてほんとに非常識ですよ』

 

何を話しているのか私たちには全く聞こえないが、アオギリの顔が青く染まったのだけはわかった。

 

「あ、ああイズミか。別に忘れていたわけじゃない。用事が終わってから合流しようと思っていたんだよ」

 

『 で、どこにいるんですか?今私もカイナシティなんで行きますよ』

 

「いや、別にこなくても『 行くんです!!教えてください!!!』……コンテスト会場だ。今から水のフィールドでバトルするんだよ」

 

『 了解です。知り合いも連れていっていいですか?先ほど偶然出会った子なんですが』

 

「ああ」

 

そういって電話を切ったアオギリは少し面倒臭いといった表情をしていた。

 

「どうした?何かあったのか?」

 

ジンダイがそう聞くとアオギリはこともなげに答えた。

 

「すまんがバトルは少し待ってくれないか?仲間が来るんだ。コンテストの受付んとこで待たせてくれ」

 

「なら私たちも行こう。エニシダ!コゴミ!聞こえたな?移動だ!」

 

 

 

 

 

 

「アオギリ様!」

 

開口一番に発したその声には聞き覚えがある女性の声だった。

 

「来たか。こいつはイズミという。今俺がやろうとしてることに協力してくれてるんだ。で、そいつが知り合いか?」

 

「はい、彼女はアザミと言います。昔働いてた頃に知り合いました」

 

紹介を受けたアザミという怖い感じの女性はどことなく強いトレーナーのような風格を彷彿とさせる。

 

「…ども。アザミです。好きなことはポケモンバトルです」

 

「じゃあ次はこっちの紹介だ。お前らから見て右からクスノキ、コゴミ、ジンダイ、エニシダだ。クスノキはカイナ造船所の所長なんだ。他3人はバトルが強い。コゴミはやったことねえしわからんが、エニシダとジンダイは俺レベルで強いぜ」

 

紹介された身なので、一応挨拶はしておこう。

 

「どーも、エニシダです。というか、君デボンコーポレーションの開発部のイズミだよね?別人だったら失礼だけどさ、見たことある気がするんだよ」

 

声に聞き覚えがあったから思い出せたが、あまり関わりがなかったし見ただけじゃわからなかったかもなあ。

 

言われたイズミは姿勢を整えて言った。

 

「もしかしてエニシダって社長代理ですか!?」

 

「もう社長が復帰したから今はニートだけどね。ていうかデボンの社員は社外秘って言葉を知らないのかい?」

 

「私退職したので別にいいんじゃないですか?」

 

「そういうものかなあ…」

 

「アンタ、イズミと普通に話せるなんて珍しいね。アイツ初対面とか慣れてない人だと無口になるのに」

 

アザミはそういうが、これは単に上下関係があったからじゃないのかな。

 

「アザミっていったよね。突然だけど君バトル強いでしょ?風格が強者のそれと似ている」

 

「ああー!!!!そろそろ移動していいか!!!話なげえし!移動な、な!!」

 

「アタシもそろそろバトル見たいなあ」

 

「よし、移動だ」

 

「通報だなあ…」

 

「そのノリもうやめようよ!!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

ここが水のフィールドか。テレビでしか見たことないから生だと興奮するね。思っていたより深そうで横幅も広い。

 

「さっきのバトルね、ジンダイとアオギリは引き分けだったんだよ。だからこのバトルで決着が決まるんだ」

 

その言葉に驚いたのはやはりイズミだ。

 

「アオギリ様と引き分け!?てことはジンダイさんは余程強い人なんですね」

 

「アオギリってそんなに強いのかい?」

 

「それはもう勿論!最近は本気のジムリーダーと闘って回っていて、もう3人倒していますけど未だ負けていないんですよ」

 

「へえ、それはすごいね」

 

普段の仕事としてのジムリーダーは相手の成長を促す役目があるので余り強いとは感じられないが、ジムは各地方で8つしかないのだ。その中の一人に選ばれることの難しさは底が見えない。人気の職なだけに倍率も相当高い。実力主義なところがあるので子どもでもジムリーダーに就任している事例もあるが、ただその子が周りの大人にも勝てるほどの実力があったということだ。

 

審判が大きな声で言った。

 

「では始めるが、いいか?」

 

「勿論だ」

 

「ああ」

 

「では、勝負始め!!」

 

先にポケモンを出したのはアオギリだ。

 

「いけ、サメハダー!」

 

ああ、そういうことか。そりゃ地上では役に立たないポケモンだね。

 

「行ってこい、ナマズン」

 

ナマズンか。確かレジアイスを捕獲するときになみのりさせていたポケモンだったっけ。あの時は戦闘に出していなかったから強さは測りかねるが、ジンダイのことだ。弱いポケモンではないだろう。

 

「ナマズン、まもるだ」

 

相手が攻撃する指示を聞かずにそう言った。その意図はすぐにわかり、先程同様不意打ちを仕掛けてきた。

 

「か〜っ、やっぱ二度目は通じねえか。まあつってもアクアジェットだし牽制技だわな。その場でつじぎり!」

 

器用に回転してナマズンにつじぎりを命中させる。ナマズンからは苦悶の表情が伺えるが、闘志は全然衰えていない。しかしサメハダーのつじぎりの威力は凄いな。普通は勢いをつけずにその場で回転しただけのつじぎりではあの威力は出せない。

 

だがナマズンも負けじと攻撃を返した。あれは……もしかしてじしんか?

 

「水の中でじしんをするとああなるのか…。よしナマズン、そのままなみのりだ!」

 

大きな地震が起きると稀に津波が起きるのはご存知だろう。なみのりとは自身が起こした波の衝撃を相手にぶつける技だ。なみのり自体威力の高い技なのに、それが津波を利用したものならなおさら強まるのは自明だ。

 

物凄い勢いで水面を跳ねあげたなみのりだったが、サメハダーに直撃はなかった。

 

「お前のサメハダーは時間が経つごとに素早くなっているようにみえるな」

 

「このサメハダーは少し特殊なんだよ。バトルに集中すればするほど早くなる。サメハダー、アクアジェットで近付いてその流れでつじぎりだ!」

 

最初より素早くなっているサメハダーのアクアジェットは先程よりも凶悪な速さで、その速度のまま切り裂くようにつじぎりを放った。

 

審判が戦闘不能の判定を下してもおかしくないダメージを負ったナマズンだが、初めの勢いは削がれたにしてもやる気だけは失っていない様子だった。

 

「よしナマズン。奥の手でいこう。じわれだ!!」

 

その場で前に一回転するかと思えば、その尾ヒレで水を叩き、文字通り()()()()()()

 

その威力は尾ヒレの直線上の半円にも及び、会場の一部に亀裂が入ったりもした。サメハダーといえば、直撃したのか余波を受けたのかはわからないがぐったりとしていた。これは戦闘不能だろう。しかし当のナマズンも倒れていた。引き分けか。まあ妥当だね。

 

そう思っていたのだが、審判の判定は私の思い描くものとは異なっていた。

 

「両者戦闘不能!アオギリのルール違反により、勝者ジンダイ!!」

 

「え?」

 

そう言ったのはクスノキ君だった。

 

「ルール違反なんてこっちから見る限りはしてなかったよ?」

 

「彼はサメハダーにみちずれを使わせていた。みちずれをするポケモンには一瞬体が赤い光で包まれるんだ。しかし彼の申請した技はアクアジェットとつじぎりとれいとうビーム、それにかみくだくだ」

 

「良い目してんじゃねえか。その通りだ。意思疎通ってのは時と場合によるなあ」

 

「ともあれ、勝者は私だ。おい、エニシダ!!降りてこい!」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

「要領を得ないんだけど、要はフロンティアブレーンにはなれないってことかい?」

 

階下に降りてアオギリに話を聞くと申し訳なさそうに言ってきた。その内容とは、自分には人には言えない野心がありその為にはまだ力が足りずにいるので武者修行を行っているからだそうだ。

 

「すまんな、せっかく誘ってくれて。負けた手前断るのは心苦しいんだがな」

 

「いや、こちらも確認もせずに勧誘して悪かった。機会があればまたバトルをしよう」

 

そう言って出されたジンダイの手を荒々しく掴み勢いよくおう!と返した。握手を交わした二人の姿は清々しく、好敵手として互いを認めた瞬間に見えた。

 

「じゃあ俺達はそろそろ行くわ。イズミ、行くぞ」

 

「はい!アザミ、あなたはどうする?」

 

「あたしはここに残るよ。この人らと話がしたいの」

 

「そう、じゃあまたね」

 

その言葉を最後に二人は会場を出た。

 

「じゃあとりあえず私達も移動しようか。私の家でいいかい?」

 

「アンタの家?いきなりすぎて信用出来ないよ」

 

「そんなことないよ!エニシダの家すっごい大きいし家政婦さんもいるし、なによりエニシダだし!」

 

「それはフォローになってないよコゴミ……」

 

「まあエニシダの家が信用ならないならポケモンセンターにでも行くか」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「それで、話ってなんだい?」

 

単刀直入に聞く。アザミは私のことをまだ信用していないと言ったが、それはこちらも同じだ。贔屓目に見てもフレンドリーな感じには見えず、家に来ると言ったところで断るのは目に見えていた。

 

「フロンティアブレーンってなに?推測だけどバトルの強いやつがなる非公式ジムリーダーみたいなやつ?」

 

「非公式とはまた変な言い方を…。いいかい、フロンティアブレーンっていうのはね………」

 

 

こうして四度目になる説明を行った。

 

 

「つまり非公表ジムリーダーね」

 

「……まあそれでいいよ。で、それがなんだい?」

 

とは言いつつも、予想はついている。

 

「あたしをフロンティアブレーンにしてくれない?」

 

ビンゴ。まあこの流れなら当然だね。

 

「私たちはとりあえず強い人になって欲しいんじゃないんだよ。こっちが見込んだ人にだけ勧誘を行っていてね。正直に言うとまだアザミの強さを測れていないし、おいそれと了承はできないんだよ」

 

「つまりあたしの実力をわからせればいいんだな?」

 

「まあ、そういうことになるね」

 

「ならアンタと勝負して勝ったらフロンティアブレーンにしてくれ。それならダメか?」

 

これも予想通りだ。どれほど強いのかわからないが、私が相手だと十中八九負けることはないだろう。だからここはハンデマッチで行く。

 

「条件は飲むよ。でもその代わり、私とバトルするんじゃなくてコゴミと勝負して勝ったらフロンティアブレーンとして認めよう」

 

「まあ確かにアンタは強そうには見えないもんね。コゴミっていうと、その子か?」

 

急に目線を向けられたコゴミは驚きながらも返事をした。

 

「は、はい!!アタシがコゴミ!」

 

「勝負できそう?」

 

そうアザミが聞くと、コゴミは少し待ってくれとアザミに言って私に顔を向けた。

 

「どうするのよ〜!アタシあんな怖い人とバトルなんて怖いよぉ…」

 

涙目にして訴えてくるコゴミだったが、心を鬼にして私は言った。

 

「いや、ここはコゴミに行ってもらう場面だよ。経験を積んできなさい」

 

数秒黙った後、コゴミは涙を拭き取り気だるげに「りょーかい。泣き脅しは無理かあ」などと言った。あの涙目、演技だったのか…。

 

コゴミが再度アザミに顔を向けると、盛大に宣戦布告をした。

 

「アザミっていったよね?子どもだからってアタシに勝てるとか安心しちゃダメだから、覚悟しときなよ!」

 

「上等だよ。あたしだって並のトレーナーじゃないからね」

 

 

 

 

 

 

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