天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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すいません、書き溜めがなくなったら途端に更新速度が低下しました。次こそは早く投稿できるようにがんばります(小並感)


三人目

アタシは今ポケモンセンターのバトルフィールドに立っている。なぜかっていえば、エニシダにアザミって人とバトルしろって言われたせいだ。失礼だから口には出さないけど、このアザミって人はあんまり強そうに見えない。アタシが出会ってきた強い人が自分の強さをひけらかしていなかったからかな。

 

「ルールはどうするの?」

 

「1vs1で面倒臭いから技の申請は無し。これでいいかい?」

 

「アタシはOKだよ」

 

そう言うなりアザミに目を向ける。

 

「あたしもいいよ。他はバトルの不文律に則るってことよね?」

 

「そうだね。特別変なルールはないから安心してよ」

 

バトルの不文律。確かトレーナーズスクールで習った内容は申請なしの場合でも使う技は4つまで、戦闘不能になっていないポケモンの交代は3回まで、後はトレーナーに攻撃しないとかだったはずだ。交代の辺りは過去に相性のいいポケモンをバトルに出したいから、交代が何度も行われて見るに耐えない泥仕合になったからだそうだ。

 

「じゃあ、勝負始め!」

 

「ヘラクロス!頑張ってきて!」

 

「ハブネーク、バトルよ」

 

アタシの出したポケモンはもちろんヘラクロス。この子しかまだ強くないからね。対するアザミはハブネーク。名の通り蛇の体で、虫ポケモンと同じくらい敬遠されるポケモンだ。それ故なのか、テレビのポケモンバトルでは見たことがなかった。

 

「ヘラクロス、メガホーンっぽいつのでつく!」

 

指示を受けたヘラクロスは少し驚いたように見えたが、メガホーンの形を取りその勢いでハブネークに突っ込んだ。しかしつのでつくは当たらず、ハブネークは体をくねらせて器用に避けた。

 

指示を待たずにどくどくのきばを仕掛け、ヘラクロスは回避しようとしたが尻尾で拘束されて食らってしまった。

 

「こうそくいどうしてからインファイト!」

 

瞬間、ヘラクロスの体がぶれたかと思うと目にも止まらぬ速さでハブネークを乱打した。こうそくいどうは普通足にかけるものだけど、拘束された際には上半身にかけるように教えてある。昔スクールの先生にされた事をきっかけに覚えさせたのが、今になって生きるのを見るとあながちスクールも無駄じゃなかったと思えるよ。

 

「ハブネーク、くろいきり!抜け出してから狙いすましてポイズンテール!」

 

辺り一面にくろいきりが漂い、ヘラクロスはおろかアタシまで戦況を把握できなくなった。こういう闘い方もあるんだね。勉強になるよ。

 

「ヘラクロス、適当に動いてくろいきりを脱出して!」

 

くろいきりがぶれるとヘラクロスの姿が見えた。しかしハブネークもその間行動しており、とぐろを巻いているようだった。

 

何をしているのかと考えていると、突然ハブネークがその場で回転し、横薙ぎにポイズンテールを繰り出した。しかしヘラクロスは読んでいたようで、飛び上がって回避した。

 

どこか見たことがあると感じていたのは、恐らくエニシダとのタッグバトルで魅せた連携だろう。……いや、魅せたとかは違うね。あれはアタシを無視してやったことだ。そんな大層なものじゃないよ。

 

「ただの子どもだと思ってたけど結構やるね。ハブネーク、()()()()()()くろいきり!後は好きにしな!」

 

ハブネークが息を吸ったかと思うと先ほどの3倍はある量のくろいきりを吐き出し、アタシは前も後ろもみることができなくなった。

 

そんな中、ヘラクロスの(うめ)き声と攻撃のヒットする音が同時に聞こえた。何が起きているのかわからないが、その声は何度もアタシの耳に響き渡った。

 

「ヘラクロス、自由にして!ハブネークさえ倒してくれたらそれでいいよ!」

 

見えないのはアザミも同じだ。だから好きにしななんて指示を出したのだろう。ポケモンは基本的に自ら闘うが、やはり指示に依存してしまう面が垣間見得る。なら好きにしろという指示にも依存してしまえば、相手は手の読みようがないということだ。それならいっそ、アタシもそうしてしまえば簡単だ。

 

しかしそう簡単にうまくいく訳ではなく、ヘラクロスは相手の位置を把握できないので自分の攻撃は空を切るばかりだ。対してハブネークはほとんど必中で攻撃を当てており、どちらが優勢なのかは火を見るより明らかだった。

 

「ハブネーク、ポイズンテールで終わらせな!」

 

その声の何秒か後、一点の霧が晴れた。晴れたというよりも切り裂かれたという方が正しいのか。霧の晴れた原因はハブネークのポイズンテールだった。

 

「ヘラクロス!まだ頑張れるなら適当でいいし攻撃して!!」

 

倒れているように見えたヘラクロスだったが、ハブネークの元へ走り出して一心不乱に殴り出した。といっても、インファイトのようなものではなくもっとお粗末なものだった。

 

だがその攻撃がきいたのか、相手のハブネークはそれまで支えていた上半身(?)を地面に這わせ、倒れたように見えた。

 

()()()とあるように、実際は倒れていなかったのだ。ハブネークが倒れたように見えたのを見て安心したのか、ヘラクロスはその場で緊張を解いた。ポケモンながらに審判のコールを待ったのか、エニシダを一瞥したがその後はヘラクロスの望んでいた判定は下らなかった。

 

「ヘラクロス、戦闘不能!よって勝者、アザミ!」

 

名を呼ばれたアザミは当然といった表情でハブネークをボールに戻し、同じくヘラクロスをボールに戻したアタシのもとへ歩いてきた。

 

「お疲れさん。あたしのハブネークずるいだろ?ヤバイ時は死んだフリするように教えてあるんだよ。逆に言えばあたしのハブネークはヤバイ時まで追い詰められたってこと。強かったよ、コゴミ」

 

「ありがとう。今回はアタシが負けたけど、次はアタシが勝つからね!」

 

「おお、言い訳とかしないんだ」

 

「言い訳ならあるよ?ヘラクロスはハブネークと相性が悪いし、自由にさせる指示だって今回が初めてだし、そもそも覚えてる技がどくタイプに対して相性が悪いよ」

 

「そう、言い訳はできるようにしときなよ。自己分析にもなるし、かっこいい言い方をしたら成長の(かて)になる。……で、エニシダ。あたしはフロンティアブレーンになれるの?」

 

不意に名前を呼ばれたエニシダは少しどもりながらも答えた。

 

「ん?ああ、それね。いいよ。君は強くなりそうだ」

 

「ありがとう。でもその言い方だと、まだ強くないみたいな言い方だねえ」

 

同感。アタシもその部分は少し気になった。

 

「アザミはまだ強くないよ?コゴミとほとんど引き分けのような試合をしてるんだからねえ」

 

「ちょっとそれアタシもバカにされてんの!!」

 

「いやいや、私の考えてる基準で強いか強くないかだから世間一般で見れば君たちは強いよ」

 

「アンタの基準ってのは?」

 

「ポケモンリーグでベスト8ぐらいかな。コゴミは予選突破くらいのイメージだよ」

 

「とんでもなく高いな。アンタらはそれくらい強いっての?」

 

「私は言うなればダイゴの師匠だよ。多分思ってるダイゴで当たり。ジンダイはその私と引き分けたよ」

 

「それはえぐいね。チャンピオンレベルとは恐れ入るよ」

 

「それはどうもありがとう。そろそろ今後のことを話したいし、ポケモンセンターの中に戻らないかい?」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

私達はポケモンセンターのテーブル席に移動し、まずは改めて自己紹介から始めた。

 

「じゃあ自己紹介の言い出しっぺから。エニシダだ。バトルフロンティアのオーナーで、フロンティアブレーンでもある。…いや、フロンティアブレーンはみんなだから言わなくていいか。趣味は乗り物の運転だよ。じゃあ次はジンダイ。お願いするよ」

 

「ジンダイだ。趣味か…。旅だな。旅行ではないぞ。冒険といってもいい」

 

「アタシはコゴミです!11歳です!んで、好きなポケモンはかくとうタイプ!だけどフロンティアブレーンになるんだからほかのタイプのポケモンも育てようと思ってます。趣味はわかんないや」

 

「じゃあ、改めましてアザミです。以前はニューキンセツとかシーキンセツとかの仕事してました。イズミとはそん時に知り合った。で、多分若くて女だからだろうね。急に首を切られてさ。食い扶持に困ってて、得意なのはポケモンバトルくらいだからフロンティアブレーンになりたいと思いました。不純でごめんね」

 

「いやいや、そんなことないよ。過程はどうあれ結果が出るならなんでもいいさ」

 

そこで一つ話を区切り、本題を話し出した。

 

「フロンティアブレーンが4人になったら言おうと思ってたんだけどね、ここからは2人ずつに分かれて候補を探さないかい?」

 

理由としては単純で、効率化を図りたいからだ。

 

「別に私はいいが、みんなはどうだ?」

 

「アタシは別にいいよ」

 

「あたしも賛成。つっても工程はよくわからないけどね」

 

少し考えた私はアザミに提案をした。

 

「ならジンダイと組んでくれないか?ジンダイならどんな感じがわかるはずだからね」

 

「私は反対しないがな、エニシダ。男女が長い間二人でいるというのは倫理的にどうなんだ?」

 

「長い間といってもせいぜい一ヶ月くらいで落ち合うつもりだよ。何があればポケナビで連絡。行く場所は各自の自由。どうだい?」

 

三人は思索した(のち)、各々の反応は違えど了承してくれた。

 

「よし。ならもうここから分かれていこうか。ジンダイ、足はいるかい?一通りはあるから言ってくれたら貸すよ」

 

なら、とジンダイは言った。

 

「バイクを貸してもらおうか。原付きじゃなければなんでもいい」

 

「了解。じゃあ一旦私の家に来てくれ」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

バイクを渡して今度こそ分かれた私たちは、コゴミと次に行く場所を決めようとしていた。

 

「コゴミ、次行く場所は希望があるんだけどいいかい?」

 

「いいよー」

 

間延びした声で答える。ソファーに座っている状態で、さらに体勢が体勢だけにだらけたようになってしまうのだろう。

 

「次はカントーに行こう。自家用のやつで行くからはじめはヤマブキだね」

 

「はぁーい。……ってカントー!?なんで?」

 

まあその質問も最もだろうね。

 

「理由は三つある。一つ目はシロガネ山だ。あそこにはかなり強いポケモンが生息しているのは知ってるかい?」

 

「確か認められたトレーナーしか入れないほどやばいレベルのポケモンがいるんでしょ?」

 

「そのとおり。明確な規定はないけど、リーグで結果を残さないと入れないのがセオリーだね」

 

「じゃあ入れないじゃん」

 

「だからカントーなんだよ。大学経由で研究と称して入ることが出来る」

 

「で、そこにいるトレーナーならかなり強いから誘うってことね!」

 

「勘が鋭いね。二つ目は知り合いに会うためだよ。これができれば歴史が変わるレベルのことができる。何かわかるかい?」

 

「抽象的すぎてわかんないよ」

 

「ポケモン転移装置。モンスターボールを持ち歩かなくてもパソコンに預けることができるようになるんだ」

 

会う相手とは言わずもがな、マサキだ。シロガネ山とは反対に位置する場所なので移動するのが面倒ではあるが、あれから五年経つのだ。そろそろ完成しているだろう。

 

「でもそれって定期的にご飯あげなきゃだめだし結局一緒じゃないの?バソコンを持ち歩くわけでもないだろうし」

 

「ポケモンセンターにビデオ電話するためのパソコンがあるからね、そこに根回しすれば大丈夫さ。あとはご飯のことだけど、ポケモンを()()

()として扱うんだ。数字が腹をすかせるわけがないだろう?そういった意味ではポケモンの寿命は伸びたとも言えるね」

 

「なんかよくわかんないけど大丈夫ならいいや。あともう一つの理由は?」

 

「カントーは変な人が多くてね。リーグを制覇したのにチャンピオンを辞退する人が結構いるんだよ。年齢は問わないからさ、そんな人をフロンティアブレーンに据えられたら心強いじゃないか」

 

有名どころで言えばやはり"原点にして頂点(レッド)"だろう。圧倒的な強さを見せた彼はリーグ優勝の翌日に消えた。消息は今でも不明となっており、一部では死亡説も流れている。ただチャンピオンを辞退したのはレッドが初めてではなく、過去にも何人かいるのだ。ジョウトやホウエンではあまり聞かないが、それこそカントーにはなぜか辞退者が多い。確率で考えるとカントーに行くのがベストなんだと思う。

 

「いつ行くの?」

 

「今日は休んで明日行こうか。必要なものがあるなら言ってね」

 

「りょーかーい」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

翌日、ジェット機内では少女の絶叫が響き渡っていたという。

 

 

 

 

 

 

 





二手に分かれるのは連載当初から考えていたネタでした。次からはエニシダ&コゴミの話で、ジンダイ&アザミはもう少し後でやるつもりです。
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