どうも、エニシダです。私は今カントー地方に来ています。カントー地方というと、まず思い浮かべるのがオーキド博士でしょう。ポケモン研究の第一人者であり、周知の通り世界的権威を持つ優れた研究者です。彼はマサラタウンという見事な田舎で研究をしており、そのせいでカントー地方全体が田舎のイメージを抱かれているという面もあります。
ですが実際はそうではなく、カントー地方にはタマムシシティやヤマブキシティなど栄えた街も存在します。中にはグレンタウンという火山にある町もあるのです。カントー地方は様々な街があるのを伺えますね。
では私は今カントー地方のどこにいるでしょうか。実は今はハナダシティにいます。理由は単純、友人に合うためです。しかしその為に費した時間はなんと三日!ついた当初はヤマブキシティにいたのですが、そこで丸一日潰してしまいまして。その理由がコゴミの乗り物酔いだったんですね。ろくに足もないこの状況ですぐにたどり着けるわけもなく、徒歩で進んだ結果がこれですよ。
そして今やっとの思いでついたハナダシティでは、
「エニシダー、電話したー?」
「今からするよ、待っててね」
私が電話する相手とは、言わなくてもわかるだろうがマサキだ。コゴミはもう歩きたくないようで来てもらうために電話するというわけだ。というかそもそも私も歩きたくない。
何コールかするとマサキは電話に応じた。
「もしもし、エニシダか。急に何や?」
相変わらずのジョウト
「今ハナダシティに来ていてね。話したいことがあるんだけど来れないかい?」
「それって転移装置のことか?」
「そうだね」
「ほんならワイんとこ来てーな。もうちょいで完成なんや。お前にも見て欲しくてなあ」
あれから五年経つというのに、まだ完成していないのか……。
「了解。一応聞いておくけど引っ越したりしてないよね?」
「するかいな!そんな暇なかったっちゅーねん」
「OKOK。なら今から出るし切るよ?多分30分あれば着くと思う」
「あいよー」
通話を切り、内容をコゴミにつたえた。
「ええー、また歩くの?もう疲れたよぉ」
「まあ今回はすぐだから頑張ってくれ」
「はぁーい…」
返事する声は弱々しく、疲れているのが目に見えてわかった。
◇◇◇
歩くこと15分。思ったよりも早く着き、コゴミは安堵の息をついていた。
「ここがマサキの家だよ」
そう示した場所には一見普通の家が建っていた。
「マサキってどんな人?怖くないよね?」
「怖くないけど、口調は少し怖いとこがあるかもね。ジョウト弁なんだよ」
「ああ、それなら大丈夫だよ!スクールにも一人いたけど怖くなかったもん」
「それはよかったよ」
インターホンを押すと、中から勝手に上がってきてくれとの声が聞こえた。ドアに手をかけると鍵はかかっておらず、空き巣に入られても仕方ないと感じさせる様子だった。
「「おじゃまします」」
声を揃えて靴を脱ぎ、奥の彼の部屋に行くと案の定パソコンをいじっていた。
「おお、来たか!まあそこ座り!」
言われたソファーに座り、まずはコゴミの紹介から入った。
「久しぶりだね、マサキ。この子なんだけどね、バトルフロンティアのフロンティアブレーン、コゴミだ」
「バトルフロンティアのこと知ってるんだね。アタシはコゴミです!マサキさんってパソコンをいじる人だって聞いてたから正直気持ち悪い人を想像してたけど、全然そんなことないんだね!」
そう言われたマサキはあからさまに嬉しがっていた。
「なんやけったいな紹介受けとるみたいやけど、そう思ってくれるんならええわ!ワイはマサキや!にしても、コゴミやっけ?お前かわええなあ!ほら、珍しいポケモンやるわ!こっちきぃ!」
けったい?なんて疑問詞を浮かべていたコゴミだったが、珍しいポケモンに惹かれたのかとことことついて行った。ちなみにけったいは変なという意味だよ、コゴミ。
戻ってきたコゴミはとても上機嫌で、帰ってくるなりこちらへ駆け寄り珍しいポケモンとやらを見せてくれた。
「みて、エニシダ!イーブイってポケモンもらったんだよ!ちっちゃくてもふもふで可愛い!」
イーブイを自分に頬ずりし、されているイーブイもまた嬉しそうだった。出会って何分も経っていないはずなのにこれだけ打ち解けられるのは、やはり
「よかったねえ。マサキもありがとう」
「ええよええよ、イーブイも嬉しそうやしこっちもあげた甲斐があったっちゅーもんやわ。ほんでお前はなんの為に来たんや?」
「そうそう、転移装置のことで話があってさ。私は今諸事情で旅をしてるんだけど、転移装置があれば色々旅が楽になるから実装してほしくてね。それを頼みに来たわけなんだ」
それを聞いたマサキは少し困り顔になっていた。
「せやかてなあ…。まだ完成してないんや。あとちょっとやねんけどな」
「どこが完成していないんだい?君の技術で五年かけても完成しないなんて正直信じられないよ」
「今な、預かりボックスの画面の壁紙の種類を増やしてるんよ。初めは一個でええかなーとか思っててんけど、やっぱそういうとこもこだわりたいやん?せやから今九個目作っててんけどな、やっぱドット絵は時間かかるわ」
「マサキ、壁紙は八個でいいから実装しよう。個人でやってるとはいえ、前から協会には伝えてるんだ。発表したら十日ほどで実装されるよ」
「いやでもな、壁紙がまだ……「そんなの後から加えればいいでしょ?」…でもなあ……8てなんか中途半端やん…。9やったら3の2乗でかっこええやん…」
また始まったよ、マサキの謎理論。数字にこだわったって誰もそんなとこ気にしないのになあ。ただそれを伝えたところでマサキは納得しない。ここは彼と同じ土俵で納得させなければならないのだ。
「よく考えてみてよ?8は2の3乗だ。平方数より立方数の方が強そうでしょ?コゴミもそう思うよね?」
イーブイとじゃれてるコゴミは適当な返事でうんと答えた。おそらく何も聞いていなかったんだろうね。
「おお、それはそやな!強さか、それは考えてなかったな…。でもそれやったら28の方が強ないか?」
「もし28個も作ったら次は496とか言うのが目に見えてるよ。却下だ。というかさ……」
そこで私は一息つき、言い放った。
「なんで私が今のままでいいって言ったか聞いてたでしょ?!もう今から協会に電話するからね?それ以外は完成してるんだよね?」
「ちょ、それは待って!完成はしとるけど電話はワイがしたい!壁紙も八個でええしさ、それだけはワイにやらせてーな!!」
「じゃあ頼む。お願いするよ」
◇◇◇
「……はい、はい。ほんならそういう形でお願いします。では失礼します」
受話器を置いたマサキはおもむろにこちらを向き、満面の笑みでサムズアップしてきた。
「これでパソコンにポケモンを預けられるの?」
そう聞いたのはコゴミだ。そしてそれに答えたのはマサキであった。
「いや、まだやで。多分あと十日くらいはまだやろうな。けど逆に考えたらあと十日や。時間やと240時間で分やと14400分や。秒は計算すんの面倒臭いしせえへんけど、あとちょっとやしな!」
大きな数字が出てきておかしな顔をしたコゴミだったが、あと少しと言われて心なしか嬉しそうだ。
「せや、お前らはこの後どうするんや?もう目的は達成したんやろ?」
「そうだね。ただ正直歩き疲れてだるいんだよ。もう少し休んでいっていいかい?」
そう言われたマサキは少し逡巡した
◆◆◆
「今日はありがとうね、マサキ!イーブイ大切にするね!」
結局アタシたちは夕方になるまでマサキの家で過ごし、そろそろお
「おう!今度来た時はまた別の珍しいポケモンやるし、楽しみにしといてな!」
「私からも礼を言うよ。正直コゴミの手持ちはヘラクロスだけで心配していたんだ。それに転移装置。やっぱり完成していたのは確信していたとはいえ驚いたよ。流石だ」
「あんまり持ち上げたかてええもんなんかでえへんからな?」
少し照れながら苦笑いでいうマサキの姿はおかしく、アタシたちまで笑ってしまった。
「そうだ、強いトレーナーってやっぱりシロガネ山にいるのかな?」
「らしいで。山篭りするやつばっかいてな、そのまま死んでまうやつもいるらしいねんけどそこで生きとるやつは例外なく強い、って誰かから聞いたわ。彼女からかな」
「へえ、それはまた……。って、彼女!?マサキ、君彼女がいたのかい!?」
なんかエニシダがこれまでにないくらい反応している。ちょっと気持ち悪いな。
「ああ?言うてなかったっけ?マユミや、お前と同じホウエン地方の。何回か手伝ってもらった内にな。なんや、羨ましいんか?」
にやにやと笑う、いや嗤うマサキにエニシダは忌々しそうに睨みつけ、必死の反論をした。
「べ、別に羨ましくなんかないんだからね!」
キモい。
「誰得やねんそれ……。まあ、ともかくワイこそありがとな。人がうち来たのなんかえらい久しぶりで楽しかった」
「また遊びに行ってもいい?」
「モチのロンや!待ってるしな!」
「じゃあこれで行くことにするよ。またね、マサキ」
「ばいばい、マサキ!」
言われたマサキは少し寂しそうに見えたが、大きな声で「ほならなー!」と言っていた。今までに会ったことないようなタイプの人で、うるさいとこもあったけど楽しい人だった。また会えたらいいな。
「エニシダ、ジム寄ってもいい?なんか今なら勝てそうな気がする」
ハナダシティに戻ってきたアタシはジムを見るなりそう提案した。提案というか、アタシの希望かな。
「いいよ。ただ開いてたらね?もう夕方だし閉まってるかもね」
「いや、やっぱ開いてるよ。まだ明かりがついてる」
そういってジムに入ると、プール特有の匂いが鼻をついた。塩素というやつだったかな。入った瞬間水タイプのジムだってすぐわかったよ。
「すいません、ジム戦できますか?」
大きな声で前にいる女の人に声をかけると、彼女は人の良い笑みを浮かべて答えてくれた。
「あら挑戦者?カスミちゃん呼んでくるわね、ちょっとまってて」
「こんにちは、挑戦者さん!私はカスミ!ここのジムリーダーよ!」
水着に服を羽織っているお姉さんがこちらに向かって自己紹介してくれた。
「こんにちは、コゴミです。1vs1でいいですか?」
「いいよ、じゃあ早速やろうか!」
「あ、ちょっとだけ待っててもらえるかな?」
流れを止めるエニシダに不信感を募らせたが、戦術を教えてくれるそうで小声で私に言ってきた。
「いいかいコゴミ、ヘラクロスを出したら少し世間話を始めるんだ。それか相手を褒めるでもいい。その間にビルドアップをさせるんだ。三回ほどすれば充分かな。そして終わり次第こうそくいどうを指示してインファイトするんだ。多分カスミの驚く顔が見れるよ」
「ほんと?とりあえずやってみるけどさ、ダメだったらエニシダが責任とってよね?」
「ああ」
審判の人が目でこちらに催促をしてきたので、始めてくださいと言うと聞きなれた言葉が聞こえてきた。
「勝負、はじめ!」
「ヘラクロス!出たらビルドアップ三回ね!」
「ゴルダック、出番よ!」
「わ、ゴルダックだ!可愛い!」
そんなことは全く思ったことないが、女の子は可愛いと言われると反応してしまうものなのだ。
「あら、わかってるじゃない!可愛いわよね!ゴルダック!この子昔はコダックだったのよ!」
「(ビルドアップ一回目完了したね)コダックってあの黄色い子?いいな、超かわいいじゃん!」
言われたカスミはとても嬉しそうにしており、話の熱はなおも加速していく。
「そうよね!というか水タイプがそもそも可愛いのよ!」
「アタシはかくとうタイプが好きなんだけど、あんまり可愛いポケモンはいないなあ…。(二回目完了)」
「そんなことないわよ!リオルとかめっちゃ可愛いって!」
「確かに!リオルほしいなあー。(三回目完了!)よし、そろそろはじめない?」
その言葉を待っていたのか、聞いた途端に審判はやっとかというような顔をした。
「そうね、じゃあ始めましょう!」
「ヘラクロス、こうそくいどうしてからインファイト!」
「ゴルダック、避け……え?」
ヘラクロスはこうそくいどうと指示されるのが分かっていたのか、名前を呼ばれた瞬間にはもうこうそくいどうを行っており思ったよりも早い速度でインファイトを繰り出した。既に三回もビルドアップをしていたので、耐えられるはずもなくゴルダックは地に伏せた。
「あ、ええっと…。ゴルダック、戦闘不能!よって勝者、コゴミ!」
「お疲れ、ヘラクロス!エニシダ、やったよ!」
そういってハイタッチをする。
「よく勝てたね、凄かったよ。思っていた以上だった!」
未だ呆然としてるカスミをみて、私は少し同情したが勝ちは勝ちだ。
「バッジください!」
「え?ああ…、はい」
バッジ二つ目、ゲットだぜ!
ほんまは昨日の夜には出来ててんけどな、えらい眠くて寝てもてな。次もはよ更新できるように頑張るわ!(マサキ風)
↑関西弁できてたら幸いです。