天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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まずは遅れて申し訳ございません!
このss読み返しててなんか他の方の作品と違って読みにくいな?と思い本やらssやら読んでたら動作の描写が少ないことに気づきました。そのせいで今話は殆ど書き直しに…。


育成

「よし、イーブイを育てようか!」

 

カスミに勝利した翌日、エニシダが急にそんなことを言った。イーブイは昨日マサキから貰ったポケモンで、エニシダに聞いたところなんと八種類もの進化があるらしいのだ。確立された進化方法はまだ三種類しかなく、いずれも石を使うというものらしい。実際に育ててみるまでどんな進化をするかわからないのはドキドキ感が味わえて楽しい。

 

「いいけど、ポケモンに勝てるかな?」

 

「今のイーブイのレベルはいくつなんだい?」

 

「30だよ」

 

「おお、結構高いね」

 

野生のポケモンはだいたいLv.20あたりが平均だと言われている。ここはスクールで習ったので覚えている。この時の授業の意味は言うまでもないが、そのくらいのレベルのポケモンがいなければ一人で草むらに入ってはいけないという、いわば教訓だ。悲しいことだが毎年必ず何人かはポケモンとの事故で亡くなっているので、一人でも犠牲者を減らそうというスクールの考えが透けて見える。もちろん良い意味で、だ。

 

「次はタマムシシティに行くからね、その道中にいるトレーナーと闘っていこうか。やっぱり実戦は習うより慣れろだよ」

 

「OK。イーブイの技は何なのかな?」

 

ポケモンの技の把握方法は大きく分けて二つある。一つ目はポケモン図鑑を使用するものだ。図鑑に対象のポケモンを登録すると、どういう原理か覚えている技を教えてくれる。エニシダならあるいはわかるかもしれないが、別に気にならないので聞きはしないけどね。二つ目はただひたすら技を言っていきできる技を覚えている技とするものだ。時間がかかる上に誰でも出来るような技しか把握できないので、図鑑がない時にしか滅多に行わない、皮肉も込めて旧式と呼ばれる方法である。

 

「図鑑は持っていないしな……」

 

「アタシもないよ」

 

「困ったな…。旧式は面倒臭いからねえ」

 

途方に暮れていると、間の悪いことに少年が勝負を仕掛けてきた。

 

「おい、お前!目と目が合ったらポケモンバトルだ!」

 

虫取り少年と言うのが最も似合いそうな風貌であり、辟易とした表情で見返すと負けじと言い返してきた。いやまあアタシはなんにも言ってないけども。

 

「な、そんな目で見たってダメだからな!勝負だ!」

 

一層嫌気がさし、いっそのことエニシダに任せようかとも思ったが何を思ったのかエニシダはこんなことを言ってきた。

 

「いいよ。でもその前に確認したいことがあるんだけど、いいかい?」

 

「なんだ?」

 

尊大な態度で問い返す虫取り少年。

 

「ポケモン図鑑は持っているかい?」

 

「ああ、持ってるぞ」

 

「だってさ、コゴミ。イーブイで勝って技を教えてもらいなよ」

 

まあ技教えてもらえる上に闘えるなら一石二鳥だけど…。

 

「はぁ、わかったよ。虫取り少年!勝負しようか!」

 

む、虫取り少年!?などと言っている少年はさておき、技のわからないイーブイでどう闘うかな。

 

「審判は私がするよ」

 

片腕を上げてそう言ってくる。

 

「2人とも、準備はいいかい?」

 

「いいよ」

 

「ルールはいつも通りなのか?技の申請は?」

 

一々細かい人間だなあ…、と再び辟易とした視線を送る。

 

「面倒臭いからね、4つまでってことで頼むよ」

 

納得しないとでも言いたげな顔をした虫取り少年だったが、すぐに顔を引き締めバトルに備えた。

 

「勝負、始め!」

 

「イーブイ、頑張ってきて!」

 

「スピアー、行ってこい!」

 

スピアーを出した虫取り少年の表情はどうだと言わんばかりにこちらを見てくる。恐らくスピアーをみんなに見せつけたくてしょうがないのだろう。虫タイプで成長が早いとはいえ、最終進化にまで育てたのだ。スクールにもやたらとドクケイルやアゲハントを見せつけてくる人がいたが、同じ人種なんだろうね。

 

「イーブイ、自分のいつも通りでいいから闘ってきて!自由でいいよ!」

 

「なに!?」

 

アタシの考えは、レベルが30にまで上がっているので技を知らないアタシが指示をするよりいつも通り自分で闘ってもらった方が強いと考えたからだ。

 

指示を受けたイーブイはこちらを見てにこりと笑顔を浮かべ、スピアーに向かって無造作に歩み寄った。状況を飲み込めていない虫取り少年とスピアーは固まっており、近付いたイーブイはスピアーに頬を擦り付けている。これは俗に言う「あまえる」か?

 

「構うな、ダブルニードル!」

 

技を繰り出すのに少し躊躇(ちゅうちょ)を見せたスピアーだったが、指示に従いダブルニードルを繰り出した。

 

命中したイーブイは後方へ倒れ込み、なんと泣き出してしまったのだ。

「ちょっとアンタ!なにイーブイ泣かせてるの!?加減してよ!!」

 

「な、何言ってるんだ!俺が悪いのか!?」

 

今なおめそめそと泣いてるイーブイを見て、スピアーがおろおろとして辺りをさまよっている。見兼ねて虫取り少年の方を見るが、少年は無慈悲なことを言った。

 

「スピアー!これは勝負だ!!せめて次のダブルニードルで決めてやれ!」

 

それもそうだと思い直したのか、両手の針を構えてイーブイへ突っ込んだ。

 

が、しかし。

 

イーブイはそのダブルニードルを華麗に(かわ)し、青い光の玉を相手へぶつけた。あれは多分めざめるパワーだ。

 

着弾したスピアーからは水が吹き出た。めざめるパワーには1匹につき1つのタイプのめざめるパワーが宿るというが、このイーブイにはみずタイプのめざめるパワーが宿っているのだろう。

 

結構なダメージを負ったスピアーだが、闘士が衰えた様子は伺えない。対するイーブイはなにやら首を(かし)げて いた。

 

「たまたまだ、スピアー!もう1度ダブルニードル!」

 

今度は躊躇(ためら)いなく技を繰り出す。しかしまたもイーブイに躱され、再びめざめるパワーを繰り出した。

 

しかし先程とは違い、赤い玉を放出した。めざめるパワーじゃないのか……?

 

スピアーは避けることもかなわず、倒れてしまった。

 

「スピアー、戦闘不能!よって勝者、コゴミ!」

 

アタシはこちらへ寄ってきたイーブイを抱き寄せ、頭を撫でてやった。見るからに嬉しそうな顔を浮かべるイーブイに、心が癒される。

 

負けた虫取り少年はわなわなと震えていた。まあわかるけどね。泣いたと思っていたイーブイが次の瞬間には華麗なステップを踏み攻撃に転じたのだ。バトルに汚いなんてのはルール違反でもない限りないはずだが、そんなことをされたら文句の一つも言いたくなるのもまた事実だろう。

 

「おい、今の反則じゃないのか!?審判!!あんなのダメだろ!!」

 

案の定激昂(げっこう)した虫取り少年だが、まるで意に介していない様子でエニシダは答えた。

 

「技名に‘’あまえる‘’ってあるのは知ってるかい?それに次にしたのは‘’うそなき‘’だ。どっちも技として登録されてるよ。そうなると今度は技を5つ以上出したか、ってことになるんだけどね。…あ、もちろんルール違反が何かってことだよ。私が見てた限りでは‘’あまえる‘’と‘’うそなき‘’、それに多分‘’めざめるパワー‘’だから3つだ。仮にあの光の玉がめざめるパワーじゃなくて、最後に打ったのがなおかつ初めのやつと違っても4つだね。どこにルール違反があるんだい?」

 

長々と、それに見合う丁寧さで説明を終えたエニシダは依然として飄々といった態度で虫取り少年を見ている。対する虫取り少年はその回答に突っ込む余地がないことに俄然(がぜん)腹を立てているように見える。アタシが言うのもなんだが、アタシ達くらいの年齢だと理不尽だとはわかっていても腹を立ててしまうのだ。

 

「ね、アタシ勝ったんだから図鑑貸してよ。バトルする前に言ってたよね?」

 

このままだと堂々巡りになる予感がしたので、話を先に進める。

 

「まあ、約束だしな……。でもなんで持ってないんだ?旅に出る時に普通は貰うだろ?」

 

「そうなんだけどさ、あれって旅に出る人が4月に研究所とかで貰うじゃん?けどアタシそのタイミングで旅に出たんじゃないから持ってないんだよ」

 

「審判のおっさんは?」

 

おっさん……と項垂(うなだ)れたエニシダだったが、すぐに体を起こした。

 

「私はそもそも貰うタイミングがなかったんだよ。院には行かなかったけど、大学まで行ったからね。そんな年の()()()()が貰いに行くのも恥ずかしかったんだよ」

 

なるほど、と理解した虫取り少年はアタシに図鑑を渡してくれた。

 

操作方法教えてくれないとわかんないんだけどなぁ……。

 

「ねえ、これどうやんの?イーブイの技知りたいんだけど」

 

そう言ってアタシは虫取り少年に図鑑を任せる。

 

「だから自由にしろってことか…。ちょっと待ってて」

 

なにやら図鑑の先をイーブイに向けたりしているが、アタシはよくわからないのでエニシダと話しておくことにした。

 

「あの2人大丈夫かなあ?初対面でいきなり2人っきりでしょ?」

 

あの2人とは言わなくてもわかると思うが、ジンダイさんとアザミのことだ。

 

「そうだねえ。ジンダイは別に人見知りなんてしないと思うけど、アザミがどうかだよね。警戒心は強そうだったからすぐには仲良くなれなさそうとは思うよ」

 

「2人だったら恋愛とかするのかなあ?」

 

スクールにも付き合っていた子がいて、その子達は見ていて恥ずかしくも羨ましかった。アタシにとっては羨望(せんぼう)とも憧憬(しょうけい)ともいえる恋愛だが、果たして2人はしたりするのかな。

 

「どうだろうね。ジンダイはそういうのは興味無さそうだし、それにアザミみたいな人が男を好きになるのかな」

 

顎先(あごさき)を指で触るエニシダ。よく見る考えるポーズだ。

 

「それってアザミがれずびあん?ってやつなの?」

 

「いやいやいや、そういうことじゃないよ?」

 

大げさに手を振って即座に否定する。咳払いを一つすると続けた。

 

「性格がそんなふうに見えないからさ。アザミって恋愛(しょうなり)ポケモンバトルを絵に書いたような性格じゃない?」

 

そう言われるとそんな気がしてきたかも……。実際にあった時間は3時間もなかったはずだが、なぜか自分の中で彼女の性格が固定されているのはそれほど強いイメージだったからだろうね。

 

「できたぞ!俺が言った方がいいか?」

 

どうやらイーブイの技がわかったようで、こちらに呼びかけてきた。

 

「頼むよ」

 

そう答えたのはアタシではなくエニシダだ。エニシダはエニシダで気になってるのかもね。

 

「技は合計11個だな。‘’あまえる‘’、‘’うそなき‘’、‘’ゆうわく‘’、‘’くすぐる‘’、‘’なきごえ‘’、‘’しっぽをふる‘’、‘’メロメロ‘’、‘’かぎわける‘’、‘’めざめるパワー‘’、‘’とっしん‘’、あとは……‘’アイアンテール‘’だ。なんでイーブイがアイアンテールなんか覚えているんだ…」

 

「11個って多いね!イーブイすごいじゃん!」

 

褒めてやると撫でて欲しいのか、アタシの胸へ飛び込んできた。ご注文通り頭を撫でてやると、これまた嬉しそうな顔で頬ズリしてくる。可愛いポケモンだ。

 

「攻撃手段が3つしかないとはいえ、なんで11個も技を覚えているんだろうね。あとめざめるパワーもなんで色が変わったのかな」

 

疑問というよりはむしろ訝しい顔をしてエニシダは続けた。

 

「考えたくもないけど、このイーブイは実験体だったのかもね」

 

「実験体?どういうこと?」

 

単純にエニシダの示している意味がわからなかったので聞き返してしまう。

 

「実験体なら技の数の妙もめざめるパワーの色の変化も一応は説明できるんだ。もともとめざめるパワーっていうのはかなり注目されてたのは知ってるかい?」

 

「知らないよ」

 

「俺それ知ってるぜ!どんなタイプの技でも使えるみたいなやつだよな?」

 

知識自慢を披露して得意げに言う。スピアーの時といい、この虫取り少年はやはりプライドが高いのだろうか。

 

「まあ、(おおむ)ねその通りだね。正確にはポケモンによってめざめるパワーのタイプの分布が見事にランダムだったから、人為的に望んだめざめるパワーのタイプを発現させるというものだ。内容だけ聞いたらおどろおどろしいものだけど、実際は食事制限だとかバトルをして育てるとかほのおタイプのポケモンと一緒に育てるみたいな感じだから良心的だったんだよ。ただね………」

 

そこでエニシダは一息ついた。あまり良いものではないのだろう。顔つきが少し変わった。

 

「中にはもっとえぐいことを考える人もいたんだ。それが虫取り少年の聞いたもの、一体のポケモンに複数のタイプのめざめるパワーを覚えさせるということだね。さすがに初の試みだったから、みんな勝手がわからなかったんだろうね。望みのダメージをわざと与えて発現させるとか孵化させる時にわざと凍らせたり火で炙ったりとか、非人道的なものばかりだったんだ」

 

「その実験体がイーブイってこと!?で、でも技が11個ある理由に説明がつかないよ?」

 

アタシはそのことを信じたくなかったのか、聞かなくてもわかることを聞いてしまった。

 

「…人間は痛いことをされると相手に媚びたりしてでも回避しようとするだろう?ポケモンだって同じさ」

 

口調は軽く聞こえるが、その表情にはアタシ同様信じたくないかのような苦悶が表れていた。

 

「お、俺はここらで失礼する!虫取り少年はクールに去るぜ!」

 

足早に駆けていった虫取り少年の背中には関わりたくないとの意思がひしひしと伝わってきた。

 

 

 

残されたアタシ達2人はこのイーブイの境遇をマサキに聞いてみることにした。

 

「やあやあマサキ。昨日の今日で申し訳ないんだけどさ、あのイーブイってどこから手にいれたんだい?」

 

『あの子か。自分シルフカンパニーはどこに経営されとるか知ってるか?』

 

「それは関係あることなんだよね?……なんてのは当たり前か。マフィアのロケット団だ」

 

『せや。マフィアいうくらいやし、ポケモンの兵器化とかも多分考えとったらしくてな。なんも知らんなら知らんとそいつと付き()うてやってほしかってんけど、気付いてもたんならこの際全部話すわ。よう聞いときや?』

 

そしてマサキは、静かに語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




生まれ変わるならやっぱ平安貴族ですよね。
なんせ今でいうブスが美人って呼ばれてたんですよ?
美人っていうのは希少だからこそ美人って呼ばれるんです。
つまり美人と呼ばれていなかった現美人が大量にいるってことですよね!!
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