一日遅れですがヨハネ様誕生日おめでとう。
そして作者は曜ちゃん推しです。
ところで古代エジプトの王族って純潔を保つために近親相姦が行われていたそうです。つまり合法的に実妹と……!!
私達はイーブイの過去を聞いて、暫しの間沈黙していた。
「…ちゅーのが、こいつの過去や。な?結構重たい話やろ?」
確かに、重い。弱肉強食の世界とはいえ、人の悪意によって死を経験するのは辛いだろう。
少なからずショックだったのか、コゴミは依然口を開かない。
「ねえ、マサキはどうやってこの話を知ったんだい?まさかとは思うけど、君も実験に参加していたのか?」
語調を強めたからか、それとも内容なのかわからないがコゴミはまた肩をビクっとはねあげた。
「いや、ワイは最後にイーブイ
「……またそんなマッドなことを…」
私が呆れたようにため息をつくと、それまで寡黙を貫いていたコゴミが質問してきた。
「全然意味がわかんないんだけど、どういうこと?」
「…マサキが“善良なマッドサイエンティスト”ってあだ名をつけられてるのは知ってるかい?…ってかまあ知らないか。やることそのものはマッドサイエンティストなんだけど、被検体は大体自分なんだよ。たまに自分じゃどうにもならない時、つまり、ポケモンにしたい時は擬似ポケモンを使うんだけどね」
「待って待って、擬似ポケモン?」
「そういうソフトを作ったんだよ。端的に言えば超絶リアルなたまごっちだ。でね、イーブイになったっていうのはそのままの意味でさ。ポケモンと人間との人格を入れ替えるんだよ」
その言葉にわかりやすく驚くコゴミ。無理ないか、私も初めて聞いた時は仰天したものだ。
「で、多分だけどイーブイの記憶を
それはそれで怖いことなんだけどね。ジョウト弁を話すイーブイなんてホラー以外の何者でもない。
「コラコラ、電話中の相手をほったらかしにすんなって。てかそや、自分らシロガネ山行くんよな?許可証持ってんのか?」
「いや、持ってないけど…、って行くって言ったっけ?」
「昨日これみよがしにシロガネ山のこと聞いとったやんけ。許可証出したろか?」
「え!?マサキって許可証出せるのかい?」
「なんか2年くらい前にな。ほら、ワイ転移装置以外にも色々作っとるやろ?ほんで協会から許可証出してええよーって」
…これは驚いたな。まさかマサキがそんな権限を持っているなんて。正直まだ信じきれてないけど、出せるんなら頼む他ないね。
「なら私とコゴミの分を頼むよ。手続きとかするならマサキの家に戻るけど、どうだい?」
「いや、ワイが電話するだけやし別にええよ。もうそのままシロガネ山目指しとき」
「そうか、ありがとう」
そしてコゴミに顔を向けると、まだ顔が暗かった。そうだよ、まだこの件があった。
「ところでさ、マサキ。コゴミにイーブイを預けた理由ってなんだい?まさかとは思うけど厄介払いか?」
「そんなわけあるかいな。自分も知ってるんちゃう?ポケモンは小さい子とやったら一緒に成長できるって。如実に現れるって。ワイかて一応イーブイの体験してんで?ほんでワイやったらこの子についていきたい
「だってさ、コゴミ。マサキはコゴミのことを信頼して預けてくれたんだ。じゃあ私達はそれに報いなきゃね?」
「…うん」
とりあえず顔は上げたので幾分ましになったが、それでもテンションまではまだ戻っていない。まあ、こればかりは時間が解決するしかないか。
「じゃあねマサキ。また何かあったら頼むよ」
「おう」
そうして私達はシロガネ山を目指しだした。
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場所は移ろいポケモンセンターシロガネ山派出所。ここまでたどり着くのにざっと5日かかった。交通機関をフル活用したまではいいが、トキワシティからポケモンリーグ本部までは徒歩しか移動手段がないので時間がかかってしまった。
コゴミの機嫌はといえば、あれからはかなりましになってイーブイとも遊ぶようになった。元々静かにするのが性に合わないのだろうね。
「ねえ、これから山に入るの?ていうかここポケモンセンターなのに静かだね」
「ここは許可がないと入れないからね。山には…、そうだな。その前に寄りたいところがあるんだけどいいかい?」
「どこ?」
「ここからちょっと移動したところなんだけどね、さっき家を見つけたんだ。
わざわざ危険と知ってここに居住を構える理由はなんだろうか。山篭りならそんなことしなくても、それこそ山にいればいいわけだ。別荘にしても許可証が必要なところにわざわざ建てるとは思えない。
そうやって思惑していたのもつかの間、思いのほか近いところにあったのでインターホンを押す。
ピンポーン、と軽快な音が響くが返事はない。再度鳴らして今度はすいませーんと声を張り上げたものの応答はないようだ。
が、それだけでは引き下がれない。なぜなら窓の奥には光が見えており、居留守を使っているのがばればれだからだ。押すなと言われたボタンは押したくなるようなもので、入るなと言われれば入りたくなるのが人間の
見かねたのかコゴミも呼びかけた。
「あの、すいません!アタシ達迷子になっちゃったんですけど、助けてくれませんか?お願いします!」
するとぱたぱたと走る音が家の方から聞こえ、玄関は勢いよく開いた。
「大丈夫!?怪我はない?」
そう問いかけてきた人は妙齢の麗しい女の人だった。端正な顔はアイドルを想起させ、腰まで届く長い髪は一切の枝毛も見当たらない。
その必死な様子にコゴミは少しばかり罪悪感を覚えたのか、小さな声でごめんなさいと呟き言葉を続けた。
「アタシ達迷子じゃないんだ。ただなんでこんなとこに住んでるのか気になって……」
最後の方は聞き取れないほどの小さな声だったが、それを見た女の人は口元を緩め、どうぞと家の中へ案内してくれた。
「わたしね、簡単に言ったらストーカー被害に遭ってたのよ」
テーブルに備え付けられた椅子に腰掛け、ゆっくりと語り出した。
「昔はアイドルだったんだ。結構有名だったのよ?もう2年くらい前かしら。その頃はお仕事もばんばん入ってきてて全てが順調だった」
そこで彼女の顔は影を帯びた。
「けどね、ある日気付いたのよ。
「でも証拠が見つかったんなら捕まるはずじゃ?」
「そう。そいつは捕まったのよ。でもわたしはひとつだけ見落としていたことがあったの。ストーカーは
答えは期待していないようで、すぐに話を続けた。
「『1人は行方を追えたのですが、その……。もう1人の方はそもそもあなたの家から出て行ってないんですよ』ってさ。多分タンスとかの中に隠れてたんでしょうね。怖くなってその家を丸ごと捨てて引越したわ。けど次はつけられるようになった。それの繰り返しで、結局は簡単に入ってこれないようなところ、つまりシロガネ山ね。ここに引っ越してきたというわけ」
おお……。なんかここ最近重たい話しか聞いてない気がするな…。コゴミの顔は蒼白になっており、肩を震わせていた。
「ここの家も建てたのかい?ずいぶんお金持ちだね」
「いや、ここは違うわよ。元々別の人が住んでたの」
「それってどんな人?」
私はそれを聞いた時ピンときた。この家の持ち主は何日もここで修行を積んでいるから家が必要になる、つまり私の求めている人材がいるということだ。
「なんか仙人みたいな感じのおじいちゃん。名前は確か……、うんk「ストップ!それはアイドルが口にしてはいけない」…そうね。でもなんだったかしら」
「多分、ウコンじゃないかな」
「そう!ウコンよ!知り合いなの?」
なぜ知っていたのか。まあ名前で想像できたのもあるけど、1番は初のリーグチャンピオン辞退者だったからだ。その時のチャンピオンにたった1匹だけで勝利した逸話は今もなお語り継がれている。映像は残っていないのだが、お年を召された方々はこぞってそのことを自慢する。
「いや、彼は有名人だから知っていただけだよ。どこにいるかわかる?」
「ここで待っていればそのうち帰ってくるわ。何日か山に行って帰ってきたら食材を置きにくるのよ」
「なら暫くここにいていいかい?」
「いいけど、何するの?」
「手合わせ」
それだけで思惑は伝わっただろうか。無論伝えようとはしていないが、これは直接見てもらった方がはやいと思ったからね。
◇◇◇
その時は、存外に早く訪れた。
あれからウコンがここに来るまでは泊まってもいいと言われ、ならばということで待機して約4時間が既に経過した頃。
玄関口で足音が聞こえるな、と期待を胸に抱きながら音源の主を待っていると案の定入ってきたのは還暦をゆうに超えるであろう老人だった。
「おーい、帰ったぞ!今日から3日はリングマの肉と山菜で我慢せえ!……それと客人か?こんな辺境の地によう来ましたなあ。どうぞゆっくりしていってくださいな」
「リングマの肉か、了解。エニシダさん、この人がウコンさんよ」
「そうか、ありがとう。はじめまして、エニシダです」
リビングに入り採ってきたものを無造作に置く。次いで丸い頭をかきながら、こちらと目を合わせてきた。
「ほお、エニシダ。ワシの名前はウコン。にしてもここに来れるほどの強さか。どや、ワシと勝負してみんか?」
それまでの優しげな目つきとは一変し、鋭い眼光を目に宿す。
「初代チャンピオン辞退者と戦えるなんて願ってもないことだと普通の人なら言うんだろうけど、
「そうかそうか。じゃあバトルはしてくれんのか。こんな老いぼれの暇潰しに付き合ってくれてありがとうな」
「いえ。その代わりといっては何だけど、1つ条件をつけていいかな?」
「なんじゃ?」
「私が勝ったらフロンティアブレーンになってほしい」
やはり疑問が頭に残っているような顔をするので、バトルフロンティアについて事細かに説明していく。
「成程な。もともと勝負はこっちが言い出したんじゃ。その条件、受け入れる!」
「ええ!?ウコンさん、もし負けたらわたしどうやって生きていけばいいのよ!」
半狂乱になり詰め寄る元アイドルさん。責められているはずのウコンはまるで気にしていないように言い返した。
「もし負けたらリーグに仕送りでもするから安心せい。というかの、負けることよりワシが負けないことを願っておれ」
「よし、なら早速しようか。外に出たらいいかい?」
その答えは是であり、4人は外に出ることにした。
「ルールは1対1でいいかい?」
家から少し離れたところ、辺りには木の一本もない草原だった。
「ええぞ。ただ審判はなしにせんか?」
「えっと、それはつまりどういうことだい?」
確かにここには審判できる人はいないし、それなら私がやろうかとも考えていたが……。
「終わりは自分で決めるんじゃ。もう戦えないと思ったら自分の負け、逆にまだいけそうなら戦わせる。ワシの言いたいのは
「…、なるほどね。それは難しいバトルになりそうだ」
条件を受け入れるなんて言っておきながら全然受け入れていないじゃないか。もしこれで限界を超えても戦わせていたら、それはトレーナーとしての資質を問われる。簡単にいうとポケモンにどこまで思いやりを持ってやれるか。単純な強さだけでは計れないところも見極めようとしているのがまた嫌らしくも強者を思わせるね。
「じゃあ勝負を始めようか、エニシダ。いけ、ケッキング!!」
「ガアアアアアアアアア!!!!!!!」
大声を上げて威嚇をするケッキング。体にはいくつもの傷があり、
なら、こっちも本気で行かなくちゃ勝てそうにないよね。
「行ってこい、アグノム!」
元アイドルさんのうんk…のくだりは彼女なりのボケです。共に暮らしている人の名前を忘れるとか普通ありえませんからね。