天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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レートがもうすぐ終わりますね。結局作者は微妙なところで終わりそうです。


それぞれの思惑

「なんだよお前、なんでこんなとこにいるんだ?」

 

昼下がり、ヒースに会いに来ていたダツラはなんとも不思議そうに聞いてきた。

 

「ヒースの次の職場のとこの社長だからね」

 

「ああ、バトルフロンティアか…。そういやこいつはこいつで強かったっけ」

 

余談だが、(ダツラ)はフーディンの存在を知る1人である。以前ジンダイにフーディンを見せたのは君で4人目だと言ったことがあるが、それ以前に見せていたメンバーがマサキとダイゴとダツラというわけだ。

 

「おい」

 

呼びかけたのはジンダイだった。

 

「お前らはどういった関係なんだ?」

 

「スクールの同期だよ。その頃はダツラの方が私より強かったんだけどね」

 

スクールのカイナ校では私が主席でダツラが次席だった。知識の量の違いが凄まじく、何でそんなことまで知ってるんだよという気持ちも今では懐かしいね。

 

「とりあえずヒースはダツラとやらと話させておかないか?あとエニシダはサマヨールを見せてくれ」

 

そういえば忘れていたよ。転送するだけで進化するポケモンというのは一体何が原因なんだろうか。一つだけ恐ろしい仮定が頭をよぎったが、これは………、いや、まずは見せることが先決か。

 

「了解だ。私たちは外に行くからさ、ダツラとヒースもそれでいいかい?」

 

「ああ。終わり次第戻ってきてくれ」

 

「なるべく早くね!僕は2人きりなんか本当は嫌なのに!」

 

スクールでもそうだったけど、やっぱりダツラは兄貴肌なんだね。社会でもうまくやっていけていて安心だ。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

外に移動した私とジンダイは早速サマヨールを出した。もちろんサマヨールはもとの姿に戻っているわけではなかった。

 

「これが進化したサマヨールか。サマヨール、私のことがわかるか?」

 

これにサマヨールは首肯する。続いて技の確認や指示を覚えているか等々聞いていくが、おかしなところは見つからない。やはり進化となんら変わりはないようだ。

 

「ねえ、ジンダイ。転移装置で進化するポケモンの話なんだけどさ」

 

「興味深いな。言ってみてくれ」

 

「恐らくユンゲラーにせよサマヨールにせよ本当は進化しないんだよ。じゃあなぜ進化したのか」

 

本来はそうなのだ。人間が飛べないように。ポケモンが話せないように。

 

「私はね、それはある種のストッパーだと考えたんだ。サマヨールの進化系がどれほど強いのかは知らないよ?けど少なくともフーディンの強さは群を抜いている」

 

ここまで言うと言いたいことがわかったのか、ジンダイが補足をする。

 

「つまり本来強すぎるが故にストッパーをかけているのが、転移装置、すなわち数字に情報として置き換えたからストッパーが意味をなさなくなったということか?」

 

「だね。けど本質はそこじゃないんだ。それだけ聞くと強いポケモンをゲットできたんだと喜べるよね」

 

思っていた方向と違う返答に戸惑っている様子を見せているが、続けて話をする。

 

「なぜストッパーは()()()()()()と思う?」

 

それは、まるで美しくも儚い桜のような。

 

「それはさ、多分普通よりも多大な負荷がかかるからだと思わないか?」

 

もちろん確実にそうと決まったわけじゃない。もしかしたら寿命なんて微々たる差かもしれないし、さらに言えば“進化”なのだから寿命だって増えているかもしれない。だがそういった断定をするには対象のポケモンの絶対数が少なすぎる。統計をとろうにも現時点ではよくて半々だ。

 

そのことにはジンダイも気付いている様子で、しかしそれを口にすることは無かった。

 

 

少しの間を挟んでジンダイはおもむろに口を開いた。

 

「このことはリーグに報告するべきじゃないか?」

 

「転移で進化するポケモンも確認されているから気をつけろ、ってことだよね。了解。マサキに言っておくよ。そろそろ戻ろうか」

 

答えを待たずに歩を進める私は、やはりどこか気にしてしまうところがあったのだろうか。多少の罪悪感とともに私たちはポケモンセンターに戻った。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

中に戻ってみると、依然として二人(ヒースとダツラ)は言い争っていた。

 

「だからさぁ!僕だってマジメに仕事したんだって!こんなとこプライスレスとかマジで笑えないよ!」

 

「筋を通さないやつなんかに払う金があるか!!さっさと納得して俺を帰らせろ!」

 

「はああ!?僕の金銭事情は割と真剣に明日の明暗を分けるんだからね!?」

 

恐らく私たちが外にいた時もこんな調子だったのだろうか、コゴミとアザミは辟易とした顔だった。ウコン?ウコンは微笑ましそうに二人を見ているよ。さすが老成しているだけの事はある。

 

「コゴミ、今はどういう状況?」

 

その言葉に応答したのは正面のコゴミではなく、背後のジンダイだった。

 

「お前もぶれないなあ……」

 

「だからなんで話しかけただけでロリコン扱いなのさ!そんなこと言い出したらスクールの先生とか犯罪者だらけだよ!!」

 

「え、アンタロリコンだったの。引くわー」

 

「アザミも便上しないで!」

 

コゴミを置いてけぼりに、私を含めた3人はワーワーやっていた。見かねたウコンは話を本題に戻した。

 

「あそこの2人はずっとああやって言い合っておったぞ。仲がええんじゃなあ。いっそのことフロンティアブレーンに引き入れてもええ気もするのお」

 

「いやいや、流石にそれは──」

 

────いや、意外とありか?

 

ダツラの強さはダイゴ程とまではいかずとも、世間一般の目で見ればかなり強いトレーナーだ。それにポケモンの知識は博士顔負けのものでもある。それなら引き入れてみるべきだろうか。

 

逡巡の(のち)、私はダツラにものは試しと聞いてみた。

 

「ダツラ、単刀直入に言うけどバトルフロンティアのブレーンになってみないかい?」

 

予想通りダツラは一瞬面食らっていたが、すぐに表情を戻してこともなげに言い返した。

 

「はぁ?つーことはお前、俺に会社を辞めろってか?俺はどこぞのバカと同じにはなりたくないんでな、お断りだ」

 

「それには僕も反対だね!こんなに金にうるさいやつなんだよ、金を持ち逃げするのがオチだ!!」

 

「なんだとコラ!!」

 

「やるのかい!!」

 

「「ああん!?」」

 

はあ……、この2人は本当に…。

 

そんな中、近郊状態を破ったのは他でもない、コゴミだった。

 

「ねえ、もうやめようよ…。喧嘩はやだよ」

 

この険悪なムードは11歳にはきつかったのかな。目を滲ませてお願いする姿に(くだん)の2人はバツが悪そうに口を(つぐ)んだ。

 

でも、それならどうしようかな。バトルで、なんてことはダツラは引き受けないだろうし。ジンダイを紹介される時に言っていたことだが、彼は私に負けるのを自覚しているのだ。聡明な男だ、負けの見えている勝負は受けないだろう。

 

はてさて、本当にどうしようか……。

 

「ねえコゴミ。ダツラをフロンティアブレーンに入れたいんだけどさ、多分こいつはポケモンバトルでっていう方法は受け入れないんだよ」

 

「おい、こいつってなんだよ。それに俺は負けない。バトルはしないけどな!」

 

「こんな事言ってるけど、実力はほんものなんだ。何で勝負すればいいと思う?」

 

涙を手で(ぬぐ)い、うーんと(うな)り出した。

 

ふと横を見てみるとジンダイとアザミは2人で話しており、それをヒースが羨ましげに見ていた。あの2人、僕達と分かれてから仲がよくなったよね。良きかな良きかな。

 

コゴミは何かを思いついたようで、ぱっと顔を上げて私に言ってきた。

 

「コンテスト!みんないっつも忘れてるけど、これなら平等に戦えるでしょ?誰かコンテストに出たことがある人とかがいるなら別だけどさ」

 

「ほお、コンテストのお。ええんじゃないか?取り敢えずワシの時代にはそんなもんなかったしな、何も知らんぞ」

 

ウコンの肯定的な意見を聞き、みるみるうちに元気を取り戻したコゴミ。コンテストか。確かにそれなら平等かもしれないけど、確かヒースが出ていたような……。

 

「でもそれ僕出たことあるよ?優勝もしたし」

 

「「!?」」

 

驚いたのは他でもない、私とコゴミだ。コンテストとバトルは違うと言われている手前、コンテスト優勝者を強者と見るのはお門違いなんじゃないか?勧誘したジンダイの真意はわからないままだが、とりあえずコンテストという意見は賛成だ。

 

「コホン。ダツラ、もし僕達の誰かが一時予選で落選したらこの話は断ってもいい。けどもし君が本戦でこの中の誰かに負けたりしたらフロンティアブレーンになってもらう。どうだい?」

 

「…それよ、俺に受けるメリットがなくないか?舐めてんじゃねーぞ?」

 

そう来るのはわかっていた。だからこそ、出場させるための反論は考えていた。

 

「じゃあ君の会社ね、訴えるよ」

 

「はあ!?!?」

 

まあ驚くのも無理はない。唐突にそんなことを言われたら誰だってそんな反応をするのだろうね。

 

「円満退社でもそうでなくてもさ、退職金を払わないのは立派な犯罪だ。さっきの言い方だと君も犯罪を助長しているよね」

 

「な………!!」

 

「聡明な君だ、例えどんなにヒースの態度が悪かろうと退職金を払わなければならないのは知っていたはずだ。だからさ、退職金は払わなくていいからこの勝負は受けてくれないかい?」

 

これでダツラは受けざるを得ない状況になったわけだ。もともとダツラにとってこの勝負は()()()()有利なのだ。ここまで言われたら流石に飲んでくれるはずだ。

 

「ちょっと待ってくれ。僕の退職金は!?」

 

「その分初任給に上乗せするから黙っていてくれ」

 

(わめ)くヒースを尻目に再びダツラに目を向けると

、覚悟を決めたような顔で言い放った。

 

「わかった。その勝負、受けてやるよ。コンテストはオープン参加だしな、赤っ恥かいてもしらねえぞ?」

 

「それでこそだっつんだよ。えっと、次のコンテストっていつどこで開催されるか誰かわかるかい?」

 

疑問を呈したところ、答えたのはヒースだった。

 

「10日後だよ。もともと僕も出るつもりの大会だったから知ってるんだ」

 

「そうか、ありがとう。じゃあみんな、今からみんなでエントリーをしに行こうか。その後は10日後まで自由行動だ。各自で練習なり休憩なり適当にしよう」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

エントリーを済ませ、ホテルの一室でゆっくりしていると不意にノックが耳朶に響いた。

 

「はいはい、今開けますよー」

 

ドアを開ける。ノックの音の主はコゴミだったようで、中へ入るように諭す。

 

ベッドに腰掛けたコゴミは、正面にある椅子に座った私にゆっくりと話し始めた。

 

「あのさ、コンテストってアタシ勝てるかな…?」

 

「これはまたざっくばらんな質問だね。言い出したのは君だろう?」

 

「まあそうなんだけどさ…。アタシコンテストの勉強なんかしたことないし、そもそも綺麗なのってよくわかんない」

 

「じゃあコゴミは何を見たら綺麗だと感じる?」

 

突然の問いかけにコゴミは暫し考え、そして答えを出した。

 

「キラキラした感じ?それとも色がいっぱい?」

 

「ならコンテストではそれを意識しなよ。あと一次予選の通り方はヒースに聞いた方が確実だから行ってみたらどうだい?」

 

「りょーかい!エニシダ、ありがとね!」

 

そう言い残して部屋を飛び出していった。さて、私も準備しなきゃねえ。コンテストが得意そうなポケモンはいたかな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁーやってまいりましたー!!!ポケモンコンテストinミナモ!はてさて、前回のハジツゲ大会では常軌を逸したバトルでヒース選手が優勝しましたが、今大会では一体誰が優勝するのでしょうか!!総勢31人、この中から一時予選では19人がふるいにかけられてしまいます。一時予選、ここに開幕です!!!」

 

時は巡って10日後、つまりコンテストの日だ。私達はこのお立ち台??みたいなところに立って選手紹介を受けている。いや、選手紹介というかヒースの紹介かな。

 

 

 

一時予選はドレスアップとアピールだ。こういった全く専門外のものでは、果たして私たち(フロンティアブレーン)はどこまでやれるんだろうね。少しの心配を胸に抱きながら、私たちはドレスアップにうつった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヘラクロスのロックブラストがタマゴ技と努力値振り終わってLV50にして初めて気付きました。正直ガチ切れしそうになりました。
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