天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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封印

 

 

 

「なにが起きたのか、教えてはくれないだろうか」

 

ジンダイはそう私に言ってきた。

 

「簡単な話だよ。まもるをしたところにシャドーパンチが当たって、まもるとあくのはどうをする間にフーディンがシャドーボールを打っただけさ。多分シャドーパンチがまもるに当たった時の砂埃で見えなかったんだろうね」

 

基本的に技を同時に発動することはできない。その点はジンダイも理解していたが、それでもなお不思議な顔をしていた。

 

「だがお前はシャドーボールなんて指示していたかっただろう。……まさかそれで終わりだ、ってのがシャドーボールを意味していたのか?」

 

察しのいい人は好きだ。説明する余計な手間が省ける。

 

「ご名答。けど70点だね。私が言ったそれで終わりだ、ってのは一撃で倒せる技を使えって意味だからね」

 

ジンダイは今度こそ驚いた様子で

 

「…つまりフーディンが勝手に技をしたわけか。なるほど、エスパータイプならではの闘い方だな。あっぱれだ」

 

と言った。エスパータイプならでは、というのは半端な賢さのポケモンではミスする可能性が高いことを言っていたのだろう。

 

「さて、次はお待ちかねの゙見たことのないポケモン゙だ。いけ、レジスチル!」

 

確かに聞いたことのない名前のポケモンだ。短い四肢に大きい胴体。見た目から察するにはがねタイプなのは確実と思われる。

 

「まずはのろい。そしてアイアンヘッドだ」

 

「フーディン、避けろ!」

 

動きは鈍く、また直接当てる技を使ってくるためフーディンとの相性は恐らく最悪だろう。フーディンは俊敏でなおかつテレポートもある。

 

「ラスターカノンだ」

 

あまり馴染みのない技名にどんな技なのか対策を考えていると、なんと先ほどでいうシャドーボールの色が銀色になっているものをうってきた。

 

命中したフーディンは少し苦しそうに立ち上がった。フーディン、攻撃はすごい強いんだけど紙耐久すぎるよ…。

 

「フーディン、じこさいせい」

 

「レジスチル、のろい」

 

こちらのじこさいせいを読んでいたかのようなタイミングで呪いを仕掛けてきた。いや、恐らく本当に読んでいたのだろう。偶然にしてはタイミングが合いすぎていたからね。

 

それにしても、のろいってゴーストタイプ以外も覚えるんだなあ。しかも普通ののろいとは違ってフーディンがうなされるような感じもない。

 

さっきのめいそうと同じ感覚なのかな。ジンダイも私がめいそうを指示した時は変な顔をしていた。

 

「フーディン、70,50でシャドーボール」

 

テレポートして死角に回り込んでシャドーボールをうつ。これを続けていけば倒せるだろう。

 

「レジスチル、当たった方向へラスターカノン」

 

なんとわざと技を受けて場所を明らかにして攻撃をしてきた。これはやられたな…。あのポケモンはやはり防御に優れていたのか。

 

「フーディン、ゆっくり休んでおいて。いいストレス発散になっただろう」

 

私がフーディンをモンスターボールに戻すと、ジンダイが少し不思議な顔をして訊ねてきた。

 

「まだ闘えるんじゃないのか?」

 

たしかにまだ闘える。しかしこのままだと負けるのは目に見えており、フーディンのストレス発散どころかさらにフラストレーションが溜まってしまう。

 

「まあほかのポケモンも使いたいしね。いけ、ラグラージ」

「キモクナ-イ!!」

 

このポケモンは私が10歳の頃にもらったポケモンだ。といってももともとラグラージなわけではなく、昔はミズゴロウだった。もう出会って12年になるわけだが、やはりこいつへの思い入れは深い。

 

「ラグラージ、マッドショットだ!」

 

さっきも似たようなことを言ったが、鈍足なポケモンには遠距離攻撃がセオリーだ。恐らくはがねタイプなので選択ミスではないだろう。

 

「レジスチル、ラスターカノンで迎え撃て」

 

二つの攻撃がぶつかり相殺した。遠距離じゃ埒が明かないことに気付いたので肉弾戦にうつることにする。

 

「ラグラージ、じしんだ」

 

震源からの距離が近いほど被害が大きいように、技の震源地から近いほど威力は高まる。レジスチルの横までジャンプし、着地時にじしんを起こしてダメージを与える。

 

「この距離に入るのを待っていた。レジスチル、アイアンヘッド!」

 

決して少なくないダメージのはずなのに間髪入れず攻撃を仕掛けてくるあたり、やはりこのポケモンの防御力は凄まじい。

 

心なしか一撃目よりも二撃目の方が威力が上がっていた気がする。まともに受けたラグラージは脳を揺らされたのか意識がはっきりしていないように思える。こんらん状態ではないにせよ、これは危険だ。

 

「レジスチル、もう1度アイアンヘッドだ」

 

「ラグラージ!!なんでもいい、できる技を当てるだけでいいんだ!」

 

レジスチルがラグラージに向かってアイアンヘッドをくり出すが、またラグラージもレジスチルに向かって頭突きをしようとしてる。

 

いや、これは頭突きというよりすてみタックルだな…。

 

ガァァン!!!と鐘を突いたような音を鳴らし、両ポケモンは共に倒れた。

 

「両者戦闘不能!よってこの勝負、引き分け!……でいいよね?」

 

「本来ならフーディンが残っていると思うのだが、審判がそういうのなら仕方が無い。引き分けだ。良いバトルをありがとう」

 

さすがのジンダイも野暮なことは言わないようで、私はその賞賛に君との勝負だったからだよ、と返事をした。

 

「それで、賭けはどうする?」

 

「賭け……っていうとさっきのやつか。まあお前にならいいだろう、教えてやる。その代わり引き分けなんだ、私からも1つ教えてもらおうか」

 

引き分けを宣告したのは私なのでそれくらいはと思い承知する。てか、別に言いたくなければいいんだけどなあ…。

 

「私は冒険が好きなんだ。地上だけじゃない。山でも海でもどこでもな」

 

ずいぶんとアグレッシブな人だな。私には想像もつかない。

 

「私の行動範囲は空から海底まででな。今回の話に繋がるのは海底だ」

 

「ちょっとストップ」

 

「なんだ?」

 

「海底に行くってどういうことだい?話が飛躍しすぎて意味がわからないよ」

 

「ポケモンにダイビングを覚えさせるんだ。まあそれはさておきな、私はもともと海底に行くつもりはなかったんだ。もともとはキナギタウンの近くにあるまぼろしじまに行きたかったんだ」

 

「あそこか。私は1度だけ行ったことがあるよ。それこそもともとそんなとこ行くつもりじゃなかったんだけどね」

 

そこで捕まえたソーナノは今や立派なソーナンスだ。

 

「なんだと!!?どんなポケモンがいたんだ?どんな木の実が生えていた?どんな地形だったんだ?」

 

堰を切ったように聞いてくるジンダイの目はとても輝いていた。ていうか暑苦しいよ…。私は少し強めの口調で言った。

 

「今は関係ないでしょうが!あとで教えてあげるから今は待ってくれ。それでなにがあって海底に行ったんだい?」

 

あの辺は確かダイビングスポットではない。にも関わらずダイビングをする理由とは一体なんだったのだろうか。

 

「まあいい…ならそのことは後で聞こう。それでまぼろしじまがいつまでたっても見つからないしキナギタウンからカイナシティへ行こうと思って、海流に乗って波乗りしていたんだ。すると流れ着いた場所だけ潮の流れがなくてな、何があるか気になってダイビングをさせたんだ」

 

ふう、と一息ついてから改めて口を開いた。

 

「見るとまた別の場所に繋がっていそうだったんだ。取り敢えずそこに上がると、遺跡が広がっていたんだよ。詳しくは省くがそこには点字で色々と書かれていた。その通りにするとこのレジ系統の封印が解かれたんだ」

 

「いろいろ気になることがあるけど…、まずは一つ。先人はなぜポケモンを封印したのかわかるかい?」

 

なぜそんなことをするのか理解が及ばない。こんな遺跡をつくれるので、恐らくはポケモンと共存していたはずなのだ。それを封印とは考えがたい。

 

「石碑には、というか壁にばこわかっだと書かれていた」

 

つまり過去にそのポケモンが何かをしたのだろうか。ただ純粋に暴れたからか、またはレジスチルが現れたあたりに丁度自然災害が起きたからとか、考え出せばキリがない。

 

「それともう一つ、レジ系統って言ってたけどレジスチルだけじゃないのか?」

 

不可解な言い方なので一応説明を求めた。ジンダイはまるで待っていたかのような雰囲気で答えた。

 

「レジスチルの他にあと恐らく2体いるんだ。それを記した文字は点字と違って読めなかったが、名前の部分はなぜか点字だったから読めた」

 

「その壁画の写真とかはないのかい?」

 

これでも大卒だ。わかるかもしれないと思い見せてもらうように言った。

 

「これだ」

 

そう言って渡してきた写真にはアンノーン文字と点字が混ざったように記されていた。

 

アンノーン文字は知名度こそ低いが、規則性さえ理解出来れば解読することは容易い。

 

点字の部分は恐らくこの封印されたポケモンの名前だろうか。レジスチル、レジアイス、レジロックと書かれていた。

 

確かにこの名前の中だと風貌がなんとなくレジスチルっぽい。

 

アンノーン文字には封印した場所を記してあった。おおよその位置でしか書かれていなく、さらに古代に記された場所なので今だと地形が変わっている可能性がある。

 

「じゃああと2体…いや、あと1体か。場所はわかった。案内しようか?」

 

あと1体と推測したのは、ここでレジスチルを捕まえているのでは噂になりようがないからだ。

 

そして私には場所の心当たりがある。昔ひょんなことでたどり着いたところが酷似している。記された場所とも近いので、恐らくはあっているのだろう。

 

「その文字が読めるのか…。なぜそこまでしてくれるんだ?ただバトルをしただけの義理にしては些か過剰だ」

 

バトル前の怪訝な顔よりは幾分ましになったとはいえ、先ほどの表情を彷彿とさせるような面差しでたずねてきた。

 

「こっちにもいろいろあるんだよ。それより、なんでそんなにレジ系統の捕獲に熱心なんだい?」

 

「点字だけの壁画にはどこか謝っているような印象がしてな。先人達も自らの行為を快く思わなかったのだろうな。ならその先人達の贖罪を私が晴らそうと思ったんだよ」

 

なかなかにかっこいいことを言う。ならそのかっこいい行動に便乗して、私もかっこいいと思われようじゃないか。

 

「そうか、それはいいね。じゃあ道案内を承ろうじゃないか」

 

「ならすまないが、頼む。次は私から聞きたいんだがいいか?」

 

ジンダイはふと思い出したように言った。

 

「もちろんだとも。なんだって聞いてくれ」

 

「なら1つと言わず2つ聞かせてもらおう。1つ目はさっきのバトルでの指示だ。フーディンのときのあの数字はなんだったんだ?」

 

「あれはテレポートで移動する場所の座標の指定さ。私がいるところを50,0、ジンダイがいた場所を50,100として移動する場所を決めているんだ。要はxとyを決めているだけなんだよ。場合に応じてはzの指定、つまり高さも指示するってとこかな」

 

ユンゲラーの時は1バトル中に何度かミスをしていたのだけど、進化してからは失敗しないようになった。頭の良さも成長したのかな。

 

「なるほどな…。だからあんなにめんどくさい位置にいたのか。それともう1つ、はじめの方に言っていたお前の夢とはなんだ?それとも聞くのは野暮か?」

 

「それか。まあ簡単に言うとね、遊園地を作りたいんだよ。それも凄腕のトレーナーしか入ることが許されない、トレーナーの為の遊園地。名前はバトルフロンティアにするつもりだ」

 

大雑把な説明ではあるが、夢を語るのに多くはいらないだろう。思いさえ伝わればそれでいいかな。なんてね。

 

 

 

 

 







なんとなく予約投稿で10時にしてるけど、やっぱ夜の方がいいのかねえ。



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