天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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朝の10時に投稿なんか誰も読まへんやん?とか思い夜の11時辺りに変えた結果、確認の時に話が膨らみまくってまさかの10000字オーバー。

感想を初めて貰えてぶるっときました。くっそ嬉しかったです。


一人目

目的地に着くまでの間、私とジンダイは色々なことを話し合った。私からは今の今まで自由に生きていなかったことや乗り物が好きなこと、ポケモンバトルのこと、さらには皮肉にも両親が亡くなってから自由に生きることができるようになったといったことを話した。

 

デボンコーポレーションの社長代理のことは社外秘なので黙っておいた。

 

両親の話題の時にはジンダイが少し気の毒そうな顔をしていたので、今度はジンダイの話を聞くという体で話を逸らした。

 

「そういえばもう一体のレジ系統はどんなポケモンなんだい?」

 

私がそう尋ねると、ジンダイは百聞は一見にしかずと言わんばかりに何も答えずそのポケモンをモンスターボールから出した。

 

「これは…おそらくレジロックだろうね。これでアイスだったら、レジロックはどれだけ岩なのかなあ」

 

などと茶化しがならも観察する。四肢が短いのと顔に点字があるのはレジスチルと同じなようで、例によって防御に長けているように見える。

 

「私もそう思う。いずれはレジスチルとレジロック、それにレジアイスを手持ちに入れてバトルをしてみたいもんだ」

 

もしもそれが実現したならジンダイはどれだけ強いトレーナーになるのだろうか。自分で言うのはどうかと思うが、今はまだ私の奇抜な闘い方で勝ててはいるものの慣れてきたら負けるかもしれない。

 

私自身はかなりバトルに自信がある。並の相手ならたとえリーグバッジを8個保持している相手でも負ける気はしない。だがジンダイは並ではないのだ。もちろん実力が拮抗する点では嬉しいことだが、やはり自分の強さが脅かされるのは複雑な気分だ。

 

ただ、タッグバトルならどうなんだろう。もし仮に私とジンダイが組めば、それこそ並みの相手には余裕で負けないんじゃないか?

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

なんてことを考えているうちに目的地に到着した。といっても、中継地点のムロタウンではあるが。

 

「ここに来るのは久しぶりだな。いしのどうくつ以来か」

 

ジンダイは前にいしのどうくつに来たことがあるようなことを言った。まあ恐らくはまた冒険の一環だろうが。

 

「とりあえずはここで1泊して、明日の朝にまた目指そう。それでいいかい?」

 

私がそういった理由は、今はもう既に暗くなっておりそのまま海を進むのは危険だからだ。まして場所もしっかりと把握していない状況なのだ。自殺行為に等しい。

 

「英断だ。お前がそう言わなかったら私が言おうと思っていた」

 

「それはありがとう。…それより、ジンダイのその呼び方やめないかい?お前って呼ばれるのはいい気分じゃないよ」

 

自分でも些細なことだとは理解していたが、これから付き合っていく上でこのままでは駄目だと思ったからだ。……一応、念のために言っておくが、今変な勘違いをした人はアグノムを傷つけることをおすすめする。

 

「そうか。ならエニシダ、明日は6時起きだ。早く寝るようにな」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。それは流石に早すぎないかい?別にレジアイスは逃げないからね?」

 

レジスチルを捕獲した場所を聞いたところ、111番道路からは結構離れておりその間レジロックはどこにも移動しなかったのだ。つまりは自発的には出てこないという推測が立てられる。

 

「それはそうだが、やはり早くゲットしたいもんなんだ。それに今から寝れば8時間くらいは寝れるだろう 」

 

「じゃあポケナビの番号を教えてくれたら6時に行こうか。さあ、出してくれ」

 

「了解した」

 

......................................................

 

 

6時に行くとは言ったが、こんな時間には寝れそうにないので暫くポケモンセンターを出て外をさまよっていた。

 

空を見上げるとそこには満天の星空があった。いかにムロタウンが自然と共同生活を行えているかを感じさせる景色だ。

 

このような綺麗な星空を見たのはいつぶりだろうか。ホウエンは他の地方に比べて自然が豊かであり星空を見る機会は多いはずなのだが、私はカイナシティに住んでいるのだ。さらには最近までカナズミシティでデボンコーポレーションの社長代理をしていたからあまり田舎にいることはなかった。

 

そんな私からしてみればこの星空は珍しく、暫くの間見入っていた。稚拙な表現だが、感動したという他ならない。こんな時自分の語彙力の無さが恨めしくなる。

 

……まあ私は理系脳だと自覚しているし気にしないんだけどね!

 

 

 

あてもなく歩いていると、ムロ集会所というところを見つけた。中に入り大広間へ行くと、一家と思われる人達の4人組が談笑していた。

 

私はコミュニケーション能力が高いと自負しているので、一家に話しかけることぐらいは造作のないことだ。

 

「こんばんは、家族ですか?」

 

そう問うと父親と思しき人が声を返してくれた。

 

「こんばんは。はい、そうですよ。私たちはムロタウンに住んでいてね。週に何回かはこの集会所に来ることにしてるんですよ」

 

「それはまた、なぜですか?」

 

「いろんな人と交流する方が子どもたちにとって、いや私たちにとって良いからです。近頃ではコミュ障なんて言葉が流行っているもんですからね」

 

コミュ障。コミュニケーション能力障害の略称だろうか。そういった人の存在はわかるが名前まで出来ているのは知らなかった。

 

「最近の流行はわからないもんですねえ。あの、ここら辺でポケモンバトルが強くて有名な人とかいませんか?」

 

実は私の中ではバトルフロンティアの構造は決まっており、これはそのために必要な質問なのだ。構造というよりはむしろ設定だろうか。

 

7つの施設を作り、それぞれの施設の中にはゲームでいうところのボスがいるというものだ。レジアイスを捕獲したらジンダイにそれを伝えて、ここでいうところのボスになってもらえないか頼むつもりだ。

 

「強い人ですか…。あまり思いつきませんね。すいません」

 

「いえいえ、気にしないでください。単純に気になった程度のものですよ」

 

とは言ったものの、ジンダイの他にあと6人も見つけなければならない。手掛かりがあればよかったのにと思うのも無理はないだろう。

 

後はもう少し話してから寝ようかと思ったところだったが、息子らしき少年が私に話しかけてきた。

 

「僕知ってるよ、強い人!トレーナーズスクールで有名なんだけど、カナズミ校の子の1番頭いい子がすごい強いらしいんだ」

 

トレーナーズスクールのカナズミ校ときたか。あそこはホウエン一の名門で、強さの印象としては

 

カナズミシティ>〇〇シティ>〇〇タウン

 

といったところだろうか。私はカイナ校へ通っており、自慢にしかならないのだが主席だった。トレーナーズスクール同士の交流試合はトーナメント式で私は2位であり、その時の1位はカナズミ校だったのだ。

 

余談だが、ミシロタウンとコトキタウンにはまだトレーナーズスクールがない。あそこはトウカシティが近いので街に出れば大体のことは事足りるのだ。

 

キナギタウンは最近有志の者が立ち上げたらしいのだが、まだ完全には機能していない。

 

つまるところ、カナズミ校は昔から強い子を排出しているのでこの子の話は信用に値する。

 

「そうなんだ。その子が何歳とかはわかるかい?」

 

「確か僕の一個下だから、11歳かな」

 

まあ、それくらいならこれから作るまでの期間を考えるとちょうどよくなるかな。まずは下見だ。

 

「そっか。ありがとうね、僕」

 

「どういたしまして!」

 

「お父さんも、今日はいきなりですいませんでした。楽しかったです!」

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

 

 

 

そういって別れた後、私はポケモンセンターに帰ってベッドに入った。

 

……あれ、トレーナーズスクールの子の名前聞いてなくね……??

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

そして翌日、律儀に5時に起きた私は15分ほどで朝食を済ませてポケモンセンターの外に出た。

 

昨日の空とはまた違った綺麗さが伺える。今日は雲一つない快晴で、加えて早朝なのだ。声一つ聞こえないこの場所は安らぎを感じるのに充分だった。

 

適当に歩を進めていると、レジスチルとレジロックを外に出しているジンダイが見えた。

 

「おはよう、ジンダイ。何してるの?」

 

「せっかくの良い朝なんだ。こいつらも光を浴びたいかと思ってな」

 

「あんまり一度に二体を出さない方がよくないかい?もし研究者とかに見つかったら面倒臭いことになるよ」

 

「まあ早朝なんだし見つからないだろう。それにいずれは共に闘っていくんだ。そんなことを気にしたって無駄じゃないか?」

 

「それもそうだね」

 

私がそういうと、おとずれた静寂に波の音が重なる。

 

「まあでも古代のポケモンを……いや、伝説のポケモンをこれ見よがしに出しておくのはそんな意図がないにせよ危険だよ。気を付けてくれ」

 

「そうか。そういえばエニシダ、お前はどんなポケモンを持っているんだ?」

 

「フーディンとラグラージは知ってるよね。あとジンダイが聞いてわかりそうなのはベトベトンかな。他にもいるんだけど、家の使用人に任せているポケモンが大勢いるからね」

 

「ベトベトンか。ほのおのぬけみちで出てくるベドベターを進化させたものか?」

 

「私のベトベトンはタマムシシティで捕まえたベトベターを進化させたんだよ。昔ニュースでやらなかったかい?タマムシシティ、下水でベトベターが大量発生!」

 

ああ…今思い出すだけでも臭かったなあ……。一匹だと大して臭わないくせに群れると恐ろしい匂いに変わる。

 

「そういえばあったな。よくそんなところに湧いたポケモンを捕まえたな」

 

湧いたって言い方は少しきついな、と苦笑をこぼして続けた。

 

「まあ研究の一環だよ。教授がうるさくてね」

 

「研究ってお前……、もしかしてタマムシ大学出身なのか!?」

 

「そうだね。まあ学歴も今となってはなんの意味も成さないよ」

 

ただそこで得た知識や発見は今の私のバトルの大きなアドバンテージとはなっているけどね。

 

「そろそろ行かないかい?早くに合流できたんなら早く済ませるべきだよ」

 

「了解した」

 

見ると、時計は5時半を指していた。このままのペースでいくと早ければ12時頃には目的地に着くだろう。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

波乗りでさ迷い続けて1時間。場所は思いのほか早く見つかった。そこは砂漠の遺跡と瓜二つの見た目をしており、例によって穴があいていた。恐る恐る入っていくと、奥には点字が刻まれていた。

 

だが、それだけだ。レジアイスはいない。

 

「どうするの!?まさかの逃げちゃってるパターンだよ!!」

 

珍しく取り乱した私はジンダイに詰め寄り問い詰めた。

 

「待て待て待て!!!レジアイスはこの奥だ!レジスチルの時もレジロックの時もそうだった」

 

「でも部屋はここ一つだけじゃないか。どこにいるって言うんだよ」

 

「奥に点字が書いてあるだろう?その通りにすれば封印が全て解けて奥の道が出てくる。……っと、どれどれ」

 

点字を読みだしたジンダイは神妙な顔つきになって黙りこくった。

 

「なるほどな。エニシダ、私の後ろをついてこい」

 

言われるがままについていくが、これはただ洞窟を壁沿いに歩いているだけだった。

 

「これ本当に意味があるのかい?」

 

たまらず聞くが、ジンダイはなにも反応しなかった。

 

 

 

一周したところでジンダイが止まったので同じく止まると、目の前にあった壁が雪崩落ちた。

 

「進むぞ」

 

そう告げたジンダイはこれまで以上に真剣な面差しで奥へ進んだ。

 

少し歩くと中には見るからに氷でできたポケモンが鎮座していた。クリアな水色の体をしており、やはり四肢は短かった。

 

「こいつがレジアイスか…。いけ、レジスチル」

 

相対するのは鋼でできた体のポケモンだ。相性でいえば氷タイプには相性が良い。

 

「レジスチル、ロックオンからのでんじほう!」

 

ジンダイはそう指示したものの、なぜかレジスチルは一向に動かない。

 

「どうしたんだ、レジスチル?」

 

「こういうことは前にもあったのかい?」

 

「いや、なかった。レジスチルを使うのはテッセンやエニシダ、あとは強そうなトレーナーにしか使っていないからな。あまり使っていないんだ」

 

なら野生のポケモンには攻撃できないのか?だがそんなはずはない。大昔に封印されたポケモンなのだ。その頃にモンスターボールは当然のごとく無い。つまり誰かのポケモンという概念自体がなかったと思われる。

 

「まあなんにせよ、この状況はどうする?」

 

このままだと堂々巡りだ。すがる思いでもう一度レジスチルを見るが、動きはない。

 

「仕方がない、望みは薄いがレジロックに任せる。それでもダメなら勝てはしないだろうがほかのポケモンに任せるか」

 

「なんではじめからほかのポケモンにしないんだい?それに勝てないなんて、別に決まったわけじゃないだろう」

 

「レジスチルとレジロックのレベルは同じだったんだ。そのレベルがかなり高くて、ほかのポケモンでは追いつけないんだよ」

 

「なるほどね。ましてや古代に封印されたほどのポケモンだ。勝てないのも無理はないか」

 

話しているうちに出したレジロックもまた動きは見られない。

 

「てかレジスチルを戻してないよ」

 

レジ系統が並んでいる姿は実に壮観だね。

 

「ああ、忘れていた」

 

そういって戻そうとするが、三体が揃うとはじめてレジアイスに反応が見られた。

 

「あれは……話しているのか?」

 

鳴き声とは思えないような重低音はレジアイスから発せられており、続けてレジスチルとレジロックも話し出した。

 

しばらくするとレジアイスはジンダイの前に進み、そこで静止した。

 

「………。なんだこれ。全然理解出来ん」

 

「とりあえずボールをぶつけてみたら?」

 

大体予想はつく。恐らくレジアイスは自らを封印していた人間に従っていることを怪訝に思っていたが、二体が説得したのだろう。

 

言う通りにジンダイはモンスターボールをレジアイスの胸にぶつけた。

 

 

 

モンスターボールの中からの抵抗は見られず、そこにはレジアイスの意思がありありと感じられた。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

私は昨日適当に誤魔化していた夢のことをジンダイに伝えた。

 

「ジンダイ、聞いてくれるかい?僕の夢の話」

 

「勿論だ。私も気になってはいたんだ」

 

そうして、私は夢を語り出す。

 

「私の夢はね、まずは五年前から始まったんだ」

 

少し気恥ずかしさを感じる。スクールで夢を語らせられる時の気分にそっくりだ。

 

「親が五年前に亡くなった話はしたよね。その時僕はいつも親が決めてたレールがなくなって、なにをしようか悩んでいたんだよ」

 

「五年も前から追い続けている夢なのか。夢自身に芯が通っていなければ不可能だな」

 

「まあ本格的に追い続け出したのは二週間も前の話じゃないんだけどね。五年間はしなきゃならないこともあったわけだし。まあ、続きを話すよ。五年前の私はやる事もなくふらふらしていたんだ。アルバムを見返したり散歩したり…。その時ね、散歩してる時に2人の子どもに出会ったんだよ。多分兄弟だったんじゃないかな」

 

兄弟がいない私にとっては少し羨ましく見えたのを覚えている。

 

「その時にね、子どもの1人がポケモンの遊園地でもあればいいのにね、って言ったんだよ。子どもの発想は本当にフレキシブルだ。その後私はその子達に10年後までにはそれを作ると言っちゃったんだよ。なんでその時そんな事を言ったのかは今でもわからないよ。でもそれからそれが私の夢になったんだ」

 

私の夢の世界、バトルフロンティア。そこは一流のトレーナーしか入ることの許されない地であり、またそこにいるトレーナーも一流以上のトレーナーで占めている。

 

「私はポケモンバトルが好きだ。その遊園地を一流のトレーナーの為の遊園地にしたいんだよ」

 

そこにあるのは7つの施設。中にはボスとして超一流のトレーナーが待っている。

 

「ジンダイ、この夢を君にも手伝ってもらえないだろうか」

 

後のその内の1人となる、ジンダイは快活と応えた。

 

「勿論だ!ポケモンバトルができてお前の夢の……、いやエニシダの夢の手伝いができるんだろう?断る理由がないじゃないか!」

 

「そうか、ありがとう!君とは長い付き合いになりそうだね」

 

「望むところだ」

 

不意に手を出されたが、私はしっかりとその意図を汲み握手を交わした。

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

「…………、とまあこんな感じだ」

 

握手を交わしたのはいいが、肝心な説明を何一つ行っていなかったので一通りを説明した。

 

「ならあと5人強いトレーナーを探さなければな」

 

「ん?施設は7つだからあと6人必要なんだよ?」

 

話を聞いていないジンダイに呆れ顔で訂正する。

 

「いや、だからあと5人じゃないか。お前を含めんでどうする」

 

「ああ…、なるほど。なら私は私より強い人が来るまでフロンティアブレーンをしようか」

 

話の腰を折るのは躊躇われたので、またお前と呼んだことには指摘しない。

 

「フロンティアブレーン。なかなかかっこいい呼び名だな!」

 

「だろう?これから勧誘の時はこれで行くよ」

 

「それがいい。それで、次はどこに行くか決めているのか?」

 

次の場所はもう決めてある。といっても昨晩聞いた話がどれだけのものか確かめに行くだけなのだが。

 

「カナズミシティだよ。そこの主席の子がかなり強いらしい」

 

ジンダイは少し不安げな顔をして問い質す。

 

「トレーナーズスクールか…。あてになるのか?」

 

「私がスクールに通っていた頃もカナズミ校は強かったんだ。頭でっかちなだけかどうか、確かめるだけでもいいじゃないか」

 

「まあ今後の行き先は、無理と判断しない限りはお前に任せよう」

 

「君が無理だと感じるところなんて、特別保護区に無断で入るとかそれくらいでしょうが……。てかまたお前って呼んでるよ」

 

なんて軽口を叩きながら、カナズミシティを目指した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「到着ッッッ!!!!」

 

 

カナズミシティに着くなり、ジンダイは割と大きな声で叫んだ。

 

「うるっさいよ馬鹿っぽいよてか恥ずかしいよ!」

 

「街を移動する時はこうした方が身が引き締まるんだ」

 

「ムロタウンの時はしてなかったくせにねえ」

 

話しながらトレーナーズスクールに向かっていると、見覚えのある顔に出会った。彼は私の顔を見るなり

 

「代理!ご無沙汰しています!私は最近になってやっとりゅうせいのたきから帰ってこれたんですよ」

 

と話しかけてきた。もしかして私が辞めたことを知らないのか……?

 

「やあ、久しぶり。にしても相変わらず好青年してるねえ」

 

「そんな、滅相もないですよ!私も明日を挟んで明後日から復帰いたしますので、その時はまた御贔屓お願い致しますね?」

 

「勿論そうしたいんだけどさ、実はもう私は代理じゃないんだよ。君も調査を離れられたってことは、つまりはそういうことだ」

 

暗に社長の復帰を伝えたつもりだったが、彼はとんでもない勘違いをしてしまった。

 

「もしや…、代理!いえ、社長!就任おめでとうございます!!」

 

「……あ?社長だと?こいつが?」

 

それまで話の聞き役に徹していたジンダイが声を上げた。

 

「そうですよ!彼はデボンコーポレーションの社長になったんです!」

 

「ストップストップ。別に社長が私に任せたわけじゃないよ。研究が終わって復帰しただけだ。私は言わば無職だ」

 

将来的にはバトルフロンティアのオーナー兼フロンティアブレーンのつもりだがね。……ていうか、代理のことは社外秘じゃないのか?

 

「なんと!そうでしたか、これは失礼致しました」

 

「ていうか今のは本当なのか…。ああ、5年もしなければならなかったこととはこれのことか」

 

「まあ別にそんな偉いことじゃないけどね。どこまでいっても所詮はただの代役だよ。それより、君はなにをしてたんだい?調査が終わったんなら家で休んでた方が楽だろうに」

 

「実はこれから息子の参観日でして。今まで行けていなかった分を取り戻したいんですよ」

 

おお、なんと都合のいいことか。乗るしかない、このビッグウェーブに!

 

「なるほどね。私たちもついて行っていいかい?奇遇だけど私たちも用があるんだ」

 

「もちろんですよ!それではついてきてください」

 

 

 

そのまま歩くこと5分。到着したそこにはトレーナーズスクールがあった。参観日ということで、10歳以上の子は今日はトーナメント式のポケモンバトルをしているらしい。ちなみに10歳未満はスクールから借り出されるポケモンでエキシビションマッチをしている。

 

「キノココ、たいあたり!」

 

「負けるなスバメ、つつくだ!」

 

などといった声がそこら中から聞こえる。人数が多いので何試合も一斉に行っているのだろう。

 

「息子さんは見つかったかい?」

 

「ええ。今準決勝ですね。さすが私の息子だ」

 

見ると、サイホーン対プリンの試合が行われていた。男の子がサイホーンを使っているので彼の息子はあっちだ。

 

「サイホーン、つのでつく!」

 

「プリン、避けて!」

 

しかしプリンは反応できずに、つのでつくを喰らって倒れてしまった。

 

「プリン、戦闘不能!」

 

続いて勝者宣言がされると、息子であろう子は父のもとへと寄ってきた。

 

「お父さん、勝ったよ!次の決勝であいつに勝てば俺の優勝だ!」

 

「おお、そうだな!よくやった!次も頑張れよ!」

 

彼は元気よくうん!と答えると走っていってしまった。

 

「息子さん、元気がいい男の子だね」

 

私があの子を褒めると続くように

 

「あの子は強くなりそうだな」

 

とジンダイも賞賛した。

 

「ですよね!!親バカなのはわかっているんですが、あの子は将来チャンピオンにでもなるんじゃないかとそれはもうドキドキしていまして……」

 

「いいね、夢は大きくだよ。それとあの子が言ったあいつって誰なんだい?」

 

さっき息子さんが言っだあいづのことが妙に気になっていたのだ。

 

「向こうの準決勝で闘っている女の子です。未だに負け知らずの主席らしいですよ」

 

「そうか、それは厄介な相手だねえ。そろそろ向こう準決勝も終わったみたいだ。あと10分後くらいか?」

 

「そうですね。丁度10分後です」

 

 

10分間の間、私はジンダイに伝えなければならないことを伝えた。

 

「ジンダイ、女の子を見極めるんだ。将来性だけじゃなくて今現在の実力も図るんだからね?」

 

「私もそれは理解しているさ。だがもし仮にお眼鏡に適ったとしても、子どもなんだし引き受けてもらえないとは思うがな…」

 

 

そして10分が経ち、決勝が始まった。

 

息子さんが出したポケモンは依然としてサイホーン。対して主席ちゃんが出したのはヘラクロスだ。

 

「サイホーン、つのでつく!」

 

息子さんは前と同じくつのでつくを指示した。トレーナーになりたての頃にはよくある話なのだが、攻撃技を優先しすぎて補助技を全く使わない子が多いのだ。よってこの子ぐらいの世代で強い子は回避の指示のタイミングと攻撃の強いポケモンが勝つのだ。

 

「ヘラクロス、避けて!」

 

例に漏れずこの子も回避の指示を出す。これはポケモンバトルの基本だ。そしてこの子はやはりそのタイミングをとるのが上手だった。

 

「ヘラクロス、空を飛んでサイホーンを撹乱させて!」

 

ヘラクロスはその子の指示通り縦横無尽に動き回った。サイホーンは案の定目が追いついていない。

 

「サ、サイホーン!落ち着け!」

 

「ヘラクロス、着地してビルドアップ!」

 

その指示を聞いた周りの反応は少し不思議そうな顔つきだった。ジンダイさえも首をかしげていた。

 

恐らく、その時の指示の真意を理解したのは私だけだろう。

 

元来ビルドアップは格闘タイプのポケモンが威嚇として使ってくる技と思われている。技名をつけるかどうかも悩まれていたものなので、実際に使う人は誰もいない。

 

ではなぜ彼女はその技を使うのか。実はビルドアップをすると全身の筋肉が盛り上がるので攻撃力は勿論防御力も上昇する。恐らく特定の行為をすると脳のリミッターが外れ、筋肉が盛り上がるのがビルドアップだと考えている。

 

タマムシ大学にいた頃に研究したからこそ知っていたが、まさかこんな少女が知っているとは思わなかった。

 

「ヘラクロス、背後にまわってインファイト!」

 

「サイホーン、避けろ!」

 

だが息子さんの指示も虚しく、ヘラクロスの乱打に巻き込まれたサイホーンは倒れてしまった。

 

あの子は逸材だ。知識が多いトレーナーは総じて強いと相場が決まっている。

 

「サイホーン、戦闘不能!よって勝者、コゴミ!!」

 

「え、マジ?アタシ勝っちゃったの?別に勝つつもりなんかなかったのにな〜。ヘラクロスもお疲れ様!」

 

どうやら彼女はコゴミというらしい。少々天狗なところはあるが、言い換えれば大胆不敵ということた。

 

「息子は負けてしまいましたね……。まあ、よくやったと思いますよ」

 

「そうだな、あれは相手が悪かったとしか言いようがない。あの少女は既にスクールのレベルを逸脱している」

 

2人は先程のバトルを振り返っていた。

 

「そうだ、2人とも。ビルドアップは別に舐めプじゃないよ?それだけは息子さんにも伝えてやってください」

 

「ならなんだ?自らを鼓舞、なんて感じか?そんなことは傍から見ていてわかるもんでもないだろう」

 

「あれにはさすがの私も少し怒りを覚えました。どんな意味があったというんです?」

 

案の定勘違いを起こしていた2人に、先程の説明をした。

 

「つまり、ジンダイの言った『 スクールのレベルを逸脱している』どころじゃないんだよ。私が大学で研究したことを既に理解している時点で並のトレーナーなんて目じゃないはずだ」

 

 

 

 

 




理想気体の状態方程式ってありますよね。

PV=nRT

なんやこの文字覚え辛いわとか思ってたんですが、並び替えると

nTR=PV

寝取りPV

覚えやすい。
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