天才のちニート、時々イケメン   作:しゃけ式

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エンターテインメント

「ポケモンバトルトーナメント1位、コゴミ!優勝おめでとう!」

 

「ありがとうございまーす!」

 

バトルが終わり、整列をして表彰を行った。スクール長が賞状を渡すと、司会が次はデボンコーポレーションの社長からの話だと言った。

 

「先程紹介頂きました、デボンコーポレーションの社長のツワブキです。えぇー、この度は誠に………、いや、子ども達の前で堅苦しいのはダメだな。まあ手短に行こう。諸君、お疲れ様!どのバトルも見応えがあって将来が楽しみになるものばかりであった!これからも頑張ってくれ!」

 

……おお、あの社長が饒舌に話しているじゃないか。これは珍しいものを見た。子ども達は社長と聞いて口々に凄いやかっこいいなどとざわついていた。

 

「ではここで解散とします。皆さんお疲れ様でした。なお、2時からは予告していた通りトーナメント優勝者とホウエンリーグチャンピオンのダイゴによるポケモンバトルを行います。ダブルバトルとなりますので、トーナメント優勝者の保護者の方は一緒に闘ってください。観戦の希望の方は第一ポケモンバトルスタジアムへ移動してください」

 

へえ、まさかこんなエンターテインメントがあるとは思ってもいなかった。だから子ども達も躍起になって闘っていたのか。

 

「おい、エニシダ。移動しないのか?」

 

移動とは確認するまでもなく第一ポケモンバトルスタジアムのことだろう。

 

「少し待っててくれないか。社長と話してくるよ」

 

「そうか。なら先に移動しておく。場所は追ってポケナビで連絡する」

 

そういうとジンダイは早足でスタジアムへと向かった。周りの盛り上がり様からみて、席もすぐ無くなりそうだったから急いでいるのだろうね。

 

 

私は社長のもとへ向かい、いつも通りの軽い口調で挨拶した。

 

「やあやあ、社長。ご無沙汰しております」

 

すると社長は目を丸くして私かどうか確認をした。

 

「ん?…おお、エニシダか!用済みと言ったのになぜここにいるんだ?」

 

「噂で聞いたんですが、ここの主席がとても強いと聞きまして。それを確認しに来たのですが、いやはやあの子は規格外ですね」

 

「それは私も同意見だ。……実はな、エニシダ。このトーナメントなんだがこれは私発案のものなんだ」

 

不意に社長が声を潜めて言った。

 

「それがどうかしたんですか?」

 

スクール長ではなく社長が締めたのだ。別にわからないことではない。

 

「最後まで話を聞け。その理由なんだがな、実はダイゴとコゴミちゃんを闘わせたかったからなんだよ」

 

「それを職権乱用と言うんですよ」

 

「だが別にそうならなかった可能性もあるんだぞ?私の権力の届く範囲はトーナメントを開くまでだ。それに参観日にトーナメントなんて熱いじゃないか!スクール長も絶賛していたぞ」

 

「普段は無口なくせにこういう時だけ口が回る……。それにしても、ダイゴ1人に保護者付きのタッグバトルとはいえハンデが少なすぎませんか?チャンピオンなら下手な勝負はできませんし」

 

すると社長は少し困った顔で告げた。

 

「彼女の父親はかつてトウカシティのジムリーダーだったんだ。かくとうタイプの使い手だったから、ダイゴとは相性が良いと思ったんだがな……」

 

「なんです?それなら別にいいのでは?」

 

「それがいつまで経っても出てこないんだ。もういっそ私が出ようかとも思ってたんだが、お前が出てみないか?」

 

それはつまり私が彼女とタッグを組むということだろうか。これは私にとっても都合がいい。隣で実力を図ることが出来るなんて願ってもないシチュエーションだ。

 

「それくらいなら全然OKですよ。社長には恩もありますし、どんとこいです」

 

「すまんな、ありがとう。なら控え室に案内しよう」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「えっと、誰ですか?社長さん、アタシそろそろ試合だし知らない人とかあんまし話せないよ?」

 

控え室に入ると不思議そうな顔をして尋ねてきた。というよりも、これはむしろ警戒かな。

 

「彼は君のパートナーとして出場するエニシダだ」

 

「こんにちは、お父さんの代わりにタッグを組むことになったエニシダです。気軽にエニシダと呼んでね」

 

「そっか……、うん、私はコゴミだよ!よろしく!」

 

なにか思うところがあったかのように見えたが、元気に挨拶を返してくれた。

 

「なら私はこれで失礼する。技の申請は放送が流れるだろうしその時に頼む」

 

そういうと社長は部屋から出ていった。

 

「そういえばコゴミ、よくビルドアップの効果を知っていたね。普通なら誰もわからないよ」

 

「それね、お父さんが教えてくれたんだ。厳しいけど色んなことを教えてくれるんだよ?てゆーかエニシダも知ってるんだね!」

 

「私は大学で研究していたからね」

 

「どこの大学?知ってるかな」

 

「タマムシ大学だよ。聞いたことあるんじゃないかな」

 

「そこ知ってる!アタシもそこに行けってお父さんに言われてるんだ」

 

 

そんなことを話し続けて5分。次のバトルのことへと話題が移った。

 

「コゴミ、次のバトルはなんのポケモンを出すんだい?」

 

「次もヘラクロスで行くよ。そうだ、エニシダって強いの?アタシより弱いとかほんとやめてよねー」

 

ここで悪癖がででてきたか。まあそれだけ天狗になれるだけの実力があるのだし、当然といえば当然か。

 

「まあ足だけは引っ張らないようにするよ」

 

「ほんとマジで頼むよー?エニシダはなにを出すの?」

 

「ダイゴははがねタイプの使い手だし、サイドンでいくよ」

 

「はあ?アタシ相手がチャンピオンでも負けたくないんですけど?もしかしてタイプの相性知らない人?」

 

「そのタイプの分類法を提唱した人の母校に通っていたんだけどねえ」

 

なんかバトルのことになると急に人が変わるんだなあ。

 

確かにサイドンはいわタイプなのではがねタイプには相性が悪い。だが同時にじめんタイプも持っているので別にそんなに悪い選択ではないだろう。何をそんなに怒っているのだろうね。

 

「いわタイプなんてかくとうタイプの技で一発じゃないの」

 

……ああ。親御さんの影響ね。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

技の登録を済ませるとアタシ達はスタジアムへ向かった。ヘラクロスの技はビルドアップとインファイトとメガホーンとこらえる。

 

てゆーかこの4つの技しかまともにできないだけなんだけどね。

 

普通なら8つ程はまともに使えるポケモンが多く、1つの技に特化させる戦法の人でも6つは普通に使える。多い人は色んな相手を想定して12個も使わせる人もいる。

 

アタシのヘラクロスの場合も本来なら使える技は6つ程あるのだが、長い間使っていなかったせいか忘れてしまった。

 

つのでつく→メガホーン

かわらわり→インファイト

 

つまりはそういうことだ。

 

それにしても、エニシダ技の登録長かったなあ…。そんなに悩むんならサイドンなんて選ばなければよかったのに。頭だけ良くてバトルが弱いとかマジで勘弁。

 

それともポケモンだけ強いパターンの人なのかな。

 

一般に、ポケモンが強いとされるレベルは50を超える辺りだ。ちなみにポケモンのレベルはモンスタボールの上の部分(モンスターボールでいうと赤いところ)に表示される。

 

アタシのヘラクロスのレベルは45だ。対して同年代の子達のポケモンのレベルは大体14〜16だ。高い子でも18があるかどうか。決勝で戦ったサイホーンは、それこそ17とかだろう。

 

なぜこんなにもレベルの差がついているのか。勿論お父さんに稽古をつけてもらっているのもある。けどそれよりも単純に育てている時間が長いからだと思う。

 

アタシは8歳ですでにヘラクロスと稽古をしていた。建前はお父さんのポケモンだったけど、本当はもうもらっていた。

 

まあそんなことは関係ないよね。エニシダが本当に足を引っ張らないのか確認しなきゃ。

 

「結局技はどうしたの?」

 

友だちのように話しかける。エニシダは軽い口調で答えた。

 

「じしんとアームハンマー、ねむるにねごとで登録をしたよ」

 

「ねむるとねごと?なにそれ、バトル中に寝るの?たまに使ってる人テレビで見るけど意味あるの?」

 

「バトル中ではねむるは有効なんだよ?体力がほとんど回復するんだからね」

 

「じゃあねごとは?寝てるのに指示なんて聞こえないんじゃない?」

 

「レム睡眠とか関係あるのかな。多分おぼろげには聞こえてるんだと思うよ。だから出す技は適当になってると考えてるんだ」

 

「ふーん…。じゃあサイドンのレベルは?」

 

確かサイドンはさっきの決勝の子が使っていたポケモンの進化系だ。多分レベルを上げると進化するのだろう。せめて40は超えていたらいいのにな。

 

「ああ、どうだろう。ちょっと待ってね。…………。56だ」

 

「え!?そんなに高いの?」

 

「まあ確かに高いけど、本当に重要なのはトレーナーの技量だからね。戦術ありきのポケモンバトルだよ」

 

確かにいくらポケモンが強くても、トレーナーの技量が足りていなければ一回りも二回りも低いレベルのポケモンに負けることだってある。

 

「………まあ、とりあえず足は引っ張らないでね」

 

そう言ってアタシ達は扉を開け、バトルフィールドへ入った。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

バトルフィールドにはすでにダイゴが待っていた。私はいつも通りの挨拶で対応した。

 

「やあやあ、ダイゴ。石集めのニートがどうしたんだい?」

 

「こんにちは、エニシダさん。社長代理ともあろう方が酷いことを仰る。まあ、今は僕がホウエンリーグチャンピオンであなたがニートですがね」

 

「別に私がホウエンリーグのチャンピオンになった経歴なんてないよ。ただ次期バトルフロンティアオーナーだけどね」

 

「バトルフロンティアができたら是非とも挑戦したいね」

 

「恐らく君は敗北するよ。並のトレーナーはまずは入れない」

 

「再三言うけど僕はチャンピオンなんだよ?そんな僕を並のトレーナー扱いとは片腹痛いね」

 

「その並のトレーナーをチャンピオンにまで育て上げたのは誰だい?そんなこともわからないようじゃ私は片腹どころか全身の神経丸出しの激痛がするね」

 

「ハンデマッチで勝利宣言かい?相変わらずだね、エニシダさんは」

 

「いえいえ、チャンピオン様に勝てるなど滅相もない。勝っていいのはプライベートの時だけだ」

 

大きな声では話していないので、観客にはただ話しているだけにしか聞こえていないだろう。だがコゴミには普通に聞こえており、私とダイゴの会話に終始?マークを頭に浮かべていた。

 

「知り合いなの?さっきもチャンピオンのことダイゴって呼び捨てしてたし」

 

「まあ、あえて言うなら師匠ってところかな」

 

「コゴミちゃん、騙されないでね。僕が彼と遊んでいただけだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「その遊びで休みの日が丸一日潰されたこともあったなあ……」

 

「見ときなよ、エニシダさん。僕はもう負けないよ」

 

「そういうの、死亡フラグって言うんだよ」

 

 

やはりダイゴとの会話は楽しい。どんな発言にも良い返答をしてくれる。

 

同族嫌悪なんて言葉があるが、私にはあれは多数派のエゴにしか聞こえない。切磋琢磨するには別の考えが必要であるから、同じ考えを嫌うのだ。これは本能的と言ってもいい。

 

だが自分の立ち位置が圧倒的な少数派だったらどうだろうか。それこそが私とダイゴの立ち位置であり、加えるならマサキだってそうだ。

 

私達は頭が良いゆえに普通の人とは話が噛み合わない時がある。俗に言う変態かな。ダイゴには〝石集めオタク〟マサキには〝善良なマッドサイエンティスト〟そして私には〝研究戦闘狂〟

 

……ダイゴだけなんかかっこ悪いな。まあ見てくれは良いのでこのくらいはイケメン税として払っておいてくれ。

 

 

 

 

『 レディースアンドジェントルメン!!いよいよホウエンリーグチャンピオンダイゴVSカナズミ校トーナメント優勝者コゴミ&エニシダ、開幕だァァァ!!!!!』

 

 

 

 

ウオォォオ!!!とスタジアムが揺れるのがわかる。それだけダイゴの人気がすごいのだろう。ここの観客は恐らくダイゴがどう勝つかにしか興味が無いのだろう。

 

ならばそれを覆したくなるのは世の摂理である。

 

「コゴミ、多分ダイゴはどっちかにメタグロスを出してくる。私との試合でメタグロスを出さないわけがないからね」

 

「エニシダの自信も凄いね…。で、どうすればいいの?」

 

「簡単だよ。攻撃するポケモンをまずは2人でメタグロスだけに絞ろう。もう片方は極力無視をするんだ。サイドンなら何回かの攻撃はヘラクロスを庇っても耐えられる。コゴミのヘラクロスにかかっているんだからね」

 

「そっか。了解!頑張ろうね!」

 

そういうとコゴミはヘラクロスをモンスターボールから出してヘラクロスに話しかけた。

 

私も見習ってサイドンに今回の作戦の全容を教える。

 

 

 

 

 

『 さあ、そろそろ始まります!勝つのはやはりチャンピオンか!それともカナズミ校の主席が番狂わせを魅せるのか!間もなくです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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