<アインクラッド>それは、茅場晶彦によって作り出された仮想世界の鉄の城。1万人もの人を巻き込んだデスゲームの舞台。
VRMMORPGというそのジャンルに日本中のゲーマーが期待し、その世界の始まりを今か今かと待ちわびた。
____だからその日、このゲームが死の世界に変貌するとなど誰1人として疑わなかった____
「これは、ゲームであっても遊びではない」
巻き上がる悲鳴。荒れ狂う広場。集まったプレイヤーに告げられた真実に、誰もが絶望した。
その絶望の中でも、立ち上がり戦うプレイヤーがいた。「攻略組」そう彼らが呼ばれるようになったのは、いつ頃だっただろうか。彼らは勇敢に敵に立ち向かい、巨大なボスを打ち倒し、最前線を推し進めてきた。HPを全損することが死につながるその世界で戦うことは、それこそ死にに行くようなものだ。しかし、誰かが戦わなければこのゲームは終わらない。
これは、死と隣り合わせのこの世界を生き抜いた少年と少女の物語だ。
「どうして..私なの?」
そんな風につぶやくのは、いったい何回目だろうか。そんな答えのない質問の答えを探しながら、私はこんな世界に来てしまう前の自分を思い出していた。
思い返せば、私はいつも縛られていた。幼い頃から母は厳しく、マナーや態度は徹底され、いつもお勉強をしていた記憶しかない。きっとお勉強を頑張れば幸せになれる!そんなことを思っていたあの時の自分は、本当に馬鹿だったと思える。友達からは陰口をされ。親からの愛は見えず、嫌いな人と結婚するかもしれない。きっと自分は、親のキャリアのためだけに生まれてきたのだと思う。
だから、この世界に惹かれてしまった___
このゲームのことは、ある程度は知っていた。現実と区別がつかないほどの高画質なグラフィックや、自分の剣1本でどこまでも戦い抜けるという世界観が話題を呼び、ベータテストの当選率は、それこそ雀の涙ほどだったらしい。そんな情報がどこから入ってくるかというと、私の兄さんだ。兄さんは仕事で忙しいけど、帰った時にはいつも優しくしてくれて、そんな存在は私の支えになってくれた。その兄さんもこのゲームに魅せられたようで、最近はよくこの話をしてくれる。私はその話の中でも、印象に残っている言葉があった。
「あの世界は現実とかけ離れていて、自由なんだよ!」
自由.....その言葉は、私を夢中にされるには十分だった。
(兄さんに頼んで、こっそりやらせてもらおう!)
私がこんなに何かを楽しみにしたのはいつぶりだろうか。そのゲームは私の脳から全く剥がれず、いつでも思い出してしまった。
そして当日、兄さんは運悪く出張が重なり、兄さんのベットの上にはポツンとナーブギアとソフトだけが置かれていた。私はやりたかった。そしてもう止まれなくて、気付いたら自分の部屋にナーブギアを持ち出していた。
(兄さんごめんね)
心の中で謝り、その言葉を発する。
「リンクスタート」
それが、この世界に私が来た経緯。今は宿屋にひきこもり、モンスターから怯えて暮らす毎日だ。昔の自分と今の自分で、どちらがましかを聞かれれば...私は答えられないだろう。どちらも怯えていて、とても情けなく思える。
(それならいっそ、モンスターにやられて華々しく散る方がいいかもしれない)
最近私は、こんなことを思うようになった。外から助けが来る気配もなく、2週間たった今でも第1層が攻略されたという話は聞かない。それなら、自力であがいてそして終わらせよう。意思は固まった。
そしてその日、私は外に出た。
途中、武器屋に寄り一番手に馴染んだ細剣を買い、無料配布されていた攻略本を手に取り街を出た。
それから私は、ずっと戦っていた。迷宮区のとあるフロアに潜りひたすら敵を倒した。その頃にはもう、なにも思わなくなっていた。そしてまた敵が現れる。
「グァァァッ」
「!!」
今度の敵は何かが違っていた。そうだ、肌の色が青みがかっていて不気味な感じを醸し出している。
「ハァァア!」
私は剣を振るう。しかし、いつもよりも相手のHPが減らない。きっとレアモンスターなのだろう。
「えっ」
そして、そのモンスターは、特有の攻撃方法を持っていた。私は不意をつかれ、剣を離してしまいその場に倒れる。もう私のHPは残りわずかだ。そして真っ先に浮かんだ感情は、
(嫌だ!嫌だ!死にたくない!もう私の人生は終わりなの?)
現実逃避と絶望だった。それでも敵は無慈悲にこちらをにらみ、最後の攻撃の構えをしている。そして、その剣が振り下ろされ体に突き刺され___
「ガキィィンッ!」
__ることはなかったようだ。少女は力を振り絞りそちらを見ると、自分と同じくらいの年の少年が勇敢にモンスターを相手取っていた。そして、彼女は心を突き動かされた。その少年の勇敢さや、剣舞の美しさに憧れを抱いた。
(どうして君はそんな風に戦えるの?どうして強くないの?)
彼女自身、モンスター相手に震えていたわけではない。しかしそれは、ただいつ死んでもいいと躍起になっていただけだ。しかし少年の剣技からは、誇り高い騎士の闘志のようなものも感じられた。そして少年の剣に青いライトエフェクトが光り、スキルを駆使して敵を倒し他のと同時に、彼女の視界は疲労で黒くシャットダウンした。
光が眩しい。気付いたら、自分は迷宮区外の草の上で寝ていた。そして横を見ると、なんと髪をピンク色に染めた同年代らしい少女がいた。
「えっと...あなた大丈夫?」
その子が覗き込むように聞いてくる。
「だ..大丈夫だよ。私はアスナ。あなたの名前は?」
「リズベットよ。リズって呼んで」
彼女はリズベットというらしい。しかし、まずは聞いておかなければいけないことがある。
「えっと..リズ?私を助けてくれた人はどこ?」
「え?あの人私にアスナを預けたらどっかいっちゃったけど、あなたの仲間じゃないの?」
「えっ!」
なんと彼はいってしまったらしい。名前も聞けず、お礼も言えないとは....
「まあ、ここであったのも何かの縁ということで、よろしくねアスナ!」
「うん!よろしくリズ」
そして、私とリズは知り合い、この先も親友として過ごすこととなる。
そして、私はこの日決心した。あの勇敢な剣士を目指しいつか出会ってお礼を言いおう。
この1日は、アスナが親友と憧れに出会った日で、アスナにとっての「始まりの日」だった。
こうして物語は始まり、少年少女たちはそれぞれの道を歩き始めた。
果たして彼らはこの<ソードアートオンライン>の終わりに何を見るのだろうか
それはまだ誰も知らない.......
はじめましてzezeraです!このプロローグは正直、最後以外原作沿いのアスナ視点でしたが、次からはオリジナル要素が入っている....はずです!というか第1層から原作と少しだけ分岐がありましたね(笑)不定期更新ですが、暇つぶし程度によろしくです!