<あらすじ>
鍛冶屋兼アスナの親友のリズは、アスナが明るくなっていることに気づいた。アスナが変わった原因は、数日前の第49層フィールドボス攻略まで遡るが、悲劇の攻略の後に、明日なに一体何があったのか?
「もういやだよ....」
ここは49層の南端のフィールド<白霧の森林>だ南の荒れ地を抜けた先にあるこのフィールドでアスナは、走っていた。
第49層層攻略戦で犠牲者を出してしまったとき、アスナの中で何かが壊れた。いや、正しく表すのなら、溜め込んでいたものが爆発したという感覚だろう。
溜め込んでいたもの....それは、「恐怖」「激怒」「責任」「嫉妬」etc....
死と隣り合わせの世界を恐れ、そんな情けない自分を怒りこのゲームに挑戦した。
いつしか自分にかかる責任や期待の声は増え、平凡な毎日を送る他人に嫉妬した。
__それらの感情は、まだ16歳の少女には重すぎた__
彼女は逃げ出したかった。「自分のミスのせいで人が死んだ」という事実を現実逃避し、ただただ何かにすがりたかった。
そんな彼女に残ったのは、「この世界を早く攻略して元の世界に帰る」といういつからか芽生えていて、今では心の奥深くまで根付いている使命というべきものだった。
ウォァァアッ!
気づくとモンスターが目の前に姿を現し、声にならない雄叫びをあげている。しかも一匹ではない。二足歩行の植物のようなモンスターが十匹ほどの群れをなしていた。
他人が見ればかなり危険な状態だ。閃光の異名がつく彼女であっても、最前線のモンスターに10対1で挑むなど無謀すぎる。
しかし彼女が思ったのは
___ああ、敵が来たのか___
それだけだった。しかし次の瞬間に起きた出来事は、モンスターも、アスナさえも予想できなかった。
ズバズバッ!!
一閃。
10はいたはずの敵が半分になり、アスナは自分がいた場所の反対側に移動していた。モンスターは、アルゴリズムが壊れたかのように一瞬ふらつき、アスナを見つけた時には驚愕や恐怖の表情で睨んだ。
(今何が起きたのだろうか...)
アスナはどこか他人事のように考えた。今起きたことといえば、いきなり視界が変化して、敵が切られていて剣を抜いていた。それはきっとものすごいスピードで攻撃し、なぎ倒したということだろう。そして、心当たりがあることを思い出す。そう。それはまだ団長以外の人が誰も手に入れていない<ユニークスキル>の一つ。<神速>の詳細と同じだ。アスナの頬が片方だけ少しだけ上がる。自然と笑いがこみ上げてくる。どちらかといえば乾いた笑いだが、どうしてそうなったか。本人もわかってはいないが、きっとモンスターを圧倒し、一掃する手段が見つかったことを心が歓喜しているのだ。そして、自然と言葉が出ていた。
「私は今日から閃光じゃないわ。私の異名は、『速神のアスナ』よ!」
瞬間アスナがスキルを使い敵を切り裂く。直後、後の五体も倒れ、断末魔だけがこの地に残った...
ピキ....ピキピキッ....バァァアン!
...わけではないらしい。
今の効果音の正体は、地面が割れ巨大なモンスターが出現した音だった。
『the-sweet-perfume』というそのモンスターは、大きかった。きっとさっき戦ったモグラくらいにはでかい。そして驚くべきことにそいつは超越種設定されていた。モンスターには四つの種類分けがなされている。一つ目に一般のモンスターが通常種。続いてレアモンスターが希少種。ある特殊なクエストなどでしか出ないなどの、ボス格モンスターが個体種。最後にフィールドボス及び、フロアボスが超越種という。それが指す事実。それはつまり、つまり
___アインクラッド初のダブルフィールドボス___
「まったく..この階層のモンスターは穴から出てくるのが好きなのかしら?」
モグラとこの植物に共通点を覚え、ボスを目の前にして緊張感がなさすぎるセリフをつい言ってしまうくらい、アスナは自惚れているわけではないのだが、今アスナは内心言い表せない感情を感じていた。それは、いわゆる破壊衝動に似た何かだ。だから彼女はしてしまった。フィールドボスとのタイマンを。
しかし、始まってみれば圧倒的だった。神速を使い背後に回り攻撃。振り向いた敵のさらに背後を取る。その繰り返し。ボスが防御力重視だったためさすがに瞬殺とはいかないが、わずか10分程度で相手の体力は残り一本を切り、最後のHPバーの半分まできていた。そしてボスの形状が変化する。蕾が花開き、そこから棘が噴射された。ボスは基本レッドゾーンで暴走するが、一本の半分でくることもあるためアスナは避けられた。そして少し離れたところから観察する。すると、花の中心点が赤く光り、明らかな弱点となっているのがわかった。瞬間アスナはスキルを使い、花の中へ一瞬で潜り込む。
しかし、次の瞬間にその策は失策だったと叩きのめされる。
弱点だった位置が光り、一瞬にして吹き飛ばされてしまう。あまりに急だったためスキルを発動することもできず、もろにブレスを受けてしまった。
「がは!?」
アスナは地面に叩きつけられる。そしてそれとともに受けたことのないほどの痛みが襲ってきた。
神速は、それこそ永遠使えれば最強になり得るスキルだ。しかし、デメリットはもちろん存在する。神速の場合、酷使の反動だ。数分すれば起きるその痛みを、感覚を麻痺したアスナは受け付けなかった。しかし10分以上も溜まっていた痛みがいきなり襲えば悶絶するものだろう。
そんなこととはさて知らず、モンスターはアスナに歩み寄り、再びブレスの構えを取る。
(ああ...もうここでゲームオーバー....か..)
アスナは死を覚悟した。どうしてこんなに軽くできてしまったのかもわからないが、覚悟はできた。
ブレス特有のエフェクトが光り、アスナが死を覚悟したそのとき、
ズバッ!.....
回避不可能と思われたブレスは一本の剣に切られてしまった。
そしてアスナは目の前の光景を見て、既視感に襲われた。
はい、いかがだったでしょうか?この作品について色々と補足しなくてはいけないことはあるのですが、順に説明します。
まず、全体的にアスナさんが結構痛い人になっていた....精神が不安定設定とはいえ、異名を速神にするくだりは、無理やりすぎたかなとものすごく自分でも思います。ただ、キリトさんとアスナさんの異名は企画段階からオリジナルにするつもりでして、そのタイミングとしてここくらいしか思いつかなかったんです(泣)
次にユニークスキルについてです。自分の設定では、アスナさんに神速を持たせ、神速にデメリットをつけました。神聖剣や二刀流はもともと扱いづらいことに加え、二刀流は防御が薄くなるというデメリットがあり、神聖剣も正直スカルリーパーの鎌とかを動揺せずに受け止める精神力が必要なので何気にデメリットが多い気がしますが、ほぼ瞬間移動(だと思っているだけ)の神速を無限に続けられたらそれこそチートなので、酷使の反動というのをつけました。その他不明な点などあれば指摘していただけると幸いです。
それではまた次回♪