遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
デュエルなしです。
サベージ・ストライク買えました
シンクロは2体とも当たったんですけど[強欲で金満な壷]が当たりませんでした。シングルで買うには高すぎるので様子見します...
◑聖帝大学 / 午前2時30分
「なんだと...?」
《法律学部生支援棟付近に居たのは
藍原からの通信で大神に戦慄が走った
肝心の
大神や辺りの黒服達が口を閉ざしたままでいると、何処からか小さな笑い声が聞こえてきた
そのジャヴィからだった
彼は聖帝の地に大の字で倒れたまま、小さく鈍い声で嗤っていた
「はっ...はハっ、ゲホッ.....流石...
「...」
「私ノ...敗北でス.....がッ、凡そ作戦通リでショウ...ッ」
その時、大神の脳内に1つの稲妻が轟いた
この4日の間に多すぎる情報が飛び交い、混乱していたのかもしれない。知らず知らずに勝手な憶測以上に考えよしなかったようだ
他の可能性について
「...結論から言います。今回の騒動は
アンカーとシャフト
中級者と
服装と«цпкпошп»は共通しているが、おかしな特異点は見られていた
「実は我々
「ガルナファルナの内通者が
協力関係または同盟のようなものがあるのかと思われていた。ガルナファルナからの情報によって赴いたにも関わらず、
意識せず大神は自身のその推測を口にしていた
「模倣犯...」
「ふ、ふフッ...その通リでス.....ッ」
ガルナファルナ内部に居たジャヴィが内通者の役割を担っていたのなら、
しかし第一次日食で捉えた黒服の男達全員が
犯行順番ではガルナファルナが模倣している事となり、これは矛盾している。模倣犯が先に事件を起こすなど笑い話だ、不可能且つ現実的でない
「クっ.....ふはっ...」
「...」
ジャヴィからはもう有力な情報は得ることが出来ないだろう。限界を迎えた意識は闇に沈んでしまったらしい
だが他にも
そしてこれは日本と
何れにしても事態は複雑化している
これに関してはこのジャヴィを含めた捕虜の尋問を続ける事がてっとり早く思えるが、それ以上に早急に対応しなければならない事は既に起こっている事を思い出した
ガルナファルナから得た第三次日食の時が過ぎている。
目に映る範囲でゲートは確認出来ていない
ジャヴィが大袈裟に開閉を行っていたのに目を奪われていたが、それもミスリードだったのだろう。そもそも
「おぅい!大神さんよ!」
「鬼禅か...」
大神の安否を確認に参った鬼禅と蛭谷が、
その鬼禅が報告をする前に大神は藍原から通信を受けた事と、
そして自身の見解も同時に示す
事態は予想以上に急を要する事を理解させると、漸く
「おいおい...参ったな、
「と、とにかくコイツらをやりましょうよ!」
「あぁ、その通りだが...」
漸く判明しだした敵国の作戦と目的だが、まだ大きな矛盾がある事は大神自身もよく分かっている
謎が謎を生み出すこの悪循環の最中に、3名の戦士達の
まずは目の前の敵を排除する
何よりも優先すべき事だった
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◐月下-
真夜中に染まった月下
時差がほぼ無いため日本と同じ様に深夜の刻にある。だが本部は眠らない
明かりの消えた部屋は少なく、忙しなく部下も幹部もボスである知樹ですら眠りにつくこと無く作業に追われている
だが、それも特定の人物らだけのようだ
他の部下や中には幹部ですら暇を持て余している者達も数人は見られる。だが共通して誰しもが睡眠を取ろうとはしていなかった
「...あぁ、眠い」
月明かりさす廊下を
何か目的がある訳では無いが、恐らく
すると気がつけば
だがその付近に誰も居ない事に気がついてしまった
バシュが室内にまで入っているのだろうか。
それよりも
ノックして起こしてしまったら申し訳ないと、後で確認でもしようと頷いた。基本的に
色々と頭を過ったが、結局素通りを決める事にした瞬間ゆっくりとその扉が開かれた
彼女もまた時刻や辺りを気にしているのか、静かに控えめに廊下へと現れた
「...希望の嬢ちゃん、どうかしたんか?」
「あっ、え、えとすみません...」
「どうか警戒しないでくれや。何か困ってんなら対応するぜ?」
「こ、困るって言う程では無いんですけど...」
歯切れの悪い様子でシッドと対面した詩織は、閉めかけていた扉をまたゆっくりと開いて室内の様子を見せた。
明かりの消えた詩織の部屋にはバシュが眠っていた。役目を放棄し、挙句に希望の部屋で眠るなんて事を普段の彼女なら間違いなく行わないだろう。シッドには分かっていた
「どうりで戻って来ない訳だ、ずっと希望の嬢ちゃんに付きっきりだったんだな。んで、寝てもいいですよーとか言った瞬間こうなんだろ?」
「は、はい。すぐ寝ちゃいました...」
「了解、了解。俺が連れていくぜ、シーツとか部屋はこのままでいいのか?」
「あっ、いえ!」
バシュを起こす訳ではなく、連れていくと言ったシッドもまた優しい男だった。仮眠室かバシュにあたえられた一室に運び、希望の部屋を開ける選択をしたがそれは本人に断られてしまった
何を言うのかと詩織の言葉を待つと帰ってきたのは「そのまま寝かして置いて欲しい」との内容だった
「それじゃ希望の嬢ちゃんが寝れないだろ。それとも2人で仲良く同じベットで寝るんか?」
「な、何だか寝付けないので...別にいいんです」
「.....そうかい」
希望の意思を尊重した
バシュへの優しさからの願いならそれを成す。シッドにとってはそれだけだった
そしてここからはシッド個人の行動だ
眠れないとは奇遇だ
「寝れないなら少し出るか?」
「出るって...何処へ?」
「流石に下町までは行けねーが...ここにら屋上もあるんだぜ?夜風が気持ちいだろうに」
「...」
月下に来てからというもの半引きこもり状態だった詩織を気遣っているのか、はたまた自分も眠れないからかシッドは夜の散歩に誘った
詩織とて遠慮してあまりで歩いていなかった。あまりシッドの事を知らない事もあり、その提案を断る事は念頭に無かった
ーーー
ーー
ー
◐月下-
「手すりはあるが暗いから気をつけてくれよ」
「はい...」
屋上は意外にも充実している
灰皿やベンチは分かるが、パラソルやハンモックまであるのには詩織も驚いた
するとシッドはそのパラソルの付近にもう1セット休息空間を作り始めた。慣れた手つきであっという間に完成する様を見ると、シッドが勝手に作った物だと直ぐに納得した
新たに作り上げた方へと詩織を誘うと、自身も使い慣れたハンモックに腰を下ろした。詩織も倣って腰掛けるが、想像以上にリラックス出来るそれだった
「ありがとうございます...」
「おぃおぃ、誘拐されてるんだぜ?お礼なんか言う立場じゃないだろうに」
「そうです...かね」
詩織の気が滅入っているのは
そして誘拐等と自称気味に使われる単語も、自分がそれに当てはまっていないと理解している上で慣れていないようだ
「あの...シッドさんでしたよね」
「あぁ、SIN名はな」
「あっ...やっぱりその名前は...」
「気にしないでくれ。呼びやすい名前で呼んでもらえればいい。それでなんだ?」
詩織は
本人も特に気にする様子も見せていない。やはり慣れないが、シッドと呼ぶまま当初の質問に戻った
「シッドさんは...月下に連れてこられた事を...その、どう思っているのかなって」
「怒ってんのかって事か?」
「それは...まぁ、そうです」
「俺に関しては無いな。日本にいた時から地獄だったし」
「日本でもですか」
「とんだブラック企業だったんだよ、ネットとかで見る類なんかまだ可愛いと思えるぐらいにな」
「...お聞きしてもいいですか?」
「まぁよく聞く話は一通りやられてるな。俺の場合は物理的に会社に拘束されてた。外に出れるのは営業とか配送時ぐらいだし、誇張無しで眠る時間所か飯も満足に食えなかった」
「...」
「それに耐えきれずに辞める奴は病気か逃亡しか手段がないんだが、俺はタイミングを逃して取り残された。最後の何でも屋を逃さないためにまぁアウトローな手段を取られたもんだ。日記まで読まれるし、朝起きて生きてる事に絶望するぐらい地獄だった」
「そ、それは...」
「サイブートっつーでけぇ親会社の息がかかってたんだよ。だから些細なパワハラやらはそこんとこの社長さんの伝で警察内部にもみ消されてた。あ、そもそも入社したきっかけか?同じ系列の他の企業で正社員採用されたはずなんだが、気付いたらあの会社に配属されてた。端から全部出来てたんだよ」
あまりにも饒舌に語る姿を見ると、本当はお喋りな人間なのかとも疑える。だが楽しい話題ではなかった
詩織が唖然としていると話しすぎたとシッドは自粛しだした
一瞬沈黙が生まれる。その時シッドはいつの間にか用意していたマグカップを詩織に差し出してきた。中身は牛乳のようだ、傍らに様々なボトルや調味料がある事から話しながら作っていたらしい
手に持つと熱が伝わってくる
シッドお手製のホットミルクだった
「あ、いただきます」
「熱いぜ」
特別猫舌では無い詩織は暖かいまま味わう事が出来る。ただのホットミルクかと思って口に含むが、それは想像以上の美味だった
砂糖の甘みではない。メープルの様な優しい甘みが口の中を巡るが後味はスッキリと飲みやすい
表情に出ていたのか、シッドは投入されている甘味料やスパイスやハーブの説明を始めた
中には聞いた事の無いものもあった
肝心の甘味を担うその分量は意外にも少ないらしい。そう語ると得意げにカロリーを気にするなと自身も飲み始めた
「眠れない時に試行錯誤してたんだよ。頭痛で寝れない時はこれがいい。疲労なら生姜とかもいいが、精神的なものには何にもできない」
「...おいしいです」
本音だ
詩織がこの地に慣れないのは居心地が良いのもあるのかもしれない。心地来てから不便に感じた事など無く、シッドのように誰もが丁寧に接してくれる
だからこそ心が痛かった
そんな事を知らない夜風は、マグカップの熱と相まって心地よく靡いている
「希望の嬢ちゃんよ、実は今日日本に帰れるんだよ」
「.....えっ!?」
突然過ぎて理解が追いつかず、辛うじて驚きの声だけ上げることが出来ただけだった
近いうちに、ではなく今日
日付が変わっているからだろうか、唐突すぎるスケジュールにシッドが何を言いたいのか分からなかった
「実は
「それって...私達を解放するって事ですか?」
聞かなくても分かっていた
だが聞かずには居られ無いまま質問を投げかけていた
「いや、俺達は全面的に戦う。全面戦争...あちらさんは日月戦争と言っていたが、まぁそういう事だ」
「...勝てる自身が無いって事ですか」
あまり使いたくない言い回しだったが、それ以外に聞き方が思いつかない。戦う決意と、捕虜の解放とはそういう事では無いのかと
シッドは態度を変えないまま答えた
「あんまり言いたくは無いが、日本のプロでも俺ら
詩織はあの会食時に全て聞かされている。故にシッドが使用した”真の適合”も、彼らのデッキの事を言っているのだと知っている。禁止・制限に隠された危険性についてもだ。
そして自身も
「...まぁ、俺らが勝っても負けても希望の嬢ちゃんは家に帰れるぜ」
「どうしてかは分からないんですけど...」
「それに関してはな....まぁ、今は捕虜が必要無くなるからとしか言い様がないな」
懇願すれば教えてくれそうな態度だが、本当に言いたくないのは伝わっていた
あらかた説明はされたが、これも含めてまだ分からない事もある。だが時期が来れば必ず明確になるような言いぶりに今はこれ以上追求しないでおくに納得しておいた
「...そうだ、希望の嬢ちゃんに隠すつもりは無いから俺の見解を話すか。
「序列...ですか?」
「序列って言ったけど要は強い順って感じかな」
本当に世間話のつもりらしい
「俺が思うにバシュの嬢ちゃんは«цпкпошп»と相性こそいいがまだ経験が浅い。んでカムイの旦那やガンリの姉ちゃんらはそれより少し上ぐらい。比較的下の方だな」
「か、カムイさんが...っ?」
「勿論強いんだぜ?だが多勢に向かないし他のぶっ壊れ達の比べると目劣りする印象があるな。まぁプロには負けないと思うし、カムイの旦那なんかは日本の希望2人とも倒しちまってるしな?」
同じ階級から同じぐらいの強さだと推測していたが、当人によって否定の様に告げられた
詩織は
他の
それなのに自信のある発言だ
彼なりの仲間への信頼なのだろうか
「おっと、気を悪くしないでくれよ。カムイの旦那がずりーだけだ。«цпкпошп»と禁止・制限無視なんか初見じゃまず無理なんだからよ」
「い、いえ...それで他は」
「そうだな.....次にグラスの姉ちゃんかオキナの爺さんだな。あの二人に至ってはアドがおかしい。んでジャヴィの兄ちゃんだな」
「ジャヴィさんって...居ましたか?」
「そいつはガルナファルナに居てうちの内通者を担ってる。今頃は日本に攻め入ってる頃じゃねぇかな」
淡々と語っているが、恐ろしく思えていた
一人一人がお墨付きの強さを誇りつつも、
それにまだ知樹も残っている
「...シッドさんはどうなんですか?」
「あぁ、俺か」
意図して避けていた訳ではなく、単純に自分について忘れていたような反応だった
どちらだろうか
語るほどではないのか、そのジャヴィと言う人物よりも上だという自信があるのか
気がつけばシッドの話に夢中になっている。人の興味を引くのが上手い話し方だ
「俺は先攻が取れねーとなんも出来ないかもな」
「そうですか」
「だが、まぁ」
彼のデッキについて何も知らないため彼自身の発言のみが判断材料となる
先攻に強いデッキならメタビートか
色々と考えている間にシッドは一呼吸置いて続けた
「俺が絶好調だったら誰にも負けねぇな。他の
そう言い残してシッドはマグカップを高くあげた。そのまま残りのミルクを飲み干すと、詩織に悪寒が走る
夜風によるものであると信じたかった
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◑日本-聖帝大学 / 午前3時26分
「終わりだぁ、[邪神ゲー]で«цпкпошп»に攻撃!」
「うわぁぁっ!」
LP 1200→0
«цпкпошп» LOSE
「はぁ...はぁ.....こっちも終わったっす!」
「良くやった、こっちも終いだ!」
「一度彼らと合流しよう」
鬼禅と蛭谷の加勢も加わり、ジャヴィの部下達も並んで殲滅に成功した
藍原の報告通りならこれで聖帝に侵入した
大泉の
既に30分近く経過していた
焦るばかりだが、じっくりと構内を探す時間も人員も足りない
何もしない時間が勿体ない無いと考えたのか大神ら3人は一先ず他の
考え事は移動しながらでも可能だろうと
「...蛭谷君と鬼禅、君達は今回の日食についてどう考える?」
大神は自身が一足先にたどり着いた犯行を先駆けする模倣犯について語りつつ助力を求めた
2つの部隊が協力関係では無い事
それだと言うのに
さらには内通者から得た情報を頼りにガルナファルナよりも先に日食を起こす必要性
材料は揃った
そして蛭谷に問うたのには彼が法律学科である事も少なからず関係していた。学生だが専攻している分野だ、何か多角的な視野からの意見は無いかと期待している
「...模倣犯における心理なら動機に賛同したか、犯行の手口に魅了されたかが考えられるっすね。後は犯人への憧れや、自分と重ねて自らをその犯人だとまで錯誤する場合も...」
「後は罪を片方に押し付けるか、か?」
「そうっすね。前者なら共通して日本を敵対しているのが前提っすけど....後者が自然じゃないっすか?」
「あぁ、私もそう思う」
新しく得られるものは無かった
三次日食を予測できたまではスムーズに進んだはずなのだが、気がつけばまた一難やって来ているのだ
振り出しに戻っている
やはりいると思われるガルナファルナは虱潰しに探し出すしかないか、そう過った瞬間他の
まずは優先した合流を果たす事が出来た
「大神さん、ご無事でしたか」
「あぁ、だがこちらも囮とはな...皆聞いてくれ」
部下や引退した藍原、さらには急遽加勢している東野や蛭谷まで混じえて今まで出来事を話した
実際に
だが皆の反応は蛭谷らと同じく解せない様子なだけだった。仕方なく本部に応援を要請するかと端末に手を伸ばしかけた時、大神は1人だけ異なる反応を見せる青年を見つけた
東野だけが何か深く考える素振りをしている
「東野君、何か分かるのかね?」
「.....い、いえ僕なんかが...」
大神はその謙遜を皇帝と捉えた
正しいかは分からない、だけれど気になる点はある。しかしそれを
大神は彼がそう自分を過小評価しているまで見切っている。だからこそ彼の見解が聞きたかった
大神が無言で彼の目の前まで歩み出すと、東野はまるで説教を受ける子供のような、怯えともとれる表情で体を小さくした
「東野君、私は君の見解が聞きたい」
「で、ですが僕なんかのじゃ間違ってるかも...」
相変わらず自信の無い様子だ
だが、大神の中では彼が何かしらの答えに近いものにたどり着いていると確信すらしていた
「君の”思潮学”のレポートを読ませてもらった」
「...え?」
「良い出来だったよ。世界各国の視点や思想を尊重し、考えられる物事を的確に捉えまとめられていた。A評価で異論は無い」
「そ、それはありがとうございます...ですがなんの関係が?」
大神の瞳は知らぬ間に教師の眼になっていた
だが彼の言う思潮学は彼の担当では無い。学生時代心理学を専攻していたからか、はたまた東野を個人的に評価していたのか読破済みだったらしい
それをふまえてなにか語るようだ
「だが君本人の意見がほとんど無かった。実際に起こった事、故に過去ばかり見ている。自分に自信が無いから自分の考えを語れないのだろう?」
「それは...はい」
「どんなに酷い出来でも構わない。単位を落としたりしないから言ってみなさい。私が聞きたいのだよ」
奇しくも聖帝構内で学生と教授らしいやりとりとなってしまった。だが東野を説得するのには充分なものだったらしい
意を決したように東野はまだ分かっていないと断り、自身の見解を口にした。今ある情報を元にした、彼が考えたの可能性について
「模倣犯の心理については...僕も同意見ですが...」
「
「いえ、そうではなくて」
随分早い段階で東野は異論を唱えるようだ
控えめに発言されたそれは、今までにない新しい意見だった。
「罪を押し付けるだけなら
「...」
「僕は、協力関係を示唆して混乱させるのが目的だと考えました。最悪
「道連れも厭わない...ってことか?」
ハッキリと放ったが、鬼禅は少し解せないようでまだ理解しきれていない様子で東野に別の言葉を用いて確認した
道連れという単語に東野は苦い顔をしながら一度は工程した。が、少し考える素振りを挟むと新たに訂正を挟み出した
「...
「あぁ、大泉の報告では他の部下にも
「秋天堂さんの報告では、ガルナファルナは生贄の事を希望と呼んでいるとありました。それってその実験の被験者の事だと思います。そして
「...ふむ」
「その
大神は一足先に東野が何を言いたいか理解した
通常では考えられないそれだが、可能性は考えられる
だが東野の言葉を待っていた
「それなのにその後付の
「...ガルナファルナに紛れて技術の奪取を企んでいたって事かね」
「それだけでは無いです。日食の目的がその希望、被験者の収集だとしても一次から三次まで全て聖帝が狙われるのはおかしいです」
「それは...聖帝内部にも内通者がいると?」
「僕は反対だと思います。聖帝にどうしてもガルナファルナが手にしたい何かがあるけど内通者が居ないことから困難な状態なんだと思います」
今のところ辻褄があっている
ガルナファルナは聖帝にある何かが欲しい
前者はガルナファルナが日食を行う時に便乗して手にしようとしている、と。
「少し前から日本のプロ
「...成程。ガルナファルナは初めから全面戦争をするつもりだったというわけか」
「おいおい大神さん、俺らにも分かる様に話してれよ」
東野は自分の考えと、事実を踏まえて順序よく語っている。が、察しのいい大神は一気に結論まで辿り着いてしまった
無論早すぎるそれに鬼禅は素直に理解出来ないと告げる。黙ってはいるが、他の部下達も同じ思いなのだろう
話者は一時的に大神へと移った
「
「あぁ、それで」
「ガルナファルナが日本と戦争する理由は置いておくが、
「....日本は
自然と東野が説明役に変わると、漸く鬼禅らも話の本筋が見えてきた。
「ガルナファルナが日本に戦争を仕掛けて来ないのは...単純に勝てる見込みが無いからだと推測します。月下が日本から本部を奪ってる事から
「...だとするとガルナファルナが脅威だと考える日本にあるもの....それを除去するために聖帝に?」
「はい、僕はそう考えました。大神さん、聖帝にそういったものはなにか...?」
「...」
今度は大神が考える番になった
自身が運営する学びの箱
そんな中に国一つが怯えるようなものがあるのか
だが、大神は
「...二代目」
「はい?」
「聖帝から出た二代目
「...ガルナファルナが日本の
「...留学生や海外キャンパスの生徒のデータもある。そのデータは暗号化され安山総帥に直接送っている...中身を見るなら聖帝だ...っ!」
ガルナファルナが日本から奪おうとしていたのは情報。さらに言うと
日本国内最強の
そんな事をわざわざ聞かなくともその場にいる誰しもが理解した。
「...A班は資料室へ!B班は教授室のある建物を当たれ!私は学園長室へ向かう!」
「「「り、了解!」」」
「数名は捕縛した
命令を静寂の闇夜に放つと、大神は既に走り出していた。
一次日食も二次日食もミスリード
聖帝や、関東の大学の生徒を狙っている様に見せるためだけのものだったのだ
全てはこの三次日食における隠密作戦のため
そして
一次と二次
今しがた殲滅し終えた
四重の囮作戦となる
既に戦争は始まっているようなものだ
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
◐月下-??? / 午前3時42分
景色が変わり始めた
夜眼が効き始めた慎也の足取りは随分慣れたもので、予定より早く待機が可能になりそうだと安堵していた
だが見えたものはまた森
よく見ると川のようなものもあるが、結局の所慎也は月下に来てから小さな集落と自然しか見ていなかった
「はぁ...はぁ...あそこか」
通話を延長した端末を仕舞うと、いよいよあと数キロメートルの所まで辿り着いた
少しは休めそうだ
これから戦争だと言うのに慎也の体は悲鳴をあげる勢いで疲弊している。椅子に座るだけでもいい、可能なら軽い食事や水分補給もしたいところだ
ーーー
ーー
ー...
ズズズ...
バギィッ!
ドゴゴゴッ!
突然聞いたことも無いような爆音が轟いた
何かと思い辺りを見渡すと、今度は地響きが連なった
明らかに異常事態だ
考えるよりも早くその場から駆け出すと、また景色が変わる様子が目に入った
「なっ...なんだこれ...?」
目に見えて大地が震えている
粉塵が舞い、遠くの森からは見たことの無い鳥類が羽ばたき空へ逃げている
地震と表現するには温すぎる
踏みしめる大地そのものを破壊するかのような振動に、恐怖すら混みあげない
危険だ
体の中から何かがそう告げると同時に信じられない光景が目に映った
「なっ!?」
断層が見えた
ホールケーキを取り分けるかのように、歪な形で大地の一部が慎也よりも高く浮かんでいる
その亀裂は止まること無く辺りに走り、次第に幾つもの地割れを創り大地を荒らしだした
すると慎也がつい先程まで踏みしめていた大地は反対に沈み出す。そのまま破壊の音色を奏ながらどんどん地中へと沈んでいき、その上に割れた大地が流れ込んで行った
「っ!」
あと数歩遅ければ、危なかった所での話ではない
生き埋めではなく即死
それほどまでにこの地割れの被害は甚大と取れる
危険を告げる体内のブザーはこれ以上にないほどに鳴り響いている。21年間普通に過ごしてきた慎也にとって間違いなく最上級の窮地に対し、耳を塞ぐこと無く受け入れた慎也は命をかけ出した
このままでは間違いなく命を落とす
詩織を助ける等と啖呵切った身としてはまだ何も果たして無いうちに死ねるはずがなかった
「くっ...くぅっ!」
震える大地は走りづらい
片足を中に送る度に軸足が持っていかれそうになる
着地した足もまた大きな負荷を帯び、そのまま軸としての任を担うため慎也の重みを支える
これを右と左とで繰り返すのが走るという行為なのだが、それは通常のものよりも圧倒的に負担が違った
「あぅ...ぐっ!」
踏みしめたはずの土が沈む
着地させようと足を伸ばした先の大地が割れる
軸足のあったはずの大地が無くなる
笑ってしまいたい程に大地は不安定だった
どこを目指しているのかも分からないまま必死に走り続けるが、とうとう綻びが生まれた
「あぐっ!」
右足を軸足に変えた瞬間その足場が粉々に破損した
庇うように左足を伸ばしたが、間に合わない
虚空を蹴ったまま体勢を崩してしまった
何も出来ない足の代わりに手を伸ばすと、下半身で感じていた感触が突如消失した
「えっ...」
視線を下に移すと、そこには漆黒があった
裂け目だ
その先には死以外に何も見えず、このまま重力に身を任せ沈んでいく錯覚のみが慎也に残った
「っ!」
だが何とか右手が間に合った
全ての重みを右腕で受け止めると、慎也は大地に縋る
痛みがピークに感じられる
このまま手を離してしまえば直ぐに死ぬことが出来るだろう。大地の振動を右手だけで感じながら、慎也の中でそう過っていた
「ぐぅっ...あぁ!」
何とか左手を伸ばし、両手で崖と化した大地を掴むと、そのまま懸垂の要領で力を込める。一度しかチャンスは無いように感じた慎也はすぐ背後にある恐怖か逃げるように登る
硬い大地だ、ぶつかった腹部に痛みが走った
痛みに負けず乗りあがった右肘にも力を込めると、あとは勢いだけで流れ込んだ
危なかった
もう一度懸垂し直す体力も時間も恐らくない
転がるようにまた大地に戻った慎也はまた走りろうと前屈みで足を伸ばし出す
が、その大地が沈むほうが早かった
「うっ、うわぁぁっ!」
闇夜に青年の悲鳴が響き渡った
はい、二話に張ってあった伏線回収です!
実に2年越しの回収となりました...覚えている人いるんですかね?
ぶっちゃけどうですか?
-
読みたいからやめて欲しくない
-
読みたいけど無くなったら読まない
-
普通
-
無くてもいい
-
読むのが億劫