遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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調整で短め、デュエル無しです。


第九十八話 待ち続けた最悪な5分間

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)本部 / 午前4時55分

 

 

希望の反応が消えた

部下のその報告を理解するのに何故か時間がかかってしまった

 

これは非常にまずい

戦争が始まるよりも前に、貴重な戦力を失った事

それよりも戦いの前に死亡者が出たと等笑い話にもならない失態だ

 

予想外の災害だと聞いた

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)が確認していた決闘力(デュエルエナジ-)の災害はハリケーンだったはずなのに、何故それを誘導していた場所では無いのだ

 

疑問は沸き立つばかりだが、今抱えている問題にもいい加減向き合わなけれなばならない頃だ

 

 

「どうなさいますか...このままでは...」

 

「あぁ、作戦開始前にこの始末とはな...」

 

 

そう、今回の日月戦争における作戦は奇襲と囮にあった

日本の誇る精鋭を夜明けに合わせてぶつける。地の利と本部がある失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)が持つ有利さを、奇襲の形で補うのが第一の目的だった

 

だがそれも三次日食の存在から恐らく通用しない

ガルナファルナの部隊が日本に現れただけでなく、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の幹部まで関わった。故に失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)が日月戦争について把握しているのも最早考えるまでも無い

 

では日本に残されたアドバンテージは2つ目の囮による戦況の混乱のみとなる

日本と月下を繋ぐメインゲートを使用出来ることから行う二方向からの正面突破。だがこれにも問題があった。

既に日本を発った戦士達には伝えてあるが、その囮を担う人物が関係する

 

 

「希望が死亡したとなると...囮作戦すらも機能しなくなりますよ」

 

「分かっている」

 

 

そう、既に月下に到着し、単独行動を続けていた慎也こそがこの囮だった

 

不確定要素を孕んでいるにしろ、これには期待できる効果が多くある

人員と時間の節約がまず挙げられるだろうか

数時間前に送り出した戦士達を更に囮役と分ける必要が無いため、戦力を大胆に分配する事が可能。ゲートも1つだけ使えばいい。後にその囮と合流すれば保護の面でも事を成せる

加えて慎也の実力も関係する

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の戦力が疎らになればそのどちらかから本部へ攻めいればいい。失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)も希望と呼んでいる事から注目は恐らく慎也側に傾くと予想されている。多勢向きの皇と海堂を別の班に設定し、状況に応じてどちらかの班を回収に向かわせるつもりだった

 

そして何よりも慎也の存在事態をあちらがどれだけ把握しているかが重要

一ノ宮らを撃退した幹部の部下達はその慎也が殲滅した。あれから半日ほど経過しているため、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の人間誰かしらがまだ月下に残っている事はまずあちらも把握済みだろう

 

大泉は慎也の持つ端末を頼りに決闘力(デュエルエナジ-)を追っている。同じ技術が月下にあったとしても、その端末の存在が精度において優劣を醸し出すはずだ

 

長々と語ったが、これらは結局の所慎也が行動可能な事が絶対的第一条件だ

未だに連絡が取れない事から最早囮作戦そのものが運用不可能だと言える

 

 

「ど、どうなさいますか!予定では5分後には彼らが月下に...っ!」

 

「...」

 

 

大人数と果たして言えるかどうかは曖昧だが、大通りに続く箇所に固まっていれば本部からでも確認は用意

故に待機の選択は取れない

 

到着後早急に攻撃を開始する事が奇襲の利点に繋がる事であり、月下到着後、戦闘を開始する以外の行動全てが無謀とも言える

 

予定ではあと5分

いつ到着の報告が来るか分からない

 

 

「安山総帥!」

 

 

不安の最中に彼の名を呼ぶ声が増えた

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

◐月下-??? / 午前5時

 

 

《到着しました。気をつけてお降りください》

 

 

「さっ、皆降りるよ。静かにゆっくりにね」

 

 

秋天堂に命じられ、車内の灰田と黒川ともう一名の男性がトラック後方の開閉口から外を覗く

随分と何も無い大地が広がっている

 

呆然とそれから目を離せないでいると、再び秋天堂から急かされてしまった。仕方なく灰田が第一歩を踏みしめると、黒川も続いた

 

そのトラックに居た全員が狭苦しい車内から解放されると、秋天堂が自らの手でトラックをまた密室に施した。

 

 

「そのままここに居てね」

 

「...はい!」

 

 

待機を命じると双眼鏡のような物を取り出し、秋天堂はトラック越しに奥の景色を伺い始めた

右手に双眼鏡、左手には通信用の端末を持っており、到着の報告と月下の状況把握を同時に行うらしい

 

灰田らには秋天堂がこちらに背を向けながらボソボソと何か呟いて居るようにしか見えない

 

 

「...っ、了解しました」

 

 

予定外の事でも起きたのだろうか、あまり会話の雰囲気は良いものでは無さそうだ

やがて端末と双眼鏡を降ろすと、浮かない表情を灰田達に見せた。悪いニュースでもあるのだろうか、本人すら口にしたく無い様だ

 

 

「皆、これから作成開始まで5分だけ待機するよ」

 

「何か...あったのかしら?」

 

 

まだ月下の感触すら分からない現状に、待機を命じられてしまうと右も左も分からないように錯覚してしまう

 

何があった

囮については日本を発つ前に確認済みであるが、その囮に問題が発生したのなら彼女達にとって話は変わってくる

 

慎也は無事なのか

そればかり気になって仕方ない

秋天堂も湾曲的にそれについて問われている事は分かっていた。故にまた口ごもったのだ

 

 

「....他の部隊は無事到着したみたいだけど、村上君と連絡が付かない」

 

「それって...」

 

 

誰も名言はしないが、心のどこかで理解しているつもりだった。あくまでこれは戦争、未知の危険性が何処にどれだけあるのか分からずとも、常に崖っぷちに追い込まれているようなもの

 

そして5分という時間は慎也の到着を待つものでは無い

見切りを付けるための制限時間なのだ

非情な事だ

 

 

「彼の安否は分からない。だけど僕達は戦わなければならない事を忘れないでね...」

 

 

念を押す言葉に誰も口を開かなかった

考えたくとない事だ、否定も肯定も若い彼らに決断出来るはずもない

 

それから5分間会話など存在しなかった

友人を諦める5分間等、楽しいはずも無い

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

◐月下-??? / 午前5時5分

 

 

「ーという事だ。が、時間が来てしまった...」

 

「...」

 

 

須藤の率いる別部隊だ

従うは皇と一樹の暁星2名

 

今作戦では囮役を担う慎也の回収と合流が求められていたが、本部の指示により囮作戦は凍結された

 

つまり彼らの役割も自ずと消滅した事となる。到着後作戦の最終確認をしたにも関わらず全くの意味を持たないものと化した

 

 

「残念だが...残された僕達がやるしかないんだ」

 

「別になんとも思っちゃねーよ」

 

 

故に彼らもまた正面突破の戦いに参加する事になる

戦いを前に早くも戦闘不能者が出てしまった事に皇は寂しげな表情を、海堂は口では関係無いような事を言っているが、やはり何処か落ち着きのない様子だ

 

すると上着のポケットから喫煙セットを取り出した。戦争を前に、更には敵地にまでそんな物を持ってくるなど言語道断とも取れるが、何か言いたげな須藤よりも早く語りだした

 

 

「俺のじゃねーよ、慎也のだ」

 

「...そうか」

 

「弔いになるんだか知らねーが、1本ぐらいいいだろ?」

 

 

答えを聞くよりも先に火が灯った

クールスモーキングなど念頭におかない大雑把な呼吸で肺いっぱいに吸い込むと、トラックの車内へ煙を吐き出した

 

痕跡を気にした結果だろうか、一応は弁えているらしいその行動を見た皇は、無言で一樹からタバコを奪い取った

 

 

「あ?あんたも吸うのか?」

 

「弔いなんだろ、一度も会ったことは無いが」

 

 

1本取り出し、口に咥えると一樹が日を差し出してきた。慣れない素振りで先端を燃やそうとしているが、それは一向に灯る気配を見せない

 

 

「.....どうやって付けてるんだ?」

 

「吸うんだよ、吸いながら燃やすんだよ」

 

「...辛っ.ゲホッッ!ゲホッ!」

 

「何がしてーんだよ」

 

「俺がヘビースモーカーになったら責任を取ってもらうぞ」

 

「...時間だ、悪いが捨ててもらうよ」

 

 

まだまだ紙は燃えたりないが、時は満ちてしまった

端末を覗いたまま支持する須藤の声によって、仕方なく海堂らはその場に放り、靴の裏で揉み消した

 

短いようで長かった日本と月下の戦いが漸く始まる

それを意識した瞬間、この地に変化が現れた

 

海堂らが乗ってきた物とは一回りも二回りも大きな物。巨大なトラックが聞き慣れないノイズと共に月下の地へ着地した

 

 

「来たか...あれが動き出したら作戦開始だぞ、走る準備だ」

 

「了解した」

「わーたよ」

 

 

 

そのトラックの上空に、明らかな異常な色の空間が見える。目にするのは初めてだが、あれが散々言われていたゲートなのだと一樹は理解した

 

気味の悪いものだ

あれだけ大きな車体も運べるのなら、月下との行き来意外にも役目はありそうだと考えるが、それは己の管轄外だとも分かってる

 

間もなく巨大なトラックが動き始めた

不規則に不安定に”揺れる”という表現が正しいか、兎に角起動した模様

 

進行方向を変えること無く徐々に進み始めるた次の瞬間、先程までとは比べ物にならない加速を行いだした

 

 

「うおっ、はえーな」

 

「何してるんだ、行くぞ!」

 

 

須藤の言葉で我に返ると、そのトラックの後を追う形で彼らは全力疾走し始めた

久しぶりに体を酷使したからか、若いはずのそれに衰えを感じつつも一樹は力一杯大地を蹴りあげる

 

やがてそのトラックを追う他の集団や別のトラックらが視野に入った。

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)だろう

 

そのままトラックで移動している他の部隊を見ると、何故自分達は自動車を使わないのかいささか疑問に思えた

 

 

やがて遠くに見えていた恐らく月下、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部が近くに確認できた

初めて見る光景だが、どこか既視感のあるそれだ

 

まるで城

よく出来た造りだ

 

天まで届くような高さ

地震ではビクともしないような堅実さ

そしてそれを広く囲む強固な壁

 

あれをこれから落とすとなると、何故か高揚感に近いそれを感じてしまってならない

それは一樹だけだろうか

 

 

「耳を塞いでな」

 

 

須藤が言うも早く、トラックは一気に速度を上げた。それも束の間、聞いた事も無い轟音と衝撃が一樹らを襲った

 

 

「な、なんだよ!」

 

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の大型トラックは何かに衝突した模様だ。音に遅れて砂塵が舞い、視界までも遮られる

 

目を凝らして様子を伺うと、位置から城壁にぶつかった事がわかる。S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の侵入は破壊と共に行うらしい

 

大通りを通ると聞いていたが、ここまで乱暴且つ大雑把な手段を取るとは思いにもよらなかった

だが同時に、月下が今までしてきたことを考えれば、それも杞憂なのかもしれないと不思議と思えた

 

破壊の限りを尽くしたトラックは速度を緩めることなく、そのまま城内へと進んていく

 

 

「城門は突破出来たな。中から決闘者(デュエリスト)が出て行ったら僕達も続けて突入するぞ」

 

「了解」

「へいへい」

 

 

数分にも見たない間疾走すると、粉砕された城門だった物の付近に身を潜めた

未だに鼓膜の付近に轟音が染み渡っている

踏みしめた黒い破片に目をやると、あの呆気ない破壊も現実の事だと知らしめられてしまう

 

しかし、出し惜しみも油断も手加減も無しだ

同情心等微塵も無いが、それでも意識を改めなければS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)が仕出かした事に目を塞いでしまう恐れが残っているからだ

 

既に少し離れた位置に他の部隊が見える

今作戦の精鋭は一樹らを合わせこの場にいる9名と待機中の6名

つまり現在城外で待機中の彼らが倒れれば実質的な作戦失敗となる

 

一樹自身もその責任感から逃れられない立場にある

これは戦争

負けられない戦いとは生ぬるい表現なのかもしれないそれだ

 

 

「...行くぞ!」

 

 

須藤が先陣を切った

遅れた訳では無いが、一樹よりも先に輝元と秋天堂が同時に飛び出して行った

 

流石はS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に深く関係する人間達と言うべきか、敵地に、戦場に足を踏み入れる事になんの躊躇が感じられない

 

 

「...っ!なんだよ」

 

 

意外にも好戦的だったはずの一樹が続けて城内に足を踏み入れるとすぐ側に須藤らがいた

あれだけ勢いよく先陣を切ったにも関わらず、何故この場に立ち尽くしているのか

疑問を口にするのは早かったが、何故かを理解するのはそれ以上

 

建物が多く並んでいるがここは大通り

見晴らしは良く、須藤らが眺めていたものが良く見えた

 

 

「おいおい...」

「奇襲作戦じゃないのか?」

 

 

暁星の戦士が各々零した言葉は、大通りに蔓延る黒を見た感想

そう、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)意外に考えられない集団が大勢待ち構えていた

 

奇襲作戦は早くも失敗

数の利を失った形になるが、これは想定内だ

第三次日食の事を踏まえれば考える事は出来たこと。痛手には代わりないが、須藤らはどこかにまだ余力を残しているようだ

 

 

「ここまで準備が整っているとはな...」

 

「えぇ、情報が早い」

 

 

須藤は敵の迅速な対応に関心すらしている模様

輝元もそれを否定する訳でもなく、同意に取れるような事を口にする

 

良く見るとS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の下級決闘者(デュエリスト)の一部は既に決闘(デュエル)を始めているようだ

ならばうかうかしていられない。精鋭を担う以上貢献意外に成すことは無いはずだった

 

 

「行くぞ...日月戦争の始まりだ...っ!」

 

 

正面突破

ただそれだけだった

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

◑日本-聖帝大学 / 午前5時

 

 

「[ガイウス]の効果を発動する!自身を除外し、1000ポイントのダメージを当たえる!」

 

「ぐぉぉおっ!」

 

 

LP 1000→0

 «цпкпошп»LOSE

 

 

「ハァ...ハァ...」

 

「大神さん...あんたらしくないぜ、気持ちは分かるが焦ったって仕方ない無いだろ」

 

「くっ.....分かっているが...早くしなければ成らない」

 

 

朝日が昇り始めた

黒く染まる大地と対象的に、天は美しいオレンジに輝いている

 

可能ならこのまま太陽が高くまで昇る様を眺めていたいものだが、目の前に少なからず残る敵がそうはさせてくれない

忌々しきガルナファルナめ

本気で聖帝そのものを乗っ取るつもりらしく、三次日食に臨む敵の数は本当に多い

幹部を殲滅しても尚戦い続けるのは最早執着だろうか。

 

無論大神らにもそれはある。

が、日本が日月戦争を開始したという報告は彼をまた焦られるばかりだ

彼らしくない早期の勝利だけを狙う姿勢は鬼禅達にとっても見ていられるものでは無く、このまま防衛戦を続けるだけでいいのか些か疑問にも思え始めていた

 

するとまた端末が受信を告げだした

 

 

《...俺だ》

 

「その声は化野君...何かあったのか!?」

 

 

本部との通信は一度切断したが、すぐ様化野から直接かかってきた。彼の口調からは感情が読めない。何の報告かについては大神から急かす形で問うた

 

内容は自身が聖帝に到着したとの事だった

 

 

《安心しろ、良いブツを持ってきた》

 

「君が直接...一体何を?」

 

 

化野自身も研究員から聞いたのであろう説明を始めた。簡潔的で、分かりやすく長くないそれを理解する事は恐らく誰しもが可能だろう

 

短くも長い間待ち望んでいた秘密兵器の到着とも言えるものだ

 

 

「それは...本当かね!?」

 

《あぁ、5分後決闘撃痛(デュエルショック)とアンカーを一時的にoffにし、本体のアップデートを始めろ。こっちも準備を始める》

 

 

 

それだけ告げると化野は一方的に通信を切断した。だが、充分すぎるプレゼントだ

 

それからこの場にいるS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)決闘者(デュエリスト)に同じ事告げるまでに時間は要さなかった。

 

反撃の開始だ

5分後に、新たな武器を手にした瞬間からの反撃だ

 

もうこれ以上敵の好きにはさせない、と

 

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

«цキкпケファошロ» ATK ??00

 

 

 

 

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