遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
緊張し過ぎて寝れなかったのでこの時間なんです
◐月下-医療班駐屯地 / 午前6時30分
黒川side
「はぁ...はぁ...」
「おみ...事...」
黒川が
残ったのは勝者と敗者
そしてその両者が気が付かないほど小さくガッツポーズをしている近藤のみ
「おじ様、本当に強いわね」
「貴女...こそ」
ゼェゼェと苦しそうに息をするオキナを見下ろす形で黒川は彼に語りかけた
言葉賞賛
まるだ敵同士である事を感じさせない、両者讃え合うような関係に見える
そして
「...もう、よろしいでしょう」
「前言ってた...事?」
「えぇ...す、全てお話しましょう。ですが...」
震える右手で自重を支え、何とか体を起こそうとしているが、叶う様子は無い
諦めるたのか再び大地に身を預けると、黒川の方から近寄り耳を傾けた
「貴女...いつから精霊を?特殊勝利の
「サフィラの事ね」
精霊の認識タイミングを問うているのだろう。特に意味の無い質問だ
あくまで彼自身の推測と答え合わせをするために聞いたただの世間話。まるで«цпкпошп»の効果を確かめるように、縋るような態度で投げた質問の答えは、分からないだった
「大神さんのお陰、私は日本を経つ数時間前まで精霊のことなんて知らなかったし、さっきまでそれが自分に宿ってるなんて思ってもいなかったのよ」
「おや...では私の”コレ”は...?」
そう言ってディスクから取り出したのは1枚のシンクロモンスター[マジック・テンペスター]だった
多く語らなくても分かる
鬼禅を先攻で葬り、尚且つ黒川の喉元まで詰め寄っていた例のカードだ
まるでこのギミックがある事を把握しているかのように黒川は[エフェクト・ヴェーラー]を温存していた
オキナはその事について問うているのだ
「簡単よ、私はその
「.....あのお方ですか」
「そう、鬼禅さん本人よ」
黒川が語ったのはあの医療班が待機するトラックでの出来事だった
彼女がオキナのデッキについて知ることも、サフィラを認識出来た時の事も全てこの話に通じていた
「大神さんと彼の精霊達が私の中に眠るサフィラを起こした時、鬼禅が最後の力を振り絞って教えてくれたの。貴方の先攻ワンキルの事をね」
「なる...ほど、彼も救われた事でしょう...」
「そう、皆のお陰。精霊を認識させてくれた大神さんや、貴方の事を押してくれた鬼禅さん、私が復活するまで時間を稼いでくれた皆...あとは譲ってくれた一樹君と見守ってくれた近藤さんもね」
「...」
「あとは«цпкпошп»を解いてくれた...あの人ね」
黒川本人も分かっている事だ
オキナという
それにガルナファルナの襲撃時、オキナが加担しなければあの場で
オキナも含めた「皆のお陰」という台詞なのだ
彼女にとって、支えはサフィラ1人だけではなかったのだ
「素晴らしい...」
この
そう判断したオキナが自らの過去を話すのに、躊躇は無かった
*
◐月下-
蛭谷颯人 vs 蛭谷颯希
「いいの?お兄ちゃん1人で?」
「構わねぇよ」
時は少し遡り、颯人が颯希と対峙したばかりの頃
須藤や輝元とは別行動をとり、その中でもさらに光明を秋天堂の元へ行かせたため、現在孤立していた
理由は明確
須藤本人がメインコンピューター室へ向かわなければならない事に加え、秋天堂の敗北は通信で聞いていた
光明を向かわせておけば問題ないと彼なりに判断したのだ。加えて今対峙しているのは自ら血をわけた妹だ。彼自身訳が分からないし、本当に敵だと言うのなら彼の手でケジメをつけるべきだと考えたのだ
「いい加減話してもらうぜ、颯希!なんでお前がこんな所にいるんだぁ!?」
「もぅ、言ったじゃない」
悪ふざけなのだと思った
いや、そう思いたかったのだ。日本と月下の命運をかける戦争に、自分だけなら兎も角妹までも巻き込んでいいはずはない。それも颯希は月下の兵士として颯人の前に立ち塞がった
冷静さを失い、怒号にも近い声で荒ぶる兄の事などお構い無しに颯希はにこやかに腕まで振っている
兄弟喧嘩にも見えない
颯人が一方的に疑問と怒りを顕にしているだけの状況だった
「私は知樹さんに助けて貰ったからお返しに手伝うの、お兄ちゃんは
「本当に月下の味方すんのかよ」
「勿論だよ♪」
「お前、
後ろに手を組み、ゆらゆらと揺れながら兄の叱咤を受けている。相変わらずの余力だが、まるで敵地で再開したとはおもえない
そんな事日頃共に衣食住を過ごしてきた兄妹には当たり前に把握している事のはず
だが、それへの指摘に対して颯希は満面の笑みで右手を掲げた
その腕には紛うことなき
しっかりとデッキも装着されている
「聞いてねぇな、
「そりゃー言ってないもん」
「...本気なのか?」
「だから」
「っ!」
颯人の確認に対してはアンカーで答えられた
慣れた手つきで放たれた薄紫色の光は颯人の右腕まで伸びる。咄嗟にディスクへ手を伸ばしたが、虚しくも2つの
それは
「...兄ちゃんの説教が怖くねぇのかぁ?」
「怖いけど、負けなければいいんだもん♪」
颯希 LP 8000
颯人 LP 8000
考えもしなかった事
自分が敵の幹部と戦う事も、ましてやそれが妹など誰が予想できるだろうか
「私の先攻だね、まずは«цпкпошп»♪」
「«цпкпошп»を...っ!」
心の何処かではやはり否定していたのも無理が生じていた
正真正銘の実妹は
アンカーがある以上、もう避ける事はできない
「何してんの?ほら、お兄ちゃんも捨てて」
「あ?」
お互いに影響のある効果だった
こちらに求める処理は現在の手札全てを墓地に送る事
«цпкпошп»で直ぐにわかる
[手札抹殺]だ
「あぁ...5枚捨てて5枚ドローするぜ」
「私は4枚♪墓地に捨てられた«цпкпошп»の効果も発動するよ〜」
自ら捨てただけあって、墓地効果を含むモンスターがいたようだ
特別驚くことでは無い
だが颯人がディスク越しに見た光景は思わず言葉を失うものだった
「«цпкпошп»の効果で墓地の«цпкпошп»を特殊召喚、«цпкпошп»の効果で自身を特殊召喚!がもう1つ、«цпкпошп»の効果は対象が無いから不発だよ」
「チェーン4かよ」
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» DEF ?
たった1枚のカードから3体のモンスターがフィールドに並んだ
だが墓地に送られた時に帰還する効果とは嫌に特徴的だ。その後の展開や召喚方法によっては直ぐにでも使用テーマが判明するだろう
「まずは«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚♪」
«цпкпошп» ATK ?
「シンクロ召喚...かぁ」
「まだ続くよ♪手札の«цпкпошп»の効果を発動するよぉ、自身を捨ててデッキから«цпкпошп»を手札に持ってくるよぉ〜」
«цпкпошп»とは言えフィールドのモンスターとエクストラデッキの増減から召喚方法は容易く判明する
[融合]を使用しない融合召喚の可能性も否めないが、緩い召喚方法からその素材も満たすモンスターは非常に珍しい
等と推測するが、本人からシンクロ召喚と明かしていた
効果そのものが分からない以上疑う必要性も感じられず、颯人はただ黙ってその様を見ていた
「次はこの子♪手札の«цпкпошп»を捨てて«цпкпошп»を手札から特殊召喚するよぉ」
«цпкпошп» DEF ?
「墓地の«цпкпошп»の効果も使うよぉ、手札の«цпкпошп»を捨てて手札に戻すね♪そして今捨てられた«цпкпошп»の効果で自身を特殊召喚するよ」
«цпкпошп» DEF ?
「«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング♪«цпкпошп»をシンクロ召喚」
«цпкпошп» DEF ?
「そして«цпкпошп»を墓地に送って«цпкпошп»を発動♪デッキから«цпкпошп»を特殊召喚するよぉ」
«цпкпошп» DEF ?
「手札全部使いやがったなぁ」
「これから回復するから«цпкпошп»«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「さっ、«цпкпошп»の効果にシンクロ召喚に成功した«цпкпошп»の効果をチェーンするよ。手札が2枚になるようにドローして、さらに1枚ドローするよ♪」
「0から3枚まで回復しやがったなぁ...」
「こんなの序の口だよぉ、墓地の«цпкпошп»の効果!手札を2枚墓地に送って特殊召喚するよ♪」
«цпкпошп» DEF ?
「また手札を...」
「まだまだ!墓地の«цпкпошп»の効果でフィールドの«цпкпошп»のレベルを下げて特殊召喚するよ♪」
「...ん?」
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» ☆?→?
展開の最中に手札は何度も捨てられるが、フィールドのモンスターによって回復を繰り返す
それによって颯希は墓地にカードを貯めだした
そして颯人の目に止まる効果が垣間見えた
墓地蘇生を自らで完結させているモンスター効果だ
それは2体のモンスターが所持しているらしく、前者は手札コスト2枚を、後者はフィールドのモンスターのレベルを変更させると言った少なすぎる消費だった
颯人も今までの
あれは間違いなく禁止カードに設定されているモンスターだ
「どしたの?続けるよ、«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚♪」
«цпкпошп» DEF ?
「シンクロ召喚に成功した«цпкпошп»と«цпкпошп»の効果をチェーンするよ♪合計2枚ドロー!」
「颯希...お前」
「後で聞くよ、私は«цпкпошп»と«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング!この日の元を我らに!«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「3体シンクロ...そいつは...っ!」
「流石に分かってるよね?私の切り札♪」
散々シンクロ召喚を経て、新たにシンクロ召喚されたモンスターの素材はその過程のシンクロモンスター達
そんな重い召喚条件を要求するモンスターは多くない
切り札
その名に相応しいモンスターなのだろう
「じゃ、私は«цпкпошп»をリリースして«цпкпошп»をアドバンス召喚♪」
「ん、あぁ」
«цпкпошп» ATK ?
「そういやぁ...召喚権使ってなかったなぁ」
「まぁね、カードを1枚セットして私はこれでターンエンド♪」
颯希 手札:1枚 LP 8000
モンスター/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» ATK ?
魔法・罠 / リバース1枚
「さて...俺のターンだぁ!」
随分と長かったと錯覚するようにフィールドや手札が変化を経ていたが、最終的な盤面はセットカード1枚とモンスター2枚
大型のシンクロモンスターの方は少なからず何かしらの妨害効果を持っているに違いない
加えてわざわざアドバンス召喚してきたモンスターもいる。そちらにも何かあるに違いない
後攻故の通常ドローというアドバンテージを握ると颯人は早速1枚の魔法カードを手に取った
無効にされようがされまいがこのカードから始める
「俺は墓地の[「A」細胞組み換え装置]の効果を2枚発動するぜ、デッキから[エーリアンモナイト]と[エーリアン・マーズ]を手札に加えるぜ」
「どうぞ♪」
[手札抹殺]から落ちていた魔法により、エーリアンのカードを手にした
墓地による効果の発動だ、中々に干渉しにくいためか颯希もここは黙って通した
「手札から[ヴァイパー・リボーン]を発動する!」
「ふふ、いいよ♪」
爬虫類専用の墓地蘇生効果だ
颯人が対象にとったのは[ワーム・クィーン]。
その後は自身をリリースし、メインデッキを圧縮しつつ[ワーム・キング]まで繋げるのが目的だろうか
「...は?」
「ふふ...ふふん♪«цпкпошп»の効果だよ」
颯人のディスクにも当然彼自身が発動したカードの処理について提示されている
[ヴァイパー・リボーン]
▶対象:[ワーム・クィーン]
➡︎効果:相手は手札を1枚選んで捨てる
短くそう写っていた
当たり前だが[ヴァイパー・リボーン]の効果はハンデス効果などではない
「«цпкпошп»の効果でお兄ちゃんが発動した魔法カードの効果はハンデス効果になるんだよ♪じゃあ私は最後の1枚を捨てるね」
「なんだよそれ...」
これによって颯希の手札は0枚
つまり颯人が魔法カードを発動しても不発となってしまう。颯希が言う通り恐らく最後に召喚されたモンスターの永続効果のようだが、場合によっては颯人はこれから魔法カードの発動そのものが不可能となってしまうかもしれない
非常にまずい
«цпкпошп»によってその真偽を確認するのにもまた他のカードが無駄に終わってしまうことも考えられた
「じゃあ手札から捨てられた«цпкпошп»の効果で墓地の«цпкпошп»を特殊召喚するね♪」
«цпкпошп» ATK ?
「...だったらこれはどうだ」
颯希は発動した魔法カードと言っていたが、颯人は一つ気がかりな事があった
それはどんな魔法カードも書き換えてしまうのだろうかという事
もしそれが本当なら詰みに近いが、初めの[「A」細胞組み換え装置]の墓地効果に対しては無反応だった
それを確かめる為にも、無効にされる事など恐怖している場合では無い
発動にのみ有効なのか、それとも
「俺はスケールに[EMギタートル]をセット、そして[EM リザードロー]をセットする![ギタートル]の効果発動だ、スケールにEMがセットされると1枚ドローできる」
「あれ?お兄ちゃんのデッキ、EMエーリアンなの?」
「さぁな、さらに[リザードロー]の効果だ、自身を破壊してさらにドローするぜ」
今までに無かったペンデュラムのギミック基EMのギミックが姿を表した
彼自身がどこかにシナジーを感じたからこその採用なのだろうが、今の所は[リザードロー]が爬虫類族という点しか見えない
そして颯希は例の書き換え効果を使用しなかった
これによって書き換えの効果に何かしらの制約がある事が分かった
「[エーリアンモナイト]を通常召喚するぜ」
[エーリアンナイト] ATK 500
「召喚に成功した[エーリアンモナイト]の効果にチェーンして手札の[エーリアン・ドッグ]の効果を発動するぜ」
「なんか危ないね、«цпкпошп»の効果♪その発動を無効にして破壊するよ!」
早くも次の魔の手が襲った
効果は単純な効果の発動を無効化し後に破壊
それもノーコストの発動を宣言するだけの簡単な効果だ。
3体のシンクロモンスターを要求し、その効果だ。疑いもなくあのモンスターであると分かった
だがこちらも墓地にカードが溜まっていた
「墓地の[ブレイクスルー・スキル]の効果だ、そのモンスターの効果を無効にするぜ」
「あらら」
フィールドから発動したかったカードも多く抹殺されてしまっていたが、都合のいいカードも落ちていた
「それがあるならこの子に使えば良かったのに」
「デルタシンクロ見せられたら温存するだろうが」
「ふぅん、そういうもん?」
「そういうもんだ。[エーリアンモナイト]の効果で墓地の[エーリアン・ウォリアー]を蘇生させ、[ドッグ]の効果で特殊召喚するぜ」
[エーリアン・ドッグ] DEF 1000
[エーリアン・ウォリアー] ATK 1800
「さらに[ドッグ]は相手のモンスターにAカウンターを2つ乗せる事ができるぜ、その通常した奴と、シンクロモンスターに1つずつ乗せる」
抹殺された事で墓地蘇生が早期に使用できた
1度の通常召喚からモンスターが三体並び、エーリアンの要であるAカウンターも準備できた
無効効果も使わせたため、この後の展開にも期待ができる
「そして俺はレベル4の[エーリアン・ウォリアー]にレベル1の[エーリアンモナイト]をチューニング、果てなき
[
「[ゴルガー]の効果...を使う前に俺はスケールに[オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン]をセットする。ペンデュラム召喚だぁ、行け[エーリアン・マーズ]、[レスキューラビット]!」
[エーリアン・マーズ] DEF 1000
[レスキューラビット] DEF 100
「おっ、本当にペンデュラムしてきたね♪」
「見せかけじゃねぇんだよ。あと[マーズ]の永続効果でAカウンターが乗ってるモンスターの効果は無効化されるからな」
「それは大変だっ!」
強力な永続効果だが、颯人はあの2体のモンスターの効果はターン1であると推測している
寧ろノーコストであれだけの効果を持ち合わせてターン1の制限が無いのなら相手にならない
例の魔法書き換えの制限も詳しくわかっていないが、そもそも適用されなければ恐ろしい事などない
だが
(あのさっき特殊召喚されたモンスター...)
魔法の書き換えによって颯希が自ら手札を捨てた際に現れたモンスターの事だ
颯希は自ターンにもその効果をよく使っていた。手札から捨てられた事をトリガーとし、墓地からの特殊召喚
だが颯希のターンではそのほとんどがシンクロ素材として使用されていた。あのモンスターもただ蘇生させただけの可能性があるが、やはり気になって仕方なかった
今の今まで何の反応を見せないことに
「...[ゴルガー]の効果を発動するぜ。表側の魔法・罠を手札に戻してその数まで相手のモンスターにAカウンターを乗せる。俺は[ギタートル]と[ペルソナ・ドラゴン]を戻してそのさっき特殊召喚されたモンスターと、通常されたモンスターに1つずつ乗せるぜ」
「おぉ、上手いじゃん♪」
ペンデュラムスケールの再利用を含め、これにより颯希の全てのモンスターにAカウンターを乗せる事が出来た
手札に戻した[ギタートル]の効果を次のターンにも使用出来ることに加え、相手ターン中の除去からも守れるためシナジーが感じられるプレイングだ
そして何よりも[マーズ]の存在
実質相手のみの[スキルドレイン]状態のため、警戒していたモンスター効果の事は考えなくて良くなった
「よし、じゃあ[ラビット]の効果を発動だぁ。デッキから[エーリアン・ソルジャー]2体を特殊召喚するぜ」
[エーリアン・ソルジャー] ATK 1900
[エーリアン・ソルジャー] ATK 1900
「そして2体の[エーリアン・ソルジャー]でオーバレイ、[キングレムリン]をエクシーズ召喚!」
[キングレムリン] ATK 2300
「[キングレムリン]の効果発動だ、デッキから[毒蛇王ヴェノミノン]を手札に加える。そして[トレード・イン]だ、こいつを捨てて2枚ドローする」
召喚権もペンデュラム召喚も使用した事と、手札のドローカードの存在から[キングレムリン]の効果は手札交換のためのコストのサーチとして使用した
彼のデッキの切り札と呼べるモンスター
早めに準備しておくのも無難だろうか
だがここでまたも悩まされた
(バトル...するかぁ?)
Aカウンターの乗ったモンスターの攻撃力を下げるエーリアンの共通効果がある
だが例外もあり、現在フィールドにいる[マーズ]と[キッズ]はその効果を持っていなかった
故に戦闘は地の攻撃力で突破しなければならない
効果を封じている今急いでダメージを稼ぐ必要があるかどうか、そもそも戦闘において勝利できるかで悩んでいる
「...カードを3枚セットする。俺はエンドだ」
「あれ?攻撃しないんだね」
彼は選ぶ事ができなかった
だがそれはこの布陣が乱される事への恐怖では無い
颯人 手札:2枚 LP 8000
モンスター/ [宇宙砦ゴルガー] ATK 2600
/ [エーリアン・キッズ] DEF 700
/ [エーリアン・マーズ] DEF 1000
/ [キングレムリン] ATK 2300
魔法・罠 / リバース3枚
「じゃあドローするね」
「...」
日本を経つ前にも聞いていたし、既に経験していたことがある
無論敵も同じだ
今楽しそうにカードを引いた颯希も、18年間寝食を共にしてきた実の妹のそれにも
出来ることなら戦いたくなかった
もっと言えばこんなの場所で会いたくもなかった
そんな彼がイタズラに颯希は
「じゃあ私は«цпкпошп»を発動♪墓地の«цпкпошп»5枚をデッキに戻して2枚ドローするね」
「[貪欲な壺]か」
「まぁね♪そして墓地の«цпкпошп»の効果、手札の«цпкпошп»を捨てて手札に加えるね。捨てられた«цпкпошп»の効果でお兄ちゃんの[マーズ]を破壊するよ」
「早速きやがったか...」
やはり狙うは諸悪の根源であるエーリアンだった
当たり前の事だが[マーズ]が破壊されれば颯希のモンスター達は効果を取り戻す
可能なら確実に止めたい一手なのだが生憎そんなカードは颯人にはなかった
「チェーンだ、セットしていた[洗脳光線]だ。相手のAカウンターが乗ったモンスターのコントロールを奪うぜ。俺はそのシンクロモンスターを選ぶ!」
「...あーあ、仕方ないね」
チェーンが処理される
颯人のコントロール奪取に続き、颯希の対象に取った[マーズ]の破壊
これにより[マーズ]の永続効果は失われるが、颯人は苦しめられたあのモンスターのコントロールを得ることが出来る
加えて...
[シューティング・クェーサー・ドラゴン] ATK 4000
颯人のフィールドに降り立った«цпкпошп»が真の姿を見せつける。Aカウンターは健在だが、それをトリガーとする[マーズ]は同時に姿を消した
効果を取り戻しつつ[クェーサー・ドラゴン]を奪ったのだ。こればかりは颯希もしてやれちゃったと言わんばかりの表情をしていた
「してやられちゃったねぇ...」
「やっぱり[クェーサー]だったかぁ」
「仕方ない!私はセットしてた«цпкпошп»を発動!墓地の«цпкпошп»を特殊召喚するよ」
分かり安い«цпкпошп»だ
わざわざセットしてからの墓地蘇生なのだから効果も健在だろう
颯希の手札は2枚
かなり消費の荒いデッキにおいてその枚数は心持たなく、[クェーサー]を温存するのもどうかと思えた
恐らくだが蘇生対象は[クェーサー]のシンクロ素材だろうか。[カタストル]だとするとそれだけで[クェーサー]を使わされてしまうが、その場合はバトルフェイズを使っている
「...いいぜ、通す」
「私の[クェーサー]は使わないんだね、じゃあ«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「墓地の«цпкпошп»の効果だよ、フィールドの«цпкпошп»のレベルを下げて特殊召喚するね」
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» ☆?→?
「そして2体の«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング!«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「«цпкпошп»の効果発動♪お兄ちゃんの手札と墓地とフィールドのカードを1枚ずつ除外するね」
「それは通せねぇよ、[クェーサー・ドラゴン]の効果発動!」
「今、発動って言ったね?」
マストカウンターだった
シンクロ素材と干渉する場所から[トリシューラ]である事は言うまでもない
だからこそ荒らされる事を恐れて[クェーサー]の効果を発揮したのだが、颯希はニヤリと悪戯気な笑みを浮かべた
発動はした
何かチェーンでもあるのかと思い身構えるが、颯希は何も発動をしなかった
虚勢か
一瞬そう疑ったが、たった2つのチェーンの逆順処理を始めるとその意味がわかった
「...なっ!?」
「«цпкпошп»の永続効果だよ♪」
颯人は合計4枚のカードを失った
そう、颯希の言う永続効果によって
「お互いの手札が同じ時、«цпкпошп»は永続効果で相手の発動した効果を無効にして破壊できるだよっ!」
「どんな効果だよ...クソ!」
颯希は[クェーサー]を破壊した後に墓地の[エーリアン・マーズ]、フィールドの[ゴルガー]と手札にあった[ペルソナ・ドラゴン]を選び除外した
完全に意識の外だった
先のターン何も反応を示さなかったあのモンスターは非常に強力な効果持っていたのだ
魔法の書き換えによってハンドレスに陥っていた為に沈黙していたのだろう。兎にも角にも颯人はマストカウンターを見極める事に失敗したのだ
「くっ...」
「残念だけど[クェーサー・ドラゴン]の効果はタイミングを逃しちゃった。まぁ充分でしょ、セットしてた«цпкпошп»を発動、墓地の«цпкпошп»を特殊召喚するよ!」
«цпкпошп» DEF ?
「効果を発動するよ、手札を2枚捨ててレベルアップ!」
«цпкпошп» ☆?→?
「捨てられた«цпкпошп»の効果ね、墓地の«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» DEF ?
「そして墓地の«цпкпошп»の効果ね、今レベルアップした«цпкпошп»のレベルを下げて特殊召喚!」
«цпкпошп» ☆?→?
「«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「効果を使うね、2枚になるようにドロー!そして手札の«цпкпошп»の効果、デッキから«цпкпошп»を手札に持ってきて、墓地の«цпкпошп»の効果で捨てて回収するよ」
「くっ...」
一体どのモンスターがサーチや蘇生を行っているのか分からない。
目まぐるしく変化する手札と«цпкпошп»は嫌にシナジーしており、日本である程度«цпкпошп»の経験がある颯人でも脳が悲鳴を上げ始めていた
「捨てられた«цпкпошп»の効果!墓地から特殊召喚するよ!さらに«цпкпошп»のレベルを下げて«цпкпошп»も特殊召喚!」
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» ☆?→?
「«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「«цпкпошп»の効果だよ、手札の«цпкпошп»を捨てて1枚ドローするね。そして捨てられた«цпкпошп»の効果!特殊召喚するよ!」
«цпкпошп» ATK ?
「«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» DEF ?
「そして«цпкпошп»を発動!墓地の«цпкпошп»5枚をデッキに戻して2枚ドローするね♪」
「2枚目...まさかっ!?」
颯希の墓地は充分に肥えている
そのため[貪欲な壺]も複数枚発動可能な程だが、戻したカードは恐らくシンクロモンスターが多く含まれている
墓地から回収や蘇生があるため何体かは墓地にいなければならないため、5枚の選択肢の中には必然的に選ぶ事になるからだ
そしてただ手札が増える訳では無い
颯人が察知するように、再びあのモンスターが現れてもおかしくない展開力を見てきているのだ
「まさか...まだ出てくるのかよ」
「気づいた?私は«цпкпошп»と«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、再び我らに!«цпкпошп»をシンクロ召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「2体目...[クェーサー・ドラゴン]っ!」
シンクロ召喚を何度も経た結果、それら3体がさらなるシンクロ召喚に繋がった
疑う箇所はない、エクストラデッキに帰還した[クェーサー・ドラゴン]だ
「バトルフェイズに入るよ、«цпкпошп»で[キングレムリン]に攻撃!」
「ぐぅっ...!」
颯人 LP 8000→6300
「...」
「続けて«цпкпошп»[エーリアン・キッズ]に攻撃!」
「くっ!」
颯人を守るモンスターはこれで存在しなくなった
そして大型のシンクロモンスターの攻撃はまだ残っている
「«цпкпошп»でダイレクトアタックだよ!」
「ぐうぅっ...!」
颯人 LP 6300→2300
「さぁ、あとちょっとだね。エンドするよお兄ちゃん♪」
颯希 手札:2枚 LP 8000
モンスター/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» ATK ?
魔法・罠 / なし
「くっ...ドロー...ッ!」
奇しくも颯希と同じ手札枚数となった
ハッとしてフィールドを眺めるが、あの忌々しきモンスターは[クェーサー]のシンクロ素材になっていたことを思い出した
すると颯希は実兄のその様子を見て控えめに笑いだした。不思議なものだ、その様を見て颯人もまたつられて笑顔になっていた
「もぅ、お兄ちゃんそんなに[ユニコール]が怖いの?」
「当たり前だぁ、いきなり俺の[クェーサー]がやられたんだからよぉ」
「元は私のだよ♪」
当たりを見渡せば見慣れない敵地
そんな場所に不似合いな兄妹の戦いなのだ
自然と零れた笑みも、本来であれば異端なそれ
「...なぁ、颯希」
「なぁに?お兄ちゃん」
「お前...どうしてこんな事を...」
「...」
しばし沈黙が生まれた
実の妹の悪事を攻める兄が待つ気まずさでは無い
筆舌尽くしがたいなにか
「.....お兄ちゃんは
「一通りは聞いた。英世界の事も精霊も
「そっか」
視線に耐えきれなくなったのか俯き、
どうしてこうなってしまったのか
それを聞きたかったのは颯人自身の願いだが、
やがて意を決したかのように颯希はとある事を口にした
通常なら突飛で理解に困るそれだった
「私はデッキに呪われてたの」
ぶっちゃけどうですか?
-
読みたいからやめて欲しくない
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読みたいけど無くなったら読まない
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普通
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無くてもいい
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読むのが億劫