遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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マスタールール4についてですが、賛否色々あると思います。私は辛すぎるという事が本音です。しかし、ルールを無視して書くのもどうかとも同時に思います。結論として、4月から急にマスタールール4にすることはしません。いつまでもマスタールール3で書き続けては不快に思う方も居るかと思いますが、出来ることなら皆さんの意見で決めたいです。少なくとも4章はマスタールール3で行かせてください。

という訳で34話です!どーぞ!


第三十四話 獣(けもの)と獣(けだもの)

「お...俺の...改造ディスクが...っ!」

「俺達の勝ちだよ〜!」

 

斎藤らは休日の聖帝大学に攻め入ってきた暁星大学の4人組に勝利した。違法改造の件も含め彼らには然るべき対処が必要だが、入口から新たな客人達が入ってきた

 

「警察だ!」

「違法改造の通報を受けてきた。けが人はいないか?」

 

ゾロゾロとスーツ姿の男達が決闘棟(デュエルパ-ク)内に隊列を組みながら入ってきた。静寂な空間に聞き慣れない上質な革靴の音、劈くようなそれぞれの怒鳴り声が響く。それらは聖帝の生徒に安心感を与えるというより、暁星の生徒に緊張感を与えた。その中で聖帝の生徒1人が言葉を発した

 

「あれは...”S(スペシャル)D(デュエリスト)T(チ-ム)“だ!」

 

S(スペシャル)D(デュエリスト)T(チ-ム)“。国家権力を持ち、国内で起きた決闘(デュエル)関係の犯罪の対処やそれの抑制を主に行う団体。大学生らは本物のS・D・Tを初めて見るようで感動や恐怖、各々それぞれの反応を見せている。S・D・Tのリーダ格の男が起動しているディスクを持つ8人の近くに寄る

 

決闘(デュエル)をしたのはお前らか」

「...チッ」

「はい。彼ら...暁星大学の生徒が守衛さんを押しのけて入ってきまして...」

 

三白眼のその男は一樹らに目をやる。厳格なその風貌からの鋭い視線に取り巻きを含めた周りの生徒達は萎縮してしまっている。敗北がよほどショックなのか一樹だけ黙って俯いている

 

「分かってるな」

「...」

「...何も喋らないか、お前らは聖帝の生徒だな」

「はい。オレら4人が決闘(デュエル)しました」

「見れば分かる」

 

彼らのディスクを軽く見ると斎藤らから視線を外す。そのまま溜息をつくとその男は自身の後頭部を乱暴に掻きだす。部下の1人を呼びつけなにか小言で伝えると1人先に決闘棟(デュエルパ-ク)を後にした

 

「では皆少しだけ協力してもらいます」

 

若い警察官が声を張り上げる。ある程度生徒達の視線を集めると指示を出す

 

「これから1人1人に話を聞きたいので誘導に従ってください!」

「事情聴取ってこと?」「ドラマみたいね?」

 

「そこまで大した事はしません。ご協力ください」

「え、今からですか...?」「これからバイトあるんだけど」「あいつらだけでいいじゃないですかー」

「任意ですよね?」

 

口々に文句を発する生徒達。しかし急を要するS・D・Tは1人1人説得している

 

「5分もかかりません。急用があるのでしたらお送りします。どうかご協力ください」

「そこまでいうなら...」

「ではお急ぎの方から順番にお呼びしますので。ご協力感謝します」

 

「あや〜先輩、“HAYASHI“がお休みで良かったですね」

「そうだね、でも店長と約束もあるし...悪いけどオレは先に行かせてもらうね」

「はい!お疲れ様でした〜」

「お疲れ様です!」

 

古賀や東野達と別れを告げ先に警察の元に向かった斎藤。今回の決闘(デュエル)に関わったため少しだけ対応が違うようでディスクを手渡し、一緒に外に出て行った

 

「俺らはもうちょっと待ってようか〜」

「そうだね〜」

「うん...」

 

斎藤の背中を見送りながら1人考え込む東野。

 

(...誰が通報したんだろう?)

 

ーーー

ーー

 

「「「「お邪魔しましたー!」」」」

「またいつでもいらしてくてください」

 

6月の夕暮れ。これから暑くなる季節に涼しげな風が蒼助の整った髪を少し乱す。時刻は18時を過ぎ、慎也達は草薙家をお暇する事にしたらしい

 

「皆さん...泊っていかれても結構ですよ?」

「いやー流石にいきなり来てるのにこれ以上お邪魔するわけにも行かないからね」

「そ、そうですか...」

 

想い人直々に断られた草薙は俯く。少し離れた位置で黒川達は声をひそめて話している

 

「...もはや完全に村上君にロックオンって感じね?」

「そうだね!」

「灰田さん、多分また皆木さんが喋らなくなりますよ」

「むぅ...」

 

草薙家の玄関で乙女の慎也争奪戦が静かに繰り広げられていた。西条の言う通り、草薙と慎也の会話を前に皆木は沈黙している

 

「今日は家でゆっくり寝るよ」

(シエン達も家で待ってるし)

 

「あら、睡眠不足ですか?」

「カラ徹してきたからね」

「からてつ...ですか?」

「あーそっか。えとね、1晩中カラオケで遊んでたんだ」

「まあ!それはお疲れでしょうね」

「流石育ちのいいお嬢さまだね!」

「からおけというものは知識にはありましたが...皆さんで徹夜...っ!?」

 

何かに気づき驚きの表情を浮かべる草薙。話がいきなり途絶えたため慎也達もその視線の先に目をやる

 

「...村上さん」

「ん?」

「“みなさん“でからてつしたのですよね?」

「うん」

「数時間前カードショップでお会いした...今いる“みなさん“という事ですよね...?」

「そうだね」

「では...皆木さんと一夜を...?」

「あなたのような感がいい人は嫌いじゃないですよ」

 

詩織が口を開いた。夏風が木々を揺らす音と共によく通る声で草薙を肯定した

 

「そうです!私は、村上さんと!一晩を共にしました!!」

「なっ!?」

 

何故か右手を顔を覆うように構え、腰を落とし出した

 

「随分と語弊のあること言うのね」

「面白くなってきた!」

 

「そ、そんな事...不純ですわよ!」 

「“不純“?あなた今、“不純“って言いました?私はただカラオケで一緒に遊んでいただけですよ?」

「うっ...そ、そうですが...」

 

「それは言うのね」

「独特なノリだね!」

 

謎のポーズのまま左手を草薙に向けて指を向けた。どうやら望みのポーズはこれで完成のようだ

 

「草薙さん...貴方!妬いてますね!?」

(決まりました!)

 

「っ!そ、そんな事...」

(その体勢は辛くないんでしょうか?)

 

頬を赤らめながら俯く草薙。対する詩織は誇らしげに笑みを浮かべている。忘れてはならないがこの光景は全て慎也の目の前で繰り広げられている。なにかに気づいた慎也が割って入ってきた

 

「あ、なるほど!」

「村上さん...?」

「...あ!?ち、違うんですよ村上さん!いや、そよ違くは無いんですけど...その...」

「みんなで行こうよ!」

「...はい?」「...ふぇ?」

 

「草薙もカラオケ行きたかったんでしょ!今度みんなでパーっと行こうよ!」

 

「...はい!是非お誘いください!」

「そ、そうですね...皆で仲良く...」

 

「さすが村上君ね」

「ザ鈍感!」

 

 

ーーー

ーー

 

6月20日月曜日。構内大会を終えた聖帝大学はこれから関東大会が待ち受けている。しかし講義は通常通り行われる。慎也たちもいつものようにそれぞれの時間割に従っていた

 

「おはよー」

 

慎也が教室に入り、朝の言葉を述べながら灰田達の居る机まで近づいてきた

 

「おはようございます、村上さん!」

 

「おはようございます」

「おはよう、慎也!」

「ああ、おはよう」

 

そこには詩織と西条、灰田と知樹がいた。さらにその机のそばに他学部他学年の女性、秋天堂までもいた

 

「やぁ、おはよう村上君」

「あれ?秋天堂様までいるんですか?」

「...いい加減その呼び方どうにかならないかな?」

「あはは、すみません。それで今日はどうしたんですか?」

 

「灰田君に用があって寄ったんだ。そしたらたまたま皆居たからちょっとおしゃべりしてただけだよ」

「なるほど、いやこの時間講義あった気がしたんで」

「そうだね。僕も今日は1限からだからね、もう行くよ」

「はい!ありがとうございます!秋天堂さん!」

「ははは、相変わらず元気だね。それじゃあね」

 

秋天堂を見送ると知樹が灰田に疑問をぶつけた

 

「さあ灰田、詳しく教えてくれよ」

「そうですよ、どういうことでして!?」

「村上さんも聞きましょうよ!」

「えと...今北産業」

「何ですかそれは?」

「灰田、秋天堂さんから、手作り弁当もらった」

「まじか!」

 

灰田に目をやると確かに可愛い包の箱を大事そうに持っていた。秋天堂さんが用があるとわざわざきて渡しに来たということになるがいつの間にそういった関係に...若人は聞かずに入られないようだ

 

「灰田...おまえいつの間に秋天堂さんと“そういう関係“になったんだよー」

「そういう関係って?」

 

「いや...そのなんだ?わざわざ、手作り弁当を用意してくれるほど親密というか...」

「じゃあ慎也もよく飯作ってくれるから俺と慎也も“そういう関係“なの!?」

「ふぇ!?」

「皆木さん落ち着いて!」

 

「そうではなくてな...」

 

質問がうまく通らず苦い表情を浮かべる知樹。後頭部を押さえながら少し考えると次の質問をぶつけた

 

「...じゃあなんで弁当作ってくれる事になったんだ?」

「あー...あれは昨日の事のように思い出せるよ!」

 

ーーー

ーー

 

一ヶ月前

 

灰田は1人神社に来ていた。恐らく英語で書かれたTシャツ姿でベンチに腰掛けジュースを飲んでいる。隣にはその格好には似合わない大きすぎるリュック

 

「暑い...お腹減った...」

 

時刻は時計の長針が頂点をほんの少しだけ通り過ぎたあたり。少年は空腹を覚えていた

 

「やっぱり電車で行くんだった...道わかんない!」

「おや...?その声は灰田君?」

 

道に迷い休憩の為に立ち寄った神社。日曜日の昼間だか人はあまりいない。そこに声をかけてきた人物は参来客ではないようだ。巫女服がそう語っていた

 

「あれ!秋天堂さん!?」

「やっぱり灰田君だ、こんな所で何してるんだい?家がこの辺なのかな?」

「いやー道に迷っちゃって!家から結構歩きました!」

「そうなのかい、じゃあ近くまで送っていってあげるよ。僕は家がこの辺だから土地勘あるからね」

「いいんですか!ありがとうございます!」

「いいよ、もうバイトも上がる時間だしね。ちょっと着替えてくるから待っててくれるかい?」

「はい!」

 

ーーー

ーー

 

「ーって言うことがあったんだよ!」

「秋天堂さんが神社でバイトしてる事しか分かんなかったの俺だけ?」

「私もです!」

「右に同じですわ」

「俺もだ...」

 

頭を掻きながら知樹が再び沈黙する。そして3度目の質問をぶつけた

 

「...灰田、もう一回聞く。お前と秋天堂さんが仲良くなるきっかけがあった時の話を聞かせてくれ」

「あ、そっか!今のは俺が新しく出来たっていうラーメン屋に行こうとして迷った話だったね!」

「ラーメン屋行こうとしたら神社着いちゃったんだ?アホだね~」

「えとね...そうだそうだ忘れもしないよ。昨日のように思い出せるよ...」

 

ーーー

ーー

 

2週間前

 

秋天堂が神社の鳥居付近で竹箒を左右に動かしていた。そこにいつもの奇抜なTシャツ姿の青年が現れると秋天堂は微笑んだ

 

「灰田君また来たのかい?」

「はい!さっき買ったオリパでいいのが当たるようにお願いしに来ました!」

「うーん...さっき買ったオリパを今更お願いされたら神様も困っちゃうんじゃいかい?」

「そうなんですか!?じゃあ普通に参来ってことで!」

「うん。あっちだよ」

「はい!ところで秋天堂さん今日何時上がりですか?」

「今日は16時だよ」

「じゃあ終わったら一緒に帰ろ!」

「ははは、まだ結構あるけど待ってくれるのかな?」

「はい!」

「そう?じゃあいつもの所で待っててくれるかい?」

 

ーーー

ーー

 

「って事があったんだ!」

「あれから灰田が神社に通ってる事しか分からなかったの俺だけ?」

「私もです」

「右に同じです」 

「俺もだよ...」

 

段々と己の後頭部にかかる負荷が大きくなっている知樹。少し苛立ちを憶えながら灰田に再び詰め寄った

 

「灰田。頼むから弁当の話をしてくれ」

「これでもダメなの!?じゃあ...」

 

ーーー

ーー

 

3日前。寝坊により昼過ぎに来た灰田は三限に間に合わず学食でインスタント麺を片手に一人静かに座っていた。

 

「隣いいかな?」

「どうぞ!あ、秋天堂さんも遅刻?」

「ちがうよ、空いたコマでご飯だよ」

「そうなんですか!俺遅刻しちゃって教室は入れなかったんでカップ麺です!」

「そうみたいだね」

 

秋天堂がトレーを置くと灰田の隣に位置どった

 

「灰田君、カップラーメンも美味しいけどそればっかりだと良くないよ?」

「いやー学校来る前に慎也にご飯作ってもらったりするんですけど今日は寝坊しちゃったんで朝も昼もカップ麺です!」

「村上君も大変だね...」

 

定食のサラダを少し食すと今度は逆に問われた

 

「秋天堂さんこそ学食なの?」

「いつもはお弁当作るけどね...一人暮らしだからやっぱり1人分だけ作るのも面倒くさくなっちゃってね」

 

少しバツが悪そうに味噌汁に手をかける秋天堂

 

「じゃあ今度俺に作ってくださいよ!」

「え?僕が灰田君の分を?」

「はい!食べてみたい!」

「そ、そうかい...?じゃあ今度ね...」

「やった!楽しみだなー!」

「あ、あはは...」

「あ、でも明日は...」

ーーー

ーー

 

「...なるほど。要はお前が頼んだという訳だな」

「うん!」

「ちゃんとお礼言うんだよ?」

「そうだね!...でも何したらいいの?」

「そうですわね...」

 

西条が端末を操作しながら様々な案を生み出す

 

「一人暮らしと仰ってたのでお返しということでこちらもお料理を振る舞うなんてどうですか?」

「俺料理できない!」

 

「では、おしゃれなレストランにでも連れていくなんてどうですか?」

「ラーメン屋か、居酒屋しか行かないからわかんない!」

 

「...何かプレゼントを贈るのはどうですか?」

「カードでいい?」

「灰田に常識は通用しないよ」

 

「そんなに考えることは無いですよ!」

 

今度は詩織が提案する番のようだ

 

「灰田さんがされたら嬉しいことをしたらいいんですよ!何かないですか?」

「ご飯作ってもらうこと!」

「じゃあお料理しましょう!」

「俺料理できない!」

「そうでしたね...」

 

「灰田みたいな男がやるんだ、ここはな...」

 

知樹が口を開くと一同そちらに視線を移した

 

「灰田、夜景の見えるレストランで...」

「ラーメン屋ぐらいしか知らない!」

「そうだったな...」

「あれ、私がからかわれてるの?」

 

「村上さんは何か無いですか?」

 

一通り流れ慎也に行き着いた。周りの生徒達も増え、講義が始まる時間も近づきつつある。そろそろひと段落つけたい所に慎也が出した案は...

 

「ファンクラブ入れば?」

「俺はもう入ってるよ!」

「入ってた!?」

 

西条が顔を赤くしながら知樹に詰め寄る光景を尻目に詩織が慎也に近づき、声を潜めた

 

「そういえば村上さん...シエンやセラフィはどうしたんですか?」

「うん?あー、なんか道中セラフィが色々気になるみたいでさ、あちこちで止まってなかなか進まなかったんだよ。そしたらシエンが『このままですと殿が遅刻されてしまう。殿、我がセラフィ殿を連れてまいりますのでお先にどうぞ』って言うから俺だけ先に来たの」

 

「そうなんですか。セラフィも楽しんでくれればいいですね」

(シエンのモノマネもできるんですか...)

 

「うん。シザー・タイガーはちゃんとついてきたんだね」

(あれ?結構声真似自身あったんだけどな...)

 

「ガウ!」

(腹減った...)

 

 

 

 

*

 

 

 

午前10時30分。微かな眠気を覚えている生徒もいい加減覚醒する時間に1限の講義は終了した。しかし慎也達は次の講義も控えている。彼らは荷物をまとめると屋外へと出ていった。

 

「いい天気だね!お腹空かない!?」

「そうだね」

「まだ1限だが...それよりも弁当の礼はどうするつもりなんだ?」

「とりあえずは残さず食べてお礼のLIN〇返しておきましょう!」

「そうですわね」

「あ...」

 

突然歩を止めた灰田に合わせて一同の動きは静止した

 

「俺秋天堂さんの連絡先しらない...」

「はぁ!?まじかよ!」

「俺は逆に灰田が連絡先知らない人がいることに驚きだ」

「よりによって秋天堂さんの連絡先を知らないんですか...」

「あ、私秋天堂さんのL〇NE知ってますよ」

 

詩織は端末を通じて灰田に秋天堂との対話を可能にさせようとしていた。しかしそれを灰田自身が制した

 

「いや!こういうのはやっぱり直接会って話した方がいいと思うんだ!」

「確かにそうかもね」

「まだ時間もありますからね」

「そうですね。でも皆さんそろそろ教室に移動しないと間に合いませんよ?」

 

詩織に促され一同は再び目的地への距離を縮め始めた

 

 

ーーー

ーー

 

 

「それでは先週も伝えたとおり今日から暫く実験をガンガンやって行きましょう!」

 

2限から登校してきた蛭谷とシエン達を交え少し高い位置にある机で慎也達は教授の話を聞いていた。通常通り時間に間に合った講義の内容は決闘(デュエル)。教授が指示すると生徒達は相手の選別に少しざわつき始めた

 

「村上さん!やりましょう!」

「あ、やる?...でも詩織ちゃんにお客さんみたいだよ」

「ふぇ?」

「皆木さん!」

 

詩織が振り返ると見覚えのある男が立っていた。構内大会で詩織にワンキルされた松橋遼だ

 

「覚えてる?久しぶり...って程でもないか!土日挟んじゃったから久しぶり似合った気がするよー?」

「あ、はい...こんにちわ」

「こんにちわ!でさ、もし相手決まって無かったら俺とやらない?皆木さんと決闘(デュエル)したいんだ!」

「すみません...村上さんとしたいので...」

 

松橋の笑顔が固まる。玉砕、そんな言葉が浮かぶもやはり引き下がらない

 

「...村上も居たんだね。どうも」

「あ、どうも」

「颯人、俺らもあっちでナンパしに行こう」

「それはいいなぁ」

「俺も!」

「え、あ...じゃあ私も...」

 

知樹達は蜘蛛の子を散らすように慎也の元から離れていった。それを目で追うことなく松橋の視線は慎也を捉えている。シエンとセフィも主に無礼を働きかねないその男を見据えている

 

「皆木さんとの決闘(デュエル)譲ってくれない?」

(さぁ、空気読んでくれよ)

 

「うん?」

(そんなに決闘(デュエル)したいのかな?)

 

答える代わりに席を立ち背を向けた慎也。それを見ると松橋はひとまず胸をなでおろした。アプローチの手を緩めようとせず、再び詩織に詰め寄る

 

「さぁ!皆木さん俺とやろ!」

「いや...その村上さんが...」

「んー?譲ってくれたんでしょ?」

(また村上さん、か...まぁ少しは空気読んでくれたみたいだし...っ!?)

 

松橋が詩織の釈然としない言葉の理由を理解するまでにさほど時間は必要無かった。ディスクを構える慎也の姿を見れば

 

「...村上さんが準備万端なんですけど」

「なんか詩織ちゃんあんまりやる気じゃないみたいだし俺とやろうよ!」

 

「はぁ!?」

 

満面の笑みを浮かべる慎也、苦笑いの詩織。松橋の表情は驚愕の一言。折角のチャンスの中、慎也の勘違いはよほど効いたようで動揺を隠せていない

 

「いや違くて!俺は皆木さんとね!?」

決闘(デュエル)したいんでしょ?でも詩織ちゃんのことも考えようよ」

 

「うっ...そうだけどさぁ...」

(こいつさっきから皆木さんの事ちゃん付けで呼びやがって...!)

 

驚きは怒りへ移ろっていく。こうなってしまえば決闘(デュエル)する事は避けられないが目的は変わっていた

 

「...いいよ、やろう」

(まずはこいつを倒して皆木さんへの1歩を掴む!)

 

「よろしく!」

 

松橋が素早くデッキをディスクに差し込む。対する慎也はまだ5分の1を決めかねているようだ

 

『殿、どちらで?』

『マスター、決闘力(デュエルエナジ-)の安定も兼ねて引き続き私達以外が宜しいかと』

(うーんじゃあ今回はこれで)

 

3分の1を選ぶと慎也もディスクにシャッフルを命じた。双方準備が整うとディスクとディスクを連動させた

 

         「「決闘(デュエル)!!」」

           松橋 LP 8000

           慎也 LP 8000

 

「俺が先行だ、まずはデッキトップ3枚を裏側で除外して[トゥーン・キングダム]を発動する!」

 

フィールド魔法の発動により背景が変化する。処理を終えると非公開情報の取り除かれたカードを確認した

 

「...[トゥーン・ヂェミナイ・エルフ]を召喚!」

 

      [トゥーン・ヂェミナイ・エルフ] ATK 1900

 

「そして[カイザー・コロシアム]を発動!君は俺より多くのモンスターを召喚できないよ!」

「なるほど、構内大会の時とは違うみたいだね」

「なんだ見てたのか、あの時の俺とはもう違う!カードを1枚セットしてターンエンド」

 

松橋 手札:1枚 LP 8000

 

モンスター/ [トゥーン・ヂェミナイ・エルフ] ATK 1900

 

魔法・罠 / [カイザー・コロシアム]

 

     / リバース1枚

 

フィールド/ [トゥーン・キングダム]

 

「俺のターンドロー...!」

 

[カイザー・コロシアム]がある限り慎也がフィールドに出せるモンスターは一体のみ。紋章獣やSRならエクシーズやシンクロに繋げることは不可能に近い。カオスソルジャーを選択していればさほど困らないが、どうやら前者のどちらかのようだ

 

「カードを2枚セットしてターンエンド」

 

慎也 手札:4枚 LP 8000

 

モンスター/ なし

 

魔法・罠 / リバース2枚

 

 

「ふん、やっぱり何も出来ないか?何デッキかは知らないけど」

「まぁノーコメントで」

「強がるなよ、ドロー![マジック・ガードナー]を[トゥーン・キングダム]を対象に発動!カウンターを1つ置き、カウンターを取り除くことで破壊を免れる!そしてバトルだ。[ヂェミナイ・エルフ]でダイレクトアタック!」

 

[カイザー・コロシアム]の都合上このまま[ヂェミナイ・エルフ]1体を維持させハンデスとダイレクトアタックを続けるようだ。慎也にダメージを与えると次にハンデスの効果が襲う

 

慎也 LP 8000→6100

 

「[ヂェミナイ・エルフ]が相手に戦闘ダメージを与えると相手の手札1枚をランダムに捨てさせる!」

 

ディスクランダム機能が作動した。慎也の手札にある1枚のカードをモニターに表示し、それを墓地に送るように指示している。それに従い手札を墓地に送ると新たな処理が割り込んだ

 

「墓地に送られた[バック・ジャック]の効果発動!デッキトップ3枚を好きな順番にする!」

「ふん、好きにしろよ」

「...ほうほう。そのまま[バック・ジャック]の効果発動!自身を除外してデッキトップのカードをめくる。カードは[サウザント・ブレード]、モンスターのためそのまま墓地に送る」

「[カイザー・コロシアム]がある限り君はエクシーズ出来ない。俺はターンエンドだよ!」

 

松橋 手札:1枚 LP 8000

 

モンスター/ [トゥーン・ヂェミナイ・エルフ] ATK 1900

 

魔法・罠 / [カイザー・コロシアム]

 

     / リバース1枚

 

フィールド/ [トゥーン・キングダム]

 

『これは厳しいですな』

『兄ちゃんのデッキは何なんだ?』

「[バック・ジャック]が入っているのは...[ジェムナイト]と[紋章獣]ですよね?」

『はい。ですがマスターの選択は恐らく後者です』

 

詩織と精霊達が慎也の消極的なターンエンドを見守る。セラフィ自身の発言からおおよそ使用デッキが判明したが、慎也に分が悪いことには変わりなさそうだ

 

「俺のターン!俺は引いたこのカードを公開する!」

「っ!いいよ発動しなよ」

「メインフェイズに入るよ。手札から[RUM(ランクアップマジック)七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)]を発動!エクストラデッキから[仮面魔踏士(マスカレ-ド・マジシャン)アンブラル]をエクシーズ召喚!」 

 

    [No.104仮面魔踏士(マスカレ-ド・マジシャン)アンブラル] ATK 3000

 

「特殊召喚時の効果発動![カイザー・コロシアム]を破壊する!」

「仕方ないね」

 

『ふむ、これでエクシーズ召喚に繋げられますな』

「ですね!」

 

[トゥーン・キングダム]を破壊できれば[ヂェミナイ・エルフ]も同時に破壊できるため3枚のロックパーツ全て無効化できた。[マジック・ガードナー]の破壊耐性を減らすより確実に[カイザー・コロシアム]を穿つことでエクシーズ召喚に繋げることが可能になった

 

「[ゴブリンドバーグ]を通常召喚、効果で手札の[聖鳥クレイン]を特殊召喚!効果で1枚ドロー!」

 

       [ゴブリンドバーグ] DEF 0

       [聖鳥クレイン] ATK 1600

 

「俺はレベル4の[ゴブリンドバーグ]と[聖鳥クレイン]でオーバレイ、紋章獣の祖なるもの、その紋章を掲げ、我が下僕の第一歩を印せ!エクシーズ召喚、現れろ[No.22紋章祖プレイン・コート]!」

 

    [No.18紋章祖プレイン・コート] ATK 2200

 

「さらに手札から[RUM(ランクアップマジック)-リミテッド・バリアンズ・フォース]を発動![プレイン・コート]をランクアップ!紋章を司る神よ、新たな力をその身に刻み、呪われた歴史を塗り替え、全てに死を記せ!現れろ[CNo.69 紋章死神(デス・メダリオン)カオス・オブ・アームズ]!!」

 

[CNo.69 紋章死神(デス・メダリオン)カオス・オブ・アームズ] ATK 4000

 

「バトルフェイズ![カオス・オブ・アームズ]で[ヂェミナイ・エルフ]に攻撃、“ジエンドアーム“!」

 

「甘い!罠発動、[マジカル・シルクハット]!デッキの[歯車街(ギア・タウン)]を通常召喚モンスターとして[ヂェミナイ・エルフ]と裏守備で特殊召喚!」

「うわ!...じゃあ真ん中を攻撃!」

 

慎也が選択したハットの中身は狙いのカード、[ヂェミナイ・エルフ]であった。本来なら3分の1を当てることに成功し、肝心のモンスターは破壊できた。しかし今回はトゥーンモンスターだ。詩織も使用しているカードだからか少しだけ嬉しそうに見ている

 

「運の強いヤツだな。だけど[トゥーン・キングダム]の効果で[ヂェミナイ・エルフ]の破壊を守るよ」

「そうか...仕方ない。バトルフェイズ終了」

 

「バトルフェイズ終了時[マジカル・シルクハット]で特殊召喚した[歯車街(ギア・タウン)]を破壊する。そして破壊された事によりデッキからアンティークギアモンスター2体を特殊召喚する!来い、[トゥーン・アンティーク・ギアゴーレム]!」

 

    [トゥーン・アンティーク・ギアゴーレム] ATK 3000

 

    [トゥーン・アンティーク・ギアゴーレム] ATK 3000

 

「そう言えばトゥーン版いたね...」

「何言ってるんだよ、次のターンから攻撃に参加するよ」

「6000のダイレクトアタックか...やだな、ターンエンド」

 

慎也 手札2枚 LP 6100

 

モンスター/ [CNo.104仮面魔踏士(マスカレ-ド・マジシャン)アンブラル] ATK 3000

 

モンスター/ [CNo.69紋章死神(デス・メダリオン)カオス・オブ・アームズ] ATK 4000

 

魔法・罠 / リバース2枚

 

「俺のターン!...[カオス・オブ・アームズ]の破壊効果も1回は耐えるよ、3000ダメージは通る」

「そうだね」

「でもこのターンで決めさせてもらう!手札から装備魔法[コミックハンド]を[アンブラル]に装備!装備モンスターをトゥーンモンスターとして扱いコントロールを得る!」

 

[トゥーン・ワールド]が存在していることが発動条件の装備魔法。トゥーン化とコントロールを奪う事によりダイレクトアタックの頭数を増やすことが出来、効果もそのまま使用可能。ここで慎也が思うことはピンチによる焦燥でなく...

 

「うそ...また[アンブラル]が奪われた...!?」

「...また?」

 

明らかに落ち込む慎也の姿を見ると松橋も思い出すことがあるようだ。すこし記憶を探ると思い出す

 

「...あ!お前構内大会のAブロックの優勝者か!?」

「え...あぁそうだけど...」

「いま気づくんですね...」

 

そんな事どうでもいいから[アンブラル]を返してくれと言わんばかりの表情を浮かべる慎也。松橋も敵対する相手を間違えたと後悔していた。しかしフィールドを見直すとそんな心配も必要なくなった

 

「と、特別枠だかなんだか知らないけどね!この決闘(デュエル)と皆木さんは俺がもらった!」

『と、殿...』

「...村上さーん?バトルフェイズ入りますよ?」

「...うん」

 

「バトルフェイズ![トゥーン・アンティーク・ギアゴーレム]でダイレクトアタック!魔法・罠は発動できない![カオス・オブ・アームズ]の効果を使うのか!?」

「使わないよ」

 

奪われた[アンブラル]がさらに慎也を追い詰める。残されたカオスナンバーズも[アンブラル]がいるため使用しなかった。この6000ダメージは受けるしかない

 

慎也 LP 6100→3100→100

 

「ダメージを受けたので墓地の[サウザント・ブレード]を特殊召喚!」

 

   [H・C(ヒロイック・チャレンジャ-) サウザント・ブレード] ATK 1300

 

ランク4用のモンスターが現れる。しかし大きすぎるダメージに[サウザンド・ブレード]の効果はもう使用出来ない。それよりも次のダメージを受ければゲームエンドだ

 

「関係ない![トゥーン・アンブラル]でダイレクトアタックだ、終わりだよ!」

 

デフォルメされた仮面魔踏士が慎也のフィールドまでやってきた。歓迎するわけにも行かず、自らのモンスターの攻撃を止めなければならない

 

「リバースカードオープン、[紋章変換(チェンジ・メダリオン)]!手札から[紋章獣レオ]を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる!」

「チッ...魔法・罠か」

 

[レオ]が地に降りると味方であるはずの[アンブラル]を抑えた。このターンこれ以上の戦闘ダメージを受けることは無くなったがもうターンを返すことは危険だ

 

「カード1枚セットしてターンエンドだ!」

 

松橋 手札:0枚 LP 8000

 

モンスター/ [トゥーン・アンティーク・ギアゴーレム] ATK 3000

     / [トゥーン・アンティーク・ギアゴーレム] ATK 3000

     / [トゥーン・ヂェミナイ・エルフ] ATK 1900

 

     / [No.104仮面魔踏士(マスカレ-ド・マジシャン)アンブラル] ATK 3000

 

魔法・罠 / リバース1枚

 

フィールド/ [トゥーン・キングダム]

 

松橋のフィールドに屹立する己のエクシーズモンスターと対面すると慎也はドローフェイズに入った。過去にもこんな体験をしたとデジャヴュに近い感覚の中、今の己に可能な行動を再確認した

 

「墓地全然肥えてないなー」

 

墓地には使用した魔法・罠のみ。手札は3枚。フィールドには攻撃力4000のエクシーズモンスターがいるが、相手にはそれを無効化できる[アンブラル]が構えている。さらに次のバトルフェイズにはダイレクトアタックできるモンスターが4体存在し、それらは全てフィールド魔法が破壊を守っている。そのフィールド魔法自身も1度だけ破壊耐性を持っている。

 

「[アステル・ドローン]を通常召喚。俺はレベル4の[紋章獣レオ]と[アステル・ドローン]2体でオーバレイ、エクシーズ召喚!現われろ[No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド]!」

 

    [No.106 巨岩掌 ジャイアント・ハンド] ATK 2000

 

「[アステル・ドローン]の効果でドローするよ!」

「何がしたいんだ?トゥーンモンスターを対象に取ることはできないよ!」

「まずは[アンブラル]だ、[RUM(ランクアップマジック)-バリアンズ・フォース]を発動![ジャイアント・ハンド]をランクアップさせるよ!」

「そのカードは...っ!?」

「現われよCNo.106!混沌なる世界を掴む力よ、その拳は大地を砕き、その指先は天空を貫く!カオスエクシーズチェンジ![CNo.106 溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド]!」

 

  [CNo.106 溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド] ATK 2600

 

「...あれ?」

「[バリアンズ・フォース]の効果で[アンブラル]のORUを貰うよ!」

「...なるほど」

 

[七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)]の効果で召喚したためORUを1つしか所持していない。そのため最後の1つを奪われた今、[アンブラル]はただのトゥーンモンスターだ。

 

「勿体ないなー...[死者蘇生]を発動、[ジャイアント・ハンド・レッド]の効果発動!フィールド上の表側のカード全ての効果を無効化する!“紅漠無惚“!」

 

自身のカードの効果をトリガーにカオスナンバーズの効果を起動させた。これにより全ての表側のカード、[トゥーンキングダム]も[コミック・ハンド]も無効化された

 

「さぁ!俺の[アンブラル]は返してもらうよ!!」

「うっ...まさかそのためにここまで...」

「当たり前だ!いつまでも奪われてちゃ[アンブラル]が可愛そうだよ!」

 

「...そういえば色嶋さんの時は自分の[アンブラル]を破壊しちゃいましたもんね...」

『殿...2度目は相当ショックなようですな』

 

「[エクシーズ・ギフト]を発動![カオス・オブ・オームズ]と[ジャイアント・ハンド・レッド]のORUを1つずつ取り除き2枚ドロー!そして墓地に送られた[プレイン・コート]と[紋章獣レオ]の効果でデッキから[紋章獣アンフィスバエナ]を手札に加え、[紋章獣アバコーンウェイ]2体を墓地に送る!」

 

「止まらない...っ!」

「ああ、まだまだ行くよ!墓地の[アバコーンウェイ]の効果発動!除外し、墓地の[レオ]を手札に加える!そして手札の[レオ]を捨てて[アンフィスバエナ]を特殊召喚!」

 

      [紋章獣 アンフィスバエナ] ATK 1700

 

「俺はレベル4の[紋章獣アンフィスバエナ]と[H・C(ヒロイック・チャレンジャ-)サウザンド・ブレード]2体でオーバレイ、エクシーズ召喚!再び印せ[プレイン・コート]!」

 

     [No.18 紋章祖プレイン・コート] ATK 2200

 

「墓地の[ユニコーン]の効果発動!墓地の[プレイン・コート]を特殊召喚!」

 

     [No.18 紋章祖プレイン・コート] ATK 2200

 

「わざわざそいつを並べて何がしたいんだ!?」

「あ...きますね...」

 

松橋と詩織が別々の反応を見せた。慎也は深く息を吸い、述べた

 

「俺は[プレイン・コート]2体でオーバレイ、宇宙創造の鍵、今こそ闇の扉を開き、未来を、その咆哮とともに導け!降臨せよ、[No.100 ヌメロン・ドラゴン]!」

 

    [No.100 ヌメロン・ドラゴン] ATK 0

 

「ぬ...[ヌメロン・ドラゴン]だと!?」

「綺麗だろ?それは発動しなくていい?」

 

美しき龍に見とれる松橋に何かを指摘した。松橋自身もまだ裏になっているカードに気づくと発動させた

 

「そ、そうだ!罠発動、[激流葬]!全てを破壊だ!」

「残念リバースカードオープン[ナンバーズ・ウォール]。俺のフィールドのNo.は効果で破壊されない」

「な...なんだとぉぉ!!?」

 

元々は[トゥーン・キングダム]で己のモンスターだけ破壊から守り、相手のフィールドを一掃させるための罠だろう。しかし今回は[トゥーン・キングダム]は無効化され、慎也の永続罠により破壊できたモンスターは自身のトゥーンのみだ。慎也のフィールドにはNo.しか存在しないため被害は無い

 

「村上さんのフィールドにはNo.しかいません!」

『やるじゃねえか!...でも何で伏せが分かったんだガウ?』

『ふむ...』

 

「[ヌメロン・ドラゴン]の効果発動!フィールドのランクの数×1000ポイント攻撃力をアップさせる!“アブソーブ・ヌメロン・ギャラクシー“」

「う、うそだ...」

 

   [No.100 ヌメロン・ドラゴン] ATK 0→15000

 

「バトルフェイズ、[ヌメロン・ドラゴン]でダイレクトアタック!“ビッグバン・ヌメロン・ストーム“!!」

 

耐性どころかモンスターが存在しない松橋は宇宙創世の一撃、つまり[ヌメロン・ドラゴン]の一撃をその身で受けるしかない。当然耐えることは出来ず、決闘(デュエル)は終わった。詩織との決闘(デュエル)も特別枠を前に叶わなかった...

 

       LP 8000→0

           松橋LOSE

 

決闘(デュエル)終了のブザーが響くと周りで拍手がなった。特別枠に選ばれ、構内大会で好成績を残した慎也の決闘(デュエル)に周りは興味があったようで、いつの間にか野次馬ができていた。教授までも拍手に参加していた

 

「村上さん!やりましたね!」

『お疲れ様です、殿』

 

詩織達が寄ると慎也も笑顔で答えた。ここで詩織が先ほどの決闘(デュエル)での慎也の行動に疑問をぶつけた

 

「そういうば村上さん、なんであの...ま、松橋さんのリバースカードが分かったんですか?」

「そ、そうだよ!なんであの時発動をうながしたんだよ!?」

 

[ヌメロン・ドラゴン]の召喚時、事実松橋は[激流葬]の発動をわすれかけていた。[トゥーン・キングダム]の無効化中だったため、検討していた可能性もあるが慎也に触発されたことは事実だ

 

「あぁ、あれね」

「なんでわかったんだよ!さてはインチキしたのか!?」

 

潔白を疑われてしまえば話すしかない。慎也の笑顔がさらに楽しそうなものに変わるとたねあかしを始めた。

 

「[ジャイアント・ハンド・レッド]を召喚した時にそのカード発動させようとしてたからさ。[バリアンズ・フォース]のエクシーズ素材を奪う処理が入ったから発動できなかったんでしょ?あの時打ちたくて[ジャイアント・ハンド・レッド]の無効化使ったあとにはそうでも無いってことは全体破壊だろうなって」

「そ、そうだ...[ジャイアント・ハンド・レッド]の無効化をさらに[トゥーン・アンブラル]で無効にしようと思ったんだ...」

 

もしそれが叶っていれば慎也のモンスターは全滅し、松橋のフィールドにトゥーンモンスターがそのまま残った。ランクアップマジックの中で[バリアンズ・フォース]以外のカードだったらと考えると慎也の心境も穏やかではなかっただろう

 

「で、でも!召喚反応系でも[トゥーン・マスク]だったらどうするんだよ!?デッキバウンスには対応出来なかっだだろ?」

「[マスク]かー...何となく違うとおもったんだよね」

「何となくって...」

「多分[トゥーン・キングダム]の裏側除外でその辺除外したんだろうなーって」

「うっ...」

「まぁ[ヌメロン・ドラゴン]召喚しなきゃあのターンは無理だったからね、どっちにしたってああするしか無かった」

 

淡々と語る慎也を他所に松橋の顔色は悪くなる一方だった。決闘(デュエル)は自分が一方的に進ませていたと記憶する松橋。しかし慎也の話を聞くと、考えを改めざる得ない

 

(こいつ...俺が皆木さんの事を考えている間もずっと決闘(デュエル)の事を...)

 

「だからね、分かってたわけじゃないんだよ。賭けたの」

「流石です!村上さん!」

 

「...完敗だよ」

 

デッキをしまい、荷物をまとめると敗者は静かにその場を後にした。慎也や詩織と黙ってそれを見送った。松橋のその背中は悲しみを背負っているようにも、どこか満足そうにも見えた。

 

(だけど...まだ終わらせない!)

 

最後に慎也の方に振り向くと口角を上けだ。慎也も満足そうに、最後は笑顔で見送った。厳密には苦笑いだ

 

 

「...まだ講義中なんだけど」

 

 

 




松橋君の再戦でした。トゥーンは新規色々もらってましたが結局ロック昔のカードばっかになるのは何でですかね。それとも僕のだけですかね?

〜おまけ〜

「さて、どうしたものかな...」

1人自宅のキッチンに屹立する秋天堂。料理は苦手ではない。1人で自炊をしてきたのだから今更2人分作ることぐらい大丈夫だと自らにいい聞かせながら冷蔵庫を開けた

「...やっぱり男の子はお肉メインがいいかな」

暫く黙々と調理を続ける秋天堂。おそらく好きであろうハンバーグやらエビフライなどを1通り作り終えると考える

「...これでは栄養バランスが悪いよ」

揚げ物や炭水化物がさらに林立している。好きなものを食べてほしいが栄養バランスという新たな問題が生じる頃には2時間が経過していた

「この時期ならまだサラダ入れても大丈夫かな...?」

更なる追究のため、野菜室にも手をつけた

ーーー
ーー


「で、できたね...」

アスパラの肉巻き、色とりどりの野菜炒め、ブロッコリーのサラダなども仲間に加えた。いざ弁当箱に敷き詰め完成系を前にして秋天堂は一息ついた

「ははは...柄にもなくはりきっちゃったね...」

明日渡そう、今日は後はゆっくりしていようとテレビを付ける。ニュースが報じている内容に違和感を覚え、それに気付くことにさほど時間は必要としなかった

《ーという訳でして、大学生で日本1を決める大会なんですよ》
《へぇー近々関東の大学対抗戦もあるみたいですしね。大学生にとってこれは見逃せませんね!》

「うん...?あぁそっか、もうすぐ関東大学対抗戦か」

明日はそれの出場者を決める構内大会がある事を忘れるはずはない。忘れているはずがないのだが...

「...あれ!?明日お弁当必要なくない!?」

慌てて鞄から構内大会のプリントを掴むと集合時間や開催時間を確認する。午後からのため昼食は各自とってから来るだろう。

「...明後日作り直して...月曜日に渡そう...」

数時間かけて作った弁当のためもう夜もふけている。そろそろ明日に向けて色々と支度をしなければならない

「とりあえず...お風呂入ってご飯作らなきゃ...いや、このお弁当食べればいいのか...ラッキーだね...」


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