遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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クリスマスはチキン揚げて売って
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元旦も客にあけましておめでとうございますです

決闘(デュエル)したい...


第六十二話 Black storm

◐月下ー???

 

 

 

《到着しました。お気をつけてお降り下さい》

 

「行くぞ」

 

「はい!」

 

 

大きく揺れていたトラックが静止する

それに伴いまた機械音とアナウンスが流れ、降車を促した

 

リーダー格の男が先に降りると、続いて4人の男女も続いた。久しぶりの外気は少し肌寒く、解放感が気持ちいい

 

深く深呼吸をすると、辺りを見渡した

何も無い

 

人の手が加わった形跡も無く、かなり遠い位置に緑が見えるくらいだ。360度遮蔽物が存在せず、とにかく見晴らしがいい

 

 

「...ここが」

 

「そうよ、ようこそ月下へ...ふふふっ、私がいう台詞じゃないわね」

 

 

長かった道のりに溜息をつくと、慎也は月下の土を改めて踏みしめた。少しだけ日本の物よりも硬い気がしたが、月下と日本の違いを無意識に模索しようとしているだけなのかもしれない

 

だが、少なくとも空気は確かに異なっている

澄んだ、綺麗な空気だ

晴れていればもっと良かったと仕方の無い落胆すらした

今日は嵐でも起きそうなほど曇っている

 

 

「どうだ村上、何か違うか?」

 

「はい...なんかその、空気が綺麗ですね」

 

「うん!月下の主な発電所は決闘力(デュエルエナジ-)を使った物だし、自然も豊かで広大だからねっ!」

 

「いやいや、今一ノ宮さんが説明する流れだったやろ」

 

「ふふふっ...」

 

 

一ノ宮は説明役を形谷に奪われたからか、少しだけ不満そうに舌打ちをすると端末を操作しだした

程なくそれを終えると、どうやら補給地点らの場所を把握したようだ

 

端末を仕舞うと今作戦参加者に向き直った

 

 

「場所は把握した。行くぞ」

 

「はぁい」

 

 

慎也は少し遅れて一ノ宮達に続いたが、彼らは今降りたばかりのトラックに乗り込んだ。また長時間ひどく揺らされるのかと不安に思っていると、形谷が運転席に位置した

 

その様子を黙って見ていると、氷染が慎也の手を握りしめた。何かと思うと、笑顔のままトラックへ引き連れだした

 

 

「ふふっ...今度は操人クンの運転よ、すぐ着くわ」

 

「運転...ここに来る時は誰が運転してたんですか?」

 

「日本から月下まではオートよ、月下に着いたら普通のトラックのように人の手で運転するの。さっ、行きましょ」

 

 

その目的のトラックから一ノ宮が睨んでいた

さっさとしろと言わんばかりに苛立ちを顕にし、慎也を待っている

 

慎也も氷染に連れられ、またあのトラックに戻ると、今度は形谷を除いた4人でテーブルを囲った

 

少し抜けている印象の形谷だが、意外にも静かにトラックを走らせた。その後も、揺れの不可も特に感じられず、乗り心地は快適の一言だと言える

 

 

「いやぁ、形谷は普段あんなんやけど運転だけは上手いんよね」

 

「そうですね...行きも形谷さんが運転した方が良かったのでは?」

 

 

運転席と慎也がいる場所は壁が隔ててある。そのため形谷の賞賛もその本人には聞こえていないようだ

 

だが、同じ場所にいる一ノ宮には聞こえる

眉をひそめながらこのトラックの仕組みについて説明が始めた

 

 

「聞いたとは思うが、月下と日本は次元が違う。決闘力(デュエルエナジ-)で力づくで月下への道をこじ開けて、決闘力(デュエルエナジ-)で守られたトラックで無理矢理通る。だから行き来は決闘力(デュエルエナジ-)に任せるしかないんだよ」

 

「はぁ...なるほど」

 

「ゲートは普通の車じゃ抜けられないのよ。何が起こるか分からないしね?」

 

「...」

 

 

蛭谷の顔が浮かんだ

あの時、慎也と共にあのトラックを必死に追いかけた友だ

 

意識は取り戻したと聞いていたが、1度ちゃを顔を合わせて謝罪がしたかったと悔やむ

大事なバイクも体も傷つけてしまった

それに国家秘密にも巻き込んでしまった

 

情報漏洩防止のため、安山らが記憶操作をする可能性もある。もし、慎也が無事戻ってこれたとしても彼らは何も知らないかもしれない

 

 

「...慎也クン?どうしたの?」

 

 

だが、それでいいのかもしれない

慎也1人が戦い、悩み、苦しめばいいだけだ

 

彼らは大事な友、信頼できる人間達

それ故にこれ以上巻き込めない

 

 

「おぉい?」

 

「..あ、はい?」

 

 

氷染に頬をつつかれハッとした

自分だけの世界にのめりかけていたようだ

 

なんの話をしていたか

そうだ、ゲートとトラックの話だった

一ノ宮は不満そうに眉をひそめると、恐らく2度目の発言をした

 

 

「聞いていたのか?ハリケーンを抜けるぞ」

 

「はい...え?」

 

 

一ノ宮がそう告げると、形谷が操るトラックは突如一気に加速をしだした

予想していなかった横揺れに耐えきれなくなり、慎也はトラック内のあちこちに体をぶつけた

 

 

「ぐっ!?」

 

「捕まれと言っただろ」

 

 

シートベルトがあるなんて聞いてなかった

目の前の一ノ宮がそれをしっかりと締め、上部の取っ手をしっかりと握る様を見て初めて知った

 

そうこうしているうちに、さらに形谷は加速させたようだ。シートベルトは間に合わないが、せめて掴むものが欲しいと手を伸ばした

 

だが、その先には氷染が既にそれを握って笑っていた

 

 

「うふふっ...慎也クンのは反対よ?」

 

「えぇっ!」

 

 

トラックが何かにぶつかったようだ

轟音と共にふわりと浮いた感覚を覚えた

 

結局何も掴めなかった慎也は、そのままトラック内で飛ばされてしまう...

 

 

痛みを覚悟して瞳を噛み締めるが、慎也を受け止めたものは柔らかかった

 

むにっとした感触と共に、上方から聞き覚えのある嬌声が聞こえた

 

 

「やん.....慎也クン強引ね?ふふふっ」

 

「あっ!す、すみません...!」

 

「そのままおねーさんに捕まってなさい♪」

 

 

氷染の胸部から離れようと顔をあげたが、その氷染に頭部を抱き抱えられ、再び氷染に体を重ねた

 

豊かな谷間での呼吸は困難であり、慎也は声にならない声で苦しみを表情するしかできない

 

 

「モガ...ぐる”じ......」

 

「やぁん...動かないでよ?」

 

「...村上良かったね、ウチだったら痛かったよ......」

 

 

編風が自らの胸部を摩りながら冷たい視線を慎也に向けた。が、慎也にその様子は見えるはずもない。一ノ宮は相変わらず苛立った様子でそっぽを向いており、氷染だけが楽しそうに笑っている

 

しばらく氷染に体を密着させていたが、ハリケーンは抜けたようだ。徐々に減速したと思えばトラックは停車した

 

 

「つきましたよっ!」

 

 

壁越しに篭った声で形谷が叫んだ

慎也以外のメンバーはシートベルトを外すと、各々おりていく。だが、氷染だけは慎也を抱き抱えたまま離さなかった

 

 

「...村上、着いたよ?」

 

「そ、そうですか.....あの、氷染さん...離してください」

 

「うふふ...はぁい」

 

 

やっと自由になった慎也は自分の足でトラックから降りた。氷染も後ろから続いたが、何故かまだ後ろから密着されている

 

もはや異議を唱えるのにも疲れた慎也は黙って氷染の顎の感触を左肩で感じていた

 

形谷も遅れて運転席から姿を現すと、再び月下の大地に5人のS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)が集まった

一ノ宮が言っていたとおり、少し離れた後方にはハリケーンの名がふさわしい暴風が吹き荒れていた

 

 

「あれがハリケーンですか?」

 

「そうだ。超局所的ハリケーン、決闘力(デュエルエナジ-)の影響とは言え普通に生身を傷つける。絶対に近づくんじゃねぇぞ」

 

「はい」

 

 

そのハリケーンから目を離すと、先程見えた緑が広がっていた。背の高く、太い樹木から美しい花まで多種多様に咲き誇り、見事な森があった

 

その森に入るのかと思っていたが、一ノ宮は手探りで土をかき分け始めた。少しずつ位置を変えていると、何か別の感触があった。

 

その箇所の土は黒い金属のようなものを隠していた。全体を顕にすると、正方形の蓋が姿を見せた

 

 

「これが通信設備ってやつですか?」

 

「いや違う」

 

 

一ノ宮は短く否定すると、胸ポケットから小さな鍵のようなものを取り出し、その黒い金属蓋に挿した

そのまま捻ることなく、不規則に正方形のあちこちを指先で押すと、その下の方から小さく音が鳴った

 

すると、すぐ隣の大地が裂けた

人が数人同時に収まるほどの大穴が姿を見せた

これが例の通信設備と補給地点なのだろう

 

計り知れない規模だ

 

 

「す、すごい...」

 

「ふふ...落っこちないでね?」

 

 

氷染の一言は大げさに思えない

うっかり足を滑らせると先の見えない奈落に呑まれてしまいそうだ。出来れば二三歩下がりたいが、密着した氷染のせいで上手くできない

 

しばらくその深淵を眺めていると、意を決したように一ノ宮がそれを覗き込んだ

 

どうやら梯子があるようだ。慎重にそれを掴み、闇に消えていった

 

 

「この中に?」

 

「そうやで、ウチが先に行くわ」

 

 

編風も同じようにゆっくりと闇の中へ降りていった

次に形谷も続く

 

形谷を見送った段階で氷染はやっと慎也から離れ、優しく背中を押した。先に行けという意味なのだろう

 

 

「...」

 

 

少し恐怖心があった

手元すらよく見えず、取っ手部分は壁と一体化していて掴み辛い

慎重にゆっくりと降下を続けると、上空の光が遮られた

 

氷染も降りてきたのだろう

もう少し感覚を開けるべきなのではとも考えたが、不意に大地の感触が現れた

 

想像以上に底は近かったようだ

振り返ると先に降りていた一ノ宮らがいる。そしてまた想像は裏切られた

 

 

「...広いですね」

 

「あぁ、緊急の補給地点だ」

 

 

氷染が降りてきた事を見届けると、一ノ宮は何かを操作した

上の方で金属残すれる音がすると、その部屋は完全な暗闇と化した。あの蓋を遠隔操作で閉鎖したらしい

 

次になにかに触れると、部屋に明かりが灯った

改めて確認すると、この人数でも充分に過ごせる程猶予がある広さだ。大学の講義を受けるには心持たないが、それでも充分に役目は果たすだろう

 

 

「まずは着替えだ」

 

 

一ノ宮は既に手に持っていた物を慎也以外のメンバーに手渡した。形谷はすぐに上着を脱ぎ、着替えを始めたが、女性陣は時間がかかりそうだ

 

一ノ宮は慎也に向き合うと、無言で手招きをする。近づいてみると、形谷らに渡したものと同じ一式が用意されていた。

 

 

「上下はこれでいいか?」

 

「大丈夫だと思います」

 

「なら着替えろ」

 

 

薄い半透明の袋にそれらはまとめられている

開けてみると、濃い緑に似たような色の斑点が散りばめられたデザインの長袖と長ズボンが入っていた

 

言わゆる迷彩服だ

インナーも入っており、他のメンバーも全く同じものが渡された

 

指示通り着替えるため、まずは七分袖のシャツを脱いだ。インナーも変えるため、元々着てきたインナーも脱ごうと手をかけたが、視線がきになった

 

恐る恐る背中越しに確認すると、何故か氷染と編風が見ていた。まだ彼女達は私服だった

 

 

「...一ノ宮さん」

 

「部屋はここしかない。我慢しろ」

 

 

一ノ宮は上裸になりながら話した

ここしかないのなら仕方の無い事だが、通常それを気にするのは女性側のはずだ

 

何故慎也がこうも見世物になっているのか本人も疑問だった

 

 

「ウチらの事は気にせんでええんよ?」

 

「ふふふっ...お構いなく?」

 

「氷染さん後ろ向いてて下さい」

 

「あらぁなんでアタシだけ?」

 

 

一ノ宮に叱られる前に慎也も着替え始めた

外気を遮断しているだけマシだが、やはり少しだけ寒い。案の定氷染にずっと監視し続けられたが、さっさとインナーと上着を着てしまった

 

意を決してベルトに手をかけた所で、形谷はいち早く着替え終わったようだ。軽快に雑談し始めている

 

 

「一ノ宮さんっ!俺の運転どうでした?」

 

「上々だ、ドライバーにでもなるといい」

 

 

その一言で満足なのか、形谷は鼻歌を歌いながら移動し始めた。慎也がズボンに足をと落とした所で、彼は女性陣の元まで移動を終えていた

 

ふと見上げると、いつの間にか女性らは着替えを済ませていた。慎也だけがまだ済んでいない。駆け足で支給されたベルトを通し、よく分からないボタンを締め始めた

 

 

「ねぇ、俺の運転どうだった?」

 

「...ウチは持たざる者だと実感したわ」

 

 

腰のベルトを締め、これで完了したかと思えた

だが、袋の中にはまだベルト2本が残っている

予備かとも考えたが、上着の腹部にあたる箇所の裏側とにそれを通す穴を見つけた。これが先だったのかと一度上着を脱ぎ、急いでそれも通し始めた

 

隣の一ノ宮が苛立っているように見えた

 

 

「キツめに締めておけ」

 

「は、はい」

 

 

一ノ宮の指事で腹部のベルトをこれでもかと締めた

再び上着のチャックを締めたが、違和感がする

 

それは痛みと苦しみ

あまりにも苦しく、急いでチャックを外して確認すると腹部のベルトは先程よりもきつくしまっていた

一ノ宮はそれを確認すると、呆れ顔で言い放った

 

 

「...それは腕に巻くディスク用のベルトだ。どんどん締まるぞ」

 

「ぐぐ...い、痛い...」

 

 

一ノ宮にも手伝ってもらい、何とか外すことが出来た

インナーを捲ってみると、うっすら赤く跡が残っていた。こんな薄いベルトのどこにここまでの力があるのか甚だ疑問に思えた

 

 

「氷染は?」

 

「うふふっ...本気になっちゃいそうだったわ♪」

 

 

一ノ宮の助けもあり、慎也の着替えもやっと終わりが見えてきた。改めて受け取ったベルトを通し直し、上着の上から腕にディスク用のベルトを緩めにまいた

 

予め受け取っていたS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)のディスクの下部がベルトのサイズと合い、慎也の腕にしっかりと決闘(デュエル)ディスクが馴染んだ

これならディスクをつけたままでも楽になるだろう

 

 

するとそこに形谷がやってきた

未だ運転技術の賞賛を求めている様子だが、慎也はありのままの感想を示すだけだ

 

 

「村上、どうだった?」

 

「死ぬかと思いました!」

 

「えぇっ!?」

 

 

唖然とする形谷を他所に、一ノ宮は新たな指事を慎也に与えた。今度は靴だった

 

 

「次はこいつだ。そこに座れ」

 

「はい」

 

 

木箱を指さされた。それを椅子替わりにすると、次に靴を脱ぐように指事された。言われた通りに二つを脱ぐと今度はロングブーツを手渡された

 

履けという事だろうが、それは慎也の足には合わなかった。

少し大きい。問題ないが満足に走る事は難しそうだ

 

 

「一ノ宮さん、これ...」

 

「少しでかいならそれでいい。これから圧縮する」

 

 

そういうと今度はドライヤーを手にした

靴底を足の裏にしっかりと合わせると、満遍なく温風を浴びせた

 

靴越しに熱を感じていると、それは一ノ宮の言った通り大きさを変え始めた

 

 

「おぉ...」

 

「どうだ?」

 

「ぴったりです」

 

 

やがてブーツは慎也の足に合わせられた

少し圧迫するが、まるで体の一部のように定着している

 

実際にたって歩いても見たが、全く問題は無い

新しい歩き心地を楽しんでいると、一ノ宮に肩を押さえられ静止させられてしまった

 

今は遊んでいる場合では無かった。慎也はプロの面々の向き合い、リーダーの言葉を待つ

 

 

「今から作戦を開始する。予定通り編風は通信設備、形谷は補給物資の確認だ。氷染もひとまずここに残り、二人を手伝え」

 

「「「了解!」」」

 

「村上は俺と来い。月下の町並みを見に行く」

 

「はい!」

 

 

一ノ宮が告げると、形谷は奥の木箱の方へ、編風は謎の機械の方へと歩み寄って行った。氷染も編風にくっついていき、共に見慣れない機材を弄り出した

 

一ノ宮もそれを見届けると、再び上部の蓋を開いて登っていった。慎也もなれない手つきで続き、重力に抗い始めた

 

降りるよりかは楽だが、やはりエネルギーが必要だ。やっと登りきると、既に歩き始めていた一ノ宮を駆け足で追う

 

 

「...一ノ宮さん」

 

「なんだ」

 

「その、この役割には何か意味が?」

 

「深い意味は無い」

 

 

トラックでは無く、例の森へと入っていった

全く人の手がかかっておらず、木々をかき分けて侵入する

 

 

「お前には月下を一度見せておくべきだと思った。あとは使用デッキの兼ね合いだな」

 

「兼ね合いとは?」

 

「形谷も編風も氷染も長期戦向けのデッキだ。万が一敵と対面した時は俺らの方が早く済む。補給地点が直接狙われても奴らならかなり長い時間粘れるしな」

 

「そうですか...」

 

 

必死に記憶を探りだした

メディアにもよく露出している面々だ。必ず見たことはあるはずだ

 

 

正直な所、一ノ宮の記憶はかなり薄い

初めてあった時もプロだとは気づかなかった程だ

 

 

「...」

(編風さんは確か...ハーピィ?)

 

 

●編風咲(24)

神風の少女

 

{一ターン内の平均特殊召喚回数は脅威の30回!

[霞の谷の神風]の制限化は彼女の影響か?

風のよう囚われず、自由かつ高速な決闘者(デュエリスト)だ!}

 

何かの雑誌でそう紹介されていた

慎也に近い決闘(デュエル)スタイルだ

 

 

SR(スピ-ドロイド)も結構あの人の影響なんだよな...でも持久戦は向いてないんじゃ?)

 

 

●形谷操人(28)

アグレシップフュージョーナー

 

{生粋のシャドール使い。[影依融合(シャド-ル・フュ-ジョン)]の凶暴性を知らしめた男。あの手この手で絡まる影の糸に捕まったら最後!?}

 

彼は大会でしかメディアに出ない男だ

自らAの5と言っていたが、それも好成績の賜なのだろう

 

 

([ネフェリム]が禁止になってならあまり見なくなったけど...S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)で忙しかったのもあるのかな?)

 

 

●氷染菫(27)

冷笑する氷華

 

{クールビューティ決闘者(デュエリスト)!男性のタイプは年下で可愛らしい子だそうです!彼氏さん募集無そうなので、条件に当てはまる方は是非!}

 

 

前に黒川に見せてもらった女性誌の一部だ

彼女はあまり決闘者(デュエリスト)としてメディアに出ず、モデルとしての仕事ばかり目立った印象だった

 

それでもAクラスに在籍し、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の人間として月下に来ている以上実力は疑えない

 

 

(...クールかな?)

 

 

日本の戦力を洗っていると、一ノ宮がこちらを見ていた

怪訝な面持ちで慎也を睨んでいる

 

何かと思うと、一ノ宮は情報を付け足してきた

 

 

「俺らS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の人間はテレビなんかで本当の実力は出さない。無論公式大会は別だが...あいつらは元々持久戦向きなんだよ」

 

「い、いえ疑ってるでは....」

 

「ならいいが」

 

 

そう言い残すと一ノ宮はまた森を開拓し始めた

前を歩いている以上彼の負担は大きく、披露も比例して蓄積するはずだ。だが、彼は一向にその気配を見せず、黙々と歩み続けている

 

慎也はその軌跡をたどるに過ぎず、せめて足音を殺すだけ務めた

 

 

(...一ノ宮さんは)

 

 

●一ノ宮一也(29)

...

......

 

 

全くと言っていいほど彼について情報は無い

いつか決闘(デュエル)番組で見たことはあったが、明るく巧みな話術で視聴者を楽しませるコメディアンかと最近まで誤解していたほどだ

 

しかし彼はプロランクA3

今回の作戦のリーダーでもあり、頼りがいのある決闘者(デュエリスト)のはずだ

 

 

(...多分速攻デッキだと思うんだけど)

 

 

タイミングよく一ノ宮の舌打ちが聞こえた

考えていた事も相まり、ハッと顔を上げた。すると一ノ宮が中腰で慎也にハンドサインを送っていた

 

こちらを見ずに、背中越しに腕を下に降ろす仕草を見せた。しゃがめという事か、黙ってそれに従う

 

 

「...」

 

 

一ノ宮はそのまま腹ばいになるほど身を付した

慎也もそれに高さを合わせ、湿った土の感触をそのまま感じる。そのまま一ノ宮は黙ったままだった

何があったのだろうか

 

痺れを切らした慎也は、声を潜めて尋ねた

 

 

「一ノ宮さん?」

 

「...あれを見ろ」

 

 

視線を変えずに慎也に命じた

慎也がゆっくりと前に出ると、驚愕の光景が広がっていた

 

 

「なっ...」

 

「静かにしろ」

 

 

声を上げそうになったが、一ノ宮に抑えられ事なきを得た。長い森かと勝手に思っていたがそれは唐突におわりを迎え、木々がなくなり視界が開けている

 

そして数十メートル下に建造物が広がっている

どうやらこの森は高い位置にあり、それに囲まれる立地に月下の町があるようだ

うっかり足を滑らせないよう数歩下がった

 

 

「い、一ノ宮さん...」

 

「予想は出来たことだ」

 

 

だが、慎也が驚愕したのはその高低差では無い

 

月下の町並みにだ

思っていたよりも規模は小さいが、人も家も充分にあり、生活感が伺えるものだ

 

だが、とてもじゃないが人の生活には見えない

 

 

 

「おら!休むな!」

 

「ひぃっ...」

 

 

かなり距離は離れている

それでも聞こえる怒号と悲鳴

 

何が起こっているのだ

言葉を失っていると、一ノ宮から双眼鏡が手渡された

見るのも恐ろしいがそれを覗くことにした

 

 

「...」

 

 

高そうな軍服のようなものを纏った人間と、ボロ雑巾のようなとても衣類と表現出来ないものを纏った人間とで分かれている

 

そのみすぼらしい格好の人々は、円形の巨大な装置を人力で回し続けている。汚れが目立つ物だ、赤黒い染みは人の血ではないかと疑える。年季の入った物らしい

 

 

そして非常に原始的な物だ、現代の技術ならもっとマシな物が作れるのではないかと疑問に思える

 

何よりも非合理的だ

あれほどの人数が必死に汗水流しても一巡するのにかなりの時間がかかっている

それに不満なのか急かすように前者の人間達が暴力を加え、また作業が滞る

 

いったい何の悪循環を見せられているのか

 

 

「これは...月下ってこんな事をっ!?」

 

「そんなはずはない」

 

 

まるで奴隷のように扱われている彼らを見ても一ノ宮は眉一つ動かさないでいた。月下の管理とは、月下の開拓とはこれの事だったのか

 

慎也が一ノ宮に対し怒りの矛先を向けた時、彼は迷彩服のフードを被りながら静かに語り出した

 

 

「今までこんな事ものを見たことは無い...恐らく失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)が月下を支配したからだろう」

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)が...知樹がこんな事を!?」

 

「静かにしろ」

 

 

慎也の感情は爆発寸前だった

それを抑えるように一ノ宮は無理やり慎也のフードを被せる

 

何故だ

まさか月下の人々を支配するためだけに知樹はこんな事を?許せるはずはなかった。同時に詩織の事も心配に思える

 

 

(...詩織ちゃんもまさか...)

 

 

かつての友への怒りと同時に、愛するものへの心配もあった。月下各地がこんな状況だとすると、他の聖帝の生徒も危険だ。だが今回の作戦には失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)との戦闘は含まれていないため何も出来ない。

 

焦れったさと不安が相まり、言葉にできない感情を抱くだけだった

 

 

「しかし...こんな立地では侵入も難しいな」

 

「...」

 

 

一ノ宮の言う通りだ

この断崖絶壁を降りるだけでも困難であり、奴らに見つからないとなると不可能と言える

 

このままでは月下の解放もままならない

辺りを見渡すと、1箇所だけ階段が設けられている部分が見つかった。木々を切り倒し、コンクリートで固められた階段まである。あそこなら不自由なく侵入出来そうだが、無論監視の目が多かった

 

 

「...監視カメラ?」

 

「そのようだな。そんな金があるならあいつらを酷使しなくてもいいだろうに」

 

 

一ノ宮と同意見だ

巨大な門、数十人の門兵、そして監視カメラ

必要以上に管理されているそこは、慎也達外部の人間の侵入を拒むと同時に、奴隷の逃亡も防ぐだろう

 

いったい何に金を使っているのか、もはや呆れている

 

 

「...どうしますか?」

 

「どうもしない」

 

 

慎也が双眼鏡を返そうとしたが、それは押し返された。仕方なく慎也は自身の懐にしまった

 

一ノ宮はそのまま匍匐の姿勢で踵を返すと今来た道を戻り出す。

 

 

「ど、どうもしないとは?」

 

「あの集落は放置する」

 

「放置!?どうして...」

 

 

慎也も続いた

一ノ宮の意向に異議を唱えるためにだ

 

あんな奴隷のような扱いなど見過ごせるはずはない。それは彼ら2人に共通する意見のはずだ

それなのに何故だと

 

 

「月下にはS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の人間らがいる中央地がある。俺らがいつも行く所だ」

 

「えぇ」

 

「可能であれば補給地点から一番近い箇所を制圧したかったが...あんな状態では無理だ。いきなり奴らの本拠地を叩く」

 

「そんな...ではあの人達は?」

 

 

ある程度進むと、一ノ宮中腰になった

そのまま慎也を見据えると冷たい視線で続けた

 

 

「再び月下がS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の手に戻れば何時だって解放できる。その為にも俺らは確実に失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)を潰さないといけない。分かるな?」

 

「...」

 

「戦争をする訳では無い。あくまで公にさせないための作戦だ。無駄に目立つわけにもいかない」

 

「.....わかりました」

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の本拠地...いや元はS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の本拠地か。ここからどれだけ離れているかも分からない。慎重かつ静かに作戦を練らなきゃならない。私的な感情は捨てろ」

 

「...はい」

 

 

慎也が不承不承と納得すると、一ノ宮は何かを取り出し慎也に手渡した。純白の紙と小さなペンだった

 

裏にも何も書かれていない

慎也が疑問に思っていると、一ノ宮はその紙の左端に小さく何かをメモすると説明を始めた

 

 

「俺は先に補給地点に戻る。お前はあの集落の概要をメモしてから来い」

 

「概要...ですか?」

 

「そうだ。放置するが報告はしないといけない。見取り図も含めてできるだけ細かくまとめるんだ」

 

「わかりました...でも俺が書いていいんですか?」

 

「.....俺は絵が上手くねぇ。それに見た事を書くくらい出来るだろ?いいな」

 

「はい」

 

「補給地点のパスワードはここに書いた。素手でその通り触れるだけで開く。痕跡は残さず戻ってこい」

 

 

一ノ宮がメモしたのはパスワードらしい。

彼が言う通り、拙い図形が描かれており、慎也も何とか理解できるレベルだった

ここに来て初めて補給地点を開いた時、彼が触れていた手順を覚え顔を上げると、既に一ノ宮や遠く離れた場所にいた

 

敵地周辺に一人残された慎也は命令を果たそうとまたあの光景を目の当たりにした

 

 

双眼鏡が返された意味も分かった

見たくはないが、命令は無視出来ない

持ちにくいペンをにぎり、紙が破れないように慎重に綴り出した

 

 

「...」

 

 

人の手が加わっていない森に囲まれている。

森は高い位置にあり、集落はその約20メートル下にある

1箇所だけ階段が作られた箇所がある

そこには鉄製の巨大な門、外部と内部に3名ずつ門兵がいる。加えて監視カメラも確認できる。そこからの侵入も難しい

 

集落内部は住宅のような建物が5件、謎の装置は2つ

働かされている人間は1つの装置に14人、別の建物に女性が入る姿を確認出来た。が、内部の人数までは把握できない

 

装置の素材もよく分からない

大きさは恐らく直径8メートル程、高さは約10メートル。その装置の下部から伸びる7本の木製らしき棒を、1本2人の人間で押して回っている

 

何かをすり潰す装置にも見える

だが、詳細は不明

 

服装は極端に分かれている。軍服のようなものを纏った人間は見えるだけで30人。汚くボロボロの衣類を纏った人間も約30人。

 

前者は鞭のような物と、決闘(デュエル)ディスクを携帯

しており、後者は何も持っていない

 

 

「...ふぅ」

 

 

その後も見た事感じた事を綴った

本業は大学生だが、正直レポート制作は苦手だった

それもこんな短時間ではまとめられるものまとめられない。

 

それでも何とか情けないレポートのようなものは完成した。曇り空も段々と暗くなっている気がする。一ノ宮の軌跡を追えなくなる前に補給地点に戻る事にした

 

彼が何本か枝を折った跡が残っている

それをゆっくりと辿るだけであの場所には戻れる

開け方も教わった、戻るだけなら一人でも心配は無い

 

 

「.....」

 

 

一人になると、やはり知樹達の事が脳裏に浮かんでしまう。何故聖帝の生徒を?何故詩織を?何故月下の支配を?

 

何一つ分からない

月下に来た今も得たものは少ない

 

何度も月下に来ていた一ノ宮達でさえこの当たりの立地について知らない様子だった。果たして本拠地まで辿り着けるのだろうか

 

 

「...知樹、詩織ちゃん...どこに...」

 

 

慎也だけでは無理だ

あの奴隷達を救う事も、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)と戦う事も、ましてや会うことも

 

 

「.....いや」

 

 

そのためにS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に入ったはずだ。今は一人では無い、共に戦う仲間も手段もある。確実に一歩一歩を進もう、そう再確認すると、足音を殺して軌跡を辿り続けた

 

 

「...」

 

 

今思えば一ノ宮は1人になる時間を与えてくれたのかもしれない。S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に入りたての、まだ若い慎也を考慮してくれたのかもしれない

 

 

「...そんな事ないか」

 

 

彼の描いたメモを見ると皇帝が難しくなった。本当に絵が下手だから任せただけなのかもしれない

 

彼の人間らしさを感じると、何故か嬉しく思えた。プロだろうと、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)のにんげんだろうと、上司だろうと、彼が、彼らが味方で居ることには変わりないのだ

 

見少し先で森が途切れているのが見えた。

もう補給地点はすぐそこだ。少しだけ歩速を上げ、一刻も早く彼らと再開しようと慎也は急いだ

 

 

 

 

 

 

 

今日何度目だろうか

恐らく本日一番近いの衝撃を受けた

 

 

 

「なっ!?」

 

 

慎也はとっさに足を止め近場の茂みに飛び込む

物音はなるべく起こさなかったが、枝で頬を薄く斬ってしまった。気にせずそのまま腹ばいのまま身を隠し続ける

 

心拍数が跳ね上がっていた

必死に息を抑え、気配を消す事に全力を注いでいる

 

 

補給地点はあった

見間違えるはずもない無機質な黒い金属板が見える

だが、それを囲んでいるのはS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の人間では無かった

 

 

「...ハァハァ」

 

(あれは.....っ!?)

 

 

忘れもしない

黒いフードを深く被り

黒いロングコートを纏い

«цпкпошп»という未知の技術を用いる集団

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)がいた

傍らには氷染達が倒れている

一ノ宮もだった

 

 

「シッド様、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の奴らはこれで全員の模様です」

 

「おう、ご苦労さん」

 

 

そのシッドと呼ばれた白いスーツの男の決闘(デュエル)ディスクは丁度明かりが消えた所だった。たった今決闘(デュエル)が終えたと言う事だ

 

あの短時間で一ノ宮達が敗北したという事か

あのスーツは確か(フロ-)の証、慎也を破ったカムイもそうだが、まさかこれほどの実力とは思わなかった

 

 

(...い、一ノ宮さん達が一瞬で......っ!?)

 

 

信じられなかった

だが、何も物言わず倒れているプロ達が物語っている

今作戦の戦力は慎也のみとなった

 

 

「しかし...希望は居なかったのか?」

 

「はい。隅々まで探しましたがいた形跡もありませんでした」

 

「そうかい...私服もか?」

 

「えぇ、4人分しかありませんでした」

 

 

必死に冷静になる事に尽くした

それでも心拍数は下がらず、嫌な汗も止まらない

どうすればいい、プロでも適わなかったあの(フロ-)と戦うか?

 

恐らくそれは難しいだろう

 

 

「...ボスとグラスの姉ちゃんの読みが外れたみたいだな」

 

「そのようですね」

 

 

先程からあの男達の言葉には違和感がある

恐らく希望とは慎也の事だ

 

無論慎也は今ここにいる

上手く姿を隠せたことは分かるが、痕跡がないとはどういうことだ

 

着替えた後は来てきた私服を補給地点に置いてきている。無いはずがない

 

 

「...仕方ない、戻るか」

 

「かしこまりました」

 

 

数人の失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)達がその場を離れた。氷染達はその男達に担がれ、二台ある内の一つのトラックにまとめて載せられてしまった

 

片方は慎也達が乗ってきた物だ、もう片方は似ているが、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の所有物なのだろう。あのビルで見たトラックと全く同じだ

 

 

「くっ.....」

 

 

慎也は動けなかった

本当なら今すぐにでも飛び出して彼らを助けたかった

だが戦力差は歴然

 

見つからないように振る舞うことが精一杯だった

 

 

やがて一台のトラックは去っていった

一ノ宮達とあの(フロ-)が乗っていた方のトラックだ

 

数名の黒服の男達は、もう一台のトラックに乗り込まず補給地点付近に留まっている

 

 

「さて、俺らも仕事するか」

 

「そうだな」

 

「通信設備の破壊を急ぐぞ」

 

 

3人いる

恐らくS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の補給地点の制圧と決闘者(デュエリスト)の無力化が彼らの目的だと推測した

 

ならば後者が完了したと思い込んでいる今がチャンスだと考えた。幸い戦力が分散している。今しかない

 

 

「.....よし」

 

 

本来の作戦とは大きく異なってしまった

情報収集を目的とした月下潜入作戦ももはや続行不可能に陥っている

 

 

たった一人の戦士は

意を決するとその場で立ち上がり存在を主張させた

 

 

「...ん?おい!あいつは!?」

「ボスの言っていた希望...っ!?」

 

 

戦うんだ

ディスクに一番手の届きやすかったデッキをセットすると敵と向き合った

 

 

「.....俺はS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の希望だ」

 

 

1人の青年を不穏な風が揺らした

その悪しき風を請け負えると、決闘(デュエル)開始を告げるランプが灯った

 

 

 

 

 




しばらく決闘(デュエル)してなかったですが、やっと月下初の決闘(デュエル)になりますね
おまたせしました

ぶっちゃけどうですか?

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  • 読むのが億劫

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