遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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長くなりそうなので分けました


第六十八話 硝子造の王様

◑日本-聖帝大学

 

 

本来であれば聖帝の生徒達が次の講義の教室へ、または帰路につくためにバスロータリーへ向かう為。学食や決闘棟(デュエルパ-ク)に向かう際にもこの大通りは使用されるだろう

 

そんなキャンパスの一角で、3人の青年らが声を揃えて叫んでいた。悲痛なものでも哀愁を帯びたものでもない、勢い溢れる勇ましいものだ

 

 

「[五光]で...」

「[グレート・マグナス]!」

「頼んだよ[大刃禍是]」

 

 

「「「ダイレクトアタック!!!」」」

 

「「「ぬうぉぉぉっ!!」」」

 

 

次に聞こえたのは対照的に痛々しいものだった。一目見れば勝敗はすぐに分かり、我ら聖帝の戦士達が勝利を収めたのは確実だろう

 

聖帝のエースモンスター達がソリッドヴィジョンの肉体を失い、徐々に色を失っていく様を見届けると、斎藤はにこやかに振り向いた

 

自分だけで無く、誰も失わずに皆が勝利できた

つかぬまの喜びを共有しようと自然と彼らに近づいていた

 

 

「良かった...皆無事だね?」

 

「おう!俺があんな小童に負けるわけないわい!」

 

「...訳のわかない改造には少し驚いたけどね」

 

 

«цпкпошп»と決闘撃痛(デュエルショック)の事だろう

初めて体験する彼らは未だ理解が追いついていない様子だが、それでも勝利はした 

 

少し離れた位置に倒れる黒服の男達を1度見据えてみたが、やはりカラクリは分からなかった。だが分かる必要も無いだろう。こちらに与える影響は非常に厄介かつ巨大だが、どうやらダメージについては逆に相手にも与えられ、カード情報もプレイヤーが把握できればいいらしい

 

そのような簡単な解釈で終わらせたが、同士がどう突破したのかは気になるところだ

 

 

「そうだね....早乙女クンは余裕そうだけど何か作てもあるの?」

 

「おう、よう聞いてくれた!」

 

 

ジャージのそでをまくりなおすと、早乙女は呵呵とわらいながら腕組を見せた。まだたったの3名屠ったに過ぎず、何か名案があるのなら是非でも知りたい

 

そういった希望を込めて斎藤は早乙女に問うたのだが、彼の性格を忘れていた事に気が付いた

 

 

「あんのーんだとかよく分からんが、結局相手のライフを0にすれば勝てるのだ!つまり特攻あるのみ!」

 

「...そうだね」

 

「....早乙女君らしいね」

 

 

秋天堂はいち早くディスクのカードを片付けると疲れと呆れ2つの意味を持つ苦笑いを作った。

 

秋天堂にとって、今回は相手がよかった。«цпкпошп»により正確なデッキ判断は難しかったものの、妖仙獣のバウンス効果がうまく刺さった

 

だがそれはこの3人の四年生全員に言える事かもしれない。斎藤の花札衛(カ-ディアン)も、早乙女の超量も、あまり手数の多い柔軟性に優れたデッキとは言い難い

彼らは優れた決闘者(デュエリスト)である事には変わりないが、それも«цпкпошп»が絡んだ今は別問題だ。己の持つ戦術のバリエーションがものを言う状況だ。

 

早乙女以外は理解し始めている

このよく分からない集団の、よく分からない技術は自分らと非常に分が悪い

 

 

「おい!どうなってんだよ、あのガキども...っ!」

「チッ...行くぞ!」

「もっと暴れろ!」

 

 

「ほら来たよ、早乙女クン秋天堂クン!」

「ガハハ!まだまだ戦えるわい!」

 

 

一時の休息は早急に終わりを迎えた

また同じ服装の集団が斎藤らの元へ集結し、今度は何十名ものが逃亡を阻止すべく彼らを囲う陣形を生成しだした

 

必然的に3人の聖帝はお互いに背中を託し合う形をとり、黒い壁を睨み出した。今いる全員を倒せばこの地獄は終わるのか、そんなはずはない事など早乙女ですら理解している

 

 

それでも臨戦態勢を維持した勇敢な戦士達はディスクを構えた。

相性が悪くとも、敵が多くとも関係ない。戦うしかないのだ

 

 

 

決闘(デュエル)!」

 

 

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◐月下-失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部

 

 

「...」グゥ

 

「バシュさん?」

 

 

詩織の部屋に小さな空腹のアラームが聞こえた。詩織のものではないため、必然的にバシュの小さな腹部が音の元だと分かる。詩織が時計に目をやると時計の針は12時を示していた。

 

その時計は詩織がここに来て初めて求めた物資だった。無駄な装飾品等一切ない無機質なそれだがそれで構わない。シッドが2つ持ってきた内のもう1つは大型で、花柄の派手なピンクのものだったためこれを選んだのだった

 

ともかくバシュの胃袋は空腹を訴えている

話題も自然とその方向へ流れていた

 

 

「そう言えばお昼まだでしたね...」

 

「...」コク

 

「...私が何か作りましょうか?」

 

「あなたは料理できるの?」

 

「えっと、そんなに難しいのでなければ」

 

 

ハイライトの無い、吸い込まれそうなバシュの瞳を見ているとどうも調子が狂ってしまう。それでもこの退屈と虚無感の中でやる事が生まれたのだ。同じくシッドから預かった黒い機械を取り出すと、言われた通り短くボタンを押した

 

間もなくその物体から男性のものと思われる声が聞こえる。何かあったら使うように指示された通信器具だった

 

 

『皆木様、どうかなされましたか?』

 

「あ、えっと...そのお昼なんですけど」

 

『はっ!申し訳ありません、係のものを急がせますのでもうしばしお待ちください!』

 

「あ、いや!そうじゃなくてですね...」

 

 

詩織が己の手で作りたい旨を語ると、通信中の相手は少しだけ驚いた反応を見せた。自分達が用意するとも言われたが、願いを再び伝えると了承してくれた

 

すぐに案内役を向かわせると短く伝えられると、詩織は通信を切断させた

 

程なくして部屋がノックされた。相変わらず仕事の早い人間達だと関心させられてしまった

 

 

「皆木様、ご案内いたします。参りましょう」

 

「は、はい」

 

 

出口付近で違和感を覚え、振り返ってみるとバシュがベッドから離れずそこから詩織を見つめていた

バシュに指示するのを忘れていたと、辛うじて作る事が出来た笑顔を見せ、バシュを促した

 

 

「行きましょ?」

 

「...」コク

 

 

黒服の男とバシュと詩織。異質な組み合わせだがその3人は失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部の長い廊下を歩き出した

 

詩織の頭の中は何を作ろうかとレシピの事で一杯だった。偶には和食にしようか、それともバシュが好きだと言っていたカボチャを使おうか

 

 

それ以外の事はなるべく考えないようにしている

 

 

 

 

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◑日本-暁星大学

 

 

油の匂いと金属のこすれる音

その部屋にはまるでそれしか存在していないかのようだった

 

だが正確にはそれらを生み出している1人の男もいた。漆黒のマスクで口元を、使い古された汚い軍手で素肌を隠している。濃い紫色の髪をジェルで後に流しているが、非常に雑に固められている

その男は軍手で掴まれた小さなルーターで何かを削っては確認の作業を繰り返して続けた

 

何度も何度もそれを続けると、やがて満足がいったのかルーターを机の上に置き、固まった筋肉を伸ばし唸った

 

するとそれを狙っていたかのようにノックをする音が聞こえた。その男性は咳払い一つすると音の元へ歩いていく

扉を開けると1人の青年がこちらを見上げていた。赤ブチのメガネが良く似合う小柄な青年だった

 

 

「”(せめらぎ)”先輩、こんにちは」

 

「色嶋か...どうした、聖帝までの道を忘れたのか?」

 

「祝日に大学まで行く用は無いですよ」

 

「他校に行く用事はあるのにか?」

 

「お邪魔でしたか?」

 

「卒業出来なかったら養ってもらうぞ」

 

 

皇と色嶋

前者はともかく色嶋は本来聖帝大学の生徒だ。

首にぶら下げた入構許可書が物語っている通り、然るべき手段で暁星大学に足を踏み入れたらしい

 

皇は色嶋と話をする中で、マスクを顎の下まで降ろした。そこから見えた口角は上がっており、彼らが親しい仲だと分かる

 

皇が扉を多く開けて色嶋を部屋の中へと招くと、色嶋も黙って入室した。部屋の窓を大きく開け換気すると適当な椅子を色嶋に与えた

 

色嶋もそれに腰下ろすと、持ってきた缶コーヒーを手渡した。そして皇もそれのプルトップを黙って引く

 

 

「それで、今日は何の用だ?まさか俺の美顔を見に来たとか言うなよ?」

 

「違います。僕の美顔を見せに来たんですよ」

 

「そうだったか、充分見たからもういいぞ」

 

「お邪魔でしたか?」

 

「俺が男に興味を持ち出したら責任を取ってもらうぞ」

 

 

非常に話のテンポが悪い2人だ

先には折れたのは色嶋の方だった。結局の所、顔を見に来たというのはあながち間違いではなかったようだ

 

 

「関東大会、延期したじゃないですか?それでどうしてるのかと思ってお邪魔しました」

 

「...そうか」

 

 

一言だけ告げると皇は一気に缶コーヒーを飲み干した。よほど喉が渇いていたのだろうか、色嶋は特別驚く様子無くそれを見ている

 

飲み干したブラックコーヒーを勢いよく机に叩きつけると、皇は自身の思いを語り出した。糖分を欲していた訳では無く、カフェインの方らしい

 

 

「別にどうもしないさ。俺は祝日を返上して卒研に勤しんでる哀れな学生だよ」

 

「...関東大会、やっぱり出たくないんですか?」

 

「出たくない、とは違うかな」

 

「出たいんですか?」

 

「できれば出たくない」

 

 

色嶋が呆れた様子でいると、皇は乾いた笑いを見せた。複雑な心境なのな、歯切れが悪い。手持ちぶたさが気になるのか、ゴミとかした缶を弄びながら続けた

 

 

「ほら、俺はビビリだからさ。結局暁星に入ったわけだろ?今更他校のレベルを知るのが怖いんだよ」

 

「...皇先輩、それは本心ですか?」

 

「そうだ」

 

「暁星最強の決闘者(デュエリスト)の発言とは思えませんね」

 

 

はっきりと肯定した

薄ら笑いで自傷する姿は見ていられず、やや食い気味に色嶋は付け加えた

 

だが、それでも皇は態度を改めなかった

 

 

「俺は最強らしい、負けたことがないらしい」

 

「はい」

 

「俺は負けるのが恐いから勝利してるだけなんだ。1番じゃなくなるのが恐いから戦うんだ。ずっとそうだった、中学も高校も周りのプレッシャーが痛くて縋り続けてきただけだ」

 

「...でも貴方は頂に座り続けてきましたよ」

 

「偶然かもしれない」

 

 

ぽつりぽつりと身のうちを語り出した。とある雑誌にも紹介された暁星の最強という名も、本人はまるで鬱陶しいかのように言い放っている

 

色嶋はプルトップの閉まったままの缶コーヒーを握ったまま、最強の言葉を待った

 

 

「怖いんだよ。もし俺が他の誰かに負けた時、周りはなんて言う?俺を倒した誰かを讃えるか、俺を罵倒するかだろう?だったら最強のまま決闘(デュエル)を辞めたいんだよ」

 

「辞めたいんですか?」

 

「失言だったな、辞めたくはない」

 

 

色嶋から目を逸らす、缶を置く、そしてまた手に持つ。忙しなく何かを続けているが、言葉が出ないじれったさと気まずさは言わずとも色嶋に伝わっている

 

 

「この雑誌読んだか?俺の名前まで載ってる。こういうのって本人の許可無しに勝手に書かれるんだな...」

 

「見ました。村上先輩や長夜川さんに南さんの名前もありましたね」

 

「そうだ、プロの長夜川や読モの南の記事でいいと思うんだよ...なんで俺なんか取り上げるかっての」

 

「相変わらずプレッシャーに弱いんですね」

 

「繊細と言ってくれ」

 

 

学生の中では有名なのか、南が引き裂いたものと同じ雑誌が皇の手中にあった。色嶋も既に読破済みのものだが、改めて見るとおかしな点があった

 

文の途中にいくつか黒く塗りつぶされた跡があり、既に内容を理解している色嶋はそれが皇崇人の文字だとすぐに合点が付いた

 

そんな事をしてもなんの意味もない事は分かっているはずなのだが、皇らしいと言ってしまえばそうなのかもしれない

 

 

「はぁ...色嶋、代表変わってくれ」

 

「僕は聖帝の生徒なので」

 

「そう言えば聖帝は誰が出るんだ?」

 

「及川って1年生と村上先輩と小鳥遊さんです」

 

「1年生だと?...大したもんだ、俺だったらストレスで禿げるな」

 

「小鳥遊さんも及川さんも実力は確かです。この目で見ましたから」

 

「村上って奴は?」

 

 

聖帝の代表は構内大会で選抜した事は知っているらしい。だが、慎也の事は雑誌にも少しだけ載ってしたはずだ。知らないあたり自分の名が載るその記事を恐れて流して読んでいたのだろう

 

 

「強いです。勝つ事よりも楽しむ事に重きを置いた決闘者(デュエリスト)です。僕は直接戦いましたけど勝てるヴィジョンが見えませんでした」

 

「そんなに強いのか、大将もそいつか?」

 

「いえ、小鳥遊さんらしいです」

 

「小鳥遊か...捨ての大将って訳では無いみたいだな」

 

 

聖帝の戦力を把握しているかのような口ぶりだ

実際にその目で見て、戦ってきた色嶋はともかく他校の皇がどうしてそのような発言ができるのだろうか

 

 

「えぇ、ですから皇さんは小鳥遊さんとですね。どうですか?」

 

「考えたくも無い。俺こそあいつに勝てるヴイジョンが見えないよ」

 

「及川さんとが良かったですか?」

 

「そういう事を言うもんじゃない。その子も1年生で代表なんて素晴らしいじゃないか。だが...強いて言うならその村上ってやつと戦いたかったな」

 

「村上先輩と?何故ですか?」

 

 

皇はいい加減缶の感触に飽きたのか、とうとう近場のゴミ箱に捨てた

 

 

「どうしたら決闘(デュエル)を心の底から楽しめるのか、聞いてみたいもんだよ」

 

「...皇先輩が考えすぎなんですよ。どうです?一決闘(デュエル)しませんか?」

 

「今は何も喋らない機械と遊んでたいんだ」

 

 

皇が悲観の一言を告げた刹那、部屋の外から悲鳴が轟いた。窓を解放して外を覗くと、暁星の生徒らしき数名と明らかな不審者達が走り回っていた

 

ジャラジャラと音を鳴らしながら黒服の人間が暁星の生徒を追いかけている

 

 

「皇先輩、あれはなんですか!?」

 

「知らん。レクリエーションか何か...ではなさそうだな」

 

「異常事態ですよ!」

 

 

まるで他人事の様に観察している皇に呆れたのか、色嶋は叱咤し外へ様子を見に行く提案をしだした。皇は初めこそ乗り気ではなかったが、不承不承と言った具合で色嶋に続いて部屋を後にした

 

1階にその部屋が位置している事もあり、早急に外に出ることか出来た。しかし、見えた光景は先程の部屋から確認出来たそれと同じく、地獄絵図だった

 

何故祝日にここまで人がいるのかと疑問だが、恐怖、怒り、哀しみの声が耳を劈いている。

 

何事なのか

暁星の生徒である皇でさえ検討が付かなかった

 

そんな中で皇の目を止めた物は、薄紫に光る糸のような物だった。黒服のディスクから放たれているらしいが、どういった原理なのかに疑問を抱いている

 

物体には見えない。それでも暁星の生徒達を物理的に拘束している。どうやっているのだろうか

 

 

「と、取り敢えず警察...いやS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に連絡を」

 

「...あぁ、そうだな」

 

 

知りたい

分解したい

構造が見たい

 

皇はこんな状況で不純な心境だった

慌てて携帯に何か叫び出す色嶋の隣で、初めて見る玩具に興味を抱く子供のような感情を抱いている

 

そんな対象的な2人を見つけ、黒服の人間がまた何かを叫んだ。当然こちらに向かってくるのだが、皇は硬直したまま動けなかった

 

恐怖もあった

だが、それ以上に興味が勝っていた

 

 

「あそこに2人いるぞ!」

「よし、俺の獲物だ!」

 

「ま、不味いですよ皇先輩!一先ず逃げましょう!」

「...あぁ、そうだな」

 

 

しかしやはり怖かった

小心者の彼にとって、あの未知の集団と対面するほどの度胸など持ち合わせていない。色嶋に手を引かれ、進行方向を委ねることにした

 

 

「まて、逃げるんじゃない!」

「おらおら!俺らと遊ぼうぜ!」

 

「色嶋、遊ぼうって言ってるが...もしかして本当にレクリエーションじゃないのか?」

 

「そんなわけないでしょ!どっち行けばいいんですか!?」

 

「よし、あっちに行こう」

 

 

地の利がある皇の言う通り色嶋は先導を務めたが、いくつか曲がり角を経て辿り着いたのは行き止まりだった

 

驚きの表情を作った色嶋を他所に、皇はゆっくりと横切りその壁まで歩いていった

 

まさか隠し通路か?

期待と不安を抱いて見据えていると、奥にあるベンチに腰掛けだした。よく見ると灰皿もある、喫煙所だった

 

 

「まずは落ち着いて一服でもしよう」

 

「こんな時に何言ってるんですか!?」

 

「...俺煙草吸わないんだった」

 

「馬鹿!混乱してる場合じゃないですよ!」

 

 

「追い詰めたぞ!」

「とっととディスクを出しやがれ!」

 

 

細かく震える皇に等々罵声を浴びせてしまった

言い過ぎたかと反省する時間も彼らは与えてはくれず、案の定追い込まれてしまった

 

仕方なく皇の前に出ると、敵の目的がようやく分かった

決闘(デュエル)ディスクを構えている。まさか決闘(デュエル)か、色嶋が考えていると例の紫色色の光が飛びかかってきた

 

それは色嶋のディスクを捉えると、両者は物理的に繋がった

 

 

「な、なんだこれ」

 

「くくく...”シャフト”で捉えた今、貴様らに逃げる手段は無い!戦え!」

 

「俺は後ろのビビってる方をやるぜ!」

 

「いや、俺は遠慮しておく」

 

「皇先輩何言ってるんですか!?」

 

「ごちゃごちゃうるさい!」

 

 

またも紫色の光が1人の青年を襲った。口調は変わらずとも明らかに怯えた様子の皇にはそれを避ける事は出来ず、色嶋と同じく未知の技術の餌食となった

 

だがやはりまだ興味があるようだ。引っ張ってみたり触ってみたりとその光を無言で確かめている

 

そしてディスクには「決闘(デュエル)開始」の文字。無理矢理戦闘を要求されたのだ

 

 

「おら!さっさと始めるぞ!」

「あんまり大きな声を出さないでくれよ」

 

「おいガキ、貴様の相手は俺だ」

「皇先輩...」

 

 

戦うしか無いようだ

いち早く意を決し終えた色嶋は仕方なくデッキをディスクに差し込む。間もなく決闘(デュエル)が始まるが、皇は相変わらず怯えた様子だ

 

なるべくそちらを見ないように色嶋は敵と向き合った

 

 

(皇先輩は...駄目だ、僕がやるしかない...っ!)

 

 

この若き戦士もまた、頼るべきものを無しに戦場に屹立していた

 

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