遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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あまりにも日が空いてしまったため、少し短いですが続きを上げることにしました

特別他のことで忙しかった訳では無いのですが...申し訳ありません


第七十四話 各地戦績

◑闘叶大学 / 午後14時2分

 

 

「...もぅ!いつ終わるのよこれは!?」

 

「南さん、落ち着いて。ちゃんとやれば勝てる相手だからね」

 

 

異端な集団を迎える形になった闘叶大学は、絶叫がこだます訳でもなくて静寂がある訳でもない嫌な空気だった

 

ただあるのは闘叶の生徒達の疲弊と、黒服の集団の焦りだった

 

 

「チッ...どうなってんだよ!S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)は早いし、こいつらは強え!」

 

「狼狽えるな!他の大学も誰一人希望を捕縛出来ていない。手ぶらじゃ帰れねぇんだぞ!」

 

 

闘叶には比較的早くS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の応援が間に合っている。しかし、本来であれば講義で使う決闘(デュエル)用の施設であるためか、こちらまで援軍は辿り着けていない

 

故にたまたま居合わせた生徒、結衣を初めとした生徒ら数名が関東大会に向けた練習からシフトして迎撃している

 

しかし状況は明らかに闘叶大学の優勢だった

«цпкпошп»に加えたダメージを痛みに変換する謎の技術に一同驚きこそ見せていたが、誰り1人として危ない状況には陥っていない

 

外にはS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)も到着している事を加味すると、この集団の鎮圧は時間の問題のように見える

 

 

「あぁぁ...もうっ!折角祝日に来てまで特訓してたのに!」

 

「結衣ちゃん、こうは考えられないかしら」

 

「何よ友奈ちゃん?」

 

 

結衣もまた焦りを抱いていた

それは既に来週に控えている関東大会への準備不足に繋がる事を恐れたものだが、すぐ近くにいた友奈に語りかけられると、一時的にそれを忘れて顔を向けた

 

 

「このよく分からない改造だけど、これだけ相手にしてたらもうこれは特訓じゃないかしら?」

 

「うん...?」

 

「南さん、この決闘(デュエル)もきっとスキルアップに繋がるよって事だよ」

 

「...そうなの?」

 

「うん」「そうよ」

 

 

結衣がまた何か考える素振りを見せると、しばし口を紡いだ。顎に指をかけ、ブツブツと呟いては俯くの繰り返しを何度か経ると、1人合点がいったように笑顔で頷いて見せた

 

 

「.....そうよね!こいつら全員を私の経験値にしてやるわ!」

 

「その意気だよ南さん」

 

 

優介は結衣を諭すと、この場にいた別の決闘者(デュエリスト)達に目を向けた。黒服の男達に物凄い剣幕で立ち向かい、今も尚闘叶の戦士として戦う数十名の生徒達だ。

 

超絶美少女決闘者(デュエリスト)の南結衣のファン達だ

この密室の中、訳の分からない集団と渡り合えているのは、彼達の存在は大きいのかもしれない

 

 

「うおぉぉっ!お前らっ、結衣にゃんを全力で守るんだぞ!!」

 

「「「おおうっ!!」」」

 

「...凄い迫力ね」

 

「うん」

 

 

祝日の中、これほどの決闘者(デュエリスト)が集まったの他でもない南結衣の存在自体だった。読モとしての彼女のファンらの中には、決闘者(デュエリスト)としての南結衣に憧れを抱いている者もいるようで、1人で数名の黒服の男を倒している生徒もいた

 

闘叶の生徒らのレベルは総じて高いように見える

未だ誰1人脱落すること無く戦況をキープしていた

 

 

「...」

 

「どうしたの優介君?」

 

「いや...」

 

 

状況は決して悪くない

それでも暗い表情をする優介に、友奈は疑問を抱いた

 

問いかけたものの、優介本人もそれが何なのか分からないように語り出した

 

 

「...結局何が目的なんだろうっ思ったんだ」

 

「目的?」

 

「うん。初めはただ改造ディスクで暴れてるだけかと思ったんだけど、だったら何で祝日に来たんだろう」

 

「...そうね、平日だったらもっと大騒ぎになってたわ」

 

「ゲリラ的なものなのかもしれないけどそれにしては...準備がいいって言うか」

 

 

優介は敵の集団の規模について考えていた

この決闘(デュエル)スペースに居るだけでも相当な数いるのだが、外にもそれ以上徘徊しているのは先程窓の外を見て確認している

 

だからこそS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)が到着してもなおこの建物まで辿り着くのに時間がかかっているわけだ

 

そして結局目的が分からない

このまま闘叶大学が不審者を追い返すだけで事態は解決するのだろうか

 

 

「.....考えても仕方ないよね」

 

「そうね、今は全力で戦いましょう」

 

 

友奈の一言で優介はディスクからカードを引いた

今自分に出来ることは目の前の敵を倒し、結衣や他の生徒の負担を減らす事だけだ

 

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

◑暁星大学 / 午後14時16分

 

 

「...皇先輩、今何人目ですか?」

 

「[サイバー・ツイン・ドラゴン]でダイレクトアタック...。今30人目だ」

「ぐおおっ」

 

「流石に早いですね...」

 

 

目の前の光景に飽きが来たのか、色嶋は背後で戦う皇に声を掛けそちらの戦況を伺った

 

皇の発言とディスクが犇めいた音で、皇が勝利した事はすぐに分かった。同時に彼への心配など微塵も必要ない事も戒めた

 

既にこの戦場とかした暁星に2時間も滞在している事になるが、依然として戦場に大きな変化は無かった。しかし、色嶋が目の前の敵にトドメをさしたその刹那、変化が訪れた

 

皇らにとってプラスになる変化だった

 

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)だ!そこを動くな!」

 

「チッ!もう潮時だな...戦闘中以外の者は撤収だ!」

 

「逃がすな!」

 

 

突如大勢の国家の制服を纏った集団が怒号と共に現れると、黒服姿の男達は引く姿勢を見せた

しかし、自らの決闘(デュエル)の強制開始を施す機能が仇となり数名がその場から逃げる事も叶わずにいる

 

丁度手が空いた色嶋は、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の1人に保護されると同時に状況を語り出した

制服姿が目立つ中、その男性は嫌に若く私服姿でいた

 

 

「君、無事か?状況を教えてくれるかい?」

 

「は、はい。数時間前にあの訳の分からない集団が侵入して...暁星の生徒が襲われています。でも」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

 

 

色嶋が何かについて付け加えようとした時、すぐ近くで決闘(デュエル)の決着を告げるブザーと悲鳴が轟いた。現在の状況について、話すべき暁星の大きな戦力がこの数秒の間にまた1人敵を屠っていたのだ

 

この異端な戦場に己の傷跡を刻んでいる皇の存在だ

 

 

「...色嶋、ちゃんと数えたら64人だった。もう俺の勝ちでいいか?」

 

「あ、はい」

 

「君は暁星最強の決闘者(デュエリスト)...」

 

 

そのS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の男性もまた皇の事を知っていたようだ。他にも今も尚屹立と戦闘を保つ決闘者(デュエリスト)が少なからずいる中でも、やはり注目は皇1人に向いてしまう

 

一瞬動く事を忘れてしまっていたその男性も、現状を思い出すとすぐに動を再開さた

 

 

「...そうかい、ありがとう。後は僕達に任せて君達はS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の車で保護して貰うんだ。あっちだ、いいね?」

 

「わ、分かりました...お気を付けて」

 

「...ようやくこのレクリエーションも終わりか」

 

 

皇がディスクにデッキを預け、自らも戦場から離脱しようと色嶋の横をすぎかけようとした。

しかし、そのS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の男性に肩を掴まれ遮られてしまった。何かと思って皇が疑問を隠さない表情を浮かべると、その男性は深刻そうに告げた

 

 

「皇崇人君、悪いが君にはこの場に残って一緒に戦ってもらいたい」

 

「...俺が?」

 

「あぁ、君の実力は本物だ。一刻も早く奴らを殲滅しなければならないんだ。協力してほしい」

 

「一般人の俺をあんたが勝手に巻き込んでもいいのか...?」

 

 

皇がやや否定的な態度をとると、その私服の男性はジャケットのポケットからある2つの物を提示した

 

1つは小さなバッチ、プロ決闘者(デュエリスト)である事を示すそれにはA5と刻んであった

もう1つはS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の手帳。中を開くとその男性の名前と顔写真。S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の中でも上層部に当たることを知らしめている

 

皇が確認したのを見届けると、その男性はそれをしまうと同時に自らの紹介を遅れながら始めた

 

 

「僕は須藤余彦、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)専属のプロでこの場を任せられている。後は君さえ良ければの話だ」

 

「...」

 

「皇先輩....」

 

 

皇は考える素振りを見せた。やはり恐怖や戸惑いは少なからず残っている様子だった

 

色嶋も黙って皇の決断を待っていたが、先にしびれを切らしたのは須藤の方だった

 

 

「時間が無いんだ、早く決めてくれ!」

 

「わかった。...やってやる」

 

 

1度は落としたディスクを再び立ち上げると、皇は決意を顕にした。会話は無かったが、色嶋もその眼で闘志を感じ取ったのか黙ってその場をあとにした

 

残ったのは数名の生徒と黒服の男達。そしてS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の戦士と暁星最強の決闘者(デュエリスト)だった

 

 

「行くぞ、逃げた奴らは他のS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に任せてある。僕達はこの場に残ったあいつらを殲滅する」

 

「了解した」

 

「30分以内で済ませる。行くぞ!」

 

 

須藤がいち早く飛び出すと、すぐに黒服の男1人を捕まえた。彼が自然と起動させた決闘(デュエル)ディスクからは例の光の糸が露出しており、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)もあの技術を持っている事が露呈した

 

皇は一足遅れてその戦場に戻った時、一言だけ呟いた

彼にはまるでその様子が見えていないようだ

 

 

「...せめて31分にしてくれないか」

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

◑聖帝大学 / 午後14時31分

 

 

 

終わった

その場にいた誰もがそう思った

 

聖帝側は膝をつき、すぐ近くまで迫っている敗北の2文字を睨む事しか出来ないでいる

そして黒服の男達は更なる増援により、まだ見ぬ勝利に自惚れてさえいた

 

しかし、その双方の期待は同時に裏切られる形となった。現れたのは増援に違いはなくとも、聖帝への加勢たたのだ

 

 

「君は...」

 

 

秋天堂が見つめる先には、5人の若い男女があった

いずれも構内で見た事のある、知り合いに違いなかった

 

 

「秋天堂さん!」

 

「灰田君...どうして」

 

 

黒を掻き分けていち早く疾走してきたのは灰田光明。紛れも無く秋天堂の後輩だった

 

灰田は秋天堂の驚く顔を見ると、いつものように白い歯を見せて微笑んだ

 

 

「一緒に遊ぶって約束したから!あっ...でも大分遅れちゃった!ごめんなさい!」

 

「...ははは、忘れちゃってるのかと思ったよ」

 

 

灰田の笑につられたかのように秋天堂もまた微笑んでいた。この異常な戦場に1度は来て欲しくないとまで思っていた存在だったのが、今では純粋な喜びの方が勝っていた

 

元はと言えば祝日の大学まで呼んだのは灰田の方だったが、やはり待ち合わせで出会えた事に嬉しく感じてしまう

 

そんな感傷に浸っている場合ではないのだが、囁かな再開の喜びとして飲み込んでおいた

 

次に現れたのは金髪でタレ目の青年だった。

秋天堂らの横を通り過ぎると、片膝を着いて荒い呼吸をする早乙女の元までやってきた

 

 

「どうしたんすか早乙女さん?膝つくなんてらしくないっすよ」

 

「...蛭谷ぃ、お前さん言うようになったのう!」

 

 

蛭谷の煽るような言い方がトリガーとなったのか、早乙女は己の膝を勢いよく叩くと再び屹立して見せた

 

蛭谷とは構内大会で初戦であたり、先輩としての威厳を見せつけることに成功した相手だったが、今は立場が逆転し情けない姿を見せてしまった

 

しかし早乙女はそれを恥じるわけでもなく、まだ戦える事をその仁王立ちで示している

 

 

「...てか何で上裸なんすか?」

 

「んなもん服が邪魔だからに決まっとるわい!」

 

 

その上裸の男の横をさらに2人の青年が横切った。その2人は肩で息をする斎藤の前で止まると、悪戯な笑顔で語りかけてきた

 

 

「斎藤先輩、助けに来ましたよ」

 

「怖いですけど...僕も戦います!」

 

「古賀クン、東野クン...ありがとう」

 

 

いつか見た光景だった

未知なる敵に同じ大学の仲間と共に立ち向かう

 

斎藤が取り戻した記憶に通ずるものがあった

あの時も暁星の生徒四人に対し、後輩達が助けに参加してくれたのだった

 

それが懐かしい訳では無いが、斎藤は自然と笑みを浮かべていた。このメンバーでなら戦えると

 

 

「いいものね、青春だわ」

 

「...なんだか私たちアウェーですわね」

 

 

斎藤らを視野に捉えているのは黒服の男達以外にも、西条、黒川そして草薙らもいた

仲の悪い訳では無いが、特別に手を差し伸べる相手がいない彼女達は、黒服の男らと同様に遠巻きで見ているだけに留まっている

 

兎に角、あのビルで慎也と同じ様に失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)と戦っていた生徒らが駆けつけた事が分かった

 

 

「でも...どうしてここに?」

 

「あっ、いや...それはちょっと...」

 

 

彼らは慎也同様にS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に保護され、身柄をその場に預けていたはずだ。

 

祝日の大学にわざわざあられた古賀達に対し、斎藤は疑問を隠さず問いだした。ただでさえ今は未知なる急襲者が蔓延っている状況だ。だが、何も無かったとしても気になってしまう純粋な疑問に対し、古賀は明らかに動揺しているように見える

 

何か言えない訳があるのだろう

 

 

「と、兎に角今はあいつらをどうにかしましょう!S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)ももうすぐ来るはずですから!」

 

「そ、そうだね」

 

 

東野が珍しく声を荒らげると、斎藤も今はその質問に答えられる事はないと静かに察した

 

何がともあれここにいる聖帝の生徒達は全員が構内大会に参加した実力者達だ。それも7名もの増援が到着したのだ。決して多くはない戦士達だが、士気は充分に向上したと言える

 

ここから聖帝の反撃が始まろうとしているのだ

 

 

「...村上さん」

 

「どうかしましたか、草薙さん?」

 

 

だが1人思いつめた表情を浮かべる女性がいた

この場で慎也が月下に赴いた事を知る唯一の人間だ

 

 

(...こんなにも早くことが起きるとは思いませんでした。でも...)

 

 

草薙は慎也が日本を離れる間、日本を任されている

それを全うするには、いまの聖帝の危機を救う事にあると判断しのだ

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の科学者らしき人物に灰田達と話をするのも聞いていた。危険だともわかっていた。それでも自ら志願したのはほんの数分前の出来事だ

 

 

(聖帝大学は...いえ日本は任せてください!)

 

 

意を決して決闘(デュエル)ディスクを起動させると、誰よりも早く決闘(デュエル)を始めた

 

これは草薙にとって、月下と日本との戦いに身を投じた事になった。そして、後悔などするつもりもなかった

 

 

決闘(デュエル)!」

 

 

可憐な女性の、殺意が篭った声が聖帝に響いた

 

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