あと、やたらシリアスっぽい話が続いてますけどそろそろほのぼのしたり日常したりしたいです。
狐堂が未だ喧騒の続く部屋を後にしながらため息を吐く。
(いやはや、久々に俗世に関わってみましたが案外人ってやつは何年経っても変わりませんね。あの時は気軽に相談に乗っていましたが、彼の気苦労を実感出来る日が来るとは思いもしませんでした)
そう、憂いた顔をしながら腰に帯びた刀を手で撫でる。チリーン、と同じく腰につけた鈴が涼しげな音を鳴らして狐堂を物思いに沈ませる。
「あの…?」
「あ、はい?」
それを破ったのは1人の男の声だった。全く予測していなかった声に素っ頓狂な声で対応する狐堂。そこに立っていたのは入室の時にも挨拶をした警備の男であった。
「ええと、会議の方はいったいどうなったんでありましょうか?」
その質問に狐堂も納得する。明らかに部外者である自分だけが部屋から出てきては警備の彼も困惑して当然だろう。
「ああ、はい!すいません、私だけ出てきたのでは訳が分かりませんよね。どうも一旦休憩との事でして、私は館内の散策を勧められたんですよ。暫くしたら戻ってきますので、その時は入れて下さいね?」
そう、彼は冗談めかして笑うと廊下を歩きだした。
(まあ、目的もありませんが近代軍事施設です。なにか愉快な物くらいはあるでしょう)
そうして館内を散策していく。幾つかの番号が振られた会議室に食堂へ繋がるであろう廊下、地下に続くのは入浴施設だろうか。その中で彼は一つの部屋が目に留まった。
「戦術資料室、ですか…。こんな誰でも入れる様な場所にこういう施設があるのは人以外との戦争ならではでしょうか」
少なくとも自分が戦と呼べる物に関わっていた頃はこういう物はかなり重要な機密だったのだが。それに、どうやら扉が少し開いているようなのも気になる。
「こういう所を開けているのは資料にも良くないんじゃないですかね。それとも今日日こういった資料は紙媒体ではないのでしょうか」
そう言いながら、扉を開けると一番最初に目に入った物は紙媒体の資料でも電子媒体の資料でもなく、2人の少女だった。
◇ ◇
突然、私の病室に妹が訪ねてきた。何時もと違って随分焦った声で、姉さん海に行きましょうって。そうやって焦った妹の声を聞いて、
(ああ、遂にね)
って思った。私、処分されちゃうんだーって、気づいた。だっていっつも冷静な妹がこんなに焦っているんだもの。わからきゃお姉ちゃん失格だ。だから私の手を引っ張る妹に逆らわず私は駆け出した。
でも。そんなの聞いてない。なんであんたが倒れるの?それは私がなるものじゃない。なんで、なんでよ。誰か、どうか。
その時、私達の隠れていた部屋の扉が開いた。連れ戻しにきた士官かと思ったけど軍服じゃなくて和服だった。軍人じゃない!えらく短絡的だけれども考える余裕のなかった私はそう考えると口から言葉をこぼしていた。
「…妹を、不知火を助けて!」
演出上、私になってますけど不知火の一人称は不知火です。落ち度があるのは僕です。