混沌を受け継ぎし者の外伝   作:鎌鼬

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モーニングミーティング

 

 

窓から差し込む日差しに目を覚ましてレイニィは身体を起こした。ダブルサイズのベッドの上には彼と、モードレッドが眠っている。全裸で彼の隣に眠る彼女は安らかな眠りについていて起きそうにない。起こしてやるのは酷いかと思い跳ね除けられていたシーツを肩までかけ、脱ぎ散らかしていた服を着て部屋から出る。

 

 

部屋から出るとそこには眠そうに眼をしょぼつかせているレインレッドとシンジの姿があった。シンジがアインツベルンにやって来たのはここ最近の事だが交流自体は前々からあって、レインレッドはシンジの事を兄の様に慕っていてシンジもそれを受け入れていたのだ。

 

 

「よぉ、おはようさん」

「ん?あぁ、レイニィか。おはよ」

「おはよぉ……」

「眠たそうだな……ほら、顔でも洗って来いよ。その間に飯の支度しておくから」

「わかってるよ……レイン、顔洗いに行くぞ」

「うん……」

 

 

寝ているのか起きているのか分からないレインレッドの手を引きながらシンジは洗面所のある方向に向かっていった。その後ろ姿に本当の兄弟みたいだなと苦笑しながらレイニィは台所に向かう。

 

 

実は白の陣営にはマトモな家事ができる者が少ない。マスターはレイニィを覗いてほぼ壊滅的。サーヴァントもメディアとハサン以外が家事スキルは死んでいる。なので、レイニィが台所に着いた時にメディアとハサンが料理をしているのは当たり前とも言えた。

 

 

「おはようさん、遅かったか?」

「おはよう、もう大体終わっているわよ」

「おはようございます、後はこのスープで完成します」

「おうアサシン、スープの中に薬物入れるなよ?」

「入れませんからね!?」

 

 

ハサンの過激な反応に分かってると笑って返しながらレイニィは台所の隣の部屋に入っていった。そこは食堂、テーブルクロスの掛けられた長机にはアルトリアだけが、すでにナイフとフォークを持ってスタンバッていた。

 

 

「この駄王め……」

「現代の食事が美味すぎるのがいけない。あとレイニィ、モードレッドと寝ただろ?だったら私とも寝ろ」

「朝一から誘ってんじゃねぇよ淫乱王が。召喚した時なんてモード記憶にあるお前と全く違ってたってガチ泣きしてたぞ」

 

 

朝から中々に喧嘩腰な話をしているが二人の仲が悪い訳ではない。こうした言い方が出来るほどに打ち解けているのだ。

 

 

レイニィが椅子に座ってから数分後には全員が食堂に集まり、朝食を取る。朝一なのにガッツリと食べたのがモードレッドとアルトリアのブリテンコンビなのは語るまでの無いだろう。これに関しては誰も文句が言えない。当時のブリテンの食事事情が暗黒面に堕ちていたのは周知の事実だからだ。

 

 

『ブリテンの飯か……酷かったよな……』

『何というか……雑な感じだったな……』

 

 

これがブリテンコンビのブリテン飯に関するコメントである。英国の食事事情の業は深い。

 

 

そうして朝食を終えて、食後にコーヒーや紅茶でゆっくりとしている時にレイニィが切り出した。

 

 

「さて、昨日の夜に赤のセイバーがユグドミレニアのホムンクルス相手に戦ってた。切嗣、映像あるか?」

「あぁ、使い魔に着けておいた監視カメラの映像がある」

「ならデータくれない?僕のPCでそこの壁に投影するからさ」

 

 

魔術師は古株であればある程科学技術を蛇蝎の如く嫌う方面がある。そうした風潮は魔術師の中では当たり前になっているのだが切嗣とシンジは普通に機械を扱っている。便利な物を使わない手は無いというのが二人の言い分で、その後で二人が固い握手を交わしていたのは言うまでもないだろう。

 

 

切嗣から渡されたディスクをシンジがPCの中に入れ、プロジェクターで壁に投影する。映し出されたのは昨夜の赤のセイバーとホムンクルスの戦闘風景。だがサーヴァントの相手を現代魔術師のホムンクルスが出来るわけが無く、蹂躙としか言えない光景になっているのだが。

 

 

「僕はこの目で赤のセイバーのスタータスを確認したんだが……軒並みがBを超える高ステータス、その上で一部のステータスが隠蔽されていた。おそらくは宝具の類だと思う」

「……正面から戦うなら私かライダーかバーサーカー、もしくは槍男辺りだな」

「おう駄王様、槍男は辞めろや」

「黙れ、犬食わすぞ」

「犬だけは勘弁してください……!!」

「アタシは兎も角、バーサーカーには無理なんしゃないかねぇ?こいつにはここを守らせている訳だろ?」

「ごめ、ん」

「ナチュラルにハブられてるな俺ら……まぁ本業じゃないから当たり前なんすけどね」

「私はこう、ハートキャッチ物理をすれば良いですから」

「貴方たちはまだ通じる方法が有るから良いじゃない。私なんて相性が悪過ぎて泣けてくるわ……」

 

 

和気藹々と話をしているが内容は物騒極まりない。

 

 

正面からと限定すれば戦えるのはアルトリアとフランシス・ドレイク、アステリオスとクー・フーリンに限られているのだが限定さえ無ければロビンフットとハサンでも赤のセイバーを倒すことが出来る。メディアが嘆いている理由だがセイバーのクラスを始めとしたアーチャー、ランサーのクラスは三騎士クラスと呼ばれていて、クラススキルとして【対魔力】を持っている。如何に神代の魔術を使える彼女でも【対魔力】を抜いてダメージを与えることは出来ないのだ。

 

 

「昨日切嗣逃がすために少し戦ったけど負けなくは無いってところかな……宝具撃たれたら分からんけど」

「私なら宝具撃たれたら勝てますけどね」

「そこの人間のカテゴリーから外れたキチガイと撲殺系女子は黙ってくれない?」

 

 

レイニィとバゼットはサーヴァント相手と戦えるなどと言っていたが普通は上位の存在であるサーヴァントと戦える方がおかしいのだ。二人のことを見て呆れているシンジは間違っていない。

 

 

そんなこんなで赤のセイバーについて話しているとレイニィがモードレッドの顔色が悪くなっていることに気がついた。目が踊って、顔からは冷や汗が大量に流れ出している。

 

 

「モード、どうしたんだ?」

「あ……」

「あ?」

「あれ……オレだ……」

 

 

モードレッドの一言、あのセイバーが自分だという発言にこの場にいる全員の目が向けられる。レインレッドだけは何を言っているのか理解出来ていないのか首をかしげているが。

 

 

「……マジ?」

「うん……あの鎧はクソババアから正体隠せと渡された奴だから間違いない……それにあの剣は燦然と輝く王剣(クラレント)……父上からパクった剣だし」

「ーーーあぁ!!何処かで見たことがあるかと思ったら燦然と輝く王剣(クラレント)か!!思い出した思い出した」

「イヤイヤ、一番最初に気付けよアンタ……」

 

 

アルトリアの能天気っぷりには呆れるしか無いが、予期せぬ形で赤のセイバーの真名が分かったのは僥倖だと言える。そして全員がモードレッドを見てからアルトリアに視線を向け、

 

 

「じゃあ、赤のセイバーの相手はセイバーに任せるってことで」

『異議無し』

「任せろ、あいつの心をベキベキにへし折ってやる」

 

 

ここに赤のセイバーの精神が抹殺される事が決まった。

 

 






赤のモーさんの精神が抹殺される事が確定されました。なお、駄王様はルンルン気分でスキップしながらへし折りに向かう模様。

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