絶狼ーBLOOD SOUL-   作:狼牙竜

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第8話 ―英雄達―Heroes

俺達は、ラステイションの近くにあるダンジョン、ゾーンオブエンドレスへと来ていた。

 

「ハアッ!」

魔戒剣で片っ端からモンスターを斬るが、ぜんぜん見つからない。

 

 

「498…499…」

 

暇だったのでずっと数えていたが、ついに500体斬った。

 

 

「500…全然見つかんない!」

 

「まあ、簡単に見つかったらレア素材なんて言われないわよ」

「にしても、500体だぞ!見つからないにもほどがあるだろ!」

 

俺も疲れ果て、座り込んだ。

 

 

すると…

 

 

 

 

「どうしたんだい?随分落ち込んでいるみたいだけど」

 

声をかけてきたのは、赤い髪をショートカットにした、やや露出度が高い服装の女性だった。

 

「えっと…どちらさま?」

 

「ああ、失礼。あたしはファルコム。しがない冒険家さ。ついでに言うと、困ってる人を見るとつい首を突っ込みたくなるお節介でもある」

 

ファルコムと名乗った女性は自己紹介をする。

 

 

「冒険家さんですか…なら、何か知ってるかもしれないです!」

 

コンパは思いついたように言う。

 

「そうね…どうせ、アテもないわけだし、ダメ元で聞きましょう」

アイエフも頷いた。

 

 

「俺たち、宝玉と血晶って素材を探してるんだが、見つからなくてな…」

 

「ふむ……血晶は聞き覚えないけど、宝玉なら心当たりがあるよ」

 

 

ファルコムの言葉に俺達は驚いた。

 

 

「え!?知ってるのか!?」

 

「うん。あれは確か…プラネテューヌのバーチャフォレストに棲むモンスターが落とすは

ずだよ」

 

「本当に知ってた!?」

「出来れば案内したいけど、あいにく旅の目的地が逆方向でさ。申し訳ないけど」

ファルコムは苦笑する。

 

 

「いえ、こんなに良い情報を頂けただけで十分です!」

ネプギアが笑顔で答える。

 

「よかった。じゃああたしはここで失礼するよ。…またどこかで会えると良いね」

 

 

ファルコムはそういい残して去っていった。

 

 

「まさかプラネテューヌにあったとはね」

「急いで行きましょう。だいぶ時間を使いましたし」

俺達はプラネテューヌへと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その影を見る影が一つ。

 

「そうか…あいつら、プラネテューヌに戻るのか…覚悟しとけよ。マジェコンヌが対女神用に作り上げた秘密兵器…それにあの妙な鎧に対抗した『これ』さえあれば、テメェらなんざ怖くねえ!」

 

 

――――――――――

 

バーチャフォレストの最深部で、俺達は宝玉を落としそうなモンスター…茶色い鱗に包まれた巨大なドラゴンを見つけた。

 

「あいつかな…?」

「あいつね。みんな、準備は良い?」

 

俺達はそれぞれの武器を抜く。

 

「ところで、こいつなんて名前のモンスター?」

「あれはエンシェントドラゴン。危険種のドラゴンでもあるから気をつけて…零夜以外はね」

 

「ちょ!俺以外ってどういうこと!?」

 

 

俺のツッコミはスルーされ、戦闘が始まった。

 

「じゃ、まずは私から!」

 

アイエフがジャンプし、ドラゴンの足をカタールで切りつける。

一瞬怯んだエンシェントドラゴンだが、すぐさま爪で攻撃してくる。

 

「避けろ!」

 

俺の言葉に全員が反応し、攻撃をくらう者はいなかった。

 

 

「どりゃああああああ!!」

エンシェントドラゴンの足を斬りながら回転し、足を切り落とした。

 

「ネプギアちゃん!コンパ!」

「はい!フォーミュラーエッジ!」

 

ネプギアがエンシェントドラゴンを後ろから攻撃、さらに背中にコンパが武器の注射器を刺す。

 

『あれ、痛そうよね』

「ああ。あれはくらいたくないな」

 

シルヴァと話をしながら、俺は魔戒剣を銀狼剣に変化させ、剣を振り下ろす。

 

 

「今だ!」

ネプギアがジャンプして剣を振り下ろした。

 

「ギャアアアアア!!!」

 

悲鳴をあげるドラゴンだが、俺は銀狼剣を合体、銀牙銀狼剣へと変形させ、思いっきり投げつける。

 

 

銀牙銀狼剣は、エンシェントドラゴンの首を切り落とし、ドラゴンはポリゴンのように分解して消滅する。

 

 

「ふう…ちょっと強かったな」

 

俺はドラゴンが消滅した場所を見る。

そこには金色の宝石が落ちていた。

 

「これか?」

「ええ!これが宝玉よ!よかった、やっとひとつ見つかった!」

 

「あとは血晶だけだな。早いところ、見つけよう…」

 

すると、何者かが現れた。

 

 

「そいつは無理だな…なぜならテメェらは、ここで死ぬからだよ!」

自信満々に現れたのは、正直言って会いたくないやつだった。

 

 

――――――――――

 

「また来たか、下っ端」

そう、前回逃げた下っ端である。

 

 

「何回負けても出てくるなんて、下っ端さんは大変なんですね…」

「やっぱりどの仕事でも、下っ端さんは労働条件厳しいんでしょうか…」

『まあ仕方ないわね。下っ端って大抵戦いでの前座か、組織の新兵器の実験台とか多いんだろうし、労働条件が厳しいのは仕方ないわよ』

 

「みんな、何気にえげつないわね…ボロクソに貶してるし…」

 

 

アイエフが哀れみの目で下っ端を見る。

 

「だー!黙れ!同情すんじゃねえ!」

「で、今日はどうしたの?迷子?」

 

零夜はため息をついて質問する。

 

 

「誰が迷子だ!ふざけやがって…今日でテメェらの命も終わりだ!来い、新兵器!」

すると、下っ端の後ろから謎のロボットが5台現れた。

 

「これが切り札、M‐3カスタムだ!」

「へえ、流石に一人じゃ勝てないからホラーだけじゃなくロボットまで連れてきたか」

「時間がもったいないです!女神化して一気に決めましょう!」

 

「オッケー!」

 

 

俺は銀狼剣を天に掲げ、ネプギアも女神化しようとするが…

「バーカ。そう何度も同じ手をくらうかよ!」

 

M-3カスタムが謎の光を放ち、光はネプギアに命中する。

 

「きゃっ!?何…これ?」

「どうしたネプギアちゃん!」

 

 

ネプギアは困惑している。なぜなら…

 

 

「変身…できない!?」

「だから言ったろ!秘密兵器だって。こいつは女神の力を封じるモンスターなんだよ!」

 

零夜は銀狼剣を構えるが、下っ端はそれでも余裕そうな笑顔を見せる。

 

 

「当然、お前の対策もしてある!」

 

 

 

零夜はまさかと思い、召還の陣を描くが、霧散してしまう。

 

 

「当然、お前の対策もしてある!アマギ様の用意した切り札でな!」

 

召還できない鎧。魔戒法師のアマギが用意した切り札。

 

「…結界だな。それも対魔戒騎士用の」

「その通り!テメェには絶対に解けないぜ!」

 

 

 

自信満々に言う下っ端。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結界を構成する札を剥がさない限りな!」

 

……………ご丁寧に弱点まで教えてくれた。

 

「なるほど…札を剥がせば解けるのね」

アイエフが納得するかのように呟いた。

 

「零夜さん!私達が前に出ます!その間に結界を壊してください!」

コンパが注射器を持ち、構える。

「く…すまん!」

 

零夜は札を探そうとしたが…

 

 

 

 

 

 

 

「待てえええい!!」

突然、どこからか叫び声が聞こえた。

 

 

「だ…誰だ!?」

 

 

 

「悪に栄えた例えなし。この世の悪を滅すため、犯罪組織マジェコンヌ、蹴って蹴って蹴り飛ばす!」

 

 

突然、赤いマフラーをして少し長い青髪にゴーグルをつけた少女が現れる。

 

「女神様達の窮地に、颯爽とヒーロー登場!ゲイムギョウ界の正義の味方、日本一が来たからには、もう安心よ!」

 

少女は無い胸を張りながら、某ヒーローの変身ポーズをとるように宣言した。

 

 

「「「「『……』」」」」

 

 

他の全員が唖然としている。

 

「女神様、助太刀いたします!」

日本一はネプギアに声をかけた。

 

「え?あの…あなたは?」

 

 

「話は後!あいつを倒してからです!」

下っ端は敵が増えて警戒していたが、すぐに笑う。

 

「残念だったな!こっちには取っておきがある!」

 

 

下っ端はホラー召喚のディスクを取り出して叩き割る。

 

「また素体か…なら、鎧無しでも十分だ!」

 

 

しかし、出てきたのは素体ホラーではない。

 

 

「残念だが、こいつは特別製だ!出て来い!」

ディスクの破片から『闇』が溢れ、ひとつの形となる。

 

首に枷をはめた恐竜のような姿。

ただし、人面となっている顔が恐怖心を煽る。

「こいつは…」

 

 

 

『気をつけなさい、ゼロ!こいつは、ホラー・メタクリム!この巨体からの攻撃は厄介よ!』

 

シルヴァの忠告を聞いて零夜は距離をとる。

 

「く…名前持ちは鎧を着ないと封印できないのに…」

 

よほど弱いホラーじゃない限り、鎧を着ない限り専用の名前と能力を得たホラーは封印できない。

 

「はっはっは!残念だったな。結界を構成している札がある限り、テメェはあの銀色の鎧を使うことはできねえ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お札?これのこと?」

日本一が取り出したのは、魔戒文字が刻まれたお札…魔界符だった。

 

 

「嘘だろ!?」

「何か意味ありげにそこらに貼ってあったから、何かあると思って剥がしておいたけど…剥がされちゃまずいならトラップでも仕掛けておきなさいよ」

 

呆れ顔で日本一が呟く。

「でもサンキュー!後は俺が…!」

 

『全部蹴散らしちゃいなさい!ゼロ!』

 

 

零夜は頭上に銀狼剣を掲げ、同時に円を描く。

二つの円が重なり、絶狼の鎧が召還され、零夜の体を覆った。

 

「な、何あれ!かっこいい!狼の鎧…あれぞヒーローじゃない!正義の味方じゃない!」

「ちょっと落ち着きなさいよ!ほら、巻き込まれたら危ないわよ!」

 

日本一は絶狼の姿を見て大興奮。

 

必死にアイエフが止めている。

 

 

「…ハッ!」

一気に距離を縮め、銀狼剣でM‐3カスタムを両断。

 

「テヤアアアッ!」

 

 

銀牙銀狼剣へと合体させ、素早くM‐3カスタムへと投げる。

 

 

高速回転する銀牙銀狼剣は3体のM‐3カスタムを鉄屑へと変えた。

 

 

「うそだろ!?M‐3カスタムが一瞬で!?」

 

 

下っ端が驚いているが、絶狼はすぐに残っていた1体のM‐3カスタムを殴り飛ばし、一瞬でスクラップへと変えた。

 

『さて、後はメタクリムだけよ、ゼロ』

 

 

絶狼は銀狼剣を交差させて火花を散らせると、走り出す。

すると、メタクリムは炎を放つ。

 

「デヤアアアア!!!!」

 

 

絶狼は炎の中を走りながら、一気に突破した。

 

「ハアアッ!」

銀狼剣でメタクリムの眉間を突き刺し、メタクリムは地面に派手に衝突する。

 

「きゃっ!?」

衝撃でネプギアとコンパがスカートを抑えた。

 

着地した絶狼はメタクリムを睨み、腰を低くして銀狼剣を擦り合わせながら構え…

 

 

「フッ!」

一気に走り出し、銀狼剣を全力で振りぬく。

 

「ウオオオオオ!!」

 

 

メタクリムの右足が切断され、さらに…

 

「ハアッ!」

もう一本の銀狼剣で左足も切り落とした。

 

 

「グウウウ…グアアアア!!!」

 

突然悲鳴を上げるメタクリム。

 

見ると、絶狼が上から銀狼剣を二本同時に刺していた。

「貴様の陰我…俺が断ち切る!」

 

 

横に引き裂くように剣を振り、ジャンプ。

 

 

空中で銀牙銀狼剣へと合体させ、メタクリムの頭を切り落とした。

 

 

 

 

「グ…アアアアア!!」

 

 

 

断末魔の悲鳴を上げながらメタクリムは消滅した。

 

 

――――――――――

 

鎧を解除した零夜は、魔戒剣を下っ端に向ける。

 

「どうする?お前の切り札とやらはこの通り、俺が斬った。まだやるなら…相手するぜ?ここにいる全員が」

 

 

「畜生が…覚えてやがれ!」

 

下っ端は一目散に逃げていった。

 

「ふう…さて、後は帰るだけか」

零夜は魔法衣の内側に魔戒剣を収納する。

 

「お疲れ様です、零夜さん」

ネプギアが話しかけてきて、ポケットから飴玉を渡された。

 

 

「え?俺に?」

「はい。何か零夜さん、疲れてる顔してたので」

 

ネプギアがの笑顔に、つられて笑顔になる零夜。

 

 

「わかってるじゃん」

飴を口に放り込む零夜。

 

「すごかったよ!」

 

 

すると、日本一が話しかけてきた。

 

「さっきの変身、華麗な動き!そして決めゼリフ!鮮やかにモンスター達を倒すその強さ!君こそ伝説のヒーローかもしれないね!よかったら私と一緒に悪を倒すヒーローになってよ!」

 

 

勢いに飲まれそうになるが、

 

「う~ん…気持ちはありがたいんだけど…俺って基本、厳つい顔の鎧だし、ヒーローとは

違うんじゃない?」

 

 

ヒーローなら、兄貴の使う牙狼の方がよっぽどヒーローらしいよな。顔めっちゃ怖いけ

ど。全身金ぴかだけど。

 

 

「それより、一旦外に出ない?鎧召還すると腹減るんだよね…」

 

 

「それもそうね…一旦外に出ましょうか」

俺達は戦いを終え、一度少しの休息へと向かった。

 

 

――――――――――

 

 

次回予告(ナレーション 零夜)

 

宝玉が手に入ったし、早いところ血晶も見つけないとな。

 

え?血晶の在り処を知ってる?

 

ってあんた、もしかして…

 

 

Next ZERO『―狩りの仕事―Hunting』

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