白竜の世間話   作:白浜 真砂

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 遅ればせながら今パッチのストーリーを一通り見たどー!という事で書いてみた短編です。
 本当は他作品が一段落した後で投稿しようと思ったのですが、そうしているうちに次のパッチが来てしまうので……。

 気がついたらこれが只今自分が書いている中で唯一のR-18ではない作品になってしまっているのですが、またそのうち思い出したように書くと思いますので良かったら見てやって下さい。


親愛を指輪に託して

 白竜神殿レーゼの中心部にある、覚者に仕えるポーンが主の依頼を受けて様々な武具や道具を制作する施設、『クラフトルーム』の片隅で、茶色の長い髪を馬の尾のように束ねた妙齢の女性のポーンが人待ち顔で佇んでいた。

 

 彼女の手の内には水晶をあしらった繊細な細工の指輪があり、時折その指輪を眺めながら依頼者である彼女の主の笑顔を思い出して微笑んでいる。

 

「あっ、プラム!例のもの、できてるー?」

 

 不意に聞こえてきた明るく可愛らしい声にハッと顔を上げると、視線の先から蝶の意匠を施した大杖を携え顎の辺りで切り揃えてある金色の髪の先にリボンを飾り、勝ち気な愛らしい顔にそばかすを浮かせた小柄な少女が大きく手を振りつつ駆け寄ってくる。

 そしてその後ろから、異国風の衣装を身に付け頭に角を生やした、利発そうな顔つきの水色の髪をした少女が物珍しそうに辺りを見回しながら小走りでついてきた。

 

「お待たせしました、リズ様。御依頼の品はこちらにございます。」

 

 プラムと呼ばれた女性の戦徒……白竜に心臓を捧げ加護を得た覚者に付き従う、ポーンと呼称される従僕は、主人である覚者の少女リズに微笑みながらうやうやしい仕草で手に持っていた指輪を渡した。

 

「……うんうん、我がポーンながら良い出来だわ!お疲れ様、プラム。」

 

 受け取った指輪をクラフトルームの天井にある明かり取りの窓から射す光にかざし、リズは嬉しそうに顔を綻ばせる。その愛らしい様と労いの言葉に、プラムははにかみながらも幸せそうな笑顔を見せた。

 

「はい、セシリー。これでメイリーフへのお礼の品はバッチリね!」

 

 そう言いつつ水色の髪の少女……セシリーの手のひらに指輪を握らせ、リズは人懐っこく笑うとセシリーはそれにつられてくすぐったそうに微笑んだ。

 

「何から何まで、本当にありがとうございます。気に入ってくれるといいのですけど……。」

「大丈夫だって!メイリーフと仲がいい隊長から直接聞いた確かな情報なんだから、あの子絶対喜ぶよ!」

 

 微笑みながらも心配そうにうつむくセシリーに、リズは指輪を握らせた手を両手で包み元気付ける。

 自分の主人とその気の置けない友人との無邪気なやり取りを、プラムは母親や姉のような気持ちで微笑ましく見つめていた。

 

 

 セシリーがリズに相談事を持ちかけたのは、つい先日の事だった。

 白竜の領域の外、フィンダムから記憶を失ってたどり着いたセシリーは、白翼覚者隊の特選部隊の庇護の元で彼らと現在も行動を共にしている。

 自分が何者かも分からない不安と焦りの日々を『統率の右腕』と称される隊長を初めとする個性的な仲間達に助けられ、自分と同じくフィンダムからやってきた男性ロイグと合流し、時には傷つき倒れながらも自分の命を狙う黒騎士と対峙してついには自らの記憶を取り戻し、彼女は使命を果たす為、そして故郷フィンダムを救う為に立ち上がろうとしている。

 そんなセシリーが、隊員の中でも年齢が近く仲の良いリズに悩み事を打ち明けたのだ。

 

「私がレスタニアに流れ着いた時や黒騎士によって生死の境をさまよっていた時、そしてロイグが病で苦しんでいた時も、メイリーフさんのお家でお世話になりっぱなしでした。……だから、心ばかりでも何かお礼をしたいのですが……。」

 

 思い詰めた表情でうつむくセシリーに、リズはやれやれといった感じで苦笑する。

 

「そんなに気にする事ないのに。元々メイリーフだって、エルフの最後の生き残りっていう事で悪いヤツに命を狙われていて神殿に匿われてたんだから。白竜様の翼の元に集う人々やレスタニアの大地を脅かす悪いヤツから守らなきゃいけないっていうところでは、ロイグやセシリーだって変わらないんだよ?……第一、それが私達レスタニアに生きている覚者の一番の使命なんだし。」

 

 そう言って胸を張るリズにぎこちない笑みを浮かべたものの、セシリーは再び視線を落として考え込む。

 

「それは、そうなのでしょうけれど……。でもやはり、見ず知らずの私達にとても良くしてくれたのですから、このままでは私の気持ちが収まりません。」

 

 微かに瞳を潤ませて真剣な顔で思い詰めるセシリー。その様子を見て力を抜くように微笑むと、リズはいつもより明るい声で話しかけた。

 

「おっけー、分かった。それじゃあこれから一緒にメイリーフが好きなものをリサーチしに行こうよ!」

 

 悪戯っぽく笑うリズを目を丸くして見つめるセシリーを、悪だくみに誘うように少しだけ声を抑えつつリズは言葉を続ける。

 

「そうねぇー、じゃあ手始めに隊長のとこに行ってみない?確か隊長はメイリーフと仲が良かったはずだから、きっとメイリーフが気に入るものも知ってると思うよ?本当は本人にそれとなく聞くのがいいんだけど、やっぱりビックリさせたいからね。」

「……はい!よろしくお願いします。」

「うふふっ、セシリー元気出てきたじゃん!……でも一番の問題は隊長がすぐ捕まるかどうかだけどね。私も人の事言えないけど、あの人も結構あちこちフラフラするタイプだし。」

 

 二人はそう言って笑いあうと、リズは小さな子供が友達を遊びに誘うようにセシリーの手を引いて神殿の奥へと足早に歩いていく。

 その道すがら謁見の間から出てきた隊長に偶然出くわした二人は、隊長からメイリーフは森や緑、そして歌やアクセサリー等を好むという事を聞き出すと彼女達は自分達で採取した素材でアクセサリーを作る事に決めてリズのポーンであるプラムに協力してもらいながら素材を調達し、プラムにアクセサリーの製作を依頼したのであった。

 

 

 指輪を握りしめた手を温かく包む友の手の温もりに、セシリーの胸の内が熱くなる。

 精霊竜の苦渋の決断の結果とはいえレスタニアに侵食魔と黒騎士という災厄を呼び込んでしまったセシリーを、白竜と覚者達は温かく迎え入れてくれた。のみならず、素性も分からない未熟で非力な彼女を助け、励まし、時には焦り過ぎる余り無謀な行動を取ろうとするセシリーを窮地から救い、叱りながらも常に彼女の側に寄り添い、勇気づけてくれていた。

 

(……でも、今度は私が皆を助ける番。精霊竜様を助けて侵食魔が生み出される原因を究明して、フィンダムとレスタニアの人達を護らなくては……!)

 

 そう改めて心に誓い、セシリーは瞳を輝かせて真剣な顔をした。……その時不意に指輪が握られたセシリーの手からリズ手が離れ、思い出したように自分のポケットを探り始る。

 

「……っと、忘れるとこだった。……はいっ!これはセシリーの分ね。」

 

 照れ臭そうに笑いながらリズが差し出した手のひらには、紅く美しい石がついた指輪が乗せられていた。

 

「……凄く綺麗な指輪……。これを、私に………?」

「うん、セシリーさえ良ければもらって欲しいな。……私達の友情の証に、さ。」

 

 指輪を乗せた手のひらを差し出したまま、もじもじと体をくねらせて恥ずかしがるリズを驚きのあまり目を見開いて見つめているセシリーの瞳から大粒の涙が零れる。それを見て、リズは不満げに頬を膨らませながら口を尖らせた。

 

「なによー、泣くことないじゃない!これからメイリーフに会いに行くのに、目を赤くしてたらダメでしょ?」

「ご……ごめんなさい。でも、嬉しくて……。」

 

 指輪を握りしめたままのこぶしを顔に当てて泣きじゃくるセシリーを、彼女に贈る指輪を手の内に握ったまま泣き笑いの表情で優しく抱きしめるリズ。その美しい友情の光景を少し離れた場所で、プラムは目を潤ませながら見つめていた。

 

(……あの、万事を自分の気分だけで決めて面倒くさい事は全て他人に頼りきりだったリズ様が、お友達の為にこんなに親身になって働くようになるだなんて……。ほんの少しの間にずいぶんと成長なされたようですね、リズ様。)

 

 自分が同行出来ない任務にリズが赴いている間、プラムは彼女が周りにワガママを言って困らせていないか、きちんと役目を投げ出さずに遂行出来ているのかと心配のし通しだった。

 だが今目の前に居る、友を助けて思いやるリズはもう以前の甘ったれてプラムや他人に面倒事を押し付ける彼女ではない。

 

 プラムは主の成長に一抹の寂しさを感じつつ、それ以上の喜びに笑顔を浮かべながらそっと目の端を指先で拭った。




 いつもながら楽しく遊ばせて頂いているDDON のメインクエストなのですが、不満という訳ではないけれどサービス開始当初から気になっている事が二つあるんです。
 一つは以前から題材にしていた覚者の好感度に関する事。そしてもう一つは……。

 【NPC覚者のポーンって、すっっっごく影薄くないっすか!?】

 フィールドやイベントに出てくるポーン付きの主要NPCは、ファビオ(GMでも度々お世話になったりする、主な仕事が呼び込みのコーネリアさん)、リズ(今回作中に登場させましたプラムさん)、ガルドリン?(本当に初期のクエスト(和解の使者)でガルドリンの側にボーッと突っ立っている人を彼のポーンだと仮定したら、の話ですが)くらいで、レオ統率にすらポーンが居ないってどうなのよ?と常々思っていた訳です。
 まぁ仕様上難しいのかも知れませんが、覚者と一心同体のポーンっていうのはドラゴンズドグマの大きな魅力のひとつなので、そこのところは何とか改善して欲しいなぁー。……と思っていたりしています。

 ……あ、GMグリッテンにNPCとして出てくるレオが死ぬなんて事はないだろうから、多分フィンダムのどっかに居るんでしょ?
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