インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Sideイチカ
「なんだ!?…」
人格コアを奪還し一息着いた俺達だったがしばらくして地面の激しい揺れを感じた。
「これは!…」
「ああ…」
どうやらセリヴィア元教皇が奪ったエネルギーを使用して時空移動装置の再起動してしまったと見て間違い無い。
此処に迄これ程迄の起動の際の余波が来るとは流石に予想外であった。
「イチカ、皆!アレ見て!」
「「!?」」
アリナが何かに気が付き、俺達はその方へ向くと驚愕した。
「アレは…時空の亀裂!…」
「このままじゃ!…」
『恐らくこの亀裂はセリヴィアがタイムマシンによって作り出したものでしょう』
「うお!?」
「リザ!」
不意に人力コンピューターと化しているクレア会長の妹であるリザさんに一部は驚き、彼女はそう考察を述べてくる。
『セリヴィアはこうしている間にも幾分もしない内に己の野望を果たそうとタイムマシンの力で過去に向かうでしょう』
「…」
「『時空の亀裂の中に行き彼女を止める役目を引き受ける勇士はいるかしら?
ちなみに私もついていきます』」
「リザ!?」
『大丈夫よ姉さん…それに彼女を打倒するには原初のヴァリアントである私の力が必要不可欠だもの。
それにほら、勇士だっているわ』
「俺達一人一人には守りたい人がいますのでね!」
「リザ…皆さん!…」
妹を心配する会長だったが彼女にそう言われ、立候補した俺やハヤト、春、ミドウを見て観念したかのように言葉を紡いだ。
「分かりました…全員生きて帰ってくる事!
これだけ言えば十分ですわよね!」
「はい!」
クレア会長の激励を受け俺達は
「イチカさん…必ず戻ってきてくれますよね?」
「ああ、約束する!」
「ハヤト…」
「はーくん…」
「春君…」
「ミドウ…」
「お兄ちゃん達…」
それぞれの大切な人達に決意を伝えた俺達はリザさんへと向き直る。
「『では、そろそろ行きましょうか』」
「「はい!」」
俺達はリザさんの後を着いて行き時空の亀裂へと入っていった。
Sideシャル
「行っちゃった…」
突然出てきた亀裂にイチカ達が入っていき、遂には姿が見えなくなってしまった。
だがその後の私達にも予想外の事が起きた。
「ジャマダァー!」
「キャア!?」
「んなっ!?なんでアイツ動けるのよ!?…」
私達は驚愕した。
さっきまで彼等にかなりボコボコにされていた筈の秋彦が目覚めて狂気の叫び声を上げながら亀裂の中へと入っていってしまったのだ。
その直後、亀裂は完全に閉じてしまっていた。
きっと大丈夫だよね?…
Sideイチカ
『近いわね…!?…」
「リザさん?」
『いえ…(今の嫌な感じは真逆…)それより皆さん、戦いの前にといってはなんですが私にそれぞれのハンドレッドを食べさせて下さい』
「え?…」
リザさんのナビゲートで亀裂を進んでいると不意に彼女はそんな事を言ってくる。
『安心して下さい。
私のヴァリアントの力を以て体内で皆さんのハンドレッドの増幅調整を施すのです』
「そういう事なのでしたら」
俺達はそれぞれのハンドレッドをリザさんに差し出す。
彼女はすぅーっと深呼吸しながら粒子化したハンドレッドを吸収していく。
『ん…増幅には少しばかりの時間を要しますので…その間にセリヴィアを見つけ出す事を優先事項に』
「分かりました」
俺達は再び歩みを進め、しばらくするとようやく見つけた。
「セリヴィア元教皇!」
「此処まで追って来るなんてお馬鹿さんがいたみたいですね…神となったこの私を止められるものならかかってらっしゃい!」
不気味な笑みを浮かべた元教皇を見据え、俺達は臨戦態勢に入るのだった。