インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
それより読者総員、コーヒーと戦闘(背景)BGM用意ィー!
推奨BGM
・YOURTHEONE
・ISAYYES
・Trust In You
・Day To Story
Side春季
恋愛祭二日目の朝、昨日の事をうっかり思い出してしまった俺はあまりよく眠れていなかった。
「ン?…」
「すぅ…」
「ふみゅー…」
なんだ音六と矢千夜か。
「…」
俺は他に誰もいないことを確認し手をそっと伸ばそうとする。
「うう…行かないで…」
「!」
男の性で矢千夜のスカートを捲ろうとすると彼女は薄ら涙を流しそう呟いた。
どういう事だ?
そう思っている内にそしてゴロンと寝返りを打った彼女のスカートが反動で捲れ上がりまたもや見えてしまった。
言わずもがな綺麗な肌色が。
「…///~」
その後少しの罪悪感は感じ、疑問は置いてそっと離れて日課に精を出した。
~数時間後~
「装填率が下がってきている?」
「そうみたいね。
貴方達はまだ大丈夫なようだけど双騎士組は深刻みたいなのよ」
「…」
いやどっちも素直じゃないからじゃないかな?
「それもあるけど他にも原因があるかおもしれないわ」
「もしや…」
「ええ、白石姉妹には気を付けた方が良いわね」
「…」
矢千夜、君は…
その夜、俺と音六は矢千夜に牙を向けられていた。
「お前達が噂のカップル殺しなのか…どうしてなんだ?…」
「…」
恋愛槍を向け続ける矢千夜はその目に涙を浮かべながらも何も答えようとはしてくれない。
「涙浮かべながら震えた手で殺すなんて言われても怖くないぜ、矢千夜?
過去に何かあったんだろう?」
「…やっぱり分かっちゃうんだ…でも今更もう後戻りなんて出来ないの!」
俺の問いにようやくそう答えるも彼女は手を再び動かし槍を突き出してくる。
「その力!…」
矢千夜一人で使えている事を考えると若竹さんが言っていた違法改造された恋愛武装か!
「音六!」
「うん、やーちゃんを止めてみせる!…」
俺達はそれぞれの恋愛武装を取り出そうとする。
が…
『Eloer、権限が存在しません』
「なっ!?…」
「そこ!」
「だけど!」
何故か武装を展開出来ず、慌てて素手で矢千夜の槍を受け止める。
「どうやら姉さん達が水神島のシステムを掌握したようね…」
「何っ!?」
達…という事は白石姉妹だけではない魔族側に加担している何者かがこの世界全てを狙っているという事か!
その何者かにこの島そのものを支えるシステムを掌握され権限を書き換えられたという事になる。
どおりで展開不可能に陥った訳だ。
という事は彼女達は恐らく…
「矢千夜…いや君だけじゃない、君達は恋愛至上都市という世界のシステムそのものに憎悪を抱いているのか!」
「そうよ!悪い?私の最愛の人を奪ったこの世界を絶対に許さないわ!」
そう矢千夜は叫んで語り出す。
Side矢千夜(三年前)
私達姉妹には幼馴染の兄弟がいた。
姉さんは兄の方(名前は思い出したくない)、私は弟の方であった拓瑠を好きになり互いに惹かれ合った。
ようやく勇気を出して彼と結ばれこれからも幸せな日々がずっと続くと思っていたある日の事だった。
「何よコレ…」
「やっぱり矢千夜の方にも送ってきていやがったのか…」
私達はカップルとして恋愛磁場の相性があまり良くないらしく政府から代わりの相性の良い見合い相手を紹介するという手紙が届けられた。
「だけど安心してくれ矢千夜。
僕もお前以外の女性なんてお断りだ!」
「た、たっくん、あ、ありがとう///…」
当然、私達はそんな事を受け入れられず政府からの手紙を破り捨て抱き合った。
だけどそれから数日後、拓瑠は殺された…他でもない夜宵姉さんが愛していた彼の兄に…恋愛階級≪ラブランク≫だけに目が眩んで姉さんを簡単に裏切るような人物だったからだ。
だからきっと拓瑠の見合い相手をも寝取ろうとしていたのだろうとそう考えた私は彼を捕まえて聞き出したらあっさりと白状したからだ。
こんな奴に姉さんと拓瑠は…怒りを覚えた私はこの証言を近衛兵に言おうとした所を彼の親類の叔父に妨害された。
どうやらあの屑から話を聞いていてそれに乗っかり妨害してきたようだ。
挙句、未だ盲目的に屑を愛していた姉さんが後天的に覚醒した「魅了」の力を使ったせいで拓瑠の死の真実が闇に葬られてしまった。
「復讐したいか?この世界に」
「…」
姉さんの力を増幅したという組織の手を私も取ってしまった。
所持していた恋愛武装もシステムを弄ってもらった私と姉さんは彼等に言われるままにカップルを別れさせ何時の間にかカップル殺しなんて異名で呼ばれることになった。
Side春季
「そんな事が…」
「やーちゃん…」
矢千夜の語った事は重大だった。
それと同時にどっかで同じような事が…ああ、思い出した。
糞兄貴と箒の関係性だ。
まあ、それは今どうでも良い。
いくらなんでも階級の為に恋愛するのは間違っているだろ。
そんな裏切りをされたというのに夜宵さんは盲目の過去を断ち切れず、それで妹まで傷付けてしまっているのでは本末転倒でしかない。
「今にして思えば軽薄だったとは思っているわ…だから!…」
「おっと!」
俺はしばらく使っていなかったこの世界じゃ本来必要の無い機体を呼び出し矢千夜の攻撃を防ぐ。
「な、何!?…」
「だけれど俺にも退く訳にはいかない理由がある!」
「キャア!?」
雷砲血神で矢千夜の槍を弾き飛ばす。
だが彼女は隠し持っていたもう一つの恋愛槍を取り出し攻撃してくる。
「それってその子の為?」
「それもある。
だけれど矢千夜、それは君に対しても同じなんだ!」
「!?嘘…」
「嘘じゃない!俺が君のことを嫌いだと一度でも言ったか?
昔の男を完全に忘れろなんて事は言わない。
だけど約束する!俺が全力で愛してやるからよ!」
「!嘘よ嘘よ嘘よ…」
「音六!」
「大丈夫!…」
俺の大告白に大分動揺する矢千夜だったが、それでも攻撃の手を緩めずに今度は音六に狙いを変えてきた。
頼むぞ音六…お前もあの子に想いをぶつけてやれ!
Side音六
「アンタはそれで良いの?!
私が横から彼を独り占めして掻っ攫ってしまっても?!」
私に狙いを変えてきたやーちゃん。
付喪紅炎装で槍を掴み防ぎながら私も叫ぶ。
「確かにしばらく一緒にいれなくて寂しいと感じた事はあるけどはーくんは絶対に離れていかない!…
それにやーちゃんがそう思っているとういうことははーくんを信じられている筈だよね?…」
「!?…だからって貴方なんかに私の何が分かるっていうのよ!」
「分かるよ…はーくんは一度記憶を失った事があるの…」
「!?」
私はやーちゃんとの攻防を繰り広げながら福音事件の時にはーくんの身に起きた出来事を彼女に話した。
「そんな事って…」
話を聞いていたやーちゃんは攻撃の手を止め愕然とした表情になっていた。
これで大丈夫なのかな?…そう思った私も武装を引っ込めた。
Side矢千夜
「あははは…私一体何をやっていたんだろ…」
セラフィーノさんから驚くべき話をされ、聞いていて嫌応にも自分の行為との差を思い知らされた私は力無く槍を落とした。
普通ならば例え一時的であったとしても復讐に走っても可笑しくない私と類似する状況だ。
でも彼女はずっと信じる事を諦めなかった。
対して私はどうだ…復讐する事ばかりに頭がいって死んだ拓瑠の気持ちも考えずに只の八つ当たりでしかない行為に走ってしまっていた…。
「なんて馬鹿だったんだろ私…」
「そう思えているならまたこれから変えてゆけば良いさ」
「そうだよ…」
そう項垂れるばかりであった私の手を彼等は優しく掴んでくれた。
「!」
え?…た、拓瑠!?…ほんの一瞬だけ春季さんに彼の姿が重なって見えた気がした。
「うわあああーん!」
「わわっ!?」
そんな錯覚を感じた私は我慢の限界を迎え豪快に泣き出してしまっていた。
Side春季
「落ち着いた?」
「う、うん…」
泣き出してしまった矢千夜をなんとか落ち着かせた俺は王城を見据える。
後は早いとここの騒ぎを引き起こしている夜宵さんを説得し、裏で糸を引いている馬鹿達を止めに行かないとな!