インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Side春季
「大丈夫ですか?!」
どうにか必死の攻防で矢千夜を説得した俺達は急いで王城へと向かい正規の近衛兵部隊と合流し現況を確認する。
近衛兵の数人が矢千夜を見て敵意を見せてきたが俺のフォローでなんとか場を取り保つ。
「な、なんとかな…今は柊隊長が敵を抑えてくれているおかげで此方の被害はあまり無いからな」
華恋さんってそんな武闘派だったかな?…
「ですが結局は早い所敵に掌握されてしまったシステムを取り戻さねばなりません…」
「王女様!御無事で!」
避難していた天音さんがそう言う。
「策があるんですね?」
「はい、現在お父様が急ピッチで逆ハッキングをしてシステムの奪還・復旧に取り掛かってはいます。
それまでの防衛が持つか…」
いくら華恋さんの腕っ節が強いといっても限界はあるよな。
「勇也さん達は?」
「お二人なら夜宵さんの説得にコントロールルームに」
やはり既に向かっていたか。
「なら俺達も向かいます。
防衛には残りのメンバーで対処出来る筈ですので」
「あ、ありがとうございます!此方です!」
シャル達に城の防衛を頼み、俺達は天最さんに最奥地下のシステムコントロールルームへと案内され、急行した。
そこで見たものは…
~王城最奥地下「巫顕機巧≪スレイヴシステム≫」コントロールルーム~
「くううっ!?…」
「勇也さん!?何やってんだよ!?」
なんと勇也さんが虚ろな目で夜宵さんの命令に従って蒼宮さんを攻撃していた。
俺は早急に蒼宮さんの援護に入ろうとするが…
「大丈夫…」
音六に止めらそう言われる。
彼女がこう言うなら何かあるな。
それはすぐに理解出来た。
「さっさとトドメを刺しなさい!」
夜宵さんが更なる命令を勇也さんに下そうと彼に近付いたその瞬間がその時だった。
「キャア!?」
勇也さんは夜宵さんに振り向き剣激を仕掛け彼女のその凶悪な胸元にかけてあった黒いペンダントを破壊した。
急な攻撃に慌てるが対応し切れなかった彼女は驚いていた。
「な、なんで!?…完璧にあんたを魅了出来た筈よ!?」
「先輩!」
「俺はな…体を弄り回されて対魔効力が常人より高いんだ。
だからその程度の魔力では効かないのさ!」
「だから敢えて従った振りをしていたというの!?…」
「ああ、その破壊したペンダントがお前の魔力の供給源なんだろ」
「くっ!?…だけどまだ手は!…」
勇也さんのネタ晴らしに焦る夜宵さんだったがまだ隠し持っている手があるのかスカートに手を伸ばす。
「夜宵姉さん!」
「矢千夜あんたも私を裏切ったのね!?」
「話を聞いて下さい!」
「五月蠅い!」
矢千夜の必死な説得虚しく夜宵さんは予備に所持していたであろう黒ペンダントを再度首にかけた。
「まだこんな所で私の復讐は!…」
そう叫びながら再び臨戦態勢に入ろうとする彼女。
「仕方無い…もう一度彼女を止めよう!」
最終手段に出るしかなくなり俺達も構えた瞬間だった。
PiPi!華恋さんからこんな通信が入る。
『「朗報よ皆!たった今、若竹王がシステムの奪還に成功したわ!』」
「!」
同じく通信を聞いた他の近衛兵達も一斉にコントロールルームに集結し夜宵さんを包囲する。
「犬が!五月蠅いのよ!」
「うわああー!?」
だが夜宵さんの放った魔力に吹き飛ばされてしまう。
「嘘!?今ので磁場の残量が!…」
「なら!此処の皆さん全員でイチャイチャしてちゃっちゃと世界を救っちゃいましょう!」
「ああ!そうだな!」
魔力との抵抗で減ってしまった恋愛地場だがシステムを奪還出来た今なら手段はある。
蒼宮さんの提案・合図を皮切りに皆一斉にそれぞれの恋人達とイチャイチャしだしていく。
「音六、矢千夜…」
「みなまで言わなくても良いですよ…春季さん、いえ…春君!」
「ふみゅ!…」
俺は音六と矢千夜と見つめ合いながらそっと彼女達と手を握り合う。
そして…
「俺はぁー!二人の事が大っ好きだあー!」
俺は二人に向かって盛大に愛を叫び響かせた。
推奨戦闘BGM(SideAll)「君の神話~アクエリオン第二章」
(Side音六&矢千夜)「Bright Way」
「ん…」
「ふみゅー…」
むちゅ…
俺は音六と矢千夜を抱き寄せて二人変わりばんこに唇を重ねた。
普通よりも長くより深く…いわゆるディープキスだ。
「私も春君の事が大好きです!」
「私も…!はーくんずっと一緒に居て欲しい!…」
「ふおおおおおー!」
「せ、先輩が惚れろって言ってくれたぁー!」
『恋愛磁場装填率:100%!LimitBreak!!』
二人の返白を受けて俺も奮い立つ。
一方の双騎士ペアも同時に限界突破を果たしていた。
Side音六
「暖かい…これが恋で愛!…はーくんを好きなんだって気持ちなんだ!…」
シャルちゃんに教えて貰った事だけどはーくんと二度目にしたキスはとっても心地良く気持ち良かった…。
なんかツクモが羨ましそうな顔をしながらハイパーセンサーにとある情報を提示してきた。
「コレって…あ!」
提示された情報を見て結構前にカレンちゃんに教えてもらった事とウサちゃんと一緒に観たあれを掛け合わせれば使えるかもしれないと思った私は付喪紅炎装を左手に展開し、胸から出した恋愛指輪≪ラブ・リング≫を右手の指に嵌めてラブリングと付喪紅炎装を近付け合わせて空へと掲げた。
「ちょ!?///…」
「?…」
神代さんと戦っていた時もそうだけどなんか可笑しい事したかな私?まあいいや
「愛の空よ、悪しき心を断ち切って!超恋愛発破、無限虹色天気雨!…」
七枚のカードビットがリングの力によって無数に増えて虹色に収束されたビームが夜宵さんの展開した何重物の魔力壁に振り注いで何枚か破壊した。
「今だよ!…」
Side矢千夜
「矢千夜、コレを!」
「!これは!…」
「今からはその方が良いだろ」
「うん!…」
音六さんの援護を受けて、駆け出そうとすると春君から正規品の恋愛槍、いや恋愛銃槍≪ラブガンランス≫を投げ渡される。
確かにこの島のシステムが奪還され、春君という新たに大切な人が出来た今、馬鹿姉の目を覚まさせるのには十分な筈だ。
「姉さん!」
「くっ!?…矢千夜ぉー!」
ラブガンランスの散弾をバラ巻きながら私は姉さんへと接近し説得する。
「アイツ…姉さんを振った後何をした思う?」
「何の事よ?!」
「アイツはね…実の弟で私が愛していた拓瑠の見合い相手にも目をつけてたのよ!」
「…それで一体何が言いたいのよ?」
「アイツは拓瑠の見合い予定だった相手をも狙う為に彼を殺したのよ!」
「嘘!?…彼がそんな事…」
「本当よ…心当たり無いなんて言えないでしょ?
なんならアイツにかけた魅了を解いて問いただしてみなさいよ」
「…そんな…」
私がアイツの本性と真実を告げると姉さんは動揺し、頭を抱えながら震えていた。
確かに事の切欠は政府の強要文だろう。
だけれど拓瑠や春君と違い、アイツが真に見ていたのは姉さんじゃなくてラブランクそのものでしかなかった。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁー!」
「やっぱりそんな簡単にはいかないみたいね…」
心当たりあるにも関わらず未だ盲目の恋心を抱いている姉さんは内に秘めていた残りの全魔力を暴走させてしまった。
急いで回避し下がると春君が私達に提案してくる。
「暴走してしまったようだな…」
「ええ…馬鹿姉が御迷惑を…」
「それよりだ、音六は俺と勇也さん達の攻撃に合わせてくれ!
矢千夜は俺と音六の攻撃と同時に恋愛銃槍を投擲。
彼女の暴走を止めよう!」
「ええ!」
「うん!…」
Side春季
俺は暴走し出した夜宵さんを止める為に音六達に指示を出す。
「「はああああああー!」」
そうこうしている内に双騎士ペアが攻撃を繰り出す。
「よし、いくぞ!恋愛拳最大稼働!」
俺は恋愛拳のリミッターを解放し技を繰り出す。
「【鳳亜流奥義 爆愛魂天翔拳】!!」
「無限虹色天気雨!…」
「今だ矢千夜!いけえー!」
「分かったわ!えいやっ!」
双騎士ペアの剣撃と自らこの世界で編み出す事が出来た俺の拳と音六の技、矢千夜の恋愛銃槍と重なり暴走している夜宵さんの胸のペンダントへ突き進んでいく。
そして見事に命中し、ペンダントは欠片一つ残らず消失した。
「夜宵!」
ペンダントで受け切れなかった恋愛磁場の余波で吹き飛ばされた夜宵さんを即座に飛び出した勇也さんがお姫様抱っこで受け止めた。
一気に魔力を暴走させていた事で彼女は気絶していたがしばらくすると目覚める。
「大丈夫ですか?」
「…私は間違っていたのかしら…愚かにもあの人の本性を見抜けずに妹まで知らず知らずの内に傷付けて…」
「…」
後は矢千夜と勇也さんに任せるしかないか。
後日、白石姉妹はカップル殺しの件で近衛兵に一時的拘束された。
だが彼女達を引き込んだ黒幕には既に逃げられてしまっていたのが惜しい。
無論俺と勇也さんも彼女達が早くに解放されるように協力を惜しまなかった。
夜宵さんの魅了にかけられていたカップル達は正気に戻り、彼女の元彼だった男は拓瑠さん殺しの件を夜宵さんに問い詰められ自白、逮捕された。
事件を隠蔽しようとしていた彼の叔父も近衛兵に拘束され、白石姉妹に強引なカップル解消を迫り、見合い相手方から献金を受け取っていた政府の人間も纏めて拘束・逮捕され裁かれた。
まあ、後者については俺の仕事でやった事だがな!
事件が終息して三週間後、俺達は奉仕事業から解放された矢千夜を連れて元の世界へ戻った。
あー、戻ったらあの子にも告白しよう!
真の御褒美タイムは別にやるべきか?…