インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
これは「if」の話だ…
Side春季
「…はっ!?…此処は?…」
「よかった!目が覚めたんですね春君!」
「矢千夜?…そうだ…」
確か俺はイチカ兄さん達と共に己の誤った野望の為に二つの世界を犠牲にしようとする教皇という奴を止めに時空の亀裂に入った。
その途中で空間事故が起きてそれで…
「でもなんで矢千夜が?」
「ごめんなさい!どうしても我慢出来なくて…」
矢千夜が言うには彼女だけが俺達の後をついてきてしまったらしい。
「イチカ兄さんや音六、他の皆は?」
「私達以外の姿は見当たりません…」
「そうか…」
となると俺達だけが恐らくあの時空間で発生した事故によって異世界に飛ばされて来てしまったのだろうか。
「六夢?」
ふと待機状態の雷牙が僅かに光る。
六夢と語る為に意識を飛ばす。
「分かった」
しばらくして意識を戻す。
六夢が言うには事故の影響のせいか雷牙のシステム面が可笑しくなっているらしく修復にしばらくの時間を要するとの事だ。
「これからどうしますか?」
「そうだな…時期に束さんやタイセイさん達が異変に気が付いて連絡を取ってくる筈だ。
それまでこの世界で何事も無く過ごせれば良いのだがな…」
この世界がどういった世界なのかもまだ分からない。
二つ前に訪れた世界が酷いという言葉だけじゃ表し切れない程だったからな…後にこの世界が他の何処よりも酷いものだと俺達は思い知らされる事になる。
パァン!パァン!
「何!?」
「行ってみよう!」
何処からともなく鈍い銃声が聞こえてくる。
只事ではないと俺達は急いで現場に駆け付ける。
其処で見たものは…
「これは!?…」
「ひっ!…酷いっ!…」
一組の学生カップルが両手を握り合いながら血塗れで倒れていた。
急いで救命活動をしようと駆け寄ると
ズギュン!
「む、なんだ?まだルール違反者が居たのか…始末する」
カップルに対して凶弾を放ったであろう同じ制服を着込み、似使わぬ武装をした数人の男子生徒がそんな事を言いながら此方にも銃を突き付けきていた。
「矢千夜!」
「分かりました!」
傷つけられたカップルに流れ弾が当たってしまわない様に矢千夜に指示し、俺は恋愛磁場、矢千夜は恋愛銃槍を振るい銃弾を叩き落とした。
「何!?…コイツ等、真逆「RedHot」能力者!?」
「奴等のシンボルが見えないようだが『クルセダーズ』の一員に間違い無い!構わん、撃て!」
「無駄なんだよ!」
訳の分からない誤解を受けて更に彼等は撃ってくるが全て恋愛磁場で叩き落とす。
「ひ、ヒィッ!?コイツ等ば、バケモノ!…」
「に、逃げるんだよぉー!」
「あ、オイ!?逃げるな!…チッ!覚えていろ!」
武装男子がへっぴり腰になり逃げ出す。
リーダー格らしき男はようやく不利なのを悟ったのか捨て台詞を吐きながら逃げた彼等の後を追って姿を消した。
「ふう!…矢千夜、彼等の状態は?」
「傷が思っていたよりも深くはなくてなんとか消毒・止血だけは出来ましたが衰弱が酷くて!…」
先程の輩によって傷つけられたあのカップルの状態はあまり芳しくなかった。
「なら!…」
矢千夜からカップルの状態を聞いた俺は即座に恋愛棺を二つ呼び出す。
棺を開き、カップル達を回復させる為そっと中に入れる。
間に合うと良いのだが…俺達はそう祈るばかりであった。