インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Side?
ドン!
周囲が突然の事態に悲鳴を上げる。
「<青少年健全育成法第七条 18歳以下の恋愛を禁ず>。
帝国学園生徒会の権限を以て違反者は即座に処する。
そっちの女生徒、この男子生徒と逢引していたな?それとも<クルセダーズ>の一員か?」
「ち、違う!…私は彼の事なんて好きじゃ…」
「見え透いた嘘だな。育成法第十一条、法令を違反する行為に対する嘘により処罰する」
「ま、待ってくだ…あぐっ!?……」
女生徒が弁明するもののすぐに武装生徒会会長である男に嘘だと見抜かれ躊躇いも無く撃ち殺されてしまう。
「こうなりたくなければしっかりと法を順守する事だ」
「…」
俺は夏目 ツバサ。
俺を含む数人は育成法や政府に従って罰する生徒会に対し何処か違和感を感じていた。
何故人を好きになるのが罪だというのか?…こんなにも抑え切れない程の想いがあるというのに…。
「ツバサ君!」
「藤堂さん!…」
「どうしたのぼーっとして?」
「なんでもないよ…行こうか連中に見つかる前に…」
「う、うん…!」
俺は好きになってしまった藤堂 明日香さんと生徒会の目を掻い潜り密かな付き合いを続けていた。
あの日が訪れるそれ迄は…
「助けてくれてあんがとよ!」
「…」
最悪だ…偶然目の前に人が落ちてきて急いで助けたら育成法に異を唱えるテロリスト集団であるクルセダーズのメンバーであったことだ。
しかもソイツ、高杉 リュウに藤堂さんとの密会の内容を見られ尋問されている其処に運悪く生徒会一味が通りがかってきてしまった。
「藤堂さん、なんで!?」
「ごめん…なさい!…」
なんと想い合っていた筈の藤堂さんが生徒会のスパイであったことが発覚した。
だけど彼女は生徒会の拘束を振り切って本当の想いを打ち明けてくれた…だけど拘束を振り切る事は出来ずに会長に撃たれてしまった。
「ツバサ!今は離脱しろ!」
「でも、藤堂さんが!…」
「あの様子じゃもう助からない事ぐらい分かるだろ…」
「だけど!…」
「彼女の想いを無駄にする気か?」
「!…分かった…」
俺はリュウに諭され逃げ延び、彼等のアジトで戸惑いながらも異様な力を手にしたのだった。
Side?
「…して違反者を取り逃がしたと…それでおめおめと生徒会に帰ってこられたものだな」
「お、お言葉ですが生徒会長、RedHot能力者に只の銃しか与えられていない俺達が敵うワケが…」
「…支給品だ。次は無いと思え」
「は、ハイィ!」
「良かったのですか?あの様な輩にRedHotのアンプルを与えても…生徒会の名を行使して裏で何を行っているか分かりませんよ?」
「俺達に課せられたのは我が国の法に異を唱える反逆者を裁く事だ。
多少の事には目を瞑っていてやる」
「…」
私は羽美音 寧流。
帝国学園の生徒会副会長へとようやく昇り詰めてはや半年が経つ。
会長は何時もと変わらず法律違反者を顔色一つ変えず裁きを下し続けている。
会長達には未だバレていないのであるが私が生徒会入りしたのは自身が育成法に対し違和感を感じ内側から変えようと思ったからだった。
だけどそんな私の思惑はすぐさまに儚くも崩れ去ってしまった…己の弱さに否応にも気が付かされてしまったから…。
ねえ誰か教えてよ!…一体何時までこんな事を続ければ良いというの?…
「…いつものアレやっておこ…」
生徒会の職務の粗方を処理し終えた私は会長が部屋を出ていくのを見計らって学園の旧校舎へと足を運んだ。
「ごめんね待った?」
「うニャー」
「にゃにゃー!」
「ふふ♪」
私の密かな日課であり、癒しともなった何時頃からか旧校舎に住み着いていた野良猫親子の御世話である。
旧校舎には監視カメラが無いので普段出来ない事が自由に出来る場でもある。
それでうっかり気を抜いたのがいけなかった。
「えっと?…」
「ンン!?…」
それが私の運命を変える出会いとなるとはこの時は思いもしなかった。