インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Sideイチカ
「もう!今朝はビックリしたじゃない!
なんで教えてくれなかったのよ音六ちゃんも春季も!」
衝撃的な転入生との出会いと春達が起こした喧嘩騒動から翌日、鈴が驚いたと言いたげな表情でそう言ってきた。
「あの二人がどうかしたのか?というかお前もセラフィーノと顔見知りだったんだな」
俺は鈴に質問する。
「ああそういえばまだ話していなかったわね。
音六ちゃんとは空港を出て大分経った後に偶然会ったのよ。
彼女IS学園に向かう道中で生き倒れになっちゃててね…」
俺の質問に鈴もそう答える。
というか生き倒れになってたって…鈴も少し苦い顔で笑ってた。
「それで今朝は春とセラフィーノがどうしたって?」
「あ、そうそう!ホントにビックリしたわよ…今朝春季を起こしてあげに彼の寮室に行ったら音六ちゃんが彼の布団に潜り込んでいたんだもの!」
「あー…そういう事だったか…」
恐らく彼女が転校してくる前迄一人だった春のルームメイトに偶然にもなっていたのだろう。
セラフィーノは春に対して物凄く異常に懐いていたからな。
今朝方春の顔がちょっと魂抜けていた様な感じになっていたのはその為だったという事に今更気が付いた俺であった。
そしてその日の放課後,俺は事前情報がほとんどといっていい程取集出来なかったセラフィーノの事について暗部である更識会長ならば何か知っている筈だと思い生徒会室を訪れていた。
かくいう俺もある程度のセラフィーノに対する仮説は立てられていたが。
「そろそろ来てくれる頃だと思っていたわ…剣崎イチカ君…いいえ、織斑一夏君と今は呼んだ方がいいかしらね…」
「!…どうやら調べられたようですね「織斑家の出来損ない」といわれていた俺とそして春についても…」
まさか会長に問いただす前にそこまで調べあげられていたとは…
「織斑春季君に対するその呼び方…君が本当は行方不明になっていたブリュンヒルデ、織斑先生の弟の内の一人である一夏君だという事を認めたと受け取っていいのね?」
「…もう昔の事ですよ…」
俺はそう言うしか出来なかった。
Side刀奈
目の前の人物に問いただすと本当は剣崎イチカなどという名ではなく、二年前のモンドグロッソで誘拐・行方不明になっていた織斑兄弟の一人であった織斑一夏本人であると彼は素直に認めた。
彼や弟君である春季君の過去について調べていたらそれはもう吐き気を催す程の酷いものばかりであった。
ISが登場する以前からも神童といわれた織斑秋彦君と比較され彼等への酷過ぎる虐めが行われていたのだ。
ISが登場してから織斑先生が第一回モンドグロッソで優勝してブリュンヒルデと呼ばれ彼等がISを動かせると判明する迄はより一層扱いが悪化していった事もこれまでの調査で分かっている。
ちなみに虐めの主犯者についてはまだ調査中である。
「…もう昔の事ですよ…」
正体を看破された彼はそう言って何処か遠い目をしていた…かと思うと
「更識会長…貴方の妹である簪さんについてですが…」
「⁉︎…」
彼は私の抱えている最大の問題について問いただしてきたのだ。
Sideイチカ
更識会長に思いの他早く正体を看破された俺は一瞬たじろいだがすぐに調子を戻し彼女の抱えている問題について問いただしてみた。
「まさかこっちの事ももうそこまで調べられていたとはね…ええそうよ今の私は簪ちゃんと仲違いしてしまっているわ…でも…」
「「無能のままでいなさい」」
「はぐっ!?」
俺が会長と簪さんが仲違いしてしまった原因について言及すると会長は図星を突かれてうなだれてしまう。
「例え身内でもそんな事を言われれば誰だって怒りますよ…」
「そんな事言われてもー〜私は大切な妹の事を考えて…」
「いやいや、だからって彼女の努力を無下にする様な言い方したら駄目でしょうが!」
「はうわっ!?うう〜だってさー〜…」
「そ、それより…」
涙ぐむ会長に俺は更なるからかいという名の悪戯心が湧きそうになるが本題を聞く為に強引に話題を戻そうとすると
「ねえ、少し聞くけど織斑先生や秋彦君は貴方の事に気が付いているのかしら?
春季君は気が付いた様だけど」
「…賢姉殿は恐らく薄々気が付いてる筈です…この間春と一緒に呼び出しを食らいましたからね。
愚兄についてはまあ…俺や春の事をまた調べていく内にいずれは分かる事でしょう…」
ふいにそんな事を会長は聞いてきたので俺はそう返答すると彼女は驚いた様な表情で目を大きく見開いていた。
Side刀奈
「…」
私は彼が何故自分のお兄さんをそう呼んでいるのかこの時は分からなかった。
だけど彼等の事を引き続き調べていく内に私は更なる深くドス暗い闇を知る事となる。
Sideイチカ
「所でいい加減に本日の本題をお聞きしたいのですが…」
「あ…ええそうだったわね。
えと転校生のセラフィーノさんの事についてだったわね
まさか彼の娘が学園に入学してくるなんて考えられなかったけどね…」
やはり彼女の事情についておおよそは知っていたようだったので俺は話を聞いて自分の立てていた仮説が当たっていた事に少し驚いていた。
「これが彼女の情報の一部よ」
「…通りで何処かで聞き覚えのあるファミリーネームだと思いましたよ」
そう彼女はほとんどの人が聞いた事があるだろうあの有名なイタリアンマフィアの一角であるセラフィーノファミリーの首領(ボス)の娘だったのだ。
「ああ、イチカ君勘違いしないでほしいんだけど彼等は約三代前からかなり真っ当な手段で運営している組織よ」
「まあそれはセラフィーノを見ていれば分かりますよ」
通りでセラフィーノは初対面で愚兄の歪みに気が付けた訳か。
マフィアの娘故の感性という訳だ。
それが彼女の長所であり短所ともなっているといえる。
「お話ありがとうございます」
「ええ、こっちも有益な情報をありがとうね」
会長に礼を述べ俺は部屋に戻ってすぐに今度は春達に話を聞きに行ったのだが彼等は部屋にいなかった。
恐らくは二人で何処か邪魔の無い場所で話をしているのだろうと邪魔をしては悪いと思った俺はそのまま自室に戻る事にした。
翌日、再び事件が起きるのは誰もが予想しえた事だろう…。
思わぬ長さになってしまいましたので音六の傷の意味や春季との関係、愚兄等とのもつれについてはまた次回で。