インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅣⅩ「臨海学校と陰謀PARTⅣ」

Side秋彦

「補足した、このまま仕掛けるぞ箒!」

「ああ!」

目標である銀の福音をようやく補足し俺と箒は福音に攻撃を仕掛ける。

「糞がっ!なんで当たらないんだよ!?」

「くうっ!?…」

だが連携という概念を持ち合わせていない二人では福音に未だ一mmも攻撃が届いていない。

秋彦は次第に苛立ちを露わにしていた。

「!秋彦、大変だ!取り残されている船が下で航行しているぞ!?」

「なんだって!?

チッ…こんな時に!…」

箒の言う通り、俺達が戦っている遥か海上には船が三隻航行していた。

でも俺はどうせ海域封鎖の警告を聞かなかった密漁船だと思いそのまま引き続き福音に仕掛けていった。

「秋彦、あの船はどうする?」

「そんなものほっとけ!どうせ密漁船だろうが?

ほっといたってどうもしやしないさ」

「…」

確かに一隻は海域封鎖を聞かずに漁業をしていた密漁船であった。

だが残りの二隻は内一隻が封鎖勧告を聞き逃してしまい取り残された正規の漁業船だったのだ。

そして残る一隻は…

 

Sideリディ

「取り残された民間人がいるのに救助もせずに上で戦闘行為をし続けている者達は何を考えている!?」

そう、ハンドレッド世界の空上都市艦リトルガーデンであった。

何故リトルガーデンがこの世界にあるのか?それは…。

教皇セリヴィア・ノートルダムパウロ三世が突如、人類に対して反旗を翻し企んだ陰謀と彼女が時空移動装置で引き起こした時空の亀裂に巻き込まれ飲み込まれこの世界へと図らずも転移してしまったのだ。

「索敵班から入電!この海域周辺に多数の弩級型、飛竜型、巨蠅型サベージの出現が確認されました!」

「何だと!?」

オペレーターからの報告が入り私は焦る。

未だ取り残されてしまっている民間人がいる上、上空で戦闘行為をしている未確認達の存在、その上にサベージの出現。

ならば今此処でやるべき事は一つだ!

「手の空いている者は民間人の救助にあたれ!

迎撃班は出撃を急げ!

エリカ、私達は主砲の準備を急ぐぞ!」

「分かりましたわ!」

私達はこの事態を収拾させる為各々動き出した。

 

同時刻、宇宙では Sideクレア

「私達だけではなく地上のリトルガーデンまでもが亀裂に巻き込まれるなんて!…」

そう、宇宙には宇宙製リトルガーデンであるルナベースが浮かんでいた。

「『…!クレア!』」

「どうしましたのリザ?」

やっとの思いで教皇から取り戻した大切な妹、現状把握をしてもらっていたリザが慌てた様子で話しかけてくる。

『地上で剣崎イチカと如月カレンのエナジーを観測出来たわ!』

「なんですって!?という事は…」

思いがけない朗報を聞いて驚いた私だったが何故今になって二人が見つかったのか疑問に思い、ある推測を立てていた。

『ええ…此処は別の世界…異世界である可能性が高いわ!』

「やはり!…」

リザも私と同じ推測を立てていたようだった。

『それとこっちは悪い知らせなんだけど地上の方で多数のサベージ出現反応が確認されたそうよ』

「!それは不味いですわね…」

此処が異世界である以上下手な行動には打って出る訳にはいかない。。

だがこの世界の人間がサベージに対抗可能な技術を持ち得ているとは確信も出来ない。

『決断するのはあなたよクレア』

「私は…ええ…そうですわよねリザ。

何を迷う必要があるものですか!」

一瞬迷いを生じてしまっていた私はリザに諭され全体放送を入れる。

「『選抜隊の皆さん並びにその他武芸者に告げます。

逃亡したセリヴィア・ノートルダムパウロ元三世教皇の行方は未だ掴めてはおりません。

ですが地上のリトルガーデンは多数のサベージ出現を確認し現在交戦中との事です!

ですので急遽地球への救援部隊を編制。

此処ルナベースの皆さんには久方振りの地上になりますがご協力頂ける事を感謝致します!

それと如月ハヤト、霧島サクラ両名に対しお知らせしたい事があります。

至急私の部屋に来る様に!』」

 

Sideハヤト

「クレア会長、一体俺達に何の用なんだろ?」

「さあ?…」

会長に呼ばれた俺と恋人のサクラは会長の部屋へ向かう。

しかし、未だサクラの表情は優れていなかった。

アイドル活動のパートナーを組んでいた俺の妹であるカレンが戦友のイチカと一緒に時空の亀裂に巻き込まれて行方不明になってしまってからずっとこの調子だ。

「来ましたわね」

「会長、俺達に話があるって…」

「ええ、そうですわ。

お二人には一刻も早く伝えるべきと思いましたので。

リザがこの世界の地上から剣崎イチカと如月カレン両名のエナジー反応があったと観測したのですわ!」

「!…」

「そ、それは本当ですか!?」

「ええ、間違い無い筈ですわ」

会長からの吉報を聞いた俺は驚き、サクラは途端に明るくなっていた。

「ですが今はサベージ駆逐の方が最優先です!」

「分かっています!行こうサクラ!」

「ええ!」

俺達は出撃準備に向かいにいった。

 

その頃、Side美月

「もうあの二人は!…」

無断出撃してしまった箒姉さんと秋彦君を一足先に追っていた私はぼやく。

そして二人と交戦状態に入っている件の銀の福音と接敵する後少しの所である物体が目に入った。

「あれは!…確かサベージとかいう化物!?なんでこんな所に…それにあれは船が三隻も!?…」

海上にクラス対抗戦の時に乱入してきた化物と取り残されている漁業船の姿が目に入り私は驚く。

「このままじゃ無関係の人達が危ない!」

私は桜陽朱雀のブースターを全開で吹かして福音二人へと接近し警告した。

「箒姉さん、秋彦君そこから離れて!」

「私に指図するな!美月」

「そうだ!俺達で福音を倒してやるんだよ!」

すぐそこまで化物の砲撃が迫っているというのに二人は全く耳を借してはくれず福音を墜とすのに躍起になってしまっているばかりであった。

「いけない!」

私は矢を放とうと弓を構えようとした。

すると砲撃を放とうとしていた化物が突如、ブーメランの様に飛来してきた大きな剣によって数匹斬られていた。

「!?」

「間に合ったんじゃねえの?」

私の前には先程の剣を投擲したのであろう黒いISスーツの様な物を着た黒短髪褐色ツインテールの少女がいた。

「オイそこのお前!」

「な、何かな?」

「上で戦っている馬鹿達を止めに来たんだろ?なら下の化物共と民間人の救助はアタシらに任せて連中を早く止めろ!」

「う、うん!…」

少女にそう言われた私は訳が分からないまま二人を止める為福音との間に矢を放った。

「何しやがる美月!」

「それはこっちの台詞よ!

秋彦君達こそ何してんの!?下にはまだ取り残されている民間人がいるのよ!」

「それがどうしたってんだよ?どうせ犯罪者の密漁船だろうからほっといたって別に良いだろうがよ!」

「貴方ねえ!」

私は秋彦の言葉に心底怒りを感じる。

いくら犯罪者の漁船だといえ人命を疎かにして良いなんて筈がないのだ。

「ああもう!仕方無い!…」

私は二人を止める為強行作戦に出る。

再び福音と秋彦の間に矢を放ち彼がそれを防ぐが…。

「テメ…また何しやがる!?」

「秋彦!前だ!」

『RuruLa!…』

「んなっ!?…」

私にはもうこれしか無謀な二人を止めて撤退可能にさせられる方法が思いつかなかった。

私の放った矢のエネルギーの余波で煙幕が出来、その隙に福音が秋彦に距離を詰め必殺の一撃を放っていた。

そう、福音に彼を攻撃させ彼等の戦意を削ぐしかなかった。

「かっ!?……」

今迄零落白夜を無駄撃ちしていたせいか今の福音の一撃を喰らってSEがエンプティーとなり秋彦の白式は強制解除され海に落ちていった。

「秋彦ー!美月、貴様一体何を!?…」

バシュ!

私は落ちていった秋彦を見て思いっ切り狼狽していた箒姉さんの足下スレスレに矢を放ってやった。

「まだ状況が分かってないの?!

下を見てみなさいな!」

「下?下には確か密漁船が…!?…」

ようやく箒姉さんにも今の状況が把握出来たらしく驚愕していた。

あの褐色少女が化物を抑えに駆け付けてくれていなければ民間人は愚か私達もどうなっていたかは想像がつかない。

「無断出撃の挙句に人命を疎かにして尚の戦闘行為…この件はキッチリと織斑先生に報告させて貰うから」

「…」

茫然と立ち尽くす箒姉さんと海に落ちた秋彦を回収し私は撤退した。

 

Sideナクリー

「上の奴等は未確認含め撤退していったな…じゃあやらせてもらうよ!」

一足先に地上へと降下しサベージの鎮圧に乗り出したアタシは足手まといの撤退を確認したので引き続き奴等を抑えながら民間人の救助にも乗り出していた。

「ナクリー大丈夫か?!」

「おまたせ…でもあんまり無茶はしないで…」

「ああ、なんとかな。

ネサ姉もごめんな」

ようやくクロ兄とネサ姉も救援に駆け付けてきたようだ。

「しっかし此奴等の動き…なんだかおかしくねえか?」

サベージの動きに違和感を感じていた私は疑問を口にする。

「ああ、まるで何かに操られている様な動きをしているな…」

「同感…」

かつてアタシ達、オルフレッド姉弟妹を言葉巧みに誘い自らの復讐の道具にしようとしたヴィタリーの事を思い出してしまった。

だがアイツがやっていたのは自身が開発した人工型サベージだけの筈…他の天然のサベージの操りに成功したとかは聞いた事がない。

「この世界の何処かでアイツの名を騙った誰かがいるっていうのか!?…」

「もしそうだとしたなら放ってはおけないな!」

「うん…」

最終的には裏切られたとはいえ唯一のアタシ達の育ての親だった彼女が望んではいない筈のこの状況を野放しにしておく訳にはいかない。

「『オルフレッド姉弟妹、聞こえているな?民間人の収容がたった今完了した!

これよりリトルガーデンのエナジー主砲を奴等に撃ち込む!

早急に射程域から離脱してくれ!』」

「「「分かった!…/OKだ!」」」

副会長殿の伝達を聞いてアタシ達はリトルガーデンへと帰還した。

「最大出力、撃ー!」

ナクリー達が帰還して数秒後に主砲が撃ち放たれサベージを約半数を飲み込んでいった。

「入電!主砲、サベージ半数を消滅を確認!

残存しているサベージは撤退を始めたとの事です」

「ならまずは早急にこの海域を離脱し収容した民間人を送り届ける!

その後は残りのルナベース組との合流を待ちながら各員、体制を立て直せ!以上!」

「はっ!」

サベージの消滅・撤退を確認したリトルガーデンは民間人を送り届ける為航行を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 




美月達のピンチに駆け付けたのは地上リトルガーデン組と一早く宇宙から降下してきたオルフレッド姉弟妹でした。
まだ新刊が出ていないのでセリヴィアが逃げたのはオリジナル展開ということで。
次回、自らの愚かさが引き寄せた傷のおかげで昏睡状態に陥った秋彦を欠いたままIS組は福音へ挑まんとする。
だが福音は突如のセカンドシフトを果たしその乱戦の中へ介入する謎の勢力とサベージ。
一方、IS世界への思わぬ来訪を果たしたハヤト達一向はそれぞれの戦いへと歩を進める。
「臨海学校と陰謀PARTⅤ」
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