インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
推奨BGM「DAYS」
Side春季
「イチカ兄さん!俺だ、春季だ!正気に戻ってくれ!」
「ウグル!…」
乱入者に対してどうしてか正気を失い今も尚人とは思えない叫び声を上げながら暴れるイチカ兄さんを止める為に俺は単身踏み込んでいった。
「あひゃひゃ!面白くなってきたじゃないか!」
「お前が!…」
この状況を一人楽しんでいる乱入者の男に対して俺は叫ぶ。
「おー怖い怖い。
ほいバイなら!」
「クッ!?…」
男に対する怒りのせいで判断が鈍り彼が次々に繰り出してくる不可視の攻撃に対して反応が遅れてしまう。
その上…
「グルルー!!」
「ガッ!?…」
背後から暴走状態のイチカ兄さんの攻撃も喰らってしまう。
落ち着け!…まずは!
「第一の型<気脈流一鉄鋼>!」
奥義で不可視の攻撃の流れを読み取り対応を試みる。
「!…そこだ!第四の型<片速円舞脚>!」
「ぐぼほっ!?」
気配を感じ取る事に成功した俺は既にコールさせていた雷閃双武脚の回転キックを乱入者に叩き込んだ。
見事に男の腹にヒットし吹っ飛んでいく。
「や、やりやがりますねえー!俺の不可視の連撃<ハイパージャミングカッティング>を見破ったのはテメエが三人目かあ!」
があまり効いていないようで男はすぐに態勢を立て直して再び此方へと向かってくる。
「第参の!…!?…」
「甘ェーイ!」
すぐに鳳凰裂突破で対応を試みるも奥義を発動する前に男のダガーの動きが急に早まり喰らってしまう。
「ゴフゥッ!?…」
非常に不味い!…雷砲血神のカートリッジも残り後一個だ…これでは鳳凰打羽陣は撃てずに白鳳閃百撃が後一回撃てるだけだ。
こうなったら後は一つの可能性に賭けてみる他無い!…
Sideカレン
「あ…」
その強大なヴァリアントの力を暴走させてしまったイチカさんをなんとか止めようと必死に歌おうとするものの何故か声が出ない…それに奇跡の聖符も答えてくれない。
一体どうして?…。
「わ、私は…」
私は彼の知らなかった一面に何処か心の奥で恐怖しているの?…
まるでそうだとしか言いようがない。
今は春季さんが必死にイチカさんを止めようと頑張ってくれているけれど、乱入者のギリウスと福音の相手もしていて今にもジリ貧だと私にも分かり、いつまで彼等を抑えていられるか分からない。
だけど…
「ボーッとしている『リトルガーデンの小さな魔女』見っけ!
歌われると凄ッーく面倒だから今すぐバイなら!」
「キャッ!?…」
私の危険性を把握しているギリウスが春季さんを吹き飛ばし此方に向かってきてダガーを投擲してきた。
歌えない失意に囚われてしまっていた私はそれを喰らってしまう。
「させないよギリウス!」
更に投擲されたダガーが向かってくる。
だがこれを弾いた者がいた。
「これはこれは…裏切り者の名無しちゃんじゃあっりませんかあ~!」
そうイツカさんだった。
Sideイツカ
「今のアタシは名無しなんかじゃねえ!
イツカ・アランシュだ!」
アタシは元上司であったギリウスの突如の乱入に驚きはしたもののすぐに構える。
「アイツ等の事はアタシに任せてアンタは早く下がりな!」
「で、でも私は!…」
「でもじゃない!
大体さ、今の状態のアンタ見てたら危なっかしくてとてもじゃないけど戦わせられねえよ!」
「わ、分かりました…」
アタシの話に如月さんは反論してくるもすぐに論破する。
これで聞かなかったら一発ドついてやろうかとも考えていたが彼女はすぐに素直に下がってくれた。
「お友達ごっこは終わりかい?
いやまだ終わっていないよねーじゃじゃん!」
「んなっ!?…お前は!?…」
ギリウスの奴が意味深な言葉を言ったかと思うと彼の背後からある人物が現れていた。
「そんなどうして!?…なんでそこにお前がいるんだよ!?…」
「…」
それはアタシの親友であの日からずっと行方不明になっていたアヴリル・ロースコットその人だった。
だが当の彼女の瞳には光が無く、無言のまま此方を見ていた。
「ギリウス、テメエ!アヴリルに何しやがった!?」
「何、簡単な事さっ!
彼女には才覚が眠っていた。
だから俺が里親の下から彼女を誘拐し俺の実験台になって目覚めてもらったっての事だけよ!」
「なんだと?…」
ギリウスが驚愕の事実を告げアタシは思わず怒りに飲まれそうになる。
だがそれでは暴走しちまっているイチカの二の舞になっちまう。
「『百武装展開』…」
「あ、アヴリル…」
「行動開始…」
一方のアヴリルは生気を抜かれた様な声で妙な武装を纏いアタシに襲いかかってくる。
反応がギリギリだったアタシはなんとか防ごうとするが掠ってしまう。
「くぅっ!?…やりやがったなアヴリル!
今お前の目を覚まさせてやる!」
冷静に対応を試みるが…
「…エアスト…」
「んなっ!?」
アヴリルが武装を突然解いたかと思うと大きなコンドルが現れアタシに向かってきたのだ。
「なんだコイツ!?…」
「クピィー!」
「ウッ!?…」
アタシがコンドルの出現に驚いているとソイツはその大きな鉄の翼を羽ばたかせ強風を発生させてくる。
そして羽根の弾丸を飛ばしてきた。
「かっ!?…」
羽根の弾丸を飛ばし終えたコンドルはアヴリルの下へと戻っていったかと思うと姿を消し彼女は再び武装を纏っていた。
「成程な…生物型も兼ね備えている訳ってか…」
こいつぁ…流石に万事休すって所か…。
Side鈴
「春季さん、アランシュさんもほぼボロボロの状態…それにもう一人の乱入者!?」
「イチカもあんな状態だしそれにセカンドシフトしてしまった福音も未だ健在…
撤退を考えた方が良いかもしれないわね…」
私は今迄の戦況を分析して冷静な判断をする。
「そんな!?彼等を置いて撤退だなんて!…」
「私だってしたくないわよ!
でも機体のSEも皆ジリ貧だしこのままじゃ!…」
異を唱えるシャルロットの叫びに私は声を振り絞って言う。
「鈴の言う通りだ…このままでは兄上達は愚か、全滅も免れん!…
幸いあの化物共の姿は現在確認されていない。
撤退するならば今の内しかないだろう」
「でも!…」
ラウラが賛同した事でそれぞれ撤退準備に入る中、一人音六ちゃんだけがどこか様子がおかしかった。
「音六ちゃん?…」
「行かなきゃ!…」
「ちょっと!?…」
音六ちゃんはどうしてか静止を呼びかける間も無くそのまま春季達が戦っている領域へ向かって飛び出して行ってしまったのだ。
だが彼女がどうしてその様な行動を取ったのかほんの数十秒後に判明する事になる。
Side春季
「やるしかないか!…」
俺は残る力でイチカ兄さんと福音になんとかダメージを与える為に決心する。
「イチカ兄さん!我慢してくれよ…第参の型<白鳳閃百撃>!そっこだあー!」
丁度福音とイチカ兄さんの位置が重なった所を狙い拳の連撃を叩き込んだ。
「グッ!?…」
「LaLa!?」
イチカ兄さんの動きは大分鈍るが福音にはやはりダメージ不足が祟り一瞬怯んだだけだった。
だがその様子を確認した直後だった。
グサリッ!
「え?…」
「グ?…」
「La!?……」
そんな鈍い音が響いてきた直後、福音のハイパーセンサーの輝きが突然失われたかと思うと俺とイチカ兄さんの腹部から大量の血が流れていた。
次回、福音毎滅多刺しにされてしまった春季達は海へと沈んでいってしまう。
その惨劇を目の当たりにした鈴達は急いで彼等を助けようと試みる。
一方、彼等を刺した犯人は…。
「臨海学校と陰謀PARTⅧ」