インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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体がいくつあっても足りんものなのだだな創作意欲というものはー!



EPⅤⅩⅡ「帰還、そしてそれぞれの想いと記憶PARTⅡ」

Sideイチカ

刀奈会長の急な全校放送によって食堂へと召集をかけられた俺達。

だが強制奉仕作業でいない筈の愚兄もいる。

物凄く嫌な予感しかしないんだが…

「皆集まってくれたわね!どうして全校生徒に召集をかけたのか疑問に思うでしょうがそれは他でもないわ!

当事者である剣崎君達はもう分かっているだろうし、そうでない他の組の生徒諸君は先生方の噂を各々聞いている筈!」

「ええ!?あの噂って本当だったの!?」

「い!?…」

刀奈会長の演説を聞き事情を知らないアヴリル嬢以外驚く皆、そしてまさか既に全校生徒に広まっているとは思わなかったのか青ざめた表情で固まる愚兄。

「そこの織斑秋彦君に対する理事長が下した処罰に皆さんは納得されていない事でしょう」

「!そうよ可笑しいわ!」

「いくら貴重な男性IS操縦者だからって…」

続け様の演説に皆口々に言い合う。

「あ~…皆落ち着きなさいな。

でもこれには一つの理由があったのよ」

「「一つの理由?」」

会長の言葉に皆は疑問を感じる。

「勿論事件の事もあるけどそれに加えてこれだけはどうしても私は許せないって思える事案が判明したからなの」

「!?」

「!…」

やはり会長は俺達姉兄弟の真実に辿り着いたようだ。

「待ちなさい!逃がさないで!」

「何ッ!うわ!?…」

「逃がさないよ~!」

不味いと本能が感じたのかその場からそろー…と逃げ出そうとする愚兄だったが会長の指示を受けたのほほんさんが彼を即座に捕まえて拘束した。

「んん!話を続けるわね。

そこの秋彦君は弟である春季君、そしてもう一人の弟に対して酷い苛めを先導していたのよ!

それも十三年にも渡るね…」

「あの、会長さん春季君は勿論だけど、それは織斑先生にもう一人弟がいたって本当ですか?」

「ええ本当よ…それは本人の口から聞いた方が良いかもね」

「…更識会長、それは本当です…」

「箒!?」

「私も幼い頃、秋彦と一緒になって美月の事を苛めていましたから…」

「姉さん…」

生徒の疑問に答えるかの様に箒がそう告げ、箒の裏切りに唖然とした表情で見上げる愚兄。

彼の中では箒が自分の身可愛さに自身を売ったと思っているであろうがそれは大きな間違いである。

彼女は愚兄が持つ真実にようやく気が付かされたのだから…これから変わろうとする者を否定する気は無い。

「詳しい事は直接本人に聞いてみた方が良いかもね」

「…」

そう言いながら会長は俺へと視線を向ける。

「「は!?…」」

皆は何故この話で会長が俺へ視線を向けたのか疑問に思いポカンとなる。

勿論俺の正体を知るカレンや鈴、美月、ラウラを除いて。

「あはは…皆には隠していたけど俺の本当の名は織斑一夏。

本来は織斑家の次男だ。まあ二年前に俺の存在はなかった事にされたがな…」

「「ええ!?」」

俺が自身の正体を明かすと皆驚く。

「イチカあんた…」

「イーくんはいーくんだったて事?…」

「そうみたい…」

心配そうな反応を見せる鈴と天然ぶりを発揮し疑問を感じるセラフィーノ、彼女の疑問に頷くシャル達。

「なっ!?…テメエがあの一夏だと!?馬鹿な!?…」

「ああそうだ…」

「これは紛れも無い事実よ」

ようやく俺だという事が分かり驚愕する愚兄。

「嘘だ!テメエ如きが俺に迫る奴などと…」

「はあー…春にも言われたのに貴様はまだ理解していないようだな」

「なんだと?」

「「他人を一括りにするんじゃない」まあ過ちも正そうとせずに己の事しか未だ顧みない貴様では一生理解しろという方が無理なようだがな」

コイツの思考はもう分かりきっているから言葉をぶつけた。

「俺は二年前のあの日から新たな家族とも呼べ、師とも呼べ、又はかげかえのない大切な戦友達に出会って強く成長出来たんだ。

だからこそ貴様は俺の正体に今迄気が付けなかった…これで本当に終われる…織斑秋彦いや愚兄、貴様はこれからおとなしく法の裁きを受けるんだな!」

「なっ!?どういう事だそれは!?…」

「そのままの意味だ」

「秋彦君、貴方がかつて先導し春季君、美月ちゃん、一夏君に行っていた苛めはとても卑怯で到底許せるものではないわ!

確たる証拠や裏付けも確実に揃えてそのコピーを既に織斑先生に渡しておいたから言い逃れなんかもさせないわよ!」

「なっ!?…」

まさか姉も既に自身の味方ではなくなっていた事に絶望の表情を浮かべる愚兄。

「秋彦ちょっとこっちに来るんだ…」

「ち、ちふ…じゃなかった織斑先生これにはだな…」

「早く来い!」

「は、はいいい!…」

織斑先生に睨まれながらも未だ見苦しい言い訳をしようとした愚兄だったが彼女の一喝に怯み連れていかれた。

「えっと剣崎君?それとも織斑君?」

「ああ、それなら今迄通り剣崎名で呼んで欲しいかな」

「分かった!ゴメンなさい私達噂に振り回されていたようで…」

「いいよ…」

あの馬鹿がバラまいていた俺と春に対する黒い噂は今では何の効力もなくなった。

 

「何から何までありがとうございました刀奈会長」

「良いって事よ!これは私が勝手にやっただけの事だからね」

「ですが大変でしたでしょう?」

「それもそうね。

一応二年前の誘拐事件の対応に対する汚点を政府の馬鹿共に突き付けておいて正解だったわね」

「おおう…」

女利権が未だ本来の姿に戻っていなければそれも織斑千冬の弟という事でまだ庇おうとする馬鹿がいたら難しかったであろう。

俺達の為に方々を駆けずり回ったであろう刀奈会長に礼を言った。

「それに秋彦君には私も個人的に怒りをぶつけたかったからねえ!」

「ああ、簪の機体の事やタッグマッチのペア分けの時の事ですか…」

「まあ、秋彦君はこれからずっとIS学園の処分と同時に二十四時間監視・今迄の罪に対する処分が加わった上織斑先生にも知られたのだからもう表の世界を堂々と歩けなくなる事は確実よね」

「あはは…そういえば白式はどうなるんです?」

愚兄は専用機剥奪・代表候補生からの除名処分も受けたようで肝心の残された白式の処遇は一体どうなるのか疑問を感じていた。

「それならセカンドシフトのデータだけ取って新たな機体に生まれ変わらせる計画が始動されたらしいわ」

「そうか」

「それはよかった…」

白式がもしもこのまま解体・凍結処分なんて受けていたらどうしようかと思った。

白式…ハクナ自身に罪は全く以て無いのだから。

セラフィーノもハクナが感謝していたと告げた。

「それで…春季君の容態は?…」

「…傷はいくらか治っていますが未だ意識が戻らないそうです…」

「そう…後は彼の回復を祈るだけね…」

「ええ…」

俺が正直に告げると彼女達は春の回復を祈っていた。

 

その頃、Side千冬

「さて、何か申し聞きはあるか秋彦?…」

「ち、織斑先生俺はその…だな…」

更識から突然渡された情報の中で今迄一夏や春季、篠ノ之の末妹に秋彦が行わせ、又自らも苛めに加わっていたという重い事実を受け止めた私は秋彦に対し対話していた。

一方の秋彦はまだ言い逃れしようと思っているのか定かではないがかなり狼狽していた。

「…これも私のせいであるという訳か!…」

今の今迄家族という名の繋がりだけしか見てこなかったという私自身が犯してしまった過ちが秋彦をここまで歪ませ、又一夏が一時私の元から離別し、関係をバラバラにしてしまうという事態を引き起こしてしまった事を改めて自覚した。

「とにかくだ。秋彦、お前をもうISに触れさせる事もまともな人生を歩ませる事も出来んぞ」

「そんな馬鹿な!?…」

秋彦は千冬にそう諭され絶望するばかりか理不尽な不満を募らせていた。

確かに千冬は常に強くあろうとした。

だがそれは両親が蒸発し残された大切な家族を守る為に必死になったからだ。

対する秋彦はそれが強者の務めといわんばかりに自己中心的な価値観を他者に押し付け屈服させた上で己の存在を際立たせる事しか考えていないだけに過ぎない。

そう、全てが彼自身の愚行が招いたという結果になっただけだ。

まあそんな彼では千冬の本意に気が付く事は一生ないだろう。

「俺は…俺はー!(剣崎イチカ!いや、織斑一夏、そして春季!俺をよくもここまでコケにしたテメエ等を決して許さない!…)」

「秋彦!すまない!…」

「ゴフッ!?…」

秋彦はわざと罪に対する狂乱を思わせ、裏ではまた静かによからぬ事を思案していた。

勿論今の千冬には演技だと見破られる可能性もあったがやはり血の繋がった家族だからか一発顔を殴られただけであった。

「話はもう終わりだ…奉仕作業に戻れ!私がついていくからな」

「は、はいいいー!(後はこの面倒臭い作業や監視の目からどう逃げるかだな…)」

 

Sideハクナ

「……」

「『…』」

私は私の元マスターが傷付けてしまった残る一人を回復させる為にコアネットワークを駆使して、ママと共に彼の治癒を試みていた。

「?…」

「『あ…』」

それが功を成しようやく彼の意識を目覚めさせる事に成功した。

だが私はその時気が付けなかった。

彼にとっても重大な欠陥が発現していた事に…

 

翌々日、Sideイチカ

「なんだって?春の意識が戻った?」

「え、本当ですか!?篠ノ之博士」

「『本当だよー!回復にはまだまだ時間がかかると予想していたんだけど昨日の夕方はっくんの意識が回復していたんだよ!』」

「よかった!…」

セラフィーノも吉報を聞いて嬉しそうになっていた。

「なら今すぐ春の見舞いに行かせて頂きますね!」

「『あ!ちょ…ちょっと皆そんなに慌てなくても…』」

俺は束さんの一瞬の間が気になったがその時は特に気にする事無く春の見舞いに向かった。

それがあんな事になっていようとは…。

「春!大丈夫だったか!?」

「え?…一夏兄さん僕は大丈夫だよ?」

「ん!?…」

病棟を訪れた俺達の労いに春は返答する。

だが俺は春が俺を呼ぶニュアンスと一人称に違和感を感じた。

「はーくん本当によかった!…」

「…」

「「春?/はーくん?」」

俺とセラフィーノは春の様子が可笑しい事にに首を傾げる。

「えっと…君は誰?…」

「え?…」

「まあ!?」

「あの春季?一体何の冗談?

面白くないわよ?」

「は!?…」

春が発した一言に皆驚くが更に彼の次の一言に戦慄する。

「えっと…本当に貴方達は誰なんですか?」

なんて事だ…。

 

 




次回、怪我の後遺症で小学二年生以降の記憶、旧友である鈴、そしてIS学園のクラスメイト達との思い出、己が師との特訓の日々、そして一番大切である筈の音六らセラフィーノファミリーとの記憶迄をも失ってしまった春季。
そんな彼の記憶をなんとか取り戻そうと各々奮闘するが…。
一方、未だ反省の色を見せず理不尽な悪意を蓄積しまたよからぬ事を秋彦は企んでいた。
「帰還、そしてそれぞれの想いと記憶PARTⅢ」

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