インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Sideミドウ
「糞ッ!…」
大切な仲間達を一挙に失ってしまった俺は何故彼女達があんな死に方をしなければならなかったのか原因を探っていた。
ガタッ!
「爺!戻ったか!…爺!?…」
調査を頼んだ姉さんの専属執事が戻ってきたのが分かり俺は駆け寄った。
だが彼の様子が可笑しかった。
「ぼ、坊っちゃま!…」
「一体何が!?」
歴戦の戦士でもあった爺が傷だらけになって帰ってきたのだ。
「は、早くこの国からお逃げ下さい!…でないと!…」
「で、出来ない!…母さん達が愛したガルフストアを捨てて逃げるなど!…」
「で、ですが!…」
「爺、しっかりしてくれ!」
「坊っちゃま、よくお聞き下さい!…ガルフストア国皇陛下と女皇陛下両名が何者かに暗殺…ぐふっ!?…」
「なっ!?…おい爺!爺ィー!」
爺から衝撃的な最後の言葉が紡がれ俺は悲しみに暮れながら驚愕した。
母さん達が暗殺されただって!?
まさか姉さん達を殺したのも!…
「絶対に許さん!…」
俺は復讐の大火に燃えた。
爺が死守してくれていた調査報告書を手に俺は国中にいる不敬な輩を始末する為駆け回った。
そして遂に俺はこの国の闇を本格的に知る事となった。
「フフフ…これで儂等は安泰じゃな!」
「アンタだったのか!…」
「む?おお!愛する甥よ!何用かな?」
「恍けるな!」
白々しく愛するとかほざく叔父、ゲラン・ガルフストア。
「…何の事かな?」
「戯言は時間の無駄だ!
お前の所業の全ては分かっている!
逃げようだなんて思うな!」
「…貴重なヴァリアントだからと生かしておいたがこうも早く発覚されるとはな」
「ゲラン!…一体何をしたか分かっているのか?!」
開き直った叔父に俺は怒りをぶつけた。
此奴はあのヴィタリー・トゥイニャーノフの一派を語る腐った科学者共と結託し武芸者の人件費削減とサベージ殲滅を図ろうとある物を開発させていた。
それは何処からか購入し隠し持っていた戦略核に濃縮したセンスエナジーを配合させた爆弾だった。
我が国は元々戦争国家などではなく核がもたらされていただけでも問題なのにそれに配合されたセンスエナジーにも問題があった。
ヴァリアントウィルスを一切処理せずに配合していたのだ。
人件費削減…最初から金のかかる一般武芸者をも一緒に処理する目的でこの男は開発させていたのだ。
核物質と混合したヴァリアントウィルスが爆発的にその質量を増やした爆弾は開発に成功してしまい撃ち放たれあの悲劇をもたらしたのだ。
そして、その混乱に乗じて母さん達も暗殺されてしまった。
王位はまだ若い俺ではなく継承権が過去に起こした事件で既に剥奪されていた筈の汚い叔父の手に見事に渡ってしまった。
只それだけの為に大切な人達が殺されたのだ。
言ってしまえば俺はヴァリアントだったから生き長らえただけに過ぎなかった。
「ふむ、だがたとえそこまで分かっていても果たして儂を殺せるかな?」
「俺は貴様を一度も叔父だなんて思った事など無い!
そして貴様などに皇国を渡す訳にはいかない!」
既に展開した死神の鎌を構え奴の首を狙おうとしたが
「儂一人だけでいる事に疑問は持たなかったのかね?」
「何ッ!?こ、これは!?…」
ゲランが何かのボタンを押した途端、俺の体は痺れを感じた。
センスエナジーに反応し阻害する超音波だと!?…此奴こんな物まで!…
ま、不味い!…
「安心しろお前はとても貴重なサンプル体なのだからな。
後で研究所に送り届けてやるとしよう」
「ふざけるな!この糞がぁっ!?……」
俺はあまりの苦痛に意識が暗転してしまった。
「ようやく気絶したか…これで…」
「ゲラン覚悟!」
「何ッ!?……」
一安心したゲランだったが突然姿を現した謎の人物に首を撥ねられ絶命した。
ゲランは武芸者の襲撃ばかりを気にしていた為それ以外が疎かになっていた為か簡単に討ち取られたのだった。