インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Sideミドウ
「…ハッ!?俺は…」
「おお!お目覚めですか皇子!」
「お前達は…」
俺が目を覚ますと皇族直属精鋭騎士団の人達がいた。
「俺は確かゲランの奴を…」
「御安心下さい皇子!奴は我等の手で討ち取りました!」
「!そうか…」
そうかこの国もまだ完全に腐りきってはいなかったようだ。
俺の復讐は終わった…と思われたが次の一言で驚愕する。
「どうか気を落としにならないで話を聞いて下さい。
敵はゲランやヴィタリー一派だけではございません!
国を汚す輩はまだいます!」
「なんだと!?」
「ええ、アルフィード大佐だけでは調査しきれなかった部分がいくつかありまして…」
爺が調べきれなかった事だと?…
俺は騎士団の一人が差し出した報告書を読んだ。
「これは…本当なのか?」
「は、はい!間違いありません!
大佐の報告書と照らし合わせればお分かり頂ける筈です!」
「…」
一通り目を通した後、俺は再び怒りが湧いてきた。
これが事実であるなら前代未聞だ。
民を導くべき皇族の者でありながら全世界へ向けて戦争準備を始めているなどとは!
此奴が大元の姉さん達が死ぬ事にもなってしまった原因の張本人!
「ギリウス・クラウス・ウェンズ!…」
俺は奴を探しウェンズ皇国へと足を運んだ。
だが奴は既にリトルガーデン所属の二人のヴァリアント武芸者が奴の罪を看破しロウゴクに入れられていた事を知った。
今度こそ俺の復讐は終わりを告げたかと思われたその頃、皇派、武芸者と息を潜めていた反皇派、反武芸者団体による全面戦争が始められてしまっており俺が国へ帰還した時には既に騎士団達すらもが敗北し本当の意味でガルフストア皇国は壊滅してしまった…。
「---ッ!」
声にならない悲痛な叫びを上げて俺は突如発生した時空の亀裂に巻き込まれこの世界に迷い込んだ。
世界すらも失い、最早生きる希望を只ひたすら腐った国家を潰すという事に執念を燃やし国際的テロリストを名乗る亡国企業に内部スパイとして入り込んだ。
そこで初めて奴の姿を目にしたのだ。
そう、元の世界で投獄されている筈のギリウスがテロリストのトップにいた事だ。
奴は勿論反省の色など無く挙句最初は俺の正体がバレていなかった為か悠々と武勇伝の様に話しているのを見て憎悪に燃えた。
だが、ある時奴の闇討ちしようとした所、奴までもが俺の前に立ち塞がった。
そうあのノートルダムの教皇だった。
奴の不思議な力で俺の正体が遂にバレてしまい逆に追い詰められてしまった。
「糞がッ!?…」
命からがら奴等が保持していたヴァリアブルストーンやその他の物資をいくらか持ち出し逃亡生活に突入した。
世界を放浪している間、俺は異国へと流れ着いていた。
持ち出していた物資もとうに底を尽いてしまい俺は今にも倒れそうな状態になっていた。
「くっ!?…」
ついに俺は力尽きてしまい意識を失ってしまった。
「ちょっと!?アンタ大丈夫!?」
「大変!早く手当しなきゃ!」
失いかけたその時声が聞こえてきた。
なぜだかどこか懐かしさを感じる様な声だった。
~それからしばらく~
「…はっ!?此処は?…」
「ああ!?まだ起きちゃダメだよ!
体の状態が良くないってお医者さんが言ってたんだから!」
「!?…」
俺は目覚めてすぐとても驚いた。
「ね、ネール姉さん!?…」
「え?…」
「あ…」
死んでしまった筈の姉さんの姿が目に入ってきて思わず抱きよせそうになり踏み止まった。
少女の反応から察するに他人の空似のようだったから。
だがあまりにも似ている…。
「お前が助けてくれたのか?」
「ううん、私のお姉ちゃんと一緒にだよ」
「そ、そうかありがとう」
「あら、目が覚めたのねよかったわ!」
「!…」
件の姉であろう少女を見て俺はまた驚いた。
シャルティー…他人の空似と分かっていても思わず抱きしめそうになる。
「アンタ…何してるのよ?!」
ドン引きされていた。
「あ、いやすまん!…」
「もう!…そんなに元気あるんならもう大丈夫そうね」
「あ、ああ…」
治療とヴァリアントの自己治癒能力でほぼ体調が戻り問題は無かった。
「でもなんであんな所で倒れていたのよ?
あそこはつい先日絶対天敵<イマージス・オリージス>が襲撃してきた地点よ?」
「イマージス・オリジス?」
「知らないの?」
「あ、ああ…」
サベージのこの世界での呼び名か?
だが対抗出来る術は俺や奴等以外は持ち合わせていない筈だ。
それにエナジーの残留も感じられなかった。
これから察するにサベージとは違う異種生命体の可能性か。
絶対天敵の事を教えて貰い、俺は彼女達コメット姉妹の家でしばらく居候させてもらう事にした。
それから数日が経ち
ビー!
「!絶対天敵の襲撃警報!いくわよオニール!」
「うん!
ミドウお兄ちゃんは此処にいてね」
「ああ…」
嫌違う!…この感じはそれだけじゃない!
「百武装展開!」
俺は彼女達が出撃ったのを見計らい飛び出した。
少し経った頃、Sideコメット姉妹
「クッ!?何よ此奴!ショットガンが全然効かない!」
「だったらブレードでいこう!」
「ええ!」
「せやあ!」
襲撃してきた絶対天敵を討伐し終えた瞬間、何処かに潜んでいたもう一体の未確認の個体が襲ってきた。
「あう!?…」
「そ、そんな!?…」
今迄なら私達が一心同体で動かす専用IS「グローバル・メテオダウン」の武装が余裕で通じていたのに目の前の個体には通じていなかった。
「ならこれならどう?【ソング…」
「うくっ!?…」
「オニール!?な、体が急に!?…」
最大の武装を使おうとした瞬間、機体が不調をきたした。
それとほぼ同時にオニールと私の体の様子も可笑しくなった。
ISの機能が落ちているの?…
不味い!…このままじゃ!…
連続戦闘でSEの残量も祟り一時撤退に動く事すら出来ずにいた。
「くっ!…」
敵の一撃が私達に迫っており、目を閉じそうになったその時だった。
ザシュ!
「サベージ!もうお前達などに奪わせなどしない!」
「み、ミドウお兄ちゃん!?」
「アンタなんで!?…」
助けた青年、ミドウが敵の体を大鎌でいとも簡単に斬り裂きながらそう呟いていた。
Sideミドウ 推奨戦闘BGM「追憶のスカーレット」
「ふっ!」
現れたサベージは珍しい女王大型のサベージだった。
斬り裂いた体の中から大量の通常型が這い出てくる。
だがその程度今の俺には屁でもない!
「うおおおおー!」
俺は不思議と体の軽さを感じていた。
「はあっ!」
新たに見つけた復讐以外の希望を胸に俺は強くなったのだ。
「これで終わりだ!」
サベージのコアを的確に砕き討伐を終えた。
「あ、アンタって一体?…」
「分かっているさ…話すよ」
その後、俺は彼女達に自身の素性全てを明かした。
事を語り終えるとオニールが姉さんの様に優しく抱きしめてくれたのだ。
それにファニールは驚きながらもまた手を差し伸べてくれたのだった。
Sideイチカ
「そういう訳があったのか…」
「そうだ」
「そんな酷い!…」
彼の話を聞き、エリカ副会長の調査にも間違いが無い事を確認した俺達は知らなかったギリウスの所業に怒りを燃やしていた。
それと同時にオルコットのブルー・ティアーズの人格コアが元教皇の手で脱獄し人工ヴァリアントの力を得た元愚兄の力によって奪われた事を春から聞き又怒りを燃やした。