Double Commanders In Chief. 作:一人っ子
『呼び出し用のマイクをお借りしても?』
『…』
『返答無き場合は許可を得たものと了解しますがよろしいですね?』
口調こそ確認を取ろうとしているが、返答など来るはずがないのは承知の上。
15分程前に突然やって来た3人の男を前にその鎮守府の提督は、場の主導権をあっさり奪われていた。3人は戦争映画やゲームでしか見掛けないような装備品を身に付け全長の短いライフルを携行しており2人は目の前の応接ソファー、1人は出入り口の前に陣取っている、武器を手に出入り口を塞ぐ様に並ばれては彼の脱出経路は格子のついた窓しかない。法律上監禁に当たると警告した提督に対し1人が巻き舌で返答する
「おぅ、ワレこれ見てみぃや」
誰に物を言って居るのだと激昂する彼のデスクに1枚の写真が滑ってきた。目に入ったそれを確認し、絶句。
『マグショット』と呼ばれるその写真には顔が腫れ上がり歪んだ傷だらけの顔。原型をとどめているとはとても言えないが彼はその人物を知っている、首から名前や番号の記入されたプレートをぶら下げ身長を示す目盛り入りの壁紙をバックに前と、横から。
提督の上官に当たるこの人物と3日前にある要件で接触したばかり、写真の日付は2日前。接触翌日に逮捕されている。
「まだまだあんねんけど、とりあえず3枚程いっとく?」
終わった、警務隊と名乗った3人組の武器はライフルなどではなかった、私の人生そのものがこいつらの武器だった。
「おーい提督さん?聞こえてまっかぁ?」
あからさまに舐めきった関西弁が耳に障るが、身動き1つ出来ずに写真を凝視する彼の髪の毛が鷲巣かみにされ前を向かされた瞬間にこめかみに硬い衝撃、拳部分がカーボンで補強されたグローブがめり込んだ。
壁に激突して目を回す提督の前にウンコ座りした男が顔を覗き込むように下から首をかしげて、
「こっちの言う事聞きはりますかぁ?どないしまっかぁ?」
これのどこが警務隊か、タチの悪いチンピラじゃないかと反論しようとも思えなかった。全てを諦めたタイミングでチンピラが一瞬で消えた、
「もういい私が話す、貴様は黙っていろ」
違う声に顔を上げた先に別の男、警務隊長ですと名乗った男がチンピラは反対側の壁を後頭部で大きく破損させて動かなくなっていた。
「恐らく誤解を与えているでしょうが、我々は今回あなたを拘束しに来たのではありません」
目的が理解出来なくなってしまい、混乱する提督に1枚の紙切れが突き付けられた。
「司法取引のようなものだと考えてもらえば結構ですが、あなたの上官の余罪を証言しろと言うものではありません。そんなものは必要としていません」
続く言葉は予想外の物だった、
「こちらの指定した艦娘2名の身柄引き渡しを要求します、こちらに署名を」