シンクロ次元 ~戦慄~ 作:僕だ!
『決まったー!危なげも無く勝利を飾ったのは 『キング』ジャック・アトラース!! フレンドシップカップ優勝者であろうと キングの前では弱者であるということかー!?』
五月蠅いMCだが、コイツの言うことは事実だ。残念ながらな
俺が求めるものは フレンドシップカップ優勝者であろうと、持ち得ていなかったようだ
当然 他のフレンドシップカップ参加者も同じだ。『コモンズ』であろうと『トップス』であろうと、等しく足りていない
……ここで癇癪を起こそうとも、愚痴を言おうとも、何も変わらないことはわかっている
今は この退屈な大会を終わらせるために、形だけでも しっかりとしなければなるまい
そう思い、俺はスタジアムへとDホイール『ホイール・オブ・フォーチュン』を走らせる
その途中、ハイウェイの ずっと向こう…確か、あの辺りは海だったか?…そこに光の柱があがった
不思議には思ったが、特に何かがある訳でもなかった。遠くのことであって、気にすることでも無いということか……
ピーピーピーッ!
不意に警報音が鳴り響いた
それは 後方から第三者が接近してきたことを知らせる警報音。何事か確かめるため 画面に後方を映し出させた
それは とてつもないスピードで俺に迫って来ていた
画面に映し出させたそれは、あっという間に俺のDホイールと並び、並走しだした
見たことの無いフォルムだ。ひとつの大きなホイールから先方に伸びるように車体があり、それは 一見アンバランスながら洗練されたものだった
謎のDホイールに乗る者に目を向ける。ヘルメットにつけられたシールドで鼻から上は見えず 人相はよくわからない。そして、向こうはこちらに目を向けることも無く ただ並走を続けていた。追いかけてきたスピードを出せば、追い抜くこともできたはずだ
コイツはいったい何を……
だが、すぐに俺は気づいた
この先にハイウェイの分岐点がある。左にそれて スタジアムへ入る道と、そのまま真っ直ぐ進むとハイウェイコースだ
ヤツがいるのは 俺の左側。これは俺をスタジアムへと行かせない意思の表れだろう。つまり、これは…
……いいだろう!受けて立つ!!
「フィールド魔法《スピード・ワールド―ネオ》発動!」
デュエル モード オン オートパイロット スタンバイ
分岐点を通過し、そのままハイウェイへと入る。俺が速度をあげると 呼応するように ヤツも速度を上げてきた
言葉を交わさずともわかる。この先のカーブ、そこを先に曲がり切ったほうが先攻ということだ
「ライディングデュエル……」
「「アクセラレーション!!」」
『ホイール・オブ・フォーチュン』を加速させるが、ヤツも 後方やや左の位置で つかず離れずの距離のまま加速してくる
……わかる。今 ヤツは俺を観察している。俺の Dホイーラーとしての技量がいかほどかと 測っているのだ
「ならば 見せてやろう!」
速度を保ちながらカーブに突入する
…………そして、一度も減速させることも無く そのまま俺が先にカーブを曲がり切った
だが、驚くべきことに ヤツは相変わらずの位置取りで俺を追っていたのだ。まるで「この程度、俺にも出来る」と言わんばかりに 口端が僅かに上がって笑っているようにさえ見える
馬鹿にされたとは思っていない。ただ……
「面白い…そうこなくてはな! 先攻は俺だ」
―――――――――
『なんと『キング』が謎の乱入者とデュエルを開始するようです!』
五月蠅いハエが
●第1ターン
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○ジャック・アトラス LP 4000
VS
Dark glass LP 4000
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「俺は《レッド・スプリンター》を召喚!そして、自分フィールドに他のモンスターが存在しない場合に 召喚・特殊召喚に成功した《レッド・スプリンター》の効果を発動させる!自分の手札・墓地からレベル3以下の悪魔族チューナー1体を特殊召喚できる。手札から《レッド・リゾネーター》を特殊召喚!」
《レッド・スプリンター》星4 ATK/1700
《レッド・リゾネーター》星2 ATK/600
「さらに、《レッド・リゾネーター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動し、そのモンスターの攻撃力分だけ俺はLPを回復する。俺が選択するのは《レッド・スプリンター》!」
ジャック・アトラス LP 4000→5700
「レベル4《レッド・スプリンター》に、レベル2《レッド・リゾネーター》をチューニング! 赤き魂、ここに1つとなる。王者の雄叫びに震撼せよ!シンクロ召喚!現れろ、《レッド・ワイバーン》!」
《レッド・ワイバーン》星6 ATK/2400
「カードを1枚セットし、ターンエンドだ」
●第2ターン
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ジャック・アトラス LP 5700
手札:2 伏せ:1
《レッド・ワイバーン》星6 ATK/2400
VS
〇Dark glass LP4000
手札:5→6 伏せ:0
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「私のターン、ドロー!…相手フィールド上にのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる!《
《TGストライカー》星2 ATK/800
「さらに、レベル4以下のモンスターが特殊召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる!《TGワーウルフ》!」
《TGワーウルフ》星3 ATK/1200
「レベル3の《TGワーウルフ》に レベル2の《TGストライカー》をチューニング! リミッター解放、レベル5!レギュレーターオープン!スラスターウォームアップ、OK!アップリンク、オールクリアー! GO!シンクロ召喚! カモン《TGハイパー・ライブラリアン》!」
《TGハイパー・ライブラリアン》星5 ATK/2400
「続いて、手札から《TGカタパルト・ドラゴン》を通常召喚する」
《TGカタパルト・ドラゴン》星2 ATK/900
「《TGカタパルト・ドラゴン》の効果発動!手札からレベル3以下の「TG」チューナーモンスター1体を特殊召喚する。手札から レベル3チューナー《TGジェット・ファルコン》を特殊召喚!」
《TGジェット・ファルコン》星3 ATK/1400
「レベル2《TGカタパルト・ドラゴン》に レベル3《TGジェット・ファルコン》をチューニング! リミッター解放、レベル5!ブースターランチ、OK!インクリネイション、OK!グランドサポート、オールクリアー! GO!シンクロ召喚! カモン!
《TG ワンダー・マジシャン》!」
《TGワンダー・マジシャン》星5 ATK/1900
「《TGワンダー・マジシャン》および《TGハイパー・ライブラリアン》、さらに シンクロ素材となった《TGジェット・ファルコン》の効果発動! 《TGジェット・ファルコン》の効果で相手ライフに500ポイントのダメージを与える!《TGハイパー・ライブラリアン》の効果でデッキから1枚ドロー!《TGワンダー・マジシャン》の効果でフィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。選択するのは そのセットされたカード! 」
ジャック・アトラス LP 5700→5200
伏せ:1→0
…1ターンでシンクロモンスターを2体並べたか
だが、《レッド・ワイバーン》の攻撃力を超えるモンスターは出せなかったようだな。片方で相打ち狙いか、あるいはさっき引いたカードに打開策があるか……
「手札から 永続魔法《
《TGハイパー・ライブラリアン》 ATK/2400→3000
《TGワンダー・マジシャン》 ATK/1900→2500
「バトル! 《TGハイパー・ライブラリアン》で《レッド・ワイバーン》を攻撃!」
「《レッド・ワイバーン》の効果を発動する!このカードより攻撃力が高いモンスターがフィールドに存在する場合に発動可能、フィールドの攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する!」
2体のモンスターが《レッド・ワイバーン》の攻撃力を超えていようと、どちらか一方がフィールドを離れれば ヤツの永続魔法の効果が薄れ、《レッド・ワイバーン》に太刀打ちできなくなる
……少し期待をし過ぎたか?
そう思い ヤツに目を向けた。そして そこで俺は気づいた。…ヤツの口元がニヤリと笑みを浮かべていることに
「《TGハイパー・ライブラリアン》を選択し、速攻魔法 発動!《
「そうくるか……!」
《TGハイパー・ライブラリアン》 ATK/3000→1500
《TGワンダー・マジシャン》 ATK/2500→1900
『なっ!やけになったのか!?謎のDホイーラー、自分のモンスターを弱体化!さらに強化していた永続魔法まで破壊してしまった!!』
何をとぼけたことを言っているんだ、このMCは。ヤツの狙いは 自身のカードを破壊することではない
俺が目をやるのは《レッド・ワイバーン》
飛竜は己の炎に焼かれ、断末魔をあげ砕け散っていった
『いったい どういうことだ!?なんと キングのモンスターが破壊されてしまったー!?』
「バトルは続行している!《TGハイパー・ライブラリアン》、《TGワンダー・マジシャン》でプレイヤーにダイレクトアタック!!」
「《TGワンダー・マジシャン》の攻撃宣言時、手札から《レッド・ミラー》を墓地へ送り効果発動!自分の墓地の悪魔族・炎属性モンスター1体を対象として発動でき、そのモンスターを手札に加える。俺が選択するのは《レッド・リゾネーター》!」
ジャック・アトラス LP 5200→1800
「グウゥッ…!!」
「私はこれでターンエンドだ」
『ななな、なんと!?キングの場ががら空きになった上に ライフに大ダメージまで!?大変なことになってきたぞー!!』
騒がしい声を無視し 俺は後ろを走るDホイーラーに言葉を投げかける
「やってくれたな。まさか《レッド・ワイバーン》の効果を逆手にとってくるとはな」
「……一度発動した効果は、たとえ《レッド・ワイバーン》より攻撃力の高いモンスターが存在しなくなっても 止まらない。結果、最も攻撃力が高い《レッド・ワイバーン》が破壊される……違うか?」
「フン。その上、消費した手札は《TGハイパー・ライブラリアン》で補う算段はすでにある、か。つくづく くえない奴だな」
悪態を吐くが、俺は不思議と口元が緩んでしまう。さあ、ここからどうなるか……
●第3ターン
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〇ジャック・アトラス LP 1800
手札:2→3 伏せ:0
VS
Dark glass LP4000
手札:1 伏せ:0
《TGハイパー・ライブラリアン》 ATK/1500
《TGワンダー・マジシャン》 ATK/1900
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「俺のターン、ドロー!」
…!来たか
「俺は《レッド・リゾネーター》を通常召喚! さらに、「リゾネーター」モンスターの召喚に成功したことにより 手札から《レッド・ウルフ》を特殊召喚!ただし、この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は半分になる」
《レッド・リゾネーター》星2 ATK/600
《レッド・ウルフ》星6 ATK/1400→700
「レベル6の《レッド・ウルフ》に レベル2の《レッド・リゾネーター》をチューニング! 王者の咆哮、今天地を揺るがす。唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい!シンクロ召喚!荒ぶる魂《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!!」
《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》星8 ATK/3000
「シンクロモンスターのシンクロ召喚に成功したことで《TGハイパー・ライブラリアン》の効果発動!私はデッキから1枚ドローする!」
「こちらも効果を発動!《レッド・ミラー》が墓地に存在し、自分がシンクロ召喚に成功した時、墓地このカードを手札に加える!」
Dark glass 手札:1→2
ジャック・アトラス 手札:1→2
「《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の効果発動! このカード以外の、このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ特殊召喚された効果モンスターを全て破壊する!さらに その後、この効果で破壊したモンスターの数×500ポイントダメージを相手に与える!」
この効果で破壊されるのは ヤツのフィールドの2体。合計1000のダメージ……そして、攻撃力3000のレッド・デーモンズによるダイレクトアタックが残っている
さあ、伏せカードの無い状態で お前はしのぐことができるか?
「「アブソリュート・パワー・フレイム」!!…………!?」
効果の発動を宣言し、レッド・デーモンズの右腕に炎が纏いはじめた その時、ヤツのDホイールが急激に加速し 俺を追い抜いていった
デュエルにおいて、効果から物理的に逃げるなどということは不可能だ。いったい何を…
「見せてやろう。シンクロを超えたシンクロを……!」
そう言ったヤツは さらに加速し……
「アクセルシンクロ!!」
「消えた……だと…?」
遠くへ行き、見えなくなった などといものではない。まさに「消えた」という表現しかしようがなかった
何処へ消えたのか。それへの回答はそう経たずに現れた
「なっ、グゥゥ…!?」
突如、俺を襲ったのは 風のような大きな力
俺は見た。後方から俺のサイドをかすめるように飛び出した その風と共にヤツが現れるのを
そして、俺は気づいた。先程までいたモンスターたちとは別のモンスターが ヤツのフィールドにいることに
背中から伸びる 薄いブレードのような羽根、手には銃器を携えた その 機械めいた緑を基調にしたボディを持つ人型のモンスター
《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の右腕から放たれた炎は あたり一帯を焦がすが、ヤツのモンスターには届くことはなかった
「……何だ、そのモンスターは」
「アクセルシンクロモンスター、《TGブレード・ガンナー》!」
アクセルシンクロ……だと…? そういえば、さっきもそんな言葉を口にしていたな…
現れたモンスターを、公開されている情報を、俺は注意深く観察する
《TGブレード・ガンナー》星10 ATK/3300
レベル10……?確か、前にいたシンクロモンスター2体は どちらもレベル5だったはず…
「…まさか、俺のターンにシンクロモンスター同士でシンクロ召喚を行ったというのか!?」
ヤツからの返答は無い。だが、ヤツの笑みが 俺の予想を肯定している
おもしろい…!
俺にはわかる!この短いライディングデュエルの中で ヤツの心が、熱い闘志が!
ヤツは言っている
「まだ こんなものではないぞ?」と!
「まだ こんなものではないだろう?」と!!
応えねばなるまい。キングとして…いや!それ以前に 1人のデュエリストとして!!
俺のターンは終わっていない!そう叫ぶように 俺は次の手を出そうとしたが…………ここで、ヤツの闘志が弱まったことに気づいた
「どうやら このデュエル、ここまでのようだな」
「何故だ!?」
互いに 手の内を全て出しきったわけでもない!
エースモンスター同士が ぶつかり合ってもいない!
デュエルは まだ これからではないか!!
だが、俺たちの行く先に あるものが見えた
それは コースを閉鎖するように群れる『セキュリティ』の一団だった