サイト閉鎖に伴い、心機一転、温めていたアイディアをここに解放し、新しい小説を書いてみようという気持ちで、この作品を書かせていただきました。
本当にただの趣味で投稿させていただいておりますので、稚拙な表現が度々出るかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
それでは第1話をお楽しみください。
「あの男が…?」
「そうだ。あの男こそが、UA計画のために必要な人材だ。」
「だが…彼に実力がなければ…」
「うむ…」
金色の刺繍がところどころ目立つ黒いマントを羽織った者2人が、聖堂のようなところで話し合っている。彼らにとってはシリアスなのだろう。話し声以外余計なものは一切聞こえてくることはない。
「ならば私が、彼の力を確かめてくる。」
「なに?接触するのか?」
「もちろんだ。管理職よりも現場の人間の方が現実がわかるというのは、世の常だ。」
「耳が痛いな。」
※※※※※※
「みなさんおはようございます。新入生のみなさん、ご入学おめでとう。在校生のみなさんは、春休みが終わり、新たな年度が始まりました。このデュエルアカデミアセントラル校では知っての通り、幅広い人材を育成することを目標とした3ヶ年間の教育が行われることとなります。それぞれの学年の目標…」
校長の挨拶では毎年同じようなことが話される。教員からすれば校長の挨拶ですら教材とすることができる一方、当然生徒からすればそんなことは知ったことではなく、人生の貴重な数分を無駄にしたと大半の生徒が思っている。
「ふあ~ぁ…面倒くせえな。この後テストなのかよ…今日は始業式だけでいいじゃねえか。」
教室で独りごちたのは草薙遊士。彼はデュエルアカデミアセントラル校2年生で、16歳。華奢な体格の着る学ランの第一ボタンを外した彼は「面倒くせえ」と言いながら、自分の耳までかからない髪を掻き毟った。
「とか何とか言って、お前勉強してきたんだろ?」
窓際の遊士の席の右隣の席からそう言って「チャート式デュエル問題集」で彼を指差したのは天竜崎翔斗(てんりゅうざきしょうと)である。
遊士は背が低いわけではないのだが(180cmほど)、その遊士よりもさらに10cmほど背が高い天竜崎は、そのリーチを活かしたちょっかいを出してくる。
「するわけねえだろ。俺が嫌いなものは、努力だっつってんだろ?」
「出た出た。努力してるくせに。」
「ってかなぁ翔斗。お前は人の世話焼いている前になんとかしねえと退学になっちまうぞ。」
「う…そ…それは…」
これより15分後に50問のデュエルモンスターズのルールに関する小テストが行われ、下校時刻となった。
下校時刻といえども、多くの生徒は部活動に熱心であるため、すぐには帰宅しない。
しかし遊士は違った。彼は特に部活動に所属することもなく、ゲームセンターに寄るか、帰るか、友人とカラオケかボウリングに行くかである。もちろんその友人もほとんどの場合部活動に行くために彼の取る選択は多くの場合…
「まだ2時か…。家に帰るにはちょっと早かったかなぁ…」
「退屈か?」
真後ろから聞こえたその声に、遊士はすぐに自分に対するものだと感じられた。
「な…なんだお前、いきなり?」
「草薙遊士だな?」
「ヘッ。知らねえのか?人に名前を聞く時はまずは自分から名乗るものだって!」
「私の名前はクラウダー。遊士。お前にデュエルを申し込みに来た!!」
「俺とデュエルだと?お前、俺が誰だかわかってケンカ売ってんのか?」
彼は自分がデュエルアカデミアのセントラル校に通っていることに誇りを持っており、それゆえしばしば自分にデュエルを申し込みに来る他者に対し、蔑んだ態度を取ることがある。
だがその不遜な態度にストレスを感じた様子を見せることもなく、クラウダーと名乗る黒いマントを羽織った銀髪の顔立ちの整った青年は、1枚のカードを遊士に渡した。
「こ…これは?」
「デュエルアカデミアセントラル校から徒歩3分、セントラルパークに4時に来い。私はそこで待っている。」
「いいぜ。ビビッて逃げんじゃねえぞ!」
この場でデュエルを行わないことに対し、特に疑問を抱くこともなく、遊士は退屈凌ぎだと思い、2時間後の4時にはセントラルパークに着いた。
時間にルーズで約束にも間に合わないことが多い遊士であるが、特にすべきこともなかったためか、10分前には着いていた。
陽が傾いている午後4時。セントラルパーク中央には噴水があり、噴水からは四方八方に水が飛んでいる。
(見た感じでは、特に何か特殊なモノがある少年ではなさそうだが…デュエルをすればわかることか。)
クラウダーは自身の髪の色と同じほど明るい銀色のデュエルディスクを展開し、トイレの建物の上から飛び降りた。レンズのようなものがたびたび夕陽の光に照らされている。
ゆっくりと歩いてくるクラウダーを捉えた遊士は、既にデュエルディスクを展開したクラウダーを見て口を開いた。
「ヘッ。やる気は十分なようだな。いくぜ!」
「お前の腕前…見せてもらうぞ!」
「「デュエル!!」」
草薙遊士 :LP4000
クラウダー:LP4000
「先攻は私がもらう。私のターン!」
(先攻のプレイヤーは1ターン目にドローすることはできない。そして、相手の実力を見る上でこのデッキを使っているということもあるが、十分だ!)
「私は、《デーモン・ソルジャー》を召喚!(4)」
《デーモン・ソルジャー》
通常モンスター
レベル4/闇属性/悪魔族/攻撃力1900/守備力1500
デーモンの中でも精鋭だけを集めた部隊に所属する戦闘のエキスパート。与えられた任務を確実にこなす事で有名。
「リバースカードを1枚セットし、ターンエンド!(3)」
<遊士:伏せなし クラウダー:伏せ1枚>
「攻撃力1900か。俺のターン!(6)俺は手札から、《切り込み隊長》を召喚!」(5)
《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200
「モンスター効果発動!このモンスターは召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスターを1体、特殊召喚することができる!いくぜ!《コマンド・ナイト》特殊召喚!」
《コマンド・ナイト》:☆4/攻撃力1200→攻撃力1600
《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200→攻撃力1600
「攻撃力がアップした?」
「そうだ。コマンド・ナイトには、自分フィールドの戦士族モンスターの攻撃力を400ポイントアップさせる効果がある!」
「だがそれでも攻撃力が足りないな。」
「ヘッ!あめえなぁ!永続魔法、《連合軍》!」(3)
《連合軍》
永続魔法
自分フィールド上の戦士族モンスターの攻撃力は、自分フィールド上の戦士族・魔法使い族モンスターの数×200ポイントアップする。
「連合軍…自分の戦士族と魔法使い族の数×200ポイント、自分の戦士族モンスターの攻撃力を上げるカード…」
「わかってるじゃねえか。これで切り込み隊長と、コマンド・ナイトの攻撃力は400ポイントずつアップするぜ!」
《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1600→攻撃力2000
《コマンド・ナイト》:☆4/攻撃力1600→攻撃力2000
「バトルフェイズ!切り込み隊長!デーモン・ソルジャーを攻撃!」
身構えたデーモン・ソルジャーの首元を切り付け、切り込み隊長はあっさりとデーモン・ソルジャーを撃破した。
クラウダー:LP4000→LP3900
「そして、コマンド・ナイトでダイレクトアタック!」
「クッ…」
クラウダー:LP3900→LP1900
「見たか!こいつがコンボ攻撃の威力だ!」
「何とも古典的なデュエルだな。」
「ああ、よく言われるぜ。だが生憎、俺にはこの戦い方が合ってる訳よ!カードを1枚伏せて、ターンエンド!(2)」
<遊士:伏せ1枚 クラウダー:伏せ1枚>
「私のターン!(4)だがその程度の攻撃力では私を倒すことはできない。永続罠、《リビングデッドの呼び声》を発動!」
《リビングデッドの呼び声》
永続罠
自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
「墓地からモンスター1体を特殊召喚する!蘇れ、《デーモン・ソルジャー》!」
「ヘッ。何度蘇っても無駄だぜ!」
「ならば、《デーモン・ソルジャー》をリリースし、《タルワール・デーモン》をアドバンス召喚!(3)」
《タルワール・デーモン》
通常モンスター
レベル6/闇属性/悪魔族/攻撃力2400/守備力2150
そのタルワールは、悪魔族でも剣術の達人しか持つ事を許されていない。
「《タルワール・デーモン》で、《切り込み隊長》を攻撃!」
「くっ…」
草薙遊士:LP4000→LP3600
《コマンド・ナイト》:攻撃力2000→攻撃力1800
「俺のモンスターが1体減ったことで、《連合軍》の効果で上がる攻撃力が200に下がっちまった。」
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ。(2)」
<遊士:伏せ1枚 クラウダー:伏せ1枚>
デーモン・ソルジャーの攻撃力1900というのは、下級モンスターの中では高い方であり、そう簡単には上回れる数値ではないというのが、少なくとも遊士の認識であった。しかしそれを上回る攻撃力を連合軍とコマンド・ナイトのコンボで出したことに、いささかの動揺も見られないクラウダーを見ると、遊士は彼を手練れだと捉えた。
もちろんクラウダーの言う通り、遊士のデュエルは古典的であるというのは、遊士自身も自覚しているのだが…
「俺のターン!(3)俺は《隼の騎士》を召喚!(2)」
《隼の騎士》
効果モンスター
レベル3/地属性/戦士族/攻撃力1000/守備力700
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
「2体のモンスターは、《連合軍》の効果によって、攻撃力が400ポイントずつアップする!」
《コマンド・ナイト》:☆4/攻撃力1600→攻撃力2000
《隼の騎士》:☆3/攻撃力1000→攻撃力1400
「そして装備魔法、《融合武器ムラサメブレード》を、《コマンド・ナイト》に装備!(1)」
《融合武器ムラサメブレード》
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。モンスターに装備されているこのカードは、カードの効果では破壊されない。
「この効果により、《コマンド・ナイト》の攻撃力は2800にアップ!バトル!《タルワール・デーモン》に攻撃!」
「あくまで力押しか。だがそうはいかない。私はライフポイントを500ポイント払い、罠カード、《冥王の咆哮》を発動!」
クラウダー:LP1900→LP1400
《冥王の咆哮》
通常罠
自分フィールド上に存在する悪魔族モンスターが戦闘を行う場合、そのダメージステップ時に100の倍数のライフポイントを払って発動する。そのターンのエンドフェイズ時まで、戦闘を行う相手モンスター1体の攻撃力・守備力は払った数値分ダウンする。
「《コマンド・ナイト》の攻撃力は、これで2300にダウン!」
「な…!?」
イラストより飛び出た冥王の咆哮をまともに受けたコマンド・ナイトは一瞬竦み、その隙にそのデーモンは、タルワールで返り討ちにした。
草薙遊士:LP3600→LP3500
《隼の騎士》:☆3/攻撃力1400→攻撃力1200
「くそっ…俺のターンで仕掛けておきながら、負けちまうとはな。ターンエンドだ。(1)」
<遊士:伏せ1枚 クラウダー:伏せなし>
「私のターン!(3)さて…そろそろ終わらせるか。どうやらお前は、我々が探し求めていた逸材ではなかったようだ。」
「なに…?逸材…だと?」
「私は装備魔法、《
「俺のモンスターの!?」
「《隼の騎士》のコントロールをいただこう。」
瞬時に《隼の騎士》は遊士のフィールドからいなくなり、クラウダーのフィールドへと姿を現し、主と対峙した。
「このモンスターは一度のバトルフェイズ中に2回攻撃することができる。2体のモンスターの攻撃が決まれば、それで終わりだ。バトル!《タルワール・デーモン》で、プレイヤーに直接攻撃!」
目の前に立ちはだかったタルワール・デーモンは、垂直にタルワールを振り下ろした。咄嗟に左腕のデュエルディスクでそれを防いだ遊士は、体勢を崩した。
「ぐあっ…」
草薙遊士:LP3500→LP1100
「そして、《隼の騎士》で、ダイレクトアタック!」
「罠カード発動!《エヴォルブ・サクリファイス》!」
《エヴォルブ・サクリファイス》
通常罠
相手モンスターの直接攻撃宣言時、自分の手札を1枚捨て、自分の墓地に存在する同じ種族のモンスター2体をゲームから除外して発動する。除外したモンスターと同じ種族のレベル7もしくは8のモンスター1体を自分のデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、次の自分のターンのエンドフェイズに破壊される。
「手札を1枚捨てて発動!(0)自分の墓地から戦士族である《切り込み隊長》、《コマンド・ナイト》を除外し、同じ戦士族のレベル7モンスターをデッキから呼び出すぜ!」
「ほう。この局面でか…」
「せっかくだから見せてやるぜ。俺のエースモンスターを!来い!《剣聖-ライジング・ソード》!」
《剣聖-ライジング・ソード》
通常モンスター
レベル7/光属性/戦士族/攻撃力2400/守備力2000
未知の力を持った剣聖。その力は、昇華され続けるといわれている。
「何かと思えば、通常モンス……!?な…なんだ…」
クラウダーが感じ取ったのは、名状しがたい何かであった。わかりやすく言うなれば、威圧感、プレッシャーという類のものであろう。
思わずクラウダーは後退りをしてそのモンスターを見た。その姿は、全身を褐色の鎧で包み、青白い光を放つ刃を持つロングソードを右手で握った青年であった。兜をかぶっているため、その髪型を捉えることはできなかったが、その眼差しからはどこか熱いものを感じる。
「わかるか…お前も。こいつの威圧感が!」
「威圧感…それが関係なくとも、お前がそのモンスターを出した理由はわかる。永続魔法、《連合軍》の効果で、ライジング・ソードの攻撃力は2600になっている。」
《剣聖-ライジング・ソード》:☆7/攻撃力2400→攻撃力2600
「それなら、私の《タルワール・デーモン》を倒せると思っているのだろうが、そうはいかない。私は手札から魔法カード、《パワー・コネクター》を発動!(1)自分フィールドのモンスター1体、もちろん《堕落》でコントロールを得ている、《隼の騎士》だがな。モンスター1体をリリースし、それ以外のモンスター1体の攻撃力を600ポイントアップさせる!」
《タルワール・デーモン》:☆6/攻撃力2400→攻撃力3000
「攻撃力3000…」
「私はこれで、ターンエンド!」(1)
<遊士:伏せなし クラウダー:伏せなし>
「この剣聖は確かに通常モンスター。だけどな。こいつの力はいつだってピンチをチャンスに変える!」
「何を言っている。このピンチをチャンスに変えられるというのか?」
「もう変わってんだぜ。チャンスにな!俺のターン!!」
遊士は自らのデュエルディスクの一番上のカードに指を置き、弧を描くようにしてカードをドローする。
「ドローッ!!(1)装備魔法、《巨大化》を発動!」
「なに?ここで…巨大化…!?」
《巨大化》
装備魔法
自分のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。自分のライフポイントが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。
「これを、ライジング・ソードに装備!装備モンスターの元々の攻撃力が2倍になる!」
《剣聖-ライジング・ソード》:☆7/攻撃力2400→攻撃力4800
「そして!《連合軍》の効果で、ライジング・ソードの攻撃力が…5000にアップ!」
「な…なんだと…?」
「バトル!ライジング・ソードで、《タルワール・デーモン》を攻撃!」
「バ…バカな。ぐ…ぐああああああっ!!」
クラウダー:LP1400→LP0
二転三転したクラウダーは、土埃のついたマントを払いながら、立ち上がった。何か腑に落ちない様子であり、困惑した表情であった。
「わかったか?俺に喧嘩を売るって意味が…」
「なるほど。」
聞きたいことがある、と切り出そうかと思ったが、遊士の後方から、2人のデュエルアカデミアの生徒が近づいていることに気付いた。
「次にデュエルをする時は、勝たせてもらう!」
捨て台詞のようなものを吐き、クラウダーはマントを翻し、その姿を消した。
「なっ…こいつ…消えた…?」
「おーい!!」
「ン?」
「遊士!!」
「おおっ!翔斗!それに、智紀も!」
「どうしたんだよこんなところで?」
「売られた喧嘩を買ってたのさ。」
色々と説明をするのは面倒だというのが、遊士の性格であるためか、遊士はクラウダーとデュエルをして勝利したことだけを同級生である2人に伝え、カラオケに行った。
(あいつ…何だったんだろう。ま、いいか…)
この時から、少しずつ、次元の上昇が始まっていた。
(次回に続く)
<今日の最強カード>
《剣聖-ライジング・ソード》
通常モンスター
レベル7/光属性/戦士族/攻撃力2400/守備力2000
未知の力を持った剣聖。その力は、昇華され続けるといわれている。
<次回の最強カード>
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》
ペンデュラムモンスター
レベル7/闇属性/ドラゴン族/攻撃力2500/守備力2000
【Pスケール:青4/赤4】
「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」のペンデュラム効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分のペンデュラムモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。
【モンスター効果】
(1):このカードがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。