遊戯王UA   作:akc

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第15話-手がかりを求めて!遊士vs零児

遊士が目を覚ますと、辺りは夜の闇に包まれていた。雨が降っていないことが幸運だと思えたくらいであり、街灯の灯っている通りだけでは、今どこなのかわかるはずもなかった。

 

「ここは…どこだ?」

 

すると、学ランの制服姿のアカデミアの生徒を見つけた一人の警官が近寄って来た。

 

「キミ!こんなところで何をしている?大丈夫か?」

「あぁ…何って…言われてもな。」

「もうこんな時間だぞ。早く家に帰りなさい!ご家族も心配しているだろう!?」

「こんな時間って、何時だよ?」

「午前1時だ。」

「はぁっ!?」

 

勢いよく立ち上がった拍子に街灯の光で顔が明るみになると、警官は「君は…」と呟いた。

 

「草薙遊士くん…?」

「えっ?何で俺の名前知ってんだよ。俺、別に疾しいことはやってねえよ!」

「捜索願が出てるんだよ。」

「は?」

 

 

遊士は不安だった。自分の知っている次元に戻ってきたのは良かったものの、どれくらいの時が進んでいるのか。俗に言う、「浦島太郎現象」が起きていないのか。

 

進んでいた時間はほぼ二週間であった。期末試験が終わってしまい、「見込み点」というシステムで点数がついており、国語の68点を除き、全教科30~40点台の点数である。大きく点数を失ったのだ。

 

それ以外にも彼が失ったものはあった。最低2つだ。1つ目は、CDTへの出場資格。正確に言えば、不戦敗だ。遊士とサニーとのデュエルでの第三者の乱入については、一週間後に乱入される前の状態でデュエルを行うという処理が施された。その一週間後に遊士もサニーも両方とも現れなかったために、二人ともが不戦敗になった。

 

 

そして、もう1つは…

 

 

「そういえば、ユキは?休みか?」

 

遊士が戻ってきたという現実を受け止められるようになった周囲の人と会話ができるようになったのもつかの間、天竜崎にそう言った瞬間、彼は俯いた。

 

「お前…」

「何だよ。何かあったのかよ。」

「お前と同じ状態なんだよ。田村は!」

「は…?」

 

自分と同じ状態、その言い回しに一瞬理解ができなかった。しかしそれは本当に一瞬であった。彼には心当たりがあったのだ。

 

アストラル、そしてダークアストラルとのデュエルで光に包まれる時、ユキは彼の元へと飛び出し、その光に包まれていたのを思い出した。

 

「まさか…ユキ…!」

「そう。俺もそう思ってんだよ。でも、お前の言う、エクシーズ次元ってところでは会わなかったんだろ?」

「ああ。くそッ、行くしかねえ!!」

 

自分の下足ロッカーに上履きを放り投げ、外に向かって走り出した彼を、天竜崎は止めた。

 

「待てよ!行くって、どうやって!?」

「…」

「アストラルも、ダークアストラルもいない。ナンバーズもない。別次元に行くことができそうなものは、何一つないんだ!」

「わかってるよそんなこと!!くっ…くそっ!!」

 

筆記用具と弁当箱しか入っていない通学バッグを遊士は力一杯地面に叩き突けた。

 

その鈍い音が響き渡り、2人以外に誰もいない玄関で、気まずさが漂った。

 

しかしその共有意識は正門を出たところですぐに割られた。

 

「遊士さん、天竜崎さん!!」

 

話す気がないという態度を醸し出している遊士を庇うように、天竜崎はわざと彼の前に出て3人の話を受けた。

 

「あっ…遊矢。」

「学校、終わったんですか?」

「そうだけど、お前らって、この近所…?」

「いいえ、そうじゃないんですけど、今日は近くにあるデュエルアリーナに遊びに行ったんです。」

「言い出したのは遊矢でな。」

 

遊矢、柚子と権現坂の3人の登場に、一端はCDTの話をされたくないと思い、顔を背けた遊士であったが、何かを思い出したようで、遊士はすぐに顔を遊矢に向けた。

 

「遊矢!!」

「えっ…!?ゆ…遊士さん…!?」

「お前、エクシーズ次元って、知ってるだろ!?」

「えっ…ま、まあ。話でしか聞いたことないですケド…」

「行き方知らないか!?」

「そ…そう言われても…」

「知らないかっつってんだよ!!」

 

鬼のような形相で遊矢に詰め寄る遊士を天竜崎が引き離した。

 

「やめろ遊士!!」

「一体どうしたんですか!?」

 

「っ……。すまねえ。」

 

遊士が落ち着いて訳を説明すると、やはりと言うべきか、周囲は重苦しい空気に包まれたが、権現坂と柚子が唸る中、遊矢が口を開いた。

 

 

「赤馬零児。」

 

 

「えっ?」

「赤馬零児!あいつなら…あいつなら!きっとわかる!」

「赤馬零児って、確か…この前の舞網チャンピオンシップを開いた…」

「そう。あいつは、ランサーズという組織を作ろうとしていた!目的は次元戦争を防ぐためって言っていた!結局作らなかったけど、次元戦争ってことは、エクシーズ次元も知ってるはず!」

 

「遊矢!そのことは…」

「簡単に周りに言うなって言いたんだろ?けど、権現坂!いいのかよ!?大事な人がいないままって…」

「それは…」

「行こう!赤馬零児のところに!」

 

デュエルアカデミアからLC(Leo Corporation)までは片道電車で20分ほどで行けるので、そこからすぐに動き始めた。

 

「ここが…レオ・コーポレーション!?でも、零児って、社長だろ?そんな簡単に合わせてくれるモンなのか?」

 

二頭のライオンの銅像、ところどころに金の装飾が施してあるエントランスを前に、天竜崎がそう言った。

 

そこから見上げても、建物の全貌はわからないほどの大きさだ。

 

「それなら大丈夫ですよ!」

 

柚子が何の疑いもなくそう言い、エントランスから入り、受付の前を通り過ぎようとすると、受付の係の女性社員に声をかけられた。

 

「あの…お客様ですか?」

 

学ランを着た生徒や私服の子どもがスルスルと中に入っていく光景がよほど信じられなかったのか、目を丸くして20代の後半のその女性社員は近寄ってきた。

 

「あ、はい。赤馬零児に用があって…」

「社長に!?社長はお忙しい方なので、アポ無しでは、困ります。」

 

女性社員は迷惑そうにしているというよりも、困惑した表情で彼らを止めたが、彼女が手にしているボードを見ると、すぐにもう一度彼に聞いた。

 

「あの…失礼ですが、お名前は…」

「俺、榊遊矢って言います!」

「榊さん…あっ。」

 

彼女は自分の持っているボードのリストを指で辿り、すぐにその指を止めた。

 

「あぁ…榊遊勝さんは…オッケーだけど、この人は…違うか。」

 

そう一人呟くと、彼女が首からぶら下げていた社員証から声が聞こえた。

 

 

「彼は榊遊勝の息子だ。通してくれ。」

「しゃ…社長!?失礼しました!!さ…こちらに!」

 

「すげぇな遊矢。」

「へへっ!父さんのお陰さ!」

 

 

彼らは社長室に通してもらった。ドアを開けると、最初に見えたものはボスチェアと、その後ろで窓の外を眺めて立つ赤馬零児の背中だった。

 

「零児!!」

「榊遊矢、権現坂昇に、柊柚子。一体何の用……!?君たちは…」

 

学ラン姿の2人は見慣れない男だと思ったが、零児は鋭い視線で話しかけた。

 

「その校章は…デュエルアカデミア。そして君は、CDTでサニーと戦ったデュエリストの…草薙遊士だったかな。」

「ああ。さすが社長だな。戦う可能性のあるデュエリストは既に研究済みって訳か…」

「用があるのは君か?」

「そうだ。聞きたいことがあるんだ。」

「ン?」

「エクシーズ次元への行き方を教えてくれ!」

 

シンプルで分かりやすい質問ではあったが、確信を得たものであり過ぎたのか、零児が返答するのには少し時間がかかった。

 

「その質問に答える前に、2つ聞いても良いか?」

「2つ?ああ。いいぜ。」

「まず1つ、君は次元というものを知っているのか?」

「ああ。俺は実際にエクシーズ次元に行ったんだ。お前も見てたんだろ、俺とサニーのデュエル。ダークアストラルが引き起こした力で、俺とアストラルはエクシーズ次元に飛ばされちまったんだ。」

 

「なるほど。では2つ目だが、君はなぜエクシーズ次元に行くことを望んでいる?」

「俺の友達が、エクシーズ次元に行っちまったからだ。あの白い光に包まれたのは、俺、アストラル、黒咲、そして、ユキなんだ!」

 

(ほう…黒咲もエクシーズ次元に…)

 

先ほどから2人のやり取りを黙って聞いていた遊矢が口を開き、会話に割って入った。

 

「零児!知っているんだろ!エクシーズ次元に行く方法!遊士のために、力を貸してくれ、頼む!」

 

遊士が深々と頭を下げる遊矢を見て思うことは一つ。なぜ彼は他人のために懇願するのか。彼の脳裏に仮説が浮かんではそれは否定され、消えていく。しかし一つだけ、遊士と遊矢の繋がりを表すような出来事があった。

 

オッドアイズ・アセンション・ドラゴン。見たこともないカードだが、2人でのデュエル中の出来事を忘れはしない。

 

「ディメンション・ムーバー。このカードがあれば確かにエクシーズ次元に行くことはできる。」

 

そのカードが自身のロッカーや金庫、デスクの引き出しから取り出すわけでもなく、白いズボンの後ろポケットに入っていたデッキケースから取り出されるのは驚きであったが、遊士はそのカードこそが、彼の待ち望んでいたカードであった。

 

「だがこのカードをタダで使わせる訳にはいかない。」

「は!?何でだ…って、そりゃそうか。信用できねえよな。いきなりこんなこと言われたって。」

「いや違う。私はタダで使わせる訳にはいかないと言った。条件付きでの使用を認める。」

「マジか!?条件って…」

 

「私とデュエルをして欲しい。」

「何だと?俺が?」

「そうだ。エクシーズ次元に行っていなければ、不戦敗にならなかった。CDTで君と戦える可能性はなくなってしまった。ならばせめて今戦いたいと思ったのだ。」

 

人差し指で自らの赤いフレームの眼鏡を上げながらそう言った。零児の言うことはそれらしい言葉であったが、真意はわからなかった。

 

「それに君は、聞けば榊遊矢を倒したデュエリストらしいな。」

「まあな。」

「ペンデュラムの創始者である榊遊矢を倒すなど、並みのデュエリストであるはずはない。何か不思議なカードでも持っているのかと思ってね。」

「なるほどね。」

 

「ま、確かに遊士は不思議なカードを持ってるよな。」

 

天竜崎は軽く笑いながらそう言って遊士の肩を叩いたが、それを零児が聞き逃すことはなかった。

 

「いいぜ!!俺もお前とはデュエルをしてみたいと思ってた。手加減はなしだぜ!翔斗!デュエルディスク貸してくれ!」

「ったく、置いてきたのかよ。」

「荷物じゃねえか。」

「丁寧に扱えよ…なっ!」

 

パッドのようなタイプのディスクではなく、天竜崎は旧式のデュエルディスクを好む。彼はかつてバトルシティで使われていたようなディスクを、フリスビーのようにして投げ、遊士に渡した。

 

「重っ!」

「文句言うんじゃねえ!」

 

「いくぞ、草薙遊士!!」

「ああ!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

草薙遊士:LP4000

赤馬零児:LP4000

 

 

 

「先攻はもらうぜ!俺は手札から、《切り込み隊長》を召喚!(4)モンスター効果によって、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!来い!《コマンド・ナイト》!!(3)ターンエンドだ!」

<遊士:伏せなし 零児:伏せなし>

 

 

《切り込み隊長》

効果モンスター

レベル3/地属性/戦士族/攻撃力1200/守備力400

このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。

 

 

《コマンド・ナイト》

効果モンスター

レベル4/炎属性/戦士族/攻撃力1200/守備力1900

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。また、自分フィールド上に他のモンスターが存在する場合、相手は表側表示で存在するこのカードを攻撃対象に選択する事はできない。

 

 

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200→攻撃力1600

《コマンド・ナイト》:☆4/攻撃力1200→攻撃力1600

 

 

「モンスターを2体並べたか。私のターン!!(6)手札の、《DDスワラル・スライム》のモンスター効果を発動!手札のこのカードともう1枚のDDモンスターを墓地に送り、融合モンスターを融合召喚する!私はスワラル・スライムと、《DDバフォメット》を墓地に送る!(4)」

 

 

《DDスワラル・スライム》

効果モンスター

レベル2/闇属性/悪魔族/攻撃力200/守備力200

「DDスワラル・スライム」の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが手札に存在する場合、自分メインフェイズに発動できる。「DDD」融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを手札から墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

②:墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から「DD」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

自在に形を変える神秘の渦よ、異形の神と一つとなり、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ、レベル6!《DDD烈火王テムジン》!!

 

 

《DDD烈火王テムジン》

融合モンスター

レベル6/炎属性/悪魔族/攻撃力2000/守備力1500

「DD」モンスター×2

「DDD烈火王テムジン」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードがモンスターゾーンに存在し、自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

②:このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、自分の墓地の「契約書」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

 

「融合モンスターか!」

「さらに手札からチューナーモンスター、《DDナイト・ハウリング》を召喚!(3)」

 

 

《DDナイト・ハウリング》

チューナーモンスター

レベル3/闇属性/悪魔族/攻撃力300/守備力600

①:このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になり、そのモンスターが破壊された場合に自分は1000ダメージを受ける。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。

 

 

「このモンスターの召喚時、墓地のDDモンスターを復活させる!蘇れ、《DDバフォメット》!レベル4の《DDバフォメット》に、レベル3の《DDナイト・ハウリング》をチューニング!!」

 

 

☆4+★3=☆7

 

 

闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て、新たな王の産声となれ!シンクロ召喚!生誕せよ、レベル7、《DDD疾風王アレクサンダー》!!

 

 

「シンクロ召喚もすんのか!?」

「これで終わりではない。烈火王テムジンの効果発動!他のDDモンスターが特殊召喚された時、墓地のDDモンスターを特殊召喚する!蘇れ、《DDバフォメット》!」

 

 

《DDバフォメット》:☆4/攻撃力1400

 

 

「さらに、疾風王アレクサンダーのモンスター効果により、他のDDモンスターが召喚・特殊召喚された時、墓地のレベル4以下のDDモンスターを特殊召喚する!現れろ!《DDスワラル・スライム》!!」

 

 

《DDスワラル・スライム》:☆2/攻撃力200

 

 

「DDバフォメットの効果発動!スワラル・スライムのレベルを4にする!」

 

 

《DDスワラル・スライム》:☆2→☆4

 

 

「レベル4のモンスターが2体…まさか!?」

「レベル4の《DDバフォメット》と、《DDスワラル・スライム》で、オーバーレイ!!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

 

この世の全てを統べるため、今、世界の頂に降臨せよ!ランク4、《DDD怒涛王シーザー》!!

 

 

《DDD怒涛王シーザー》:ランク4/攻撃力2400

 

 

「なにっ!?融合、シンクロ、エクシーズ!?」

 

「そうよね。赤馬零児と初めてデュエルするんだものね。」

 

柚子がそう一人呟くと、権現坂はそれに続けて言った。

 

「赤馬零児は融合、シンクロ、エクシーズの召喚方法を操る。」

「もっとも、それだけじゃないけど…」

 

「それだけじゃない…?」

 

どういう意味だと遊士が遊矢に聞こうとしたが、零児は人差し指で眼鏡を上げた後、高らかに「バトル!」と宣言し、それを掻き消した。

 

 

《切り込み隊長》:攻撃力1600

《コマンド・ナイト》:攻撃力1600

 

 

《DDD烈火王テムジン》:攻撃力2000

《DDD疾風王アレクサンダー》:攻撃力2500

《DDD怒涛王シーザー》:攻撃力2400

 

 

「まずは烈火王テムジンで、《切り込み隊長》を攻撃!」

 

 

ファイヤー・ストローク!!

 

 

「うわっ!」

 

 

草薙遊士:LP4000→LP3600

 

 

「そして疾風王アレクサンダーで、《コマンド・ナイト》を攻撃!」

 

 

ライトニング・ブレイド!!

 

 

「チッ!」

 

 

草薙遊士:LP3600→LP2700

 

 

「やべえ!遊士のフィールドにはもう壁モンスターがいないぞ!」

「遊士さん!」

 

「続けっ!怒涛王シーザー!ダイレクトアタック!!」

 

 

タイダル・トーレント!!

 

 

「ぐああああっ!」

 

ソリッドビジョンではあるが、シーザーの激流を帯びた剣の一撃を受け、遊士は後方に大きく飛ばされ、仰向けになって倒れた。

 

 

草薙遊士:LP2700→LP300

 

 

「くっそ。」

「私はこれで、ターンエンド。(3)」

<遊士:伏せなし 零児:伏せなし>

 

挑発の一言さえなく、ターンを終え、まるで「仕事中だったのだから時間が勿体ない。早くターンを進めたまえ。」とでも言いたげな様子から確信した。

 

「つえぇ…。」

 

しかし遊士は手札の3枚のカードを見ると、希望が湧いた。

 

「けど、俺は負けねえ!俺のターン!(4)俺は手札から、魔法カード《ソウル・バトラー》を発動!」

 

 

《ソウル・バトラー》

通常魔法

 

 

「前のターンに俺の墓地に戦士族モンスターが送られた場合に発動できる!その数だけ俺のフィールドに戦士族のバトラーズトークンを特殊召喚する!」

「2体のトークンか。」

「そしてこいつらをリリース!出でよ、俺のエースモンスター、《剣聖-ライジング・ソード》!!(2)」

 

 

《剣聖-ライジング・ソード》:☆7/攻撃力2400

 

 

「これは…!!」

 

思わず零児は前かがみになった。光の中から現れた青年の剣聖から、何かを感じ取ったのだ。

 

(草薙遊士。彼は…やはり…)

 

「そして速攻魔法、《リロード》を発動!手札を1枚デッキに戻してシャッフルし、その枚数分だけドロー!」

 

「そんな、無茶よ!1枚のカードをドローだなんて!」

「いや、柚子ちゃん。あのモンスターを呼び出した遊士は、一味違うんだ。」

 

結果がわかって笑みを浮かべている天竜崎が、柚子に優しくそう言った。

 

「えっ…?」

 

「そのドローにかけているのかね?」

「かけている?ちげえな。これは…必然だぜ!!ドローッ!」

 

弧を描くようにして勢いよくドローした先を、零児は目で追っていた。そして遊士はそのカードを一瞥した後に、魔法・罠カードゾーンのスロットへと差し込んだ。

 

「装備魔法、《スピリット・ブレード》を発動!(0)」

 

 

《剣聖-ライジング・ソード》:☆7/攻撃力2400→攻撃力2900

 

 

「装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップ!」

「なにっ!」

「今度はこっちの番だぜ!ライジング・ソードで、《DDD疾風王アレクサンダー》を攻撃!」

 

 

アサルト・スピリット・ブレイク!!

 

 

逆袈裟の形でロングソードを振ると、そこから出た衝撃波がアレクサンダーを引き裂いた。そしてさらにライジング・ソードはもう二度ロングソードを振り、バトルを行っていないはずのテムジンとシーザーを倒した。

 

 

赤馬零児:LP4000→LP3600

 

 

「なに?テムジンとシーザーまで!」

「俺は装備魔法、《スピリット・ブレード》の効果を発動した!装備モンスターが相手モンスターをバトルで破壊した時、ライフポイントを半分払うことで、相手フィールド上のそのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持ったモンスターを全て破壊できる!」

 

 

草薙遊士:LP300→LP150

 

 

「私は怒涛王シーザーのモンスター効果を発動!このカードが墓地に送られた時、デッキから契約書と名の付くカードを手札に加える!私はデッキから、《地獄門の契約書》を手札に加える!(4)」

 

「俺はこれで、ターンエンドだ!(0)」

<遊士:伏せなし 零児:伏せなし>

 

「なるほど。なかなか面白いものを見せてもらった。ならば今度は……

 

 

こちらの番だ!!!」

 

 

(次回に続く)

 




<今日の最強カード>
《スピリット・ブレード》
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターが相手モンスターを戦闘で破壊し墓地に送った時、自分のライフポイントを半分払うことで、相手フィールド上に存在する戦闘で破壊したモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターを全て破壊する。また、1ターンに1度だけ、相手フィールド上にモンスターが特殊召喚された時、装備モンスターの攻撃力はターン終了時まで800ポイントアップする。このカードを発動したターン、装備モンスターは相手に直接攻撃をすることはできない。


<次回の最強カード>
ペンデュラムモンスター
レベル8/闇属性/悪魔族/攻撃力3000/守備力1000
【Pスケール:青4/赤4】
①:1ターンに1度、自分フィールドの「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで800アップする。
【モンスター効果】
①:1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、そのモンスター1体を対象として発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、対象のモンスターの元々の攻撃力分アップする。この効果を発動するターン、このカードは直接攻撃できない。
②:このカードは、このカードを対象としない魔法・罠カードの効果では破壊されない。
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