遊戯王UA   作:akc

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1話からかなり間が空いてしまい申し訳ありません。なかなか小説をコンスタントに書き続けるのは難しいところではありますが、せっかくあたためたアイディアですので、書き起こし続けたいと思います。

よろしくお願いします!


第2話-お楽しみは、これからだ

午前8時30分。朝のショートホームルームが始まる時間が8時45分であることを考えると、ややギリギリの時間に到着した遊士であるが、むしろ自分なりには早く来た、もう少し寝ることができたなと思い、舌打ちをして教室に入った。

 

「遊士ぃ!」

「ああ…翔斗。おはよう。テンションたけぇなお前は。」

「お前さぁ、低血圧もいい加減にしろよ。友達無くすぞ。そんな朝機嫌が悪いんじゃ。」

「うるっせぇなぁ。なんでそんなテンションたけぇんだよお前…?」

「そんなの…決まってんじゃんか!今日は、交流戦の日だろ!」

 

「こ…交流戦…」

 

交流戦とは、1学期に一度開催されるものであり、外部のデュエルアカデミアやデュエルスクール等のデュエリストを数名呼び、代表者と戦わせるのである。

 

今回は、規模は大きくないものの、エンターテイメントのデュエルをプレイスタイルとするデュエリストがやってくるという噂が、専ら飛び交っていた。

 

「まだ4月20日だぞ。そんな時期にやんのか?」

「去年もそうだったじゃんか!新年度が始まってすぐに行うのは、俺たちのクラスのまとまりを作るためでもあるって…」

「翔斗お前よく人の話聞いてんだな。全然覚えてねえぜ。まっ、俺には関係のねえことだけどな。」

「わからないぜ。今日は遊士があたるかもよ?」

「ヘッ。まあいいけどな。俺にケンカ売るって言うんだったら、買ってやるぜ。」

 

1時間目の授業開始のチャイムが鳴った。ドアについている小窓越しに、杉崎という英語教師が近づいてくるのがわかるが、彼の後ろに、一人の少年の姿が見える。

 

「はい、座れ!」

 

少年は入ってすぐのところに立っており、中性的な顔立ちをした少年で、カーゴパンツ、オレンジ色のシャツに、白いジャケットのようなものが目に入る。何より彼の首元に下げられているペンダントが気になるところ…

 

「えっ?この子が今回の交流戦の相手…?」

「かわいい~っ!私デュエルする!!」

 

中性的な顔立ちからか、多くの女子生徒は、彼と対戦することを望んでいる。

 

「はい、うるさい。それでは、まず授業を始めるぞ。天竜崎、号令。」

 

「起立!」

 

高校2年生ともなれば、号令にも飽き飽きしてくるところ。だらだらとした挨拶を終え、ドアのそばに立っている少年の自己紹介に入った。

 

「こんにちは!僕の名前は、榊遊矢です!舞網市の遊勝塾からやってきました!父さんが流行らせた、エンタメデュエルを、僕も目指しています!今日はよろしくお願いします!」

 

教室内には割れんばかりの拍手が巻き起こった。再び静まり返ったその瞬間、杉崎先生はすぐに口を開いた。

 

「榊くんの父さんは…榊遊勝だって?あのプロデュエリストの…」

「はい!そうです!」

 

 

「すげえ!プロデュエリストの息子!?」

「戦ってみたい!」

 

「かわいい…!」

 

 

「今日…僕が戦う相手は…?」

「大丈夫だ。もう決めてあるから。」

 

杉崎先生がクリアファイルから資料を取り出し、今日の榊遊矢の対戦相手表をチェックすると、教室は再び静まり返った。

 

「プロデュエリストの息子である榊遊矢と戦うのは……

 

 

草薙遊士!!」

 

 

特に関心なさそうに窓の外を見ていた遊士が自分の名前を呼ばれると、さすがに我に返ったのか、自分のことを親指でさし、杉崎先生の方を見た。

 

「は…?俺…?」

「そう、お前。」

「スギティー(杉崎ティーチャーの略)!なんで俺なんだよ!?他にも戦いたい奴はたくさんいるだろ?」

「時間がないんだ。指名された人は誰であろうと、快く返事をして、アリーナに急げと言われてるだろ?早く行け!」

「ったく…めんどくせぇなぁ…」

 

自分よりも2つ程年下である遊矢を軽くもんでやると思った遊士は、すぐに教室を出た。すれ違いざまに、「よろしくな。」とあいさつをして。

 

遊士が教室からいなくなった後、当然先生は生徒たちから多くの質問を浴びた。

 

「なんで遊士なんですか先生!?」

「あんなだるそうな奴が代表だったら、失礼じゃねえか!」

 

「うるせーなー!!色々な事を総合的に考えて判断したんだよ。」

 

苦笑しながらそう言い続けて彼らの質問をかわすと、遊矢への質問時間があった後、彼らもアリーナへと向かった。

 

 

 

------

 

 

多くのデュエルイベントは、80メートル四方ほどのアリーナの広さを利用し、10ペア前後で同時に進行されるのであるが、この交流戦に関しては、学年ごとに1つの交流戦、つまり3デュエルまでが同時に進行されることとなる。

 

「さあ、2年生の部、次は、B組の代表生徒、草薙遊士と舞網市の遊勝塾代表、榊遊矢の対戦になります!!」

 

「いくぜ、遊矢!」

「お願いします!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

草薙遊士:LP4000

榊遊矢 :LP4000

 

 

 

「先攻はチャレンジャー、お前からだぜ。」

「俺のターン!《EMディスカバー・ヒッポ》を攻撃表示で召喚!(4)」

 

 

《EMディスカバー・ヒッポ》

効果モンスター

レベル3/地属性/獣族/攻撃力800/守備力800

①:このカードが召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに、レベル7以上のモンスター1体を表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。

 

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!(3)」

<遊士:伏せなし 遊矢:伏せ1枚>

 

 

(うーん…アクションデュエルじゃないから、ヒッポに乗れないもんな。調子狂うなぁ。)

 

ヒッポは召喚されてから、自前のシルクハットを振り回して遊んでいる。遊矢が召喚するモンスターだからか、それとも愛嬌のある姿だからか、B組の生徒からは、「かわいい!!」という黄色い声援が上がる。

 

「俺のターン!(6)攻撃力800だったら、すぐに倒してやるぜ。俺は手札から、《不死武士》を召喚!(5)」

 

 

《不死武士》

効果モンスター

レベル3/闇属性/戦士族/攻撃力1200/守備力600

自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードを墓地から特殊召喚できる。

この効果は自分の墓地に戦士族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。このカードは戦士族モンスターのアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

 

 

「うわっ!アンデットデッキ…?」

「ちげえよ。不死武士は立派な戦士族だぜ。不死武士で、ヒッポを攻撃!」

「速攻魔法、《カバーカーニバル》!」

「何?」

 

 

《カバーカーニバル》

速攻魔法

①:自分フィールドに「カバートークン」(獣族・地・星1・攻/守0)3体を特殊召喚する。このトークンはリリースできない。「カバートークン」がモンスターゾーンに存在する限り、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は「カバートークン」以外のモンスターを攻撃対象にできない。

 

 

「さあっ!カバたちの魅惑のダンスをお楽しみくださいっ!」

「お前…魅惑の意味がわかってんのか?」

「わかっておりますとも!遊士さんの不死武士にご注目っ!」

「…?」

 

突然イラストから3匹のヘソだしルックのカバが飛び出し、遊士の目の前でサンバを踊り出すと、ヒッポを攻撃対象にしたはずの不死武士の攻撃は、そちらへと逸れていった。

 

「攻撃対象を変更する効果か…?」

「その通り!カバーカーニバルは、3体のカバートークンを呼び出し、攻撃を誘導する効果を持っているのです!」

「ヘッ。時間稼ぎってか。カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!(3)」

<遊士:伏せ2枚 遊矢:伏せなし>

 

「俺のターン!(4)さあ、カバの魅惑のダンスの後は、エンタメイトたちの華麗なるチームプレイをお見せしましょう!手札から、《EMフレンドンキー》を攻撃表示で召喚!(3)」

 

 

《EMフレンドンキー》

効果モンスター

レベル3/地属性/獣族/攻撃力1600/守備力600

①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分の手札・墓地からレベル4以下の「EM」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

 

「フレンドンキーの召喚時、手札から、エンタメイトを特殊召喚できる!来い、《EMウィップ・バイパー》!」(2)

 

 

《EMウィップ・バイパー》

効果モンスター

レベル4/地属性/爬虫類族/攻撃力1700/守備力900

①:1ターンに1度、フィールドの表側表示のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時まで入れ替える。この効果はお互いのメインフェイズにのみ発動できる。

 

 

「一気に2体のモンスターか。」

「ウィップ・バイパーの効果発動!モンスター1体の攻撃力と守備力をエンドフェイズまで入れ替える!」

 

 

コンフュージョン・ベノム!!

 

 

魅せるモンスター群、エンタメイトの一員であろうと、そのモンスターは立派な蛇。毒を吐けば、相手を冒すことは当然できる。

 

 

《不死武士》:攻撃力1200→攻撃力600

 

 

「バトルだ!ディスカバー・ヒッポで、不死武士を攻撃!」

 

 

ヒッププレッシャー!!

 

 

「あっ!てめっ!」

 

 

草薙遊士:LP4000→LP3800

 

 

「そして、ドンキーと、ウィップ・バイパーでダイレクトアタック!」

「させるか!罠カード、《ガード・ブロック》を発動!モンスター1体から受ける戦闘ダメージを0にし、カードをドローする!(4)」

「だけど、攻撃力の低い、ドンキーの攻撃は受けてもらう!」

「ぐわっ!」

 

 

草薙遊士:LP3800→LP2200

 

 

都心部では、アクションデュエルはやや時代遅れという風潮にはなっているが、リアルソリッドビジョンシステムは健在。質量を持ったドンキーの攻撃に、遊士は大きく突き飛ばされた。

 

「おい、遊士…」

 

冴えない顔をしたドンキーに突き飛ばされた遊士に、会場から聞こえるのは天竜崎が漏らしたような苦笑、そして…

 

「いいぞ、遊矢!!」

「がんばれーっ!」

 

 

「おい、てめえら!何であいつの応援してるんだよ!!おいこら、遊矢!てめえも、ありがとーっ!じゃねえっ!」

 

 

「やだ、遊士嫉妬してるわ。」

「ダサダサね。」

 

 

「ターンエンド!(2)」

<遊士:伏せ1枚 遊矢:伏せなし>

 

「こっからだ…いくぜ!俺のターン!(4)このスタンバイフェイズに、墓地に存在する、《不死武士》の効果発動!俺の墓地に存在するモンスターが戦士族のみの場合、このカードは墓地から特殊召喚される!」

 

 

《不死武士》:☆3/攻撃力1200

 

 

「お前が手札からエンタメイトを呼ぶなら、俺は手札から戦士族を呼んでやるぜ!手札から、《切り込み隊長》を召喚!(3)」

 

 

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200

 

 

「このモンスターは召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスターを1体、特殊召喚することができる!《コマンド・ナイト》特殊召喚!」(2)

 

 

《コマンド・ナイト》:☆4/攻撃力1200→攻撃力1600

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200→攻撃力1600

《不死武士》:☆3/攻撃力1200→攻撃力1600

 

 

「すごい!戦士族モンスターが3体も!しかも…攻撃力が上がった?」

「そう。《コマンド・ナイト》は、俺の戦士族モンスターの攻撃力を400ポイント上げる!」

「だけど、俺のウィップ・バイパーには攻撃力は及ばない!」

「ヘッ。そう言うと思ったぜ!あめぇなぁ。装備魔法、《融合武器ムラサメブレード》を、《切り込み隊長》に装備!(1)」

 

 

《融合武器ムラサメブレード》

装備魔法

戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。モンスターに装備されているこのカードは、カードの効果では破壊されない。

 

 

 

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1600→攻撃力2400

 

 

「攻撃力2400…!?だったら俺は、ウィップ・バイパーの効果発動!」

 

 

コンフュージョン・ベノム!

 

 

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力2400→攻撃力400

 

 

「相手ターンでも使えんのか!?おい、それを先に言いやがれ!」

 

 

眉間に皺を寄せ、顎を突き出すようにして遊矢を睨み付ける遊士に対し、すかさずブーイングの嵐が巻き起こった。

 

 

「うるせーっ!遊士!お前が確認しなかったのがいけねーんだよ!」

「遊矢気にしないでー!やっちゃってー!」

「遠慮せずにーっ!」

 

 

杉崎先生は生徒を制止させはするものの、それ以外は何も言わない。基本的に腕を組んで見ているだけだ。日頃事あるごとにメモを取る杉崎先生を見ている天竜崎は、その様子を不思議そうに見ていた。

 

 

(杉崎先生…メモとか取らねえのかな…取っちゃまずいのか…?そっか。お客さんの前だからか。)

 

 

「攻撃力400じゃ、ウィップ・バイパーは倒せねえな。だったら…バトル!《切り込み隊長》と、《不死武士》で、カバートークンを攻撃!」

「うわっ!」

「さらに、《コマンド・ナイト》で、《EMディスカバー・ヒッポ》を攻撃!」

 

凛々しい姿のコマンド・ナイトは、驚いた様子を見せ、涙目を見せるディスカバー・ヒッポに対しても容赦はせず、一閃の形で切り裂いた。

 

「ぐっ!」

 

 

榊遊矢:LP4000→LP3200

 

 

「速攻魔法、《魂の刃》を発動!」(0)

 

 

《魂の刃》

速攻魔法

自分フィールド上に存在する戦士族モンスターが相手モンスターを戦闘で破壊したターンに発動することができる。自分フィールド上に存在する戦士族モンスター1体を墓地に送ることで、相手フィールド上に存在する戦士族以外のモンスター1体を破壊し、相手に800ポイントのダメージを与える。

 

 

「バトルで相手モンスターを破壊した戦士族モンスターの魂と引き換えに、お前のモンスターを破壊する!俺は、《不死武士》を墓地に送って、ウィップ・バイパーを破壊!」

「なにっ!?ウィップ・バイパー!!」

 

 

白い光のオーラを纏った《不死武士》が、ウィップ・バイパーの腹部を切り裂き、破壊。間もなくして、《不死武士》は光となって散った。

 

遊士はアウェイのようであったが、この光景には「カッコイイ」という声を漏らすものもいた。

 

「さらに、800ポイントのダメージを与えるぜ。」

 

 

榊遊矢:LP3200→LP2400

 

 

「ターンエンドだ。」(0)

<遊士:伏せ1枚 遊矢:伏せなし>

 

 

 

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力400→攻撃力2400

 

 

遊矢のフィールドには攻撃力1600のフレンドンキーがいるが、《切り込み隊長》の効果によって、他の戦士族モンスターには攻撃ができないため、《コマンドナイト》と相討ちをすることはできない。しかも《切り込み隊長》に装備されているムラサメブレードは、カード効果では破壊されない強力な装備魔法である。

 

だがそんな状況にもかかわらず、遊矢はプレッシャーを感じなかった。負けるというプレッシャーはなかった。

 

「遊士さん。」

「…?」

 

 

「お楽しみは、これからだ!!!」

 

 

「…見せてくれよ。お前のお楽しみを!」

「ドローッ!(3)俺は手札のスケール1の《星読みの魔術師》と、スケール8の《時読みの魔術師》で、ペンデュラムスケールをセッティング!!」(1)

 

 

 

《星読みの魔術師》:S1

《時読みの魔術師》:S8

 

 

 

「なっ…こいつは…!?」

 

「ええっ!?」

 

突然、アリーナの客席の3Bの生徒たちが一斉に立ち上がった。セントラル地区でも、ペンデュラム召喚が珍しい召喚方法であることに変わりはない。高校生の手に届くものではないのだ。

 

杉崎先生は、立ち上がりことしなかったが、前かがみになり、その様子を見ていた。

 

「ペンデュラム…召喚!?」

「遊矢くんすごいわ!!」

「サイコーッ!」

 

 

「みなさま、ご喝采ありがとうございます!しかし驚くのはまだ早い!これで私はレベル2から7のモンスターが召喚できるのです!私の手札はこの1枚!どのレベルのモンスターが出てくるでしょうか!?」

「ここまで勿体ぶったってことは…レベル7か?」

「その通りです遊士さん!!」

「来るか…」

 

 

揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!!ペンデュラム召喚!雄々しくも美しく輝く二色の眼!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!!

 

 

 

《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》

ペンデュラムモンスター

レベル7/闇属性/ドラゴン族/攻撃力2500/守備力2000

【Pスケール:青4/赤4】

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」のペンデュラム効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:自分のペンデュラムモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。

【モンスター効果】

①:このカードがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

 

「こいつが…オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン。」

「バトルだ!オッドアイズ!その二色の眼で、捉えた全てを焼き払えっ!」

 

 

螺旋のストライクバースト!!

 

 

「切り込み隊長っ!!」

 

 

草薙遊士:LP2200→LP2100

 

 

「ドンキー!コマンド・ナイトと相討ちだ!」

「チッ!向かってきやがるか!」

 

 

相討ちをしてでもモンスターをつぶしに来る遊矢に、遊士は思い切りの良さも感じた。次のターンに《不死武士》が復活するとしても、遊矢に新たなモンスターを召喚されれば、ダイレクトアタックを受けかねない。

 

 

「ターンエンド!(0)」

<遊士:伏せ1枚 遊矢:伏せなし>

 

「俺のターン!!(1)」

 

 

遊士は、手札のカードに目を向けるよりも前に、不思議と、遊矢の胸元に下がっているペンデュラムの首飾りに目を向けた。発光していたから、気になったのであろうか。

 

(…なんで光ってんだ。あれ…?)

 

「あれ…俺の、ペンデュラム…?」

 

遊矢が思わずそう言ったのを、遊士は聞き逃さなかった。さらに言えば、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが頷いたのも、見逃さなかった。そして次の瞬間…遊士、遊矢の視界は青白い光に包まれた。

 

 

 

「あ…」

「あれ…?」

 

遊士の目の前には遊矢の姿が。そして、遊矢の目の前には遊士の姿が。それ自体は変わっていない。しかし、ここはアリーナではない。生徒はいない。他の招待されているデュエリストもいない。先生もいない。

 

青白い空間の中に2人が立っている。デュエルディスクもつけていない。

 

 

だが目の前には…オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの姿があるのは確認できている。

 

 

「遊矢。ここ…どこだよ…?」

「俺も…わかりません。でも…オッドアイズが…頷いたのを…見ましたか?」

「ああ。オッドアイズ、そして、お前のペンダントが、俺たちをここに…ン!?ちょっと黙れ!」

「えっ…?」

「いいから!」

 

 

『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン…このカードが我々には必要だな。サブリメイションカードと組み合わせ…オッドアイズ・アセンション・ドラゴンへと進化させる必要がある。』

『そうだ。全ての次元が新たなるステージに進むために、オッドアイズの力を使うんだ。』

『しかしそのためには…サブリメイションの力を持ったカードを持つ者がいなければ…』

『心配するな。ある程度、見立ては立てている。』

 

 

(オッドアイズ・アセンション・ドラゴン…どこから聞こえるんだ、この声…?)

 

「「うわっ!!!」」

 

 

2人が同時に声をあげると、目の前のオッドアイズはいなくなり、今度は真っ白な光に包まれ、目が眩むほどのものだと思ったその刹那…

 

「はっ。」

「あれ…?」

 

2人とも、首の発汗を感じたことで、これが夢でないことは悟った。

 

「遊…矢。」

「夢じゃないですね、今の。」

「あ…ああ。」

「とりあえず今は、このデュエルを完結させましょう!」

「わかってるぜ。」

 

 

どれくらいの静寂があったのかは不明だが、ギャラリーはすっかり静まりかえっていた。

 

 

遊士は記憶を辿り、アリーナの上方に位置しているペンデュラムモンスターを見た。

 

(そうだ。俺はストロング石島とコイツのデュエルを見たんだ。確かあの時…片方のペンデュラムモンスターで、アクションカード、《回避》の発動を無効にし、もう片方で、《バーバリアン・ハウリング》を無効にした。どっちだったか…)

 

 

「賭けるしかねえ!速攻魔法、《毒霧の刃》を発動!」(0)

 

 

 

(次回に続く)

 

 

<今日の最強カード>

《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》

ペンデュラムモンスター

レベル7/闇属性/ドラゴン族/攻撃力2500/守備力2000

【Pスケール:青4/赤4】

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」のペンデュラム効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:自分のペンデュラムモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。

【モンスター効果】

①:このカードがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

 

 

<次回の最強カード>

《毒霧の刃》

速攻魔法

このカードを発動するターン、自分はモンスターの特殊召喚は行えない。相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を対象として発動する。対象としたカードの効果を次の自分のエンドフェイズまで無効にする。この効果で無効にしたカードが魔法カードだった場合、エンドフェイズにカードを1枚ドローする。また、自分の墓地からこのカードを除外し、自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスター1体の攻撃力を500ポイントアップすることができる。この効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動することができない。

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