遊戯王UA   作:akc

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第22話-忍び寄る悪意の霧霞(きりがすみ)

「うわああああっ!」

 

《Heaven's Order》が発動したかと思うと、遊士とアリトは大きく吹き飛ばされ、一回転して倉庫内にうつ伏せに倒れた。

 

「遊士さん、アリト!」

 

遊馬が一番最初に倒れた彼らに近寄ったかと思えば、遊矢たちも次々に倒れた彼らに近寄った。

 

「見たかね。これが私たちの力。披露したのはほんの少しだがね。」

 

「一体、何だ。この力は…」

「気になるかね、アストラル?」

「なっ!?私が見えているのか?」

「当然だ。私たちは全てを知る、ヘヴンの直属の部下、ヘヴンズ・チルドレンなのだからね。《Heaven's Order》このカードは、フィールドのモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手に与える。」

「モンスターを破壊して、攻撃力分のダメージだと!?」

「そしてもう一つ教えよう。このカードに対して、カード効果は発動できない。」

「そんだけの効果があって、カウンターができないのか!?」

「そうだ。まぁ、厳密にはたった一つだけ、我々の力に対抗できる手段があるがね。」

 

そこまで言うと、トゥールはシャツの胸ポケットから1枚のカードを取り出し、地面に投げつけた。

 

「これは…!?」

「今日のは挨拶代わりだ。しかし、君たちがもしも本当に戦うという意思を見せるのであれば、そこに書いてある場所に明日行くが良い。そこで我々の仲間が待っている。もっとも、今日のデュエルでわかったはずだがね。危険なカードを持つ草薙遊士、そしてその仲間たち。さらにはバリアン七皇。いずれも、我々に敵うはずがない、と。」

 

「遊士さんが持っているカードは、危険なカードなんかじゃない!」

「榊遊矢。もはやデュエルモンスターズは、ただのカードゲームではないのだよ。君も1枚持っているではないか。迫りくる次元上昇の役者たるカード、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。」

「迫りくる次元上昇の役者…?」

「オッドアイズも危険だっていうのか!?」

「そうだ。君たちはあくまで人間なのだ。だからこそ、人間らしくあるべきだ。そんな危険な力を持ってはいけない。これは、警告だ。」

 

「警告…だと。」

 

「我々は、人間が持つにふさわしくない力を取り除く義務を有している。今すぐオッドアイズや、ライジング・ソード。それらのカードを渡せば、手出しはしないよ。では、考えたまえ。本当にどうすべきかを。」

 

あきれ顔ででそう言ったトゥールは、勝利の余韻に浸ることもなく、あくまで警告だと主張し続け、倉庫を後にした。

 

彼が倉庫のドアの外の夕暮れの道に消えていくのを見ると、零児たちは素早く気絶している遊士を担いだ。

 

「遊矢。君はオッドアイズのカードを捨てるのか?」

「そんな訳ねえだろ!オッドアイズは、ペンデュラムは…俺の…!」

「…わかった。とりあえず、戻るとしよう。遊士の手当ても必要だ。」

「あ、ああ。」

 

 

透明なガラスに四方を囲まれたその部屋で、彼はその様子をモニターの機能も持つ窓ガラス越しに見ていた。ガラスの先にあるのは雲と青空。差し詰め、雲の上にある天空のオフィスといったところか。

 

金髪の、全身白い衣装を身にまとった者は、ため息をつき、ボスチェアに座り、大型のデスクの上に自分の肘を置き、その手で顎を触っていた。

 

「失礼します。」

 

その言葉に対しては、外の青空を眺めながら、背中越しに返事をした。黒いマントに金色の刺繍。少し肌寒い気候の日には、とても便利なものだろうが、派手ではある服装のクラウダーが、ヘヴンの部屋へと入ってきた。

 

「クラウダーか。彼らの戦いを…見たのか?」

「ええ。ヘヴンも?」

「もちろんだ。トゥールは私の子の一人だ。戦いを見ないはずはない。」

「ならば話は早い。これで、わかったと思います。高次元に導く存在など、彼らの中にはいないと。」

「…?」

「ヘヴンはおっしゃられました。我々が人間が持っていてはいけない力を持つ者の排除は、いわゆるテストだと。」

 

ヘヴンはボスチェアーをクラウダーの方に向けると、「うむ。」と頷いた。

 

「彼らがその力を覚醒させることがあり得るのか、そして彼らにとって脅威となり得るものに立ち向かい、戦うことができるのかを試すテストだと!」

「ああ。」

 

それがどうしたと言わんばかりの表情一つ変えないヘヴンの態度に、クラウダーは拳を握りしめると、一歩前に出た。

 

「もう人外の力を持つ者は根絶やしにすべきです!!彼らに上昇した次元を統率することなどできるはずがありません!」

 

声を震わせながらヘヴンに言い放つクラウダーだが、ヘヴンは表情一つ変えず、真顔でクラウダーの瞳を見返した。

 

「あ…申し訳ありません。出過ぎたことを。しかし!!」

「わかった。クラウダー。君が言いたいことはわかる。だが、たった一度のデュエルで、そこまで決めて良いのか?」

「お…お言葉ですが、では、いつ判断されるつもりで?」

「慌てるなクラウダー。慌てた決断が良い結果を生むとは思えん。」

 

平社員が社長に考え方の訂正を求めることほど緊張することもない。クラウダーはその緊張の中で聞いたものが、一蹴されると、彼はひどく落胆した。

 

「あ、はい。」

「そう落ち込むな。私も別に何も考えていない訳ではない。トゥールは草薙遊士とバリアン七皇に対して、次の戦いがどこで行われるのかも教えてある。そこには、ヘヴンズ・サードを使おうと思っていてな。」

 

「ヘヴンズ…サード?では、ハードルを下げると…!?」

「大きく下がる訳ではない、心配するな。それに…まだ覚醒していない私の子どもが一人いるようだからな。」

「覚醒していない…?」

「彼女にもデュエルをさせる。早いところ働いてもらう必要がある。そこには君も同行してくれ、クラウダー。」

 

「はい。」

 

 

「何も世界はエクシーズ次元だけではない。ここばかりに全員の私の子どもを割くことはできんだろう。」

 

 

 

その翌日のこと。バリアンたちの本部の一室では、自分の思う通りにならないことに対して嫌気が刺したベクターが、メディカルルームを歩き回っている。

 

「おい、ベクター。お前、なぜ嘘をついた?」

「…」

「おい、聞いてんのか、ベクター!」

「うるっせえな!俺はな、今、考え事をしているんだよ。けが人ならけが人らしく、大人しくしてろギラグ!」

 

カプセルの中で、ベクターの作り出したバリアンズ・ヴィジョンを通じてアリトたちのデュエルを見ていたギラグを気にも留めず、地面を鳴らしながら、ベクターはその部屋を出て行った。

 

「おい!」

 

(くそっ!何なんだよ、あいつ!?いきなり出てきたかと思えば、俺たちの敵…?しかも、あんなふざけた奴とは言え、バリアン七皇の一人のアリトを倒すなんて。これじゃ、九十九遊馬とやり合って疲弊したあいつの力を奪うっていう、俺の計画も…)

 

バリアンの紅き世界の壁に肘をついてもたれかかっていたが、後ろから聞こえてきた声で我に返った。

 

「みんな、聞いてくれ!」

「ン…?」

 

「どうしたドルベ?」

 

「とうとう、戻ってきた。あの2人が。」

「あの2人…?」

 

ドルベの背後に、2人の影が見えた。2人が同時に一歩前に出ると、その様子を見ていたミザエルとベクターは同時に驚いた。

 

「長い間待たせて悪かったな。」

「ただいま、戻りましたわ。」

 

「ナッシュ。そしてメラグ。彼らが覚醒した。これで、バリアン七皇は、全員揃ったのだ!」

「それはおめでたいことだが…今はギラグとアリトはやられているから、実働部隊は5人だがな。」

 

(ナ…ナッシュ。)

 

ベクターの視線を感じたナッシュは、彼睨みつけた。一触即発とでもいうべきか。会って早々、そのような雰囲気が漂っている。

 

「ベクター。久しぶりだな。」

「あ…ああ。」

(今、こいつとやり合うのは得策じゃねえ。少しでもバリアンの力を吸収しねえと。)

 

「何だよ、ナッシュ。久しぶりの再会だってのに、そんな怖い顔をしてよ?」

「そうか。悪いな。多分それは、生まれつきのことだ。」

 

冷戦状態と表現するのが適切か、その状態を打破しにかかったのはベクター本人であった。

 

「ところでよ、アリトの仇、取りにいかねえのか!?」

「ほう。意外だなベクター。お前の口から、仇なんて言葉が出て来るとは。」

「何言ってんだナッシュ!アリトだってバリアン七皇の一員じゃねえか。仇を取りたいって思うのは当然だろ!?」

 

「それはそうだが、仇と言っても、どうすれば良いのか。」

 

「安心しろミザエル!さっきバリアンズ・ヴィジョンを使って、アリトのデュエルを見ていた時、敵の奴が場所は言っていた!」

「そうか。なるほど。」

 

「1人じゃ倒せねえなら…2人でかかれば大丈夫だろう!」

(アリトとギラグはここに居ることになるだろうし、ナッシュについては隙がないだろうし、メラグもしばらくはナッシュと一緒じゃねえかな。とすると、連れて行くのは、ドルベかミザエルか。ミザちゃんは、『2対1など卑怯者のすることだ!』とか言いそうで面倒くせえからな。ってことは、最初の生け贄は…)

 

「ドルベ!!一緒に行こうぜ!」

「私…!?いつものようにスタンドプレイをしていれば良いのではないか?数が必要になった時だけ我々を頼るとは…」

「んなかたいこと言うなよなぁ?じゃあお前、あれか?いいのか?アリトの仇をとれなくて!?」

「それは…」

「よし、じゃあ決まりだ!」

 

ナッシュの懐疑的な視線を気にせずにはいられなかったが、畳みかけるようにベクターは一気に決めた。決めてしまえば、あとは計画を実行するのみ。

 

(ドルベも、バリアンの参謀カッコ自称だからな。まぁ…俺の力にすれば、そこそこ強くなるんじゃねえか?これで、一人ずつ、俺の力にしていけば…)

 

「俺の…ではないな。」

 

(ン?ああ。わかっているぜ。)

 

遊馬とのかつての戦いで敗れたベクターがバリアンの世界にある「悪意の海」というところから解き放った存在-内なる声-に耳を傾けたベクターであったが、気味の悪い笑みを浮かべると、ドルベとともに本部を出て行った。

 

 

「こんな目立つ場所でデュエルをして良いのか。」

「大丈夫ですよ、クラウダーさん。ねっ?」

「…」

 

ハートランドシティ付近のダウンタウン。いかにもアメリカ映画でストリートバスケットボールが行われそうな路地で、3人が歩いている。

 

黒いマントに金色の刺繍。少し肌寒い気候の日には、とても便利なものだろうが、派手ではある服装のクラウダー。

クラウダーよりも少し低い身長、紫色の髪の毛の、上下とも真っ白の服装の少年。

そして、もう一人は、長身のやせ型の女の子。学生服なのか、スカートは紺色であった。上着にはパーカーを着用し、フードを被っている。

 

「返事がないなぁ…クラウダーさん。本当にこの子は僕らの仲間なの?」

「私は上司の命令に従っているだけだ。」

「またそれ。」

 

公園に差し掛かったところで、ジャングルジムのてっぺんから2人の男がクラウダーたちの目の前に降りてきた。

 

「ン!?」

 

「じゃっじゃじゃ~ん!!!俺、バリアン七皇のベクター!よぉ、ヘヴンズ・チルドレン。」

「バリアン七皇だと?」

「おうよ!お前ら…よくもアリトをやってくれたなぁ。それの敵討ちっていう訳よ!」

「ならば正式に我々との戦いを受け入れる訳だな?」

「当たり前だ!俺たちの敵はな、アストラル。そして九十九遊馬なんだよ!邪魔をするのなら、消えてもらうぜ!」

 

先ほどから彼の後ろで黙って聞いていたドルベが、腕組みを解いてベクターの隣に来た。

 

「ヘヴンズ・チルドレン。お前たちは、我々が倒す。お前たちの仲間のドナーというデュエリストと戦ったと、ナッシュが言っていた。事情はわかっている!さあ、いくぞ!私は、ドルベ!バリアン七皇の白き……」

 

人の話を遮り、紫色の髪の少年がわざと大きな声で言った。

 

「ヘヴンズ・チルドレン!だったら、僕は違うね。」

 

「…?」

「僕はミストっていうんだけど、ヘヴンズ・チルドレンじゃないから。デュエルは2人に任せましたよ。」

「どういう意味だ?」

「ヘヴンズ・チルドレンっていうのは、ヘヴンが集めた6人の精鋭。そしてその下にいる部下のことを、ヘヴンズ・サードっていうんだ。僕はそのうちの一人さ。」

「なにっ!?では数の上ではバリアン七皇を凌いでいるのか。」

「気にすんなよドルベ。そんな奴、雑魚ばっかに決まってんだろ?」

 

ミストは「え?」という形の口を作ったが、今度は話の間にクラウダーが入ってきた。

 

「お前たちは2人か。確かに私と、彼女がヘヴンズ・チルドレンではあるが、彼女はまだ覚醒していない模様。わかった。では私が2人の相手をしよう。」

「そうだよなぁ!そうこなくっちゃ…」

「舐めるなヘヴンズ・チルドレン!!2人でかかってこい!1人で我々に敵うと思うなよ!」

「おい、ドルベ!いいんだよ、こいつが1人でも戦うって言ってんだからよ!相手は1人の方がやりやすいだろ!?」

 

 

「いい。私…戦う。」

 

 

「ホワイト。しかし君はまだ。」

 

「大丈夫。」

 

ホワイトと言われた少女はクラウダーとミストの前に出て、デュエルディスクを構えた。覚醒していない彼女にデュエルをさせることがリスクを伴うと思ったクラウダーは咄嗟に前に出ようとしたが、彼の前には、ミストが出てきた。

 

「いいよ、クラウダー。僕とホワイトで相手をするよ。雑魚呼ばわりされて、黙っている訳にはいかないからねぇ!!」

 

「チッ。まぁいいか。意外の血の気の多い奴だな、2人でかかって来いよ!」

「2対2のタッグデュエルだな!!いくぞ!!」

 

「おい、ミスト。ホワイト…。」

「まあいいじゃないですか。フィールド、ライフポイント、手札、墓地全て共有しないってルールでどうですか?」

「いいぜ。どんなルールでも、負ける気がしねえがなぁ!バリアル・フォーゼ!!」

「バリアル・フォーゼ!」

 

スフィア・フィールドを投げつけ、紅い空間に、4人は収められた。

 

「デュエル!!」

 

 

 

ドルベ :LP4000

ベクター:LP4000

 

     VS

 

ミスト :LP4000

ホワイト:LP4000

 

 

 

「ではいくぞ!私の先攻!私は手札より、《光天使(ホーリー・ライトニング)セプター》を召喚!」(4)

 

 

光天使(ホーリー・ライトニング)セプター》

効果モンスター

レベル4/光属性/天使族/攻撃力1800/守備力400

➀:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。自分のデッキから、「光天使セプター」以外の「光天使」と名の付くモンスター1体を手札に加える。

➁:フィールドのこのカードを含むモンスター3体以上を素材としてエクシーズ召喚したモンスターは以下の効果を得る。

●このエクシーズ召喚に成功した時、このカード以外のフィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、自分のデッキから1枚ドローできる。

 

 

「セプターの効果により、私はデッキから、《光天使ウィングス》を手札に加える。(5)私はターンエンドだ!」

<ドルベ:伏せなし ベクター:伏せなし ミスト:伏せなし ホワイト:伏せなし>

 

「じゃあ…僕からいくよ。僕のターン。僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド。」

<ドルベ:伏せなし ベクター:伏せなし ミスト:伏せ1枚 ホワイト:伏せなし>

 

「は?それで終わりか?俺のターン!俺は手札から、《アンブラル・スライム》を攻撃表示で召喚!(4)」

 

 

《アンブラル・スライム》:☆4/攻撃力500

 

 

液状のスライムというよりも、紫色の塊に邪悪な顔がついたモンスターと言った方が近いように感じるモンスター。

 

「なんだ。君だって別に攻撃力500のモンスターじゃないか。」

「時期にわかるぜ。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!(3)」

<ドルベ:伏せなし ベクター:伏せ1枚 ミスト:伏せ1枚 ホワイト:伏せなし>

 

テンポよく進んでいたデュエルであったが、しばしの静寂が訪れた。不思議だと思ったドルベは、フードを深々と被っているホワイトの方に目を向けた。

彼が何かを言うよりも前に、ベクターが声を出した。

 

「おい!!お前、大丈夫なのかよ?お仲間も心配してるぜ?見ろよ、あの顔!」

 

ベクターはクラウダーの方を指さして煽るものの、ホワイトはそれを意に介さず、手札のカード3枚をフィールドにセットした。

 

「ヘッ。デュエルをしようとする意思はあるみたいだな!」

<ドルベ:伏せなし ベクター:伏せ1枚 ミスト:伏せ1枚 ホワイト:伏せ3枚>

 

「ミスト。ホワイト!!お前たちのフィールドにはモンスターが1体もいない!攻めさせてもらおう!!私のターン!(6)私は手札より、《光天使ウィングス》を攻撃表示で召喚!(5)」

 

 

《光天使ウィングス》

効果モンスター

レベル4/光属性/天使族/攻撃力1200/守備力1800

このカードが召喚に成功した時、手札から「光天使」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。

 

 

「ウィングスの効果発動!手札から、ホーリー・ライトニングを特殊召喚する!現れろ!《光天使ブックス》!!」

 

 

《光天使ブックス》:☆4/攻撃力1600

 

 

「レベル4のモンスターが3体…ミスト、ホワイト!!奴のオーバーハンドレッドナンバーズが来るぞ!」

「ふ~ん。」

 

「興味がないようだな。ならばその身をもって知るが良い!ナンバーズの力を!!私はレベル4のホーリー・ライトニング、セプター、ウィングス、ブックスでオーバーレイ!!」

 

 

現れろ、《No.102 光天使グローリアス・ヘイロー》!!

 

 

《No.102 光天使グローリアス・ヘイロー》(小説版)

エクシーズモンスター

ランク4/光属性/天使族/攻撃力2500/守備力2000

光属性レベル4モンスター×3

このカードは「No.」と名のついたモンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力を半分にし、その効果を無効にする。フィールド上のこのカードが破壊される場合、代わりにこのカードのエクシーズ素材を全て取り除く事ができる。この効果を適用したターン、自分が受ける戦闘ダメージは半分になる。

 

 

「ふ~ん。」

「まだ興味がないようだな。まずは、オーバーレイユニットとなった、セプターのモンスター効果発動!」

 

半透明のセプターがその場に現れると、その尻尾というべき部分から光線が放たれ、ホワイトのフィールドの伏せカードを貫いた。

 

自分の目の前のカードが突然破壊されたことに驚いた彼女は、少し口を開いたようだったが、彼はあまり気にせず、説明を続けた。

 

「セプターは、自身をエクシーズ素材として、3体以上のエクシーズ素材を必要とするエクシーズ召喚に成功した時、フィールドのカードを破壊できるのだ!これでホワイト!お前のフィールドの《攻撃の無力化》は破壊された!そして、カードを1枚ドローする!!(5)」

「いいねぇ、ドルベ!!張り切ってるじゃねえか!」

「いくぞ!グローリアス・ヘイロー!!ミストに直接攻撃だ!」

 

「僕は手札から、《ヴァニティ・ミスト》を特殊召喚!(3)」

「何…?」

 

 

《ヴァニティ・ミスト》

効果モンスター

レベル10/風属性/悪魔族/攻撃力4000/守備力0

 

 

グローリアス・ヘイローの5倍ほどの大きさのある白黒の霧の巨人のようなモンスターがグローリアス・ヘイローの目の前に立ちはだかった。

 

「何だぁこいつは!?」

「このモンスターは、相手が直接攻撃を宣言した時に特殊召喚できる。」

「攻撃力4000のモンスターを無条件に!?」

「もちろんリスクはある。このモンスターの召喚時、僕は攻撃力の半分のダメージを受ける。」

 

霧がかかったような巨人から白黒のオーラが使い手であるミスト本人を包もうとしたその瞬間、ミストの目の前にある罠カードがゆっくりと開いた。

 

「この瞬間永続罠、《モンスター・モンタージュ》を発動!自分のモンスター効果によって発生する効果ダメージはゼロになる!」

「自分のモンスターの効果ダメージをゼロにするカードだと…?」

 

「だが、お前もわかっているとは思うが、バトル中にモンスターの数が変化した場合、攻撃対象を選び直すことができる!グローリアス・ヘイローで、ホワイトにダイレクト…」

「ちょっと待ちなよ!!」

「何?」

「いや、それはいいんだけど、ヴァニティ・ミストは相手からの攻撃対象にならない効果がある。このまま攻撃すれば、僕への直接攻撃になるんだ。」

「その効果をわざわざ明かすとは。」

 

グローリアス・ヘイローは、光の槍を投げようとしているところで踏みとどまっている。ドルベは少し考えた後、すぐに決断を下した。

 

「バトル!!ホワイトに直接攻撃!」

「なんだ。そっちにいくんだ。まぁ、結局同じなんだけどね。」

「なにっ!?」

「《ヴァニティ・ミスト》の効果発動!相手モンスターが攻撃する場合、攻撃を無効にして、攻撃力の半分のダメージを与える。」

 

グローリアス・ヘイローが投げつけた槍はヴァニティ・ミストの目の前の宙で止まり、その状態で今度はその槍がドルベに向かっていった。

 

ドルベは咄嗟にその場でバク転をして間一髪で避けた。

 

「そんな効果が…」

 

 

ドルベ:LP4000→LP2750

 

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」(3)

<ドルベ:伏せ2枚 ベクター:伏せ1枚 ミスト:伏せなし ホワイト:伏せ2枚>

 

「じゃあこのエンドフェイズに、《ヴァニティ・ミスト》の効果で、このカードは特殊召喚したターンのエンドフェイズに手札に戻る!(4)」

 

「なにっ!」

「き…消えやがった。」

 

「僕のターン!(5)僕はこれで、ターンエンド。」

 

自分のターンに動こうとしない2人の態度に、嫌気が刺したのか、ベクターはドスの利いた声を張り上げ、2人をにらみつけた。

 

「おぉい!!なんだよそれ!?やる気ねえのか!?」

「やだなぁ。やる気はあるよ。」

「くそ。待ちデュエルしやがって!!だったらてめえのその霧のモンスター!!封じてやるぜ!俺のターン!(4)このスタンバイフェイズに、《アンブラル・スライム》の効果発動!ライフポイントを500払って、デッキから同名のモンスターを特殊召喚できる!!」

 

 

《アンブラル・スライム》:☆4/攻撃力500

 

 

「またそのモンスター?」

「さらに、もう1体の《アンブラル・スライム》の効果で、デッキからさらなる《アンブラル・スライム》を特殊召喚!!」

 

 

ベクター:LP4000→LP3500→LP3000

 

 

「俺はこのアンブラル・スライム2体で、オーバーレイ!!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!!エクシーズ召喚!!」

 

 

悪意の淵より目覚めよ!漆黒の闇へと誘う、狂気の霧霞!!《アンブラル・コンシャス》!!

 

 

《アンブラル・コンシャス》:攻撃力2000

 

 

「黒い霧的な?」

「そうよ。お前の霧を、食らいつくしてやるぜ!残念だがこいつが攻撃する間、相手はダメージステップ終了時までモンスター効果は使えねえ!!くらえ、《アンブラル・コンシャス》で、ミストにダイレクトアタック!!」

 

素早く黒い霧のモンスターがミストを通り過ぎると、彼の体に電撃のような痛みが走った。

 

「うっ…」

 

 

ミスト:LP4000→LP2000

 

 

顔を歪ませたところを見たベクターはすかさず自らのデュエルを続ける。

 

「さらに俺は、《アンブラル・コンシャス》の効果発動!自分のバトルフェイズ中にのみ発動することができる効果で、このカードと、このカード以外のアンブラルモンスターをリリースし、あぁ、もちろん《アンブラル・スライム》だがな。このカードと同じランクを持ち、エクシーズ素材に1体多くのモンスターを要求するモンスターエクシーズをエクシーズ召喚扱いで、特殊召喚することができる!!」

 

「つまり…3体分の素材か。ということは、ベクター!!」

 

 

現れろ、No.104!そのまばゆき聖なる光で、愚かな虫けらどもをひざまずかせよ!仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニング!!

 

 

《No.104 仮面魔踏士シャイニング》(小説版)

エクシーズモンスター

ランク4/光属性/魔法使い族/攻撃力2700/守備力1200

レベル4モンスター×3

このカードは「No.」と名のついたモンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。バトルフェイズ中に相手の効果モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし、相手ライフに800ポイントダメージを与える。また、1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。相手のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。

 

 

「いくぜ!シャイニングで、ミストに直接攻撃!」

「だったら今度は、《ヴァニティ・ミスト》の効果を使わせてもらおうかな!」

「無駄だ!シャイニングは、オーバーレイユニットを1つ使うことで、モンスター効果の発動を無効にして、相手ライフポイントに800のダメージを与える!さあ、手札に戻ってもらうぜ!!」

 

手札のカードを指で挟み、じっと見ているミストに、シャイニングが接近している。クラウダーはその様子を、黙ってみているだけだった。

 

 

(次回に続く)

 

 

<今日の最強カード>

《アンブラル・スライム》

効果モンスター

レベル4/闇属性/悪魔族/攻撃力500/守備力500

自分のスタンバイフェイズに500ライフポイントを払って発動することができる。自分のデッキから「アンブラル・スライム」1体を選び、自分フィールド上に攻撃表示で特殊召喚する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードをエクシーズ召喚の素材とする場合、闇属性のエクシーズモンスターの素材にしか使用できない。

 

<次回の最強カード>

《RUM-七皇の剣》

 

 

 

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