遊戯王UA   作:akc

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第30話-決断

天城カイト

 

・LP500

・手札2枚

・(モンスター)《銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)》(ATK0)(∞)

・(魔法・罠)なし

 

 

ノックス

 

・LP1800

・手札0枚

・(モンスター)《Heaven's Fourth Lioness》(ATK9000)(ORU0)

・(魔法・罠)1枚/《パワー・ブラスト》(∞)/《地獄の結界》(∞)

 

 

 

「いくぞノックス!俺のターン!(3)俺は魔法カード、《ギャラクシー・チェーン》を発動!」

 

 

《ギャラクシー・チェーン》

装備魔法

自分フィールド上に「ギャラクシー」と名の付いたモンスターが表側表示で存在する時に発動することができる。相手の墓地に存在するモンスター1体を選択し、相手フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚して、このカードを装備する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、攻撃はできない。また、自分フィールド上にエクシーズモンスターが存在する限り、装備モンスターの攻撃力は0になる。

 

 

「貴様の墓地のモンスターを、貴様のフィールドに復活させる!さきほど地獄の結界で俺のモンスターを復活させてくれたな!そのお返しだ!ノックスのフィールドに復活しろ!《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》!!」

 

 

《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》:攻撃力2000

 

 

「だがギャラクシーアイズの効果は無効。攻撃力は0だ。それでどうするという?」

「慌てるな。俺は手札から、《銀河の魔導師(ギャラクシー・ウィザード)》を召喚!」

 

 

《銀河の魔導師》:攻撃力0

 

 

「攻撃力0のモンスターだと?」

「ギャラクシー・ウィザードの効果発動!自身のレベルを8にすることができる!」

「レベル8が2体…」

 

 

《銀河の魔導師》:☆4→☆8

 

 

「レベル8の2体のモンスターで、オーバーレイ!!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

 

現れろ、《No.90 銀河眼の光子卿(ギャラクシーアイズ・フォトン・ロード)》!!

 

 

ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴンのパーツを散りばめたような体色のモンスターが現れた。右手には大剣を持ち、左手には青い竜の首がモデルになったような、立体感がある盾を持っている。

 

「こいつは…ナンバーズ!?」

「俺はバリアンが攻めて来ることを予想していた。貴様らから宣戦布告されたことは少し予想に反したことではあったが、この世界に迫る脅威と戦う準備は、既にしていた!!俺は無駄な時間を過ごしていた訳ではない!」

「だが、そいつの召喚に意味はない!《地獄の結界》の効果発動!この効果の対象となったモンスターがエクシーズ召喚の素材となった時、そのモンスターは破壊される!」

 

自身の周囲に浮遊するオーバーレイユニットの1つから黒いオーラが出たかと思えば、フォトン・ロードを取り囲もうとした。

しかしフォトン・ロードは大剣ですぐにそのオーラを振り払った。

 

「なに!?」

「残念だが、フォトン・ロードは、フォトンモンスターがオーバーレイユニットになっている限り、カード効果で破壊されることはない!」

「くっ。そんな効果が!」

「さらに、貴様のパンサーウォリアーに装備された《ギャラクシー・チェーン》の効果により、装備モンスターの攻撃力は0になる。」

「そうか。お前がエクシーズモンスターをコントロールしているからか。」

 

 

《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》:攻撃力0

 

 

状況が見えたハルトは、デュエルは終了していないが、笑みを浮かべた。緊張から解けた、と言った方が適切か。

 

「やった!これで兄さんのフォトン・ロードが、パンサーウォリアーを攻撃して、ライフが0だね!」

「ああ…。」

 

ドロワはその傍ら、険しい表情であった。彼女の視線は、ノックスの不気味な笑みと、ノックスのフィールドの伏せカードに向けられていた。

 

「いけっ!ギャラクシーアイズ・フォトン・ロード!!パンサーウォリアーを攻撃!!」

 

「罠カード、《オーバーレイ・リバース》を発動!」

 

 

《オーバーレイ・リバース》

通常罠

 

 

「前のターンに俺がオーバーレイユニットを使った場合にその次のターンで発動できる罠カード!こいつはエンドフェイズまで、ライオネスのオーバーレイユニットとなる!」

「…」

「残念だったな、カイト!さらに《Heaven's Fourth Lioness》のモンスター効果を発動!オーバーレイユニットを1つ使い、攻撃対象をこのカードに変更する!」

 

フォトン・ロードの目が光ったかと思うと、フォトン・ロードは自身の剣をパンサーウォリアーに対してではなく、ライオネスに向けた。

 

「まずい!これでは攻撃力2500で、9000に挑むことになるぞ!」

 

「終わりだカイト!迎え撃て!《Heaven's Fourth Lioness》!トライアンフ・ファング!!」

「俺はギャラクシーアイズ・フォトン・ロードの効果発動!相手のモンスター効果が発動された場合、オーバーレイユニットを1つ使い、その効果を無効にする!さらにこの効果で取り除いたオーバーレイユニットがギャラクシーと名の付いたモンスターだった場合、相手のカードを破壊する!」

 

 

フォトン・バニッシュ!!

 

 

「何だと!?」

 

剣に集めた光が徐々に広がり、そこから一筋の光線がライオネスに向けて放たれ、力の象徴ライオネスは石化したように動かなくなり、その後すぐ、ボロボロと崩れ落ちて行った。

 

「バカな。俺の…力の象徴が…俺が…負ける!?」

「止めだ!フォトン・ロード!攻撃力0のパンサーウォリアーを攻撃!」

 

「ぐあああああああっ!!」

 

 

ノックス:LP1800→LP0

 

 

宙を舞ったノックスだったが、すぐにコンクリートの地面にそのパッシブな彫刻のような体が打ち付けられた。カイトはすぐに駆け寄った。

 

「おいノックス!!ゴーシュは!!」

「フッ。カイト…さすがだな。俺…不勉強だったのか。エンターテイメントってのは、ある程度の強さがなけりゃ…成り立たなかったんだな。俺、お前のカードの効果…知らないのが…多すぎたのか。」

 

「そんなレベルではない!!」

 

「…カイト?」

「ヘヴンから与えられた使命とやらを忘れ、己の復讐のために、ゴーシュを、その力を使って倒してしまった。貴様のやっていることに、同情の余地はない!力を与えられた者なら、その力がどのように使われるべきなのかを…理解する必要があった!その点で貴様は終わっている!」

「…フッ。厳しいダメ出しだな。」

 

意識が朦朧とする中、カイトの浴びた罵声を聞き取ったノックスは、目を見開いて、カイトに、手に持っているカードを渡す。

 

「これは…《Heaven's Fourth Lioness》。」

「俺にできることは…もう、これしかない。デュエルに負けることは、クビを意味する。俺なりのケジメだ。受け取れ。」

「俺はこんなカードを使うつもりはない。」

「そういう意味じゃ…ない。俺…たち…ヘヴンのカードにカウンターする手段は…ヘヴンのカードを持っていることだ。そのカードがデッキにあれば…役に立つことが…あるはずだ。」

「なに?」

「…ヘヴンの力を使って負けた者の末路は…誰も知らない。残念だが…ゴーシュも、俺も…」

 

「子ども…そうだ。あいつら…頑張ってほしいなぁ…」

 

文脈がないと思った。言いたいことを羅列しているのだろう。息を切らしながらそう告げるノックスであったが、首が力なく傾いた。彼がそこから先、言葉を発することはなかった。

 

カイトが振り返ると、その場に崩れ落ちたドロワの姿が見えた。

 

「ゴーシュ。ゴーシュは…もう…目覚めんのか…!!」

 

彼女の鋭い眼差しがその場に倒れた筋肉隆々の男を捉えたかと思えば、彼女はヒールの音を響かせ、彼に飛び掛かるように接近し、胸倉を掴んだ。

 

「おい!!!ゴーシュはどうなるんだ!!寝てるんじゃない!!!答えろ!!!」

「やめろ、ドロワ。」

「ノックス!!お前の勝手なリベンジに付き合って、お前の…!!お前のッ……!」

 

彼女の両肩を抑えてカイトは彼女を引き起こした。大きく表情を変えたりすることは日ごろない彼女であったが、その時の涙でメイクが滅茶苦茶になっていた彼女の顔は、カイトに何も言わせなかった。

 

「カイト…カイト!私は…私はっ…!」

 

カイトは言葉をかけることはしなかった。ドロワは涙を自身の手で拭うと、再びその場に力なく跪いた。彼女の慟哭が、紅い空の下に響き渡っていた。

 

 

------

 

 

ギラグ :LP3000

アフタン:LP2000

 

 

「俺は、七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)の効果により、墓地のオーバーハンドレッドナンバーズを復活させる!蘇れ、《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》!さらにこいつをエクシーズ素材として、カオス・エクシーズ・チェンジ!」

 

 

現れろ!CNo.106 溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド!!

 

 

少しずつ赤みが増す空の下、バリアン七皇の一人、ギラグと、かつて科学者だったという肩書きを持つ、アフタンのデュエルが路地裏で繰り広げられている。

 

「これが…君の、カオスナンバーズか。だが、私のフィールドには、《光の護封剣》が出ている。」

 

 

《光の護封剣》

通常魔法

このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。

➀:このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て表側表示にする。

➁:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。

 

 

「これがある限り攻撃はできない。」

「攻撃もできないのに、カオスナンバーズを出す訳がねえだろ!」

 

ギラグのフィールドには伏せカードが1枚とカオスナンバーズが1体のみ。対するアフタンのフィールドには《光の護封剣》以外のカードは存在しない。

 

「まぁ、それもそうだがな。」

「魔法カード、《エクスチェンジ・ハンド》!自分フィールドのハンドモンスター1体と、相手フィールドの表側表示カードのコントロールを入れ替える!」

「私のカードと入れ替える!?それでは、君のナンバーズは…」

「甘いな!俺は、ジャイアント・ハンド・レッドの効果発動!カオスオーバーレイユニットを1つ使い、フィールドの全ての表側表示カードの効果を、エンドフェイズまで無効にする!」

「なっ!そうか。私の《光の護封剣》を無効にするために!」

「おおっ!俺が思っているよりつえぇじゃねえか、ギラグよぉ!」

 

壁にもたれかかりながらそう言ったベクターを気にもせず、ギラグはアフタンに言う。

 

「今お前のフィールドには《光の護封剣》以外のカードはなく、お前のライフは2000!これで止めだ!ジャイアント・ハンド・レッドの攻撃!」

 

 

万死紅掌!!

 

 

ゆっくりとジャイアント・ハンド・レッドがアフタンの目の前に詰め寄り、掌を真上にあげたかと思えばそこから思い切り腕の形をした自身の体を振り下ろし、アフタンを握りつぶそうとした。

 

だが、彼を握りつぶす寸前のところで、光が漏れだしたのがギラグにもわかり、彼の笑みは顔から消えた。

 

「何!?何が起こった!?」

「残念だったな。私は墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果を発動させてもらったよ。このカードを墓地から除外して、モンスター1体の攻撃を無効にする。フィールドのカード効果を無効にすることはできても、墓地のカードまでは無効にできない。ジャイアント・ハンド・レッドといえど、完全無欠ではない。」

「モンスターの攻撃が無効にされたって言うのなら、俺は場の罠カード、《リターンバック・ボーナス》を発動!」

 

 

《リターンバック・ボーナス》

通常罠

 

 

「メインフェイズ2でしか発動できない罠カード。このターン、モンスターの攻撃が無効になった場合は、俺の墓地のモンスターエクシーズ1体を守備表示で特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする!蘇れ!《No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー》」

 

 

《No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー》:攻撃力1000

 

 

「またそのモンスターか。さきほどの一撃は、痛かったがな。」

「あれは…あいつがドン・サウザンドから得たナンバーズか。」

「もう説明はいらねえとは思うが…バーナー・バイサーの効果発動!オーバーレイユニットを全て使い、このカードを、俺のナンバーズに装備する!装備モンスターは、相手に直接攻撃をすることができる!さらに俺は、《オーバーレイ・リサイクル》を発動!こいつの効果で、墓地のジャイアント・ハンドを、ジャイアント・ハンド・レッドのカオスオーバーレイユニットにする!!ターンエンドだ!(1)」

<ギラグ:伏せなし アフタン:伏せなし>

 

(こりゃ本当に勝てるんじゃねえか?そしたら俺もわざわざ面倒な戦いをせずに済むってモンだぜ?)

 

アフタンは白衣についた土を払い、手札の4枚のカードを見つめている。《オーバーレイ・リサイクル》によって、ジャイアント・ハンド・レッドにカオスオーバーレイユニットが復活したことが厄介だと思っている。確かにジャイアント・ハンド・レッドの効果は強制的に発動する。発動さえしてしまえば、バーナー・バイサーも取り除かれるものの、効果が無効になってしまっては勝てるものも勝てない。ナンバーズはナンバーズでしか倒せない。しかしアフタンはナンバーズを所有していない。

 

この時ばかりは、ヘヴンズ・サードであることを捨て、ナンバーズを所有したいと思った。

 

「フッ。いけないな。そんなことを思っては。私のターン、ドロー!(5)私は手札から、《コアキメイルの鋼核》を除外し、《コアキメイル・マキシマム》を特殊召喚!(3)」

 

 

《コアキメイル・マキシマム》

効果モンスター

レベル8/風属性/ドラゴン族/攻撃力3000/守備力2500

このカードは通常召喚できない。自分の手札から「コアキメイルの鋼核」1枚をゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができる。このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に手札から「コアキメイルの鋼核」1枚か「コアキメイル」と名のついたモンスター1体を墓地へ送る。または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する事ができる。

 

 

 

2人の目の前には銀色のうろこを持つまるで機械仕掛けの龍のように見える、《コアキメイル・マキシマム》が出現した。口から吐き出そうとしているのは青白い火の玉か。

 

「それがお前のエースモンスターか。」

「《コアキメイル・マキシマム》は1ターンに1度、フィールドのカード1枚を破壊する!消えてもらおう!ジャイアント・ハンド・レッド!!」

「学習能力のねえ科学者が、粋がるんじゃねえ!俺はジャイアント・ハンド・レッドの効果発動!カオスオーバーレイユニットを使い、フィールドの全てのカードの効果をエンドフェイズまで無効にする!」

 

ジャイアント・ハンド・レッドが握っていたバーナー・バイサーも放り投げられたものの、《コアキメイル・マキシマム》が吐き出した青白い火の玉はその場で消え去った。

 

同時に、アフタンがその眼鏡の奥から覗かせた勝ち誇ったような表情を見ると、ベクターは突如慌て始めた。

 

「おいギラグ!こいつは…!」

「これで君のモンスターからカオスオーバーレイユニットがなくなった!私は、《コアキメイル・マキシマム》をリリースして、更なるエースモンスターを呼ばせてもらおう!出でよ、《コアキメイル・エクステンド》!!」

 

 

《コアキメイル・エクステンド》

効果モンスター

レベル9/闇属性/ドラゴン族/攻撃力3800/守備力3300

 

 

まるで重油を浴びたかのようなドス黒い直方体の機械の塊がギラグの前の前に現れた。これではドラゴン族のモンスターかどうかがわかりにくい。

 

「何だこいつは!?」

「このモンスターは特殊召喚したターンに攻撃することはできない。だが、特殊召喚に成功した場合は、フィールドの全てのモンスターの攻撃力の合計の半分のダメージを相手に与えることができる!」

「何だと!?」

「《コアキメイル・エクステンド》自身は攻撃力3800ポイント。そして、ジャイアント・ハンド・レッドは攻撃力2600ポイント。合計すると、6400。それを半分にすれば…」

 

「さ…3200…!?」

 

 

ジェノサイド・ハボック!!

 

 

目の前の機械の塊の上部から粒子砲の砲塔が飛び出し、そこから光のエネルギーが集められたかと思えば、大型のレーザーが放たれ、ギラグは直撃を受けた。

 

「おい、ギラグ!!」

 

思わず声をあげたベクターだったが、ギラグは腕をクロスさせ、何とかその攻撃をガードすることには成功した。

 

 

ギラグ:LP3000→LP0

 

 

「私に勝てると思っていたのか?」

 

その場に跪いたギラグに少しずつアフタンが近づく。彼はデュエルディスクを構えており、何かをするつもりなのは間違いない。

 

ベクターはそれを阻止すべく、腕を前に伸ばし、バリアンの力を放った。咄嗟のことでアフタンは対応できず、それを腹部に受け、大きく後方に飛ばされた。

 

「うっ!邪魔をするな!」

 

「すまねえな、ベクター。」

「気にすんなよギラグ。今お前を助けたのは、お前を吸収するのは…あいつの役目じゃねえからだよぉぉぉ!!」

「なっ…!!」

 

ドン・サウザンドのシルエットがギラグには見えただろう。ギラグがたじろいだ一瞬、ベクターが再び前に手を翳すと、ギラグは瞬く間に紅い光の粒となって、消え去った。

 

(ア…アリト…す、すまねえ。)

 

当然それは、アフタンの目にも入っており、彼は驚きの表情でベクターを見ている。

 

「お前…何ということを!1人ならず2人までも!」

「何だ。情報早いじゃねえか。そうか。あいつか。俺と戦ったホワイトとクラウダーか。お前には感謝してるぜ。ギラグをやってくれたんだからよ!」

「…」

「だがお前に構う前に、探さなきゃならねえ奴が一人いるんだよ!」

「アリトか。」

「そう。俺が目を離した隙に勝手にどこかに行きやがって。」

「待て!お前の都合よく…」

 

ベクターを止めようとしたアフタンであったが、彼はデュエルディスクのディスプレイ画面を見ると、彼は舌打ちをした。

 

「招集か。さては誰かがやられたか…。ベクター。お前との決着は後だ。」

「そうこなくちゃな。慌てるナントカはもらいが少ないってな!」

 

 

------

 

 

ナンバーズクラブで会議をしよう。と鉄男が言い始めて15分が経過したが、特に何も進展はない。遊馬は相変わらず一言も彼らとは口を聞こうとしない。

 

「おい。今日はこれでお開きにしたらいいんじゃねえか、素直に。」

「遊士さん。」

「だって、遊馬だけじゃないだろ。辛いの。俺だってついさっき仲良くなった奴を失うのは、ちょっとさ。」

 

この状況が何かを打破してくれるとは思わないと遊士は思い、解散を提案したが、彼らの後方から聞こえてきた男の声がそれを棄却させた。

 

「おい。九十九遊馬はいるか?」

 

そこに立っているのは既にバリアルフォーゼを終えた状態のアリトであった。自分の名前が呼ばれたためか、遊馬はさすがに目線だけアリトに向けた。

 

「いやがったな、俺とデュエルだ!」

「やめろ!遊馬は今…」

「今…何だよ。どけ!部外者はすっこんでろ!」

 

「鉄男!!」

「鉄男くん!」

 

言葉の選択に迷っている鉄男を突き飛ばし、アリトは最も奥にいる遊馬にズカズカと歩みを進める。

 

「てめえの事情は知らねえが、デュエルは受けてもらう!」

 

今の遊馬がデュエルできる状態ではない。客観的に見て、アストラルとナンバーズという最も強力な力を持つデュエリストだからこそ感じている責任が、彼を襲っている。

 

徳之助がバリアン世界に飲み込まれてしまったのは、思えば遊馬のせいではない。だが彼の中は、自身がもう少し早く声を出せば、徳之助が飲み込まれるのを防げた。そういう思いでいっぱいなのだ。

 

遊士にとってはどうでも良いはずだ。彼らがどうなろうと、関係ない。今の自分に大切なのはユキ。ユキに近づくためには、ヘヴンとバリアン七皇の戦いに介入する必要がある、それだけだ。もしも遊馬の代わりにデュエルをしたとしても、ユキに近づけるとは思えない。挑まれたデュエルならまだしも、そうでないなら、黙っておくべきだ。

 

「邪魔だ。」

 

今度は遊馬の前に出ようとした委員長を払いのけた。彼は大きく姿勢を崩し、ベンチに頭を打ち付けてしまう。

 

「さあ遊馬。デュエルだ。」

「ちょっとアンタ!!遊馬とデュエルするなら、また今度に!」

「うるっせぇんだよ、女ぁ!」

 

血の気の通っていない表情であったアリトが、再三の横やりを受けてカッとなったその刹那、彼の拳を、学ランの男が止めた。

 

 

「お前いい加減にしろよ。」

 

 

「遊士さん!!」

「キャット!?」

「そ…そんな!」

 

「てめえ…草薙遊士。」

「俺はな、この場じゃ年長者なんだよ。先輩が尻尾巻いて逃げちゃ、格好つかねえんだよ!!遊馬とデュエルしたけりゃ、まず俺と戦いやがれ!!」

「てめえが俺と…?」

 

アリトはトゥールとの3人でのデュエルを思い出した。彼の脳裏に真っ先に浮かんだのは、ライジング・ソード。あのモンスターから放たれたオーラ。彼はあれには興味があった。

 

しばらく動かなかったアリトであったが、彼はその興味を示した。

 

「いいぜ。デュエルだ。あの時はサシじゃなかったからな。」

「そうこなくちゃな。けど、少し時間をくれよ。」

「時間だと?」

 

「遊士さん!!俺のために!!」

「勘違いしてんじゃねえ。お前にも戦ってもらう。このデュエル。遊馬!お前の、ナンバーズを俺に貸せ!」

 

遊士は遊馬のデッキケースを半ば強引に開いたが、メインデッキ以外にカードがないことがわかった。

 

「あれ…おい。お前、ナンバーズは!?」

「遊馬と連動しているナンバーズ、つまり私が預かったナンバーズは、遊馬と私しか使用できない。」

「はっ!?なんだよそれ。あいつはカオスナンバーズ使うんだぞ!分がわりぃだろ?」

「ごめん。」

「そんなトーンで謝るんじゃねえよ。だったらナンバーズなしで…」

 

「遊士。君には1枚だけ使えるナンバーズがある。」

 

「え?あんの?」

「遊馬が私と出会って得たナンバーズに関しては、君は使うことはできない。だが、たった1枚だけ、私と出会う前に、遊馬が得たナンバーズがある。それは…」

 

そこまで言うと、俯いてばかりいた遊馬が呟いた。

 

「ホープ。…希望皇ホープ。」

「そうだ。」

「ホープって、お前のエースの。」

「ホープには、私が彼と出会うトリガーとなる役割があった。私がナンバーズの回収を始める前に、唯一遊馬が持っていたナンバーズだ。これなら、私がデュエルに関与していなくても、使うことができる。」

「そうか!だったら遊馬。ホープを貸してくれ!」

 

遊馬は考えていたのか、話を聞いていなかったのか、恍惚とした表情であった。遊士は遊馬の両肩を抑え、鋭い眼差しで言った。

 

「仲間を守るんだろ!?だったらお前の力で、守って見せろ!デュエルは代わりにすんだからよ!」

 

意識を取り戻したかのように遊馬の表情が変わると、遊馬は、「お願いします!」と言って手に持っていたホープを彼に渡した。

 

「よし、いくぜアリト!」

「ホープをデッキに入れたくらいで、俺に勝てると思うなよ!」

 

「デュエル!!」

 

 

草薙遊士:LP4000

アリト :LP4000

 

 

デュエルディスクにはアリトの先攻だと書かれている。

 

「俺のターン!俺は手札から、《BKグラスジョー》を召喚!(4)さらに手札から、《BKスパー》を特殊召喚!(3)」

 

 

《BKスパー》

効果モンスター

レベル4/炎属性/戦士族/攻撃力1200/守備力1400

自分フィールド上に「BK」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚した場合、このターン自分はバトルフェイズを行えない。

 

 

「スパーは俺のフィールドにバーニングナックラーがいる場合、バトルフェイズを放棄して、特殊召喚できる!俺は2体のモンスターで、オーバーレイ!!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

 

現れろ、No.79!!鳴り響け、勝利のゴングよ!神をも打ち砕くその拳で、その手に勝利を奪い取れ!BK新星のカイザー!!

 

 

《No.79 BK新星のカイザー》(小説版)

エクシーズモンスター

ランク4/炎属性/戦士族/攻撃力2300/守備力1600

レベル4モンスター×2

このカードは「No.」と名の付いたモンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分の手札・墓地から「BK」と名のついたモンスター1体を選んで、このカードの下に重ねてエクシーズ素材とする。このカードの攻撃力は、このカードのエクシーズ素材の数×100ポイントアップする。また、このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、その時にこのカードが持っていたエクシーズ素材の数まで、自分の墓地からレベル4以下の「BK」と名のついたモンスターを選択して特殊召喚できる。

 

 

「ターンエンド!(3)」

「いきなりナンバーズのお出ましか。」

 

 

(次回に続く)




<今日の最強カード>
《No.90 銀河眼の光子卿(ギャラクシーアイズ・フォトン・ロード)
エクシーズモンスター
ランク8/光属性/戦士族/攻撃力2500/守備力3000
レベル8モンスター×2
このカード名の➂、➃の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
➀:このカードは「No.」と名の付いたモンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。
➁:「フォトン」と名の付いたカードをエクシーズ素材としているこのカードは効果では破壊されない。
➂:相手モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。その効果を無効にする。取り除いたエクシーズ素材が「ギャラクシー」と名の付いたカードだった場合、さらにそのカードを破壊する。
➃:相手ターンに発動できる。デッキから「フォトン」と名の付いたカードまたは「ギャラクシー」と名の付いたカード1枚を選び、手札に加えるか、このカードの下に重ねてエクシーズ素材とする。


《次回の最強カード》
《ならず者傭兵部隊》
効果モンスター
レベル4/地属性/戦士族/攻撃力1000/守備力1000
このカードを生け贄に捧げる。フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。
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