遊戯王UA   作:akc

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第4話-生徒会長からの挑戦!

降りしきる雨の中、遊士は家路を急いだ。たとえ大雨でもバスを使わずに自転車で登校するというのは、今時珍しいと言えばそうかもしれない。

 

「ふざけんなよ!通り雨だなんて…聞いてねぇぞ!」

 

そりゃそうか、通り雨の情報は入るはずがないかと遊士は独りごちた後に独り合点した。

 

「ただいま!」

 

自転車を止めてすぐに家に入った。郵便受けの確認を忘れて家の引き戸を閉めたが、自分がCDTの出場者に選ばれてから、郵便受けに入っているものが何か気になっている。

 

「何もなけりゃいいんだけどな…」

 

遊士が中身が気になって取ったそれは、B5サイズの手紙が三つ折りで入る、茶封筒だった。達筆とは、こういうものを言うのだろう。宛名の「草薙遊士」の文字は中央に集められており、見事にバランスの整ったものであった。

 

「誰だ…?雨宮サツキ…?あっ!!生徒会長じゃねえか!どれどれ…?明日の放課後にデュエルアリーナ?ふざけんなよな、勝手に決めやがって。」

 

遊士はその手紙を読んだ翌日、一人でデュエルアリーナに向かおうとしていた。

 

「あれ、今日どっか行くのか遊士?」

「ちょっと、デュエルアリーナにな。」

「は?アリーナ?特訓でもすんのか?」

 

そういえば遊士は、友人である天竜崎にさえ、自分がCDTの代表生徒になったことを明かしていないことに気が付いた。しかしそれが理由でアリーナに行く訳ではないため、その理由を話した。遊士は自分で格好をつけているつもりはないのだが、たまに古風なところが出る。

 

「ラブレターをもらってな。」

「ラブレター!?」

「お前は多分もらいたくない相手だろうけどな。」

 

「へぇ~…ラブレター…?誰から?」

 

ユキは掃除がされている教室内の窓際で話す2人の会話に首を突っ込んだ。

 

「お…おう、ユキ…」

「私には教えてくれないの~?」

「知っても嬉しくねえと思うぜ。生徒会長だ。」

「生徒会長…!?サツキ!?デュエルの招待状なんて、もらいたいわよ!」

 

「は?あのいかにも生徒会長って感じの冷たさのある女からなんて、もらいたくねえよ。仕方なく付き合ってやるけどよ。」

「知らないの遊士?サツキは、成績優秀で、毎回の定期試験学年10番以内に入って、さらにデュエルの腕も、プロに匹敵する腕だって言うじゃない!」

「そっか。成績優秀ってことは…デュエルの腕も優秀ってことか…おもしれえ。やってやるぜ!」

 

自分の言っていることと、遊士の口から出ることが食い違っていると感じたユキの口から出るものは、ため息以外何もなかった。

 

 

※※※※※※

 

 

午後3時50分。デュエルアリーナは時間で区切って借りることができる。デュエルフィールドは9つあるため、一度に多くのデュエリストが訪れても多少は余裕があるのだが、基本的には当日には借りられない。デュエルアカデミアの生徒は好きでデュエルをしているということが、わかる一面である。

 

既にアリーナには雨宮サツキが控えていた。細身な体と、銀色の縁のメガネが、より一層冷たさを際立たせる。雨宮の後方には、生徒会副会長の2人のうちの1人の山口ナツメと生徒会書記の海野カオリ。

 

彼女らは雨宮の取り巻きという訳ではなく、今回は友人として誘われたという意味が強い。というのも、2人とも雨宮の腰巾着という印象はないのだ。山口ナツメはダンス部の生徒であり、長髪の女子で、背丈がスラッとしている。(年齢的に難しいところもあるが)素直で実直、明るい性格で、笑顔がかわいいと男女問わず人気がある。そういう立ち位置は、ユキに似ている。

 

一方、海野カオリは、陸上部に所属する女子で、基本的には無表情であり、変化をするとしても授業中に見られるものはうるさい生徒に対して舌打ちをする程度。しかし最近は、様々な教員から微笑む様子も見られており、表情が豊かになってきた。

 

 

「草薙遊士さん、こんにちは。」

「雨宮サツキか。手紙とは随分とレトロな真似をするんだな。」

「あなたの戦い方ほどじゃないわ。」

「あんたも俺の戦い方にケチをつける気か。」

「それを確かめるのよ、古風かどうかを。そのデッキで、榊遊矢のペンデュラム召喚を破ったのなら…」

 

「稽古でもつけてくれるってことか。ありがたいことだな。」

「そんな生ぬるいものじゃないけど…いくわ!」

 

 

デュエル!!

 

 

草薙遊士 :LP4000

雨宮サツキ:LP4000

 

 

 

「私の先攻で行かせてもらうわ。モンスターを裏側守備表示でセット。カードを1枚伏せて、ターンエンド!(3)」

<遊士:伏せなし 雨宮:伏せ1枚>

 

1ターン目が終わると、ユキと天竜崎はナツメとカオリのところへと行った。座席は雨宮を背中から見る形ではなく、2人両方ともが見える場所であった。

 

「ナツメ!」

「あっ、ユキ先輩!遊士先輩の応援に来たんですか?」

「まあ…応援ってか…ねぇ?」

「興味があって、見に来たってとこだな。」

 

天竜崎はそう言って、ユキの質問に答えた。

 

 

「俺のターン!(6)俺は手札から、《ミスティック・ソードマン LV2》を召喚!(5)」

 

 

《ミスティック・ソードマン LV2》

効果モンスター

レベル2/地属性/戦士族/攻撃力900/守備力0

このカードが裏側守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わず裏側守備表示のままそのモンスターを破壊する。このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で、「ミスティック・ソードマン LV4」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。

 

 

「攻撃力900だあ?おい、遊士!裏守備モンスターを倒す気がないのか?」

「翔斗、知らないの?あなた遊士の友達じゃないの?」

「えっ?何がだよ?」

 

「モンスターは攻撃力だけじゃねえぜ。ミスティック・ソードマン LV2は裏守備モンスターをそのまま破壊する効果がある。どんなに守備力が高かろうと、こいつの前じゃ無力だぜ!」

 

面喰らった。雨宮は確かに面喰らったのだ。高い攻撃力のモンスターで、裏守備モンスターに攻撃を仕掛けると思っていたが、モンスターは攻撃力だけではないという彼の発言は、雨宮の考えを改めさせるものとなった。

 

(意外と考えているのね…)

 

「バトルだ!ミスティック・ソードマン!セットされたモンスターに攻撃!」

「リバースカードオープン!《通り雨》!」

 

 

《通り雨》

通常罠

フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを表側守備表示にし、そのモンスターが水属性モンスターだった場合、相手ライフに500ポイントのダメージを与える。

 

 

「セットされたモンスターをリバースさせる!」

「何だと!?」

 

 

《雨神の巫女-レーゲン》:守備力1900

 

 

「さらに、そのモンスターが水属性だった場合、相手に500ポイントのダメージを与える!雨神の巫女-レーゲンは水属性、よって500ポイントのダメージ!」

「クソッ!」

 

 

草薙遊士:LP4000→LP3500

 

 

「そしてバトルは続行される!」

 

「まずい。ミスティック・ソードマンがダメージ計算を行わずに倒せるのはセットされたカードだけなんだろ?このままじゃ1000ポイントの反射ダメージを受けちまうぞ!」

 

天竜崎のその声が遊士に合計ダメージ、1500という現実感を与え、手札のカードを発動させたと言っても、過言ではないだろう。

 

「させっかよ!いきなり1500のダメージなんて、幸先わりぃぜ!速攻魔法、《モンスター・バック》!俺のフィールドのモンスター1体を手札に戻して、バトルフェイズを終了させる!」

「これであなたのフィールドにモンスターはいなくなったわ。いくら反射ダメージを避けるつもりだからと言い、フィールドのモンスターを離すのはどうかしら?」

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」(4)

<遊士:伏せ1枚 雨宮:伏せなし>

 

「私のターン。(4)私は《雨神の使徒-プローア》を攻撃表示で召喚!」(3)

「また雨神モンスターか。」

「さらに、《雨神の巫女-レーゲン》を攻撃表示に変更!」

 

 

《雨神の巫女-レーゲン》:攻撃力1000→攻撃力1200

《雨神の使徒-プローア》:攻撃力1700→攻撃力1900→攻撃力2100

 

 

「攻撃力が上がりやがった!」

「レーゲンとプローアのモンスター効果よ。レーゲンが攻撃表示の時、私の場の雨神モンスターの攻撃力は、200ポイントアップする。さらにプローアの攻撃力は、フィールドの雨神モンスター1体につき100ポイントアップ!」

 

遊士が自分の伏せカードを一瞬見たのを、彼女は見逃しはしなかった。

 

(伏せカードを発動するのかしら…?)

「バトル!レーゲンで、直接攻撃!」

 

青い袴を穿いた白装束の巫女が、遊士に錫杖を向け、そこから青い波動が向かった。

 

「手札から、《トリック・ナイト》を特殊召喚するぜ!」(3)

「《トリック・ナイト》…?」

「相手が直接攻撃を宣言した時、このカードを守備表示で特殊召喚する事ができる!」

 

 

《トリック・ナイト》:☆3/守備力1000

 

 

「でも、《トリック・ナイト》の守備力は1000。」

「ヘッ!罠カード、《迎撃準備》を発動!」

 

 

《迎撃準備》

通常罠

フィールド上に表側表示で存在する戦士族か魔法使い族モンスター1体を裏側守備表示にする。

 

 

「これで、《トリック・ナイト》を裏側守備表示にするぜ。」

 

「どういう事だ?特殊召喚したモンスターを裏側守備表示に…?」

 

天竜崎のその疑問には、すぐさま対戦者である雨宮が答えた。

 

「リバース効果を使うためね。」

「そうだ。《トリック・ナイト》には、手札から特殊召喚する効果とは別に、リバースした時の効果もある!」

 

遊士がそう言い終わると同時に、青い波動が伏せカードを反転させ、褐色のブロックで作られたオモチャのような戦士がバラバラになって破壊された。

 

「リバースしたこのカードがバトルで破壊された時、このカードをバトルで破壊した相手フィールドのモンスター1体の攻撃力をこのカードの守備力と同じにして、他のモンスターの攻撃をこのターン無効にする!」

「レーゲンの攻撃力を下げつつ、プローアの攻撃を封じたという訳ね。」

 

 

《雨神の巫女-レーゲン》:攻撃力1200→攻撃力1000

 

 

「ターンエンド。(3)」

<遊士:伏せなし 雨宮:伏せなし>

 

 

草薙遊士 :LP3500

雨宮サツキ:LP4000

 

 

「遊士先輩、すごいですね!サツキ先輩とほぼ互角!」

 

純粋なナツメは、このデュエルがどういう意図で行われているかということを考えない。雨宮が、遊士が遊矢を倒したことに興味を持っていると本気で考えているのだ。

 

「でも、遊士のフィールドにはモンスターがいないわ。次のターンでどうするかが大事ね。」

「大丈夫ですよユキ先輩!」

「え、どうして?」

「勘です!えへへっ…」

「勘って…ねぇ。」

 

「俺のターン!(4)俺は手札から、《切り込み隊長》を召喚!(3)」

 

 

《切り込み隊長》

効果モンスター

レベル3/地属性/戦士族/攻撃力1200/守備力400

このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。

 

 

「モンスター効果発動!手札から、レベル4以下のモンスターを特殊召喚する!来い、もう1体の《切り込み隊長》!(2)」

 

 

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200

《切り込み隊長》:☆3/攻撃力1200

 

 

「切り込み隊長で、攻撃力1000になった、《雨神の巫女-レーゲン》を攻撃!」

「うっ!」

 

 

雨宮サツキ:LP4000→LP3800

 

 

《雨神の使徒-プローア》:攻撃力2100→攻撃力1800

 

 

「ターンエンドだ!(2)」

<遊士:伏せなし 雨宮:伏せなし>

 

「攻撃と防御を兼ね備えた良い一手ね。」

「ヘッ。《切り込み隊長》の効果をわかってるみてえだな。」

「常識よ。他の戦士族モンスターに対しての攻撃を封じる。それが2体いて、お互いが守り合っているということは、私のモンスターは、攻撃ができないということね。」

 

所謂切り込みロック。召喚時に同名モンスターを含め特殊召喚可能なモンスター2体によるロック。ロックを形成するのは容易であり、それが原因で一時期《切り込み隊長》は準制限カードであったこともある。

 

これをどう破るか。冷たい視線の奥で、確かに雨宮は自分の中の「何か」に火が点きかかっているのを感じている。

 

 

しかしそれも次のドローまでの一瞬であった。

 

 

「私のターン!(4)」(《デシーヴ・オーナー》)

(《デシーヴ・オーナー》…。そうだったわ。危うく私は、自分のすべきことを忘れるところだった。今はこのカードを発動して、あることを確かめなくてはいけない…)

 

既に前のターンから手札にあるカードを右手の人差し指と中指で挟み、デュエルディスクの魔法・罠カードのスロットに差し込んだ。

 

「魔法カード、《デステニー・ボルテックス》を発動。(3)」

 

 

《デステニー・ボルテックス》

通常魔法

 

 

「《デステニー・ボルテックス》、何だそりゃ?」

「自分フィールド上の水属性モンスター1体をリリースし、お互いのプレイヤーは手札のモンスター1枚を公開して捨てる。私は手札から、《雨神の語り手-ルビア》を墓地に送るわ。」

 

 

リリース:《雨神の使徒-プローア》

 

 

「だったら俺は、《ミスティック・ソードマン LV2》を墓地に送るぜ。」

「そしてお互いのプレイヤーはデッキから、レベル7または8のモンスター1体を手札に加える事ができる。この効果で手札に加えたモンスターは、このターンのエンドフェイズに、自分のフィールドのモンスター2体をリリースする事で、手札から特殊召喚する事ができる。」

「レベル7または8だと!?」

 

「そうよ。どうかしたのかしら…?あなたのエースモンスターでも手札に加えると良いわ。」

 

その言葉に一瞬ためらいを感じたが、遊士は迷わずにデッキからモンスター1体を手札に加えた。昇華をし続ける、遊士を数多くのピンチから救ってきた、あのモンスターである。

 

「私は、《雨神の祈祷師-アクアツォーネ》を手札に加える。(3)」

「俺は、《剣聖-ライジング・ソード》を手札に加えるぜ。(2)」

 

 

「サツキ先輩は、デステニー・ボルテックスの効果で、アクアツォーネを特殊召喚するのね!」

「それはないわ。」

「えっ。何よ、カオリ。」

 

先ほどからデュエルの経過を記録している海野カオリが、口を開いた。口数が少ないが、的を射たことを多く言う、そんな人のことをサイレント・ストロンガー(silent stronger)と呼ぶが、まさに彼女のことだろう。

 

「デステニー・ボルテックスはエンドフェイズに特殊召喚する。攻め手が遅れる上に、相手にエースモンスターを使われたらどうするの?」

「じゃあ、手札コスト…?」

「それだったら、デステニー・ボルテックスそのものを手札コストに充てれば良いじゃない。」

 

彼女はキャンパスのノートを、「サツキ先輩のデッキに入っているモンスターからすると…」と言いながら、パラパラとめくった。

 

「えっ、どれ…?」

 

ナツメはカオリのノートを脇から見に行った。

 

 

「私は手札からチューナーモンスター、《雨神の弾き手-ツユ》を召喚!」(2)

 

 

《雨神の弾き手-ツユ》:★1/攻撃力0

 

 

「チューナーだと!?」

「このモンスターをシンクロ素材とする場合、他のチューナー以外のモンスターは、墓地の雨神と名の付いたモンスターでなければならない。その際、雨神と名の付いたモンスターは、ゲームから除外される。レベル4のプローアに、レベル1のツユをチューニング!」

 

 

☆4+★1=☆5

 

 

光去りし天空より、その姿を現せ!シンクロ召喚!レベル5、《雨神の召喚師-レイン》!

 

 

《雨神の召喚師-レイン》

シンクロモンスター

レベル5/水属性/水族/攻撃力2200/守備力1500

チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上

1ターンに1度だけ、自分の手札または墓地から「雨神」と名の付いたモンスター1体を自分フィールド上に攻撃表示で特殊召喚する事ができる。この効果で墓地から「雨神」と名の付いたモンスターを特殊召喚した場合、このターンのバトルフェイズをスキップする。

 

 

「レインの効果発動!手札から、雨神モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する!私は手札から、《雨神の祈祷師-アクアツォーネ》を特殊召喚!」(1)

 

青い着物に身を包み、青い宝玉が先に埋め込まれている杖を天に掲げた召喚師。青の生地に毛皮の帽子を深々と被っているため、顔は見えない。

 

 

《雨神の祈祷師-アクアツォーネ》:☆7/攻撃力2300

 

 

「このタイミングで特殊召喚してきやがったか。」

「切り込み隊長2体の効果で攻撃ができないのなら…直接ダメージを与えるまで。私は、《雨神の祈祷師-アクアツォーネ》のモンスター効果を発動!」

 

十二単まではいかないものの、かなりの厚地の青い着物を着て立つ祈祷師が、指先から波のようにうねる波動を出した。その波動は遊士の真上に向かって放たれ、そこには雲が集って行った。集まるというよりは、積み重なり、新たな雲となるという印象であった。

 

「こ…これは?」

「1ターンに1度だけ、自分フィールド上に存在する雨神モンスター1体につき、相手に500ポイントのダメージを与える!この効果を発動する場合、このカードは攻撃ができない。さあ受けなさい!」

 

 

神々の気まぐれ!

 

 

「ぐあっ!てめっ!」

 

濡れることこそないが、そのエフェクトが、激しい雨となって、遊士を襲った。

 

 

草薙遊士:LP3500→LP2500

 

 

「そして…カードを1枚伏せて、ターンエンド。(0)」

<遊士:伏せなし 雨宮:伏せ1枚>

 

「おいちょっと待てよ。ターンを終わらせる前に、やらなきゃいけねえことがあるだろ。」

「フッ。そうだったわね。」

「鼻で笑っていられるのも今のうちだぜ。俺はフィールドの2体の切り込み隊長をリリースして、《デステニー・ボルテックス》の効果発動!手札から現れろ!《剣聖-ライジング・ソード》!!」(1)

 

 

身を褐色の鎧で包み、青白い光を放つ刃を持つロングソードを右手で握った青年。他の外面的特徴を挙げれば兜や、熱いものを感じられる眼差し。それだけ、本当にそれだけなのだが、威圧感が、場を支配している。

 

「ライジング・ソード。これが…」

 

 

《剣聖-ライジング・ソード》

通常モンスター

レベル7/光属性/戦士族/攻撃力2400/守備力2000

未知の力を持った剣聖。その力は、昇華され続けるといわれている。

 

 

雨宮がライジング・ソードを睨んでいると、ナツメは身も蓋もないことを言った。

 

「え?ただの通常モンスターじゃないですか。」

「違うのよ、アレが出た時の遊士は…」

「ああ。あいつは、遊矢を倒したカードでもあるんだ。あいつが出ると…」

 

(やっぱりだ。ライジング・ソード。お前がいれば、俺は誰にも負けねえ。お前の力を感じるぜ。成績優秀な雨宮…この生徒会長にもなっ!!)

 

「よし、この状況を逆転するカードを、ドローするぜ!俺のターン!!(2)」

 

雨宮には不思議と、彼のドローする軌跡が見える気がした。

 

「俺は装備魔法、《アサルト・アーマー》をライジング・ソードに装備する!(1)」

 

「おおっ!あの装備魔法は、遊矢を倒した時の!」

「バトル中に2回攻撃できるカードね!」

 

 

《アサルト・アーマー》

装備魔法

自分フィールド上に存在するモンスターが戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

装備されているこのカードを墓地へ送る事で、このターン装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 

 

「さらに、この状態のアサルト・アーマーを墓地に送って、効果発動!装備モンスターは、このバトルフェイズに2回攻撃できる!いけっ!ライジング・ソード!!」

 

 

アサルト・ソード・ブレイク!

 

 

ライジング・ソードは、一閃でレインを、逆袈裟でアクアツォーネを撃破した。

 

 

雨宮サツキ:LP3800→LP3600→LP3500

 

 

(やはり…ライジング・ソード。ただのカードではない。何かが宿っているかのような。私は見逃さなかった。彼はこのターンに手札に加えたカードを、魔法・罠カードゾーンに置いた。ということは、アサルト・アーマーをドローした。偶然と言えばそれまでだけど、この威圧感は…

 

 

だったらなおさら…)

 

 

「俺はこれで、ターンエンドだ!(1)」

「この瞬間、罠カード《デシーヴ・オーナー》を発動!」

「…!?」

 

 

《デシーヴ・オーナー》

通常罠

ターン開始時に、自分フィールド上にモンスターが2体以上存在していたターンに発動することができる。このターンのエンドフェイズに、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、相手フィールド上に表側表示で存在するこのターンに戦闘ダメージを与えたモンスター1体のコントロールを得る。その後、相手はカードを1枚ドローする。

 

 

発動直後、ライジング・ソードは、ゆっくりと振り返り、所有者である遊士を一瞥した。遊士は雨宮と同じようなライジング・ソードの視線を、冷ややかだと感じ、自分のモンスターではないような感じを受けた。

 

「おい…どうしたんだよ。」

「《デシーヴ・オーナー》は、モンスターが2体以上存在し、エンドフェイズに全ていなくなっている場合、相手フィールドのこのターン私にバトルダメージを与えたモンスターのコントロールを得る。」

「何だと!?じゃあ…ライジング・ソードは…」

 

 

「そう。さあいらっしゃい、ライジング・ソード…」

 

 

雨宮が手招きをすると、所有者が雨宮に移り変わったように、すぐさま彼女のフィールドに、ライジング・ソードは移った。

 

「このモンスターは、あなたに勝利をもたらしたのではなく、

 

 

 

所有者に勝利をもたらすということを、思い知らせてあげるわ!私の…ターン!!!」

 

 

 

(次回に続く)

 

<今日の最強カード>

《デシーヴ・オーナー》

通常罠

ターン開始時に、自分フィールド上にモンスターが2体以上存在していたターンに発動することができる。このターンのエンドフェイズに、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、相手フィールド上に表側表示で存在するこのターンに戦闘ダメージを与えたモンスター1体のコントロールを得る。その後、相手はカードを1枚ドローする。

 

 

<次回の最強カード>

《アセンション・リバース》

通常魔法

 

 

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