遊戯王UA   作:akc

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第41話-尖鋭の象徴!Heaven's First Sharpness

黒咲隼

 

・LP500

・手札3枚

・(モンスター)《RR-ブレイズ・ファルコン》(ATK1000)(ORU2)/《RR-シンギング・レイニアス》(DEF100)

・(魔法・罠)2枚

 

 

夜の騎士

 

・LP850

・手札1枚

・(モンスター)《Heaven's First Sharpness》(ATK2500)

・(魔法・罠)《Heaven's Transcend Field》(∞)/《騎士団の行軍》(∞)

 

 

「尖鋭の象徴…だと?」

「こいつこそが、俺様の最強モンスターだ!」

「まさかそいつも…」

「そう!このモンスターは、相手フィールドにモンスターが存在していても、直接攻撃することができる!いけっ!ダイレクトアタックだ!!」

 

1.5メートルほどの体長(?)の、黒を基調として、ところどころに金色の波状の模様があしらわれている剣が剣先を地面につけていたが、攻撃宣言を受け、一回転し、剣先を黒咲に向けて飛び立った。2体のレイド・ラプターズをものともしていない。

 

「チィッ!」

「ヘッ!何をしようが無駄だ!こいつは攻撃する時、相手の魔法・罠カードは受けない!」

 

剣を受けた黒咲の体から爆発が起こった。ナイトは左腕から力を抜き、余韻に浸りかけていたが、すぐに我に返った。

 

「バ…バカな!?」

 

「フッ。どうした?まだ俺のライフは残っているぞ。」

 

「すげえ!」

「何が起きたんだ?」

 

黒咲の目の前に罠カードが現れたかと思うと、その罠カードはすぐに姿を消した。

 

「どうして!?Heaven's First Sharpnessは、罠カードの効果は受けないはずだぜ!?」

「俺は貴様のモンスターに罠カードを使った訳ではない。罠カード、《RR-レディネス》を発動していた。」

 

 

《RR-レディネス》

通常罠

➀:このターン、自分フィールドの「RR」モンスターは戦闘では破壊されない。

➁:自分の墓地に「RR」モンスターが存在する場合に墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる。

 

 

「発動ターン俺のレイド・ラプターズはバトルでは破壊されず、墓地から除外することで、このターンに受ける全てのダメージを無効にする!」

「そういうことかよ…まあ別にいいけどな!負けるのはお前だ!それに変わりはないぜ!俺様はこれで、ターンエンド!(1)」

<黒咲:伏せ1枚 騎士:伏せなし>

 

「俺のターン!(4)《RR-ブレイズ・ファルコン》の効果を忘れていないだろうな?オーバーレイユニットを1つ使うことで、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、1体につき、相手に500ダメージを与える!」

「っ…!」

「ヘヴンカードが…呆気なかったな!くらえ!!」

 

再び小型飛行砲台を飛ばし、四方八方からの攻撃で《Heaven's First Sharpness》を破壊した。

 

 

 

夜の騎士:LP850→LP350

 

 

 

「直接攻撃は何も貴様の専売特許ではない!これで終わりだ!《RR-ブレイズ・ファルコン》で、ダイレクトアタック!!」

 

 

ストライク・クロウ!!

 

 

ナイトに向かって急降下をしたブレイズ・ファルコンだが、彼が左腕を正面に翳すと、時空の裂け目のようなものが彼の目の前に現れ、黒い物体がブレイズ・ファルコンの喉仏に当たったかと思うと、その体を貫通し、背中から出て来た。

 

「なにっ!?」

 

あまりのスピードに、黒咲には一瞬何かはわからなかったが、動きを止めたそれを見ると、《Heaven's First Sharpness》であることがわかった。

 

「おい、なんでだよ!?」

「今倒したじゃねえか!」

 

「モンスター効果か?」

「そうよ。このモンスターは破壊されたターン、相手モンスターの直接攻撃宣言時に特殊召喚して、そのモンスターを破壊し、バトルフェイズを終了させることができる!」

「チッ。」

「これでお前は攻め手を失ったぜ!次のターン!俺様のモンスターの直接攻撃で、お前のライフは0になる!」

 

 

直接攻撃で…というフレーズが、黒咲にとっては気がかりであった。

 

 

(奴のデュエルスタイルは一貫して直接攻撃。おそらくそれ以外の方法で相手のライフを削ることはほとんどない。だとすれば…奴は次のターン必ず…)

「俺はカードを1枚伏せる。そして、《RR-フューチャー・チッキー》を攻撃表示で召喚!(2)ターンを終了する!」

<黒咲:伏せ2枚 騎士:伏せなし>

 

 

《RR-フューチャー・チッキー》:攻撃力0

 

 

高い声を響かせ、卵の殻を頭の上に乗せ、あたりをきょろきょろした様子で現れたチッキー。くりくりした目がとても可愛らしいが、レイド・ラプターズらしくはない。

 

「攻撃力0のモンスターを攻撃表示!?」

「まさか…黒咲。」

 

「ヘッ!!俺様のターン!(2)俺様は魔法カード、《増援》を発動!(1)」

 

 

《増援》

通常魔法

自分のデッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を自分の手札に加える。

 

 

 

「そうはいかない!カウンター罠、《ラプターズ・ガスト》を発動!俺の場にレイド・ラプターズがいる場合、相手の発動した魔法・罠カードの効果を無効にし、破壊する!」

「それはわかってんだよ!これでお前の《ラプターズ・ガスト》はなくなったぜ!!俺様は…《冥界の番人》を召喚!(0)」

 

 

《冥界の番人》

通常モンスター

レベル4/地属性/戦士族/攻撃力1000/守備力1200

冥界への入り口を守る戦士。許可のない者は容赦なく斬る。

 

 

「クッ!手札に持っていたのか!攻撃力1000以下の戦士族の通常モンスターを。」

「俺様は、《Heaven's First Sharpness》の効果発動!俺のフィールドのモンスター1体に装備し、このカードの攻撃力分だけ、そのモンスターの攻撃力を上げる!」

「何!?装備カードになるだと!?」

 

黒い胴体の剣を持ち、《冥界の番人》は黒咲に対して構えを見せた。

 

 

《冥界の番人》:攻撃力1000→攻撃力3500

 

 

「いくぜ!《冥界の番人》で、ダイレクトアタック!!《Heaven's First Sharpness》の効果で、《冥界の番人》は魔法・罠カードの効果を受けない!」

「無駄だ!《RR-ディフレクター》を発動!俺のレイド・ラプターズ1体をリリースし、そのモンスターの攻撃力か守備力、どちらかの数値分だけライフを回復し、このターンに発生する俺への戦闘ダメージを半分にする!俺は、《RR-ブレイズ・ファルコン》をリリースする!」

 

 

 

黒咲隼:LP500→LP2500

 

 

 

「何だと!?どこまでもしぶといな!だったら、《Heaven's First Sharpness》の剣の一撃をくらえ!」

 

《冥界の番人》が飛び上がり、そのまま《Heaven's First Sharpness》を振り下ろした。咄嗟に黒咲は左腕のディスクでその攻撃を受け流したが、ディスクに接触した際の爆発で黒咲は後方に吹き飛ばされた。

 

 

黒咲隼:LP2500→LP750

 

 

「ぐあっ!」

「立て黒咲!!まだライフが残ってるじゃねえか!次の俺様のターン、ダイレクトアタックによって、お前のライフは尽きるぜ!ターンエンドだ!(0)」

<黒咲:伏せなし 騎士:伏せなし>

 

「フッ。貴様に次のターンは来ない。もはや貴様が《RR-ディフレクター》の効果に対して俺の場のモンスターを気にかけなかったことで、勝負はついた。」

「な…何を言ってやがる!?強がり言うんじゃねえ!お前のフィールドには、ひな鳥がいるだけじゃねえか!雛に、俺様の尖鋭の象徴を倒すことはできねえよ!」

「雛にはな。」

「…!?」

「雛は…成長するものだ。俺たちがたとえ貴様らや、融合次元の者からして、雛のような存在だったとしても、そこから成長し、大空を舞い、革命の翼で、貴様ら全てを薙ぎ払う!!俺の…タァァァァン!(3)」

 

黒咲がカードをドローすると、夜のはずだが、辺りにある木々から黒い姿の鳥たちがバサバサと音を立てて飛び立っていった。その音や、鳥たちのシルエットは、ナイトに戦慄を与えるのには十分な材料だった。

 

「こっ…これは!?」

「俺は、《RR-フューチャー・チッキー》の効果発動!自分のスタンバイフェイズに、このカードをリリースして、自分のエクストラデッキからレイド・ラプターズと名の付いたランク6以下のモンスター1体を守備表示で効果を無効にし、特殊召喚する!」

 

 

革命の道を突き進め!ランク6、《RR-レヴォリューション・ファルコン》!!

 

 

 

《RR-レヴォリューション・ファルコン》:攻撃力2000

 

 

 

「何かと思えば、攻撃力2000じゃ…」

「俺は手札から魔法カード、《RUM-スキップ・フォース》を発動!」

「ランクアップマジック!?」

 

「来たか、黒咲の十八番!」

「スキップ・フォース…」

 

「自分フィールドのレイド・ラプターズを選択し、そのモンスターよりも2つランクが高いエクシーズモンスターに、ランクアップさせる!俺はランク6のレヴォリューション・ファルコンで、オーバーレイ!!1体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築、ランクアップ・エクシーズチェンジ!!」

 

 

勇猛果敢なるハヤブサよ。怒りの炎を巻き上げ、大地をも焼き尽くす閃光となれ!ランク8、《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》!!

 

 

《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》

エクシーズモンスター

ランク8/闇属性/鳥獣族/攻撃力3000/守備力2000

鳥獣族レベル8モンスター×2

➀:このカードが「RR」モンスターを素材としてX召喚に成功した場合に発動できる。

相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

➁:このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は自分の墓地の「RR」モンスターの数×800ダウンする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「こいつは…!!」

「サテライト・キャノン・ファルコンはエクシーズ召喚に成功した場合、相手の魔法・罠カードを全て破壊する!!貴様の《Heaven's First Sharpness》は装備カード扱い!消えてもらう!」

「な…何だと!?」

 

 

ギガンティック・ロアー!!

 

 

サテライト・キャノン・ファルコンが自身の持つ砲身から3つ、火炎弾を飛ばし、《Heaven's First Sharpness》、《Heaven's Transcend Field》、《騎士団の行軍》を破壊した。

 

《冥界の番人》は手に持っていた黒い胴体の剣を失い、呆然としている。

 

 

《冥界の番人》:攻撃力3500→攻撃力1000

 

 

「そ…そんな…俺様の…ヘヴンカードが。」

「ヘヴンカードも1枚のカードに過ぎん。攻略ができないカードなど存在しない!そこに気が付かず、貴様は自分の実力を過信し、フィールドの状況を把握することを怠り、直接攻撃を続けていた訳だ。憐れなデュエリストめ!!貴様にヘヴンズ・サードという肩書は荷が重すぎたようだな!」

 

ナイト自身も呆然としていたようだが、彼はそこでヘヴンズ・サードという言葉を不意に呟いた。

 

「俺様は…ヘヴンズ・サード…か。うっ。」

 

ナイトは突然右手でこめかみ辺りを抑え、悶え始めた。その様子を見た遊馬は黒咲を睨む。

 

「おい!少し言い過ぎなんじゃねえのか!?」

「言い過ぎだと?俺は事実を言ったまでだ!こいつにヘヴンズ・サードは務まらなかった。それだけのことだ!」

 

「俺様は………俺は………どうして…ヘヴンズ・サードに!?」

 

「…ン?」

 

遊士が首を傾けると同時に、ナイトは顔をしかめた。発汗症状が始まったようだが…

 

「フッ。すぐ楽にしてやる!バトル!《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》で、《冥界の番人》を攻撃!」

 

少し高度を上げ、砲身を《冥界の番人》に向け、すぐにサテライト・キャノンを放った。

 

 

エターナル・アベンジ!!

 

 

「グッ!うわああああああああっ!」

 

 

夜の騎士:LP350→LP0

 

 

黒咲はすぐさま倒れたナイトに近づこうとしたものの、彼の姿は倒れた場所にはなかった。それだけではない。彼の着用していた甲冑もなくなっていたのだ。彼の姿は、エターナル・アベンジの閃光の中に消えたのだ。

 

「なに!?奴はどこに消えた!?」

 

黒咲、遊馬、遊士の3人が慌てふためていると、後ろから砂利を蹴りつける音が近づいてくることがすぐにわかった。

 

3人が振り返ると、そこには黒いマントを羽織った金髪の男-クラウダーが立っていた。彼を視認した3人の中でも、最初に彼に近づいたのは言うまでもなく遊士だった。彼の頭の中にはもちろん、ユキとクラウダーのことが鮮明に蘇っていた。

 

「てめえ…クラウダー!!」

「草薙遊士。そして九十九遊馬、黒咲隼。我々の再三の警告を聞かない者たちよ。」

「人の記憶を改ざんして、奪うような奴の警告なんて誰が聞くっていうんだよ!?」

「記憶を改ざん……?ホワイトのことか?あれは改ざんではない。元々ホワイトはヘヴンズ・チルドレンの一人だ。草薙遊士。君は彼女と同級生として過ごしていたようだが、それは彼女にとっては夢だったのだ。不運だが、これは認めるしかない。」

「ホワイトじゃねえ!!あいつはユキだ!!田村ユキ!」

 

淡々と言い続けたクラウダーに、遊士はデュエルディスクを向けた。

 

「クラウダー!てめえは俺がぶっ倒す!ここで決着をつけてやる!」

「慌てるな。私は今はここにはいない。それにヘヴンズ・サードを地上に派遣した以上、彼らが倒されるまで我々ヘヴンズ・チルドレンとはデュエルはできない。」

「んだと、てめえ!」

 

二者のやり取りを黙って聞いていた黒咲が今度は前に出た。

 

「ならば貴様は何をしにここにやってきた?ナイトというデュエリストの姿が消えたことと関係があるようだな?」

「ナイトを消したのは彼の精神に異常をきたす前に彼を強制送還する必要があったからだ。彼は幼い頃にヒーローになるのを夢見たが、ある日交通事故で死亡した。ヒーローになりたいという思いが、ヘヴンズ・サード候補生にさせたのだ。」

「ヘヴンズ・サード候補生…?」

「ヘヴンズ・サードはごく一部を除き、元々人間だった者だ。」

「元々…人間だった…?」

「そうだ。つまり彼らは人間としての一生を終えた後、この世に対しての未練や不満がある場合、ヘヴンズ・サードの候補生になる可能性がある。それを決めるのは、ヘヴンだがな。」

 

「何だって!?」

 

「今回このエクシーズ次元に派遣されたヘヴンズ・サードも皆そうだ。

優秀な科学者だったが自らの研究を成功させる前に子育てを全て押し付けられたと感じ、育児ノイローゼになった妻の一家心中で死亡したアフタン。

かつては一世を風靡した眠らない町の女王。支配欲に満ち、他者を自分の者とすることにだけ喜びを感じていたが、同時に虚しさを覚え、薬物中毒に陥り、副作用で死亡したラニット。

覆面プロデュエリスト、オーガーヘッドとして人気を得たものの、強さとエンターテイメントのバランスのとり方に苦労し、戦績不振でプロの世界を追放されてパニック障害となり、駅のホームから飛び降り、電車に跳ねられ死亡したノックス。」

 

「なるほど。生きていた頃の名前とは違うのか。」

 

アストラルがそう呟くと、クラウダーは一度頷いた。

 

「そうだ。生きていた頃の記憶はあり、その時の苦しみ、痛み、トラウマ等を乗り越えてヘヴンズ・サードとして戦う契約を交わすが、いくら何でも生きていた頃の名前を使わせるのは酷だからな。」

 

そこまでクラウダーが言うと、「さて…」と一呼吸おき、遊馬をにらみつけて続けた。

 

「私がここに来た理由だったな。ナンバーズを渡してもらいたい。それだけだ。」

「ナンバーズを!?」

「世界中のナンバーズはもう既に遊馬、アストラルの手に集まりつつある。カイトやⅢ、Ⅳ、Ⅴたちも持っているようだが、それがお前の手に渡ることは明白だ。」

「そんなことできる訳ないだろ!」

「ナンバーズは、人間が持って良いような代物ではない。元々アストラル世界とバリアン世界に出て来るものだ。お前もいい迷惑だ、アストラル。お前が九十九遊馬を巻き込んだんだ。遊馬の父親が絡んでいる話とはいえ。」

「何だよその言い方!ナンバーズは、争いの道具じゃねえ!アストラルの記憶なんだ!第一、アストラルは迷惑なんかじゃねえ!!」

「遊馬…」

「アストラルはな、確かに頭でっかちで、言ってることムカつくこともあるよ!けど…それでも…俺と一緒にかっとんできたんだ!俺を信じてくれてるんだ!俺もこいつのことを信じられるんだ!かけがえのない仲間なんだよ!それに…ナンバーズは、ドン・サウザンドとの戦いに決着をつけるための…ヌメロン・コードを手に入れるために必要な力なんだよ!渡せる訳ないだろ!」

「そうか。」

 

ナンバーズを渡すことを拒否されたクラウダーだが、驚いている様子はない。

 

「ならば実力行使しかないな。全てのナンバーズがお前の手に集まらなければ、結局はヌメロン・コードも手に入らない。我々が1枚でもナンバーズを手にすれば良い訳だな。それに…どうやらナンバーズの中には地球上では覚醒しないナンバーズもあるようだ。」

「何…!?」

「それは時が来たらわかることだ。」

 

用は済んだと言わんばかりにクラウダーは振り返り、スタスタと歩き出そうとした。ここにいないのはわかっているのだが、歩き出そうとする彼を見た遊士は思わず肩を掴もうとした。

 

「おい、待てよ。てめえ…これ以上ユキを戦いに巻き込んだら、許さねえからな。」

 

クラウダーは眉間に皺を寄せながらいかにも不機嫌そうな表情で振り返った。敵意をむき出しにしている。

 

「お前は何様のつもりなんだ?彼女の騎士気取りならそれはやめた方が良い。彼女を救えるのは同じような経験をし、同じヘヴンズ・チルドレンである私しかいない!草薙遊士。《ディメンション・ムーバー》を使って元の次元に帰るが良い。お前が身を引くべきだ。家族や友人が心配しているだろう。」

「うっせえ!!俺はユキを取り戻しに来たんだよ!帰れる訳…ねえだろ!」

「フッ。」

 

不機嫌そうな顔から一転して、物事を楽しんでいる表情へと変化させたクラウダーは続けた。

 

「まあ、それくらいの気概がなければ、アセンションカードを、アセンションナンバーズへと進化させるだけのことができるはずはないだろうがな。」

「アセンションナンバーズ……!てめえやっぱり、それを知って…」

 

クラウダーは遊士の発言を無視して再び彼らに背を向けかけたが、何かを思い出したようで、三度振り返った。

 

「黒咲。お前が聞きたかったことはわかる。前線基地を破壊したのが我々かどうか…だな?」

「そうだ。知っているならさっさと答えろ!」

「それは我々ではない。ドン・サウザンドだ。」

「ドン・サウザンド…!?」

「バリアン世界の神だと自称する者だ。彼がこの地上世界をバリアン世界にする一環として、前線基地を破壊し、その力を見せつけたという訳だな。」

「貴様らは関係がないのか!?」

「もちろん我々のすべきことは人間の領域を超えようとする者を止めることだ。だからやがては前線基地を破壊することにあったのは変わりないがな。言い換えればいずれはお前も倒す…黒咲隼。」

 

そう言うと、クラウダーはその場で姿を消した。

 

「貴様っ!」

 

「黒咲…」

 

その場に立ち尽くした黒咲を見た遊馬は声をかけたが、彼の耳にはアストラルの声が入った。

 

「遊馬。ナンバーズクラブの面々には連絡を入れた方が良い。」

「え…?どうしてだよ?多分ナンバーズは持ってないぜ?」

「念のためだ。ひょっとすれば彼らがナンバーズを手に入れたりするかもしれない。そうなった時にそれを感知したバリアンとヘヴンが狙いに来るはずだ。」

「バリアンも!?」

「当然だ。ドン・サウザンドからしても、我々がヌメロン・コードを使用することは阻止しなければならない。」

 

●我々の任務はナンバーズを集めてヌメロン・コードの所在を明らかにし、起動させること。

●バリアンは我々がナンバーズを集めることを防ぎ、この地をバリアン世界とすることを目論んでいる。

●ヘヴンは我々とバリアン両方を殲滅することを目標として動いている。

 

と、アストラルはそれぞれの組織の方向性がどのように向いているのかを明確に遊馬たちに示した。もちろんアストラルの意見なので憶測の域は出ないが。

 

「でもよ、ヘヴンが俺らとバリアンを倒すにしちゃ数が少なすぎじゃねえか?」

「そうだよな。しかも遊士さんには、アセンションナンバーズがある訳だし!」

「おそらく、先ほどの彼の口ぶりだと、彼はアセンションナンバーズを遊士が手に入れたことに対して、驚いてはいない。」

「だろうな。俺もそんな感じがしたぜ。」

「そんな、じゃあアストラル!それも計算済みだってことか!?」

「ああ。遊士がアセンションナンバーズを手に入れることは…彼らにとって脅威ではないのかもしれない。」

「まあいずれにせよ、数の上で圧倒的に不利なのに、勝てるって思ってる時点で、何かあるのは間違いねえよな。」

 

しばしの沈黙が訪れたかと思うと、遊士、遊馬、アストラルの視線は黒咲へと向けられた。

 

「お前はどうすんだ、黒咲?融合次元に行く手だてを探すのか?」

「ドン・サウザンドという奴がこの俺たちの仲間を倒したというのであれば…ヤツをこのまま放っておけば、俺たちの仲間はやがて根絶やしにされる。俺たちレジスタンスの埃のためにも…そのドン・サウザンドを叩く!遊馬。お前に協力するのはこのデュエルだけにしようかとも思ったが、もう少し付き合ってやる!」

「おう!頼もしいぜ!」

 

「俺も、バリアンも、ドン・サウザンドも、両方とも倒さなきゃいけない存在だ。」

「遊士。君にとってはドン・サウザンドは因縁がないのではないか?」

「何言ってんだアストラル。アリトをぶっ倒した時点でもう既に因縁はついたし、それに…お前等には世話になったからな。アセンションナンバーズを手に入れられたしな。」

 

「よっしゃあ!そうと決まれば、打倒バリアン、打倒ヘヴンだ!!かっとビングだ!」

 

無意識のうちに上を見上げた遊士は、紅色に染まりつつある空にも、星が瞬いているのがわかった。

 

 

「…ユキ。」

 

 

------

 

 

その日が夜遅かったからということもあり、ナンバーズを見かけたもしくは所持したという人は連絡をというメッセージだけを送った遊馬だった。

 

バリアンからすれば携帯電話などの電子機器は不必要なためか、バリアンの侵攻は、少しずつ回線に影響を与えているのはわかっていた。メッセージを送れはしたものの、電話が繋がらないケースが増えてきたのだ。

 

 

キャッシーはいつものように、可愛がっている猫たちに餌をあげた後、自らの屋敷のバルコニーにおいて休みの朝の日光浴をしようとしたところだった。

 

「今日はパパもママもお仕事キャット!猫ちゃんたち、一日中、遊んであげるキャット。」

 

ところが空は相変わらず紅い。バリアンの侵攻が進んでいる折に、日光浴などできるはずもない。彼女はため息をついて、スマートフォンを取りに屋敷の中に戻ろうとした時、「にゃーん」という鳴き声が聞こえて、すぐにバルコニーの縁へと向かった。

 

「あーら!そんな端っこにいたら、危にゃいわよ~!」

 

キャッシーが近づくとすぐにわかった。その子猫は何かを銜えているということに。

 

「えっ…?これは…にゃに?私にくれるの?」

 

子猫が小さな口で銜えているそれを手に取ったキャッシーは、首の下から頭の上にかけて撫でたが…思わず声をあげた。

 

「えっ!?これ……ナンバーズ!?」

 

 

「ほう。お前の家だったか!」

 

ナンバーズを手にした状態で顔をあげると、既にバルコニーに3人の人影があった。

 

「誰…!?」

 

最初こそ条件反射的にそう言ったものの、キャッシーは3人のうち2人の服装には見覚えがあった。ハートランドの学校の制服だからである。

 

「あなた…シャーク!!それに、シャークの…妹。あなたは…」

「私はミザエルだ。」

「えっ…?にゃんでそんな変な奴とつるんでいるの!?2人とも!?」

「私が変だと!?」

 

「キャッシー…とか言ったか?遊馬のダチの一人だな?残念だが俺はシャークじゃねえ。バリアル……」

「待って!!」

 

シャークとミザエルの体が紅く発光する前に、璃緒が腕を横に伸ばして制止した。

 

「メラグ…!?」

「私たちの力を使わなくても良いわ。彼女とは…デュエルの申し込みを以前したことがありますもの。」

 

以前…そういわれてキャッシーは思い出した。それは、ナンバーズクラブの面々が些細なことから仲間割れをし、彼らの仲を元に戻すために行われたスポーツデュエル大会。その最中での出来事である。

 

「覚えて…いてくれたの?」

「当然ですわ。今度デュエルしてくださらない?と言っておいて、忘れるような人だと思って?」

 

そう言って神代璃緒はデュエルディスクを構えてキャッシーの方へと歩み寄った。

 

「いいのかナッシュ?こんな戦い方をして?今バリアンであることを明かすべきだ!」

「バリアンであることを明かしても明かさなくても、奴を倒すことに変わりはないだろ。」

「そうだが!!」

 

 

(私は…あなたとは戦わなければならない。ナンバーズを、九十九遊馬の手に渡してもらう訳にはいかない。けど、あなたをバリアンの力で傷つける訳にはいかない。)

 

キャッシーは約束を覚えていてもらったので、嬉しさがあるはずだが、純粋な瞳でデュエルに向かっているようには見えない。

 

何かを悟っている…そんなように見える。果たしてそれが、璃緒…いや、メラグに感じ取れたかは不明だが。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

キャッシー:LP4000

神代璃緒 :LP4000

 

 

 

(次回に続く)





<今日の最強カード>
《Heaven's First Sharpness》



<次回の最強カード>
《捨て猫》
効果モンスター
レベル1/地属性/獣族/攻撃力100/守備力300
このカードが表側攻撃表示でフィールド上に存在する限り、 相手はこのカード以外のモンスターを攻撃対象に選択出来ない。


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