キャッシー
・LP200
・手札0枚
・(モンスター)《化け猫》(DEF0)/《No.29 マネキンキャット》(ATK2000)(ORU1)
・(魔法・罠)伏せ2枚/《猫集会》(∞)/《猫嫉妬》(∞)
メラグ
・LP1200
・手札2枚
・(モンスター)《零鳥姫リオート・ハルピュイア》(ATK2500)(ORU2)
・(魔法・罠)伏せなし
「ナンバーズを使わずに、私を倒すっていうの!?」
「そう。このターンであなたは終わり。リオート・ハルピュイアのモンスター効果を発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を0にする!」
「にゃっ…!?」
アーム・フリージング!!
《No.29 マネキンキャット》:攻撃力2000→攻撃力0
「ナンバーズはナンバーズでしか倒せない。けれど、超過した分の戦闘ダメージは当然受けてもらうわよバトル!リオート・ハルピュイアで、マネキンキャットを攻撃!」
「罠カード発動!《猫だまし》!」
《猫だまし》
通常罠
相手フィールド上のモンスター1体の攻撃宣言時、 自分フィールド上に獣族モンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。 相手モンスター1体の攻撃を無効にして、そのモンスターを相手の手札に戻す。
「相手モンスターの攻撃時、私の場に獣族モンスターがいる場合、その攻撃を無効にし、そのモンスターを手札に戻す!リオート・ハルピュイアはモンスターエクシーズ!手札に戻れないから、エクストラデッキに戻りなさい!」
リオート・ハルピュイアは、翼を振り上げたものの、その時点で光の粒となり、彼女のエクストラデッキに退いた。
「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド!(1)」
<キャッシー:伏せ1枚 メラグ:伏せ1枚>
「私のターン!(1)」
キャッシーは《カウンター・にゃうんたー》をドローしたのを確認した後、考えていた。彼女の視線には《猫嫉妬》が入ったのだが、今の手札とフィールドのカードでは、《猫嫉妬》の効果で相手のライフを0にすることができないことは、彼女にはわかっていた。
《カウンター・にゃうんたー》
速攻魔法
自分の罠カードが破壊された時に発動できる。 相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。 自分フィールド上の「猫」または「キャット」と名のついたモンスター1体の攻撃力は、エンドフェイズ時まで倍になる。
「まずは《化け猫》の効果を発動!墓地から《捨て猫》を手札に加える!(2)そして、《No.29 マネキンキャット》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手の墓地のモンスター1体を相手の場に特殊召喚する!」
アーム・フリージングによって四肢が凍り付いてしまったマネキンキャットだが、オーバーレイユニットがその場で音を立てて消え去ると、マネキンキャットは両目から出た光線で地面を照射した。
「また私の場にモンスターを復活させるの!?」
「そうよ!再びあなたのフィールドに蘇りなさい、《ガード・ペンギン》!」
《ガード・ペンギン》:攻撃力0
照射された場所から水面の上へと飛び立つようにして、《ガード・ペンギン》が現れたが、心なしか疲れている表情だ。
「そして、《No.29 マネキンキャット》の効果発動!相手の場にモンスターが特殊召喚された時、そのモンスターと同じ種族か、属性のモンスターを私のデッキから特殊召喚する!私は水属性モンスターをデッキから呼び出す!私のとっておきの切り札を見せてあげるわ!!」
出でませ、レベル10!《フォートレスキャット・アンフィビアース》!!
キャッシーの目の前に水たまりが現れたかと思うと、5メートルほどの箱が浮上してきた。しかし、それがすぐに箱でないことがわかった。
表面にはキャッシーによく似た猫の絵柄が見えており、箱の下の方には丸い物体が4つ見えたのだ。よく見覚えのあるそれは、まさしくタイヤであろう。
《フォートレスキャット・アンフィビアース》:攻撃力0
「何だこりゃ!?」
「すげぇぜ、キャットちゃん!!」
「バス…?」
「これぞ水陸両用の最終キャット兵器!」
「でも攻撃力0よ。それでどうやって私を倒そうっていうのかしら?」
「《フォートレスキャット・アンフィビアース》の攻撃力は、フィールド上に存在するこのカードを除く攻撃表示の猫モンスターまたはキャットモンスターの数×1000ポイントアップする!さらに私は、《捨て猫》を召喚して、(1)《化け猫》を攻撃表示に変更!」
《捨て猫》:攻撃力0
《化け猫》:攻撃力0
《フォートレスキャット・アンフィビアース》:攻撃力3000
「攻撃力3000…!?」
3体の猫と猫の砦がメラグの方へと向くと、キャッシーは一度深呼吸をし、鋭い眼差しでメラグを睨みつけた。
「璃緒さん!いや…メラグ!!覚悟!!《フォートレスキャット・アンフィビアース》で、《ガード・ペンギン》を攻撃!」
メラグにバスと形容されたそのモンスターの天井にあたる部分が開き、機械の可動する音が聞こえたかと思えば、砲塔が姿を現し、《ガード・ペンギン》を捉えた。標的にされたことがわかった《ガード・ペンギン》は頭部を押さえて、怯えている。
「罠カード、《ブリザード・ソウル》を発動!このカードは発動後モンスターカードとなり、私の場に特殊召喚される!」
《ブリザード・ソウル》:守備力1200
「罠モンスター?」
「そう!このモンスターが存在する限り、相手は他の水属性モンスターを攻撃することはできない!《フォートレスキャット・アンフィビアース》の攻撃は、《ブリザード・ソウル》へと向かう!」
氷の塊のようなモンスターがメラグの目の前に現れたかと思えば、フォートレスキャットの閃光の一撃によって、氷の塊は粉々に砕け散った。
「ぐっ!」
「まだよ!《フォートレスキャット・アンフィビアース》のモンスター効果発動!水属性モンスターを戦闘で破壊した場合、相手に500ポイントのダメージを与えて、私のライフは1000ポイント回復する!」
メラグ :LP1200→LP700
キャッシー:LP200→LP1200
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!(1)」
<キャッシー:伏せ2枚 メラグ:伏せなし>
ライフポイントは逆転したものの、この攻撃を凌がれてしまったことに対し、遊士は苦い表情で言った。
「やべえ。あの猫トラックは攻撃力3000だけど、他の猫は全て攻撃力0だぜ?あいつの手札には、《ブリザード・サンダーバード》があるから、そいつに攻撃されたら…」
「それは大丈夫!《フォートレスキャット・アンフィビアース》のモンスター効果!さあ、猫ちゃんたち!!砦に乗り込んでーっ!!」
キャッシーが頭の上で手を二度叩くと、《捨て猫》、《化け猫》、マネキンキャットは吸い込まれるようにして、《フォートレスキャット・アンフィビアース》の天井からその中へと入っていった。
「これは…!?」
「《フォートレスキャット・アンフィビアース》がある限り、他の猫ちゃんたちには手出しができないってことよ!」
「厄介なモンスターね。けど。」
逆説の言葉でセリフを止めたメラグは、デッキの一番上のカードに指を乗せた。ところが彼女はそこから動かない。メラグが何を考えているのか、キャッシーにはわかっていたのだ。
その様子を見ているキャッシーは、その覚悟を決めた瞳で言い放つ。
「使いなさいよ。」
「え…?」
「私はこのデュエルを始める時から、とっくに覚悟ができているの!バリアンの力、使いなさいよ!手加減なんて…いらないわ!!」
「ちょ、ちょっとキャットちゃん!!どうしてそんなこと言うのよ!?」
「フフッ。何でかしらね。小鳥。アタシはもちろん、遊馬の、役に立ちたいし、ナンバーズクラブのみんなのお荷物にはなりたくない!でも…私…デュエリストなの。正々堂々戦って、勝ちたいって、思っちゃった。それに…オーバーハンドレッドナンバーズ?それが、この局面で強いカードかなんて、わからにゃいもの!」
遊馬、小鳥、遊士、そして見えてはいないがアストラルに、精一杯の笑顔をして見せた。
「キャットちゃん。」
「そうね。覚悟はできているのよね。なら、バリアンの力…見せてあげるわ。私の、オーバーハンドレッドナンバーズをね。バリアル・フォーゼ!!!」
そこからは一瞬であった。いつものハートランドの学校に通う服装から、紅い戦士のバリアンの姿へと変わったのだ。
「それがあなたの…本当の姿!」
「そう。いくわよ!私のターン、ドロー!!(2)私は手札に戻った、《ブリザード・サンダーバード》を召喚!そして《ブリザード・サンダーバード》と、《ガード・ペンギン》で、オーバーレイ!!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」
No.103!絶対零度の力、見せてあげるわ!神葬零嬢ラグナ・ゼロ!!
《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》:攻撃力2400
「ラグナ・ゼロ!?」
両手に氷の刃を持つラグナ・ゼロがフィールドに現れると、ラグナ・ゼロの視界には、猫の砦が入っていた。
「これが…璃緒さん…メラグのオーバーハンドレッドナンバーズ。」
「何だこの寒気は…。」
「まずはラグナ・ゼロのモンスター効果を発動!オーバーレイユニットを1つ使い、フィールドに攻撃表示で存在する、元々の攻撃力と異なった攻撃力を持つモンスター1体を破壊する!」
ガイダンス・トゥ・フューネラル!!
両手の氷の刃の先端から放たれた水色の光線が猫の砦に直撃し、あっけなく猫の砦は崩れ去り、中にいた3体の猫がその姿を晒すこととなった。
「そんな…」
「そして私はカードを1枚ドローする!(2)もうあなたのフィールドにいるモンスターは全て攻撃力0。どうすることもできないわね。」
「…」
「あなたには感想を伝えられそうにないから、デュエルが終わる前に感想を伝えておくけど、このデュエルは楽しかったわ。」
「フッ……私も。」
「またデュエルできることを…楽しみにしてますわ。」
メラグが左手を天に掲げたのを見ると、遊馬は全身の血の巡る速度が速くなった感じがして、一歩前に出た。
「おい!!ちょっと待ってくれよ!妹シャーク!!こんなの、こんなのおかしいに決まってんだろ!!俺たちは、仲間だったじゃねえか!俺たちは……」
「ダメよ、遊馬。私の覚悟に…水を差さないで。」
「キャ…キャットちゃん。」
「安心して。九十九遊馬。あなたもいずれは倒すことになる。彼女に後を追うことになる。バトルよ。《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》で、《捨て猫》を攻撃!」
ラグナ・ゼロがブーメランのようにして投げた剣が、《捨て猫》を容赦なく切りつけた。その際に出た衝撃波がキャッシーを襲い、キャッシーは大きく吹き飛ばされ、バルコニーの柵を超えた。
キャッシー:LP1200→LP0
「…遊馬…くん。」
遊馬は慌てて彼女を救わんとばかりに手すりに手をかけたが、遊士と小鳥によって引き留められた。だが、皮肉にもそこからは飛び降りる必要はなかった。
彼女の肉体はすぐに光の粒となり、空中でその姿を消したのだ。
「キャットちゃん…キャットちゃん!!!」
「そ…そんな。」
「…」
「一般人で、私にオーバーハンドレッドナンバーズを使わせたのは彼女が初めてね。別に先ほど私が言ったことは嘘ではなくてよ。」
「一般人だと…シャーク妹!!いや…メラグ…だったか?お前、本当に平気なのかよ!?そんな風に、かつての友達を、そんな簡単に…」
遊馬が目を真っ赤にしてそこまで言うと、今度はナッシュが割って入った。
「またその問答かよ?もういいだろ。俺たちはとっくに、覚悟ができている。何度言わせりゃわかるんだ?」
「シャーク。お前も…」
「俺はもうシャークじゃねえ。バリアンのナッシュだ。」
「さて…」
キャッシーのカードが数枚、デュエルディスクから飛び出していたのはその場にいた全員がわかっていた。メラグはその数枚のカードに近づこうとした。
「…!?」
彼女が異変に気が付いたのは、《捨て猫》、《化け猫》、《フォートレスキャット・アンフィビアース》のカードがあったからだ。その時フィールドに出ていたモンスターの中に、もう1体モンスターがいたはずだ。
「まさか…アストラル!?あなた…」
「彼女の敗北を、無駄にする訳にはいかない。悪いが、ナンバーズは回収させてもらった。《No.29 マネキンキャット》、確かに受け取った。キャットちゃん。」
「アストラル…」
「遊馬!キャットちゃんは、覚悟ができていた。それなのに、君はそうして煮え切らない思いのままでいるつもりなのか?デュエルをすれば仲間。君はいつもそう言っているではないか。ならば、ナッシュやメラグと、もう一度戦い、絆を思い出させるしかない!!」
「アストラル。お前。」
すると突然ナッシュが脇腹を押さえてその場に蹲った。メラグはゆっくりと彼に近づく。
「う…!くそっ。こんな時に。」
「ナッシュ。やっぱり、アフタンとのデュエルで負った傷が。一度戻りましょう。」
「俺は…大丈夫だ。」
「無理は禁物だ。手負いの状態で勝てるほど、九十九遊馬は簡単ではないと、ナッシュは言っていただろう。戻るぞ!」
「わかったよ。遊馬。勝負は預ける。お前のナンバーズ、必ずもらい受けるぜ。」
「シャーク!!絶対に……絶対に……負けねえからな!」
遊馬が拳をナッシュに向けながらそう言うと、ナッシュ、メラグ、ミザエルはその場で姿を消した。
それと同時に、小鳥のスマートフォンが、ブルブルと着信音を立てて震えた。沈黙が辛いであろうこの時に、しゃべる口実となるのには最良のものだったためか、彼女は誰からかかってきたのかもロクに確認せず、電話に出た。
「あ…電話。もしもし。……あ、アンナ!?……遊馬!?なに?遊馬に何の用よ!?私にじゃなくて、遊馬にかければいいでしょ!?あ…電源が。それじゃあ…」
「ア…アンナ?」
小鳥に向かって遊馬が振り返ると、小鳥は頷いてハンズフリー通話に切り替えた。
『おいヘボ遊馬!久しぶりだな!』
「何だよアンナ。今はお前に構っている場合じゃ…」
『何だよその言い方!オレが電話してやったっていうのに!!』
「別にお前の電話なんて求めてねえって。」
『はあ!?お前の家、もう一回ロケットで撃ち抜くぞ!』
「おいおい、待ってくれよ!あれはもうやめてくれよ!修理すんのどんだけ大変だったか!わかった。話聞くからさ!」
『わかりゃいいんだよ!』
そのやり取りを黙って聞いていた遊士、小鳥、アストラルはあきれ顔であった。特に初めて聞く遊士は、あきれもあるが、気味悪がっているのは明らかだ。
『遊馬!お前…そういや、ナンバーズがどうこうって言ってたよな!?』
「えっ…ナンバーズ!?あ、ああ。そりゃ、ナンバーズは、大切なカードで。」
『オレ、海美姉ちゃんからもらったんだよ!』
「海美姉ちゃんって…海美プロのこと!?」
『おうよ!オレとお前でタッグデュエルをしたことがあったろ!その後!』
遊馬とこの電話をしているアンナというデュエリストは、学園祭で遊馬とタッグを組んでプロのタッグデュエリスト羽原海美、羽原飛夫夫妻と戦ったこともあり、その時の話をしている。
「その後…?」
『そう!この前久々にもう一回会ってさ!どういう訳かわからないけど、あの後デッキに紛れていたって。でも、あの時のデュエルを海美姉ちゃんは覚えていなくて、その後すぐに産休に入っちゃったからデッキに入っていたのにも全然気が付かなかったんだってよ。』
「そうか。そんで、そのナンバーズを…」
『遊馬にとって、必要なカードなんだろ?だから、渡しに行こうと思ってな!』
「そういうことか、わかった!」
今アンナがどこにいるのかを遊馬は聞き出し、2人はハートランド中央公園で落ち合うことにした。
その日はたまたまアンナのロケットが壊れており(そのため家を壊す発言はただの脅しでしかなかったのだが)、徒歩で移動するしかなかった。
しかしそのことが、思いがけない戦いを引き起こすことになる。
「チクショー。今日に限ってロケットが使えないなんてなー。別に今日じゃなくても良かったか、遊馬に会うの。でも…なぁ。この空を見てたら、そんな呑気な事いってもいられないだろうな。」
アンナが独りごちていると、中央公園まであと1分の路地裏に差し掛かったところで、道の真ん中に立ち、明らかにアンナの行く手を阻もうとするのがわかる者がいた。
「ン!?…何だ、お前!?」
「あなた。ここから先には行かせないわよ。」
アンナよりも身長が高い女性。銀色のロングドレスに身を包み、小麦色の肌に、厚い化粧、イヤリングもつけていて、かなり派手な服装。
「なんだよオバサン?」
「は!?オバサンですって?アタシはね、夜の女王と呼ばれていたのよ!」
「あっそう。オレ、そういう勧誘系は興味ねえし、急いでるから、じゃあな。」
「待ちなさい。あなた。ナンバーズを持っているわね。」
その単語を言われ、咄嗟にピタリと動きを止めてしまった。しかしそれだけで、その女性には十分だった。アンナがナンバーズを持っていると確信させるには。
「は…ナンバーズ?」
「大人しく渡しなさい。そのカードは、あなたが持っていていいものではないわ。」
「人の話を聞けって!オレが…ナンバーズ?持ってねえよそんなの!」
「しらを切ろうとしても無駄よ。私の名前はラニット。ヘヴンズ・サードの一人。あなたにはわからないかもしれないけど、特別な力を持つ者は、わかるのよ。」
「ヘヴンズ…サード?何でもいいけど、オレはナンバーズ81なんて持ってねえ!」
「81…??」
「あっ…」
アンナは自分でもわかるほど、瞬時の紅潮を感じた。
「お、お前!!卑怯だ!!」
「あなたが勝手に言ったんでしょう?ヘヴンズ・コート!!」
「なっ!?」
ラニットがそう宣言すると、2人の間を白い円が囲み、結界を作り上げた。
「これであなたは逃れることはできない。あなたのナンバーズ、アタシがいただくわ。そのカードがアストラルの手に渡ることはない!」
「アストラルだと…?オレはこいつを、遊馬に渡すんだ!!」
「あ、そう。アストラルのことが認識できないのね。そんな一般人に手を出すのは少し気が引けるけど、仕方ないわね。」
「一般人だと!?オレを舐めるなよ!九十九遊馬と愛のタッグを組んだデュエリストなんだぜ!」
「愛の…タッグ?」
「そうだ!オレは、献身的な愛の力で、遊馬を勝利に導いたデュエリストだ!」
恥ずかしげもなく堂々とそうラニットに宣言したが、そのセリフが引き金か、ラニットの表情が曇った。
「献身的な…愛。フッ。そう。残念だけど、愛っていうのはね、支配なのよ。」
「はぁ!?何言ってやがる!?」
「まあいいわ。このデュエルでアタシがたっぷりわからせてあげる!!」
「望むところだ!いくぜ!!」
「デュエル!!」
アンナ :LP4000
ラニット:LP4000
「アタシのターン!モンスターをセットして、カードを伏せて、ターンエンド!(3)」
<アンナ:伏せなし ラニット:伏せ1枚>
「いくぜ!オレのターン!(6)《深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト》を通常召喚!(5)」
《深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト》
効果モンスター
レベル10/地属性/機械族/攻撃力3000/守備力3000
このカードはデッキから特殊召喚できない。
➀:このカードはリリースなしで召喚できる。
➁:このカードの➀の方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は0になる
「攻撃力3000のモンスターを、リリースなしで召喚ですって?」
「このモンスターは、攻撃力を0にすることで、リリースなしで召喚ができる!さらにオレは《弾丸特急バレット・ライナー》を特殊召喚!(4)」
《弾丸特急バレット・ライナー》
効果モンスター
レベル10/地属性/機械族/攻撃力3000/守備力0
このカード名の➀、➂の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
➀:自分フィールドのモンスターが機械族・地属性モンスターのみの場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
➁:このカードの攻撃宣言の際に、自分はこのカード以外の自分フィールドのカード2枚を墓地へ送らなければならない。
➂:このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、「弾丸特急バレット・ライナー」以外の自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
「また攻撃力3000のモンスターを!?」
「オレは、2体のモンスターでオーバーレイ!!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
鉄路の彼方より、地響きとともにただいま到着!《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》!!
「これは…!?」
「グスタフ・マックスの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手に2000ポイントのダメージを与える!!」
召喚されるや否や、砲塔が飛び出し、エネルギーが充填されていく。
発車オーライ・ビッグ・カノン!!
「きゃああああっ!」
ラニット:LP4000→LP2000
ラニットの目の前にグスタフ・マックスの弾丸が着弾し、その爆風によってラニットは大きく吹き飛ばされ、見えない結界の壁に背中を打ち付け、その場で倒れた。
「立てよ、ラニット!!まだこれで終わりじゃねえ!」
「うっ…くっ…」
「バトルだ!グスタフ・マックスで、セットモンスターに攻撃!」
グスタフ・アタック!!
鉄路がセットされたモンスターまで延び、そのまま体当たりでモンスターを破壊した。破壊された大きな釣り目の緑色のワニのモンスターは破壊されたかと思うと、平べったい粘土のような形になり、ぺちゃ、という音を立ててグスタフ・マックスに取りついた。
「何!?これは!?」
「かかったわね!《グレイドル・アリゲーター》の効果発動!相手モンスターとの戦闘で破壊された場合、装備カードとなり、相手モンスターに装備される!そして装備モンスターのコントロールを得る!!」
「何だと!?」
異空間に消えたグスタフ・マックスであったが、すぐにラニットの目の前に現れた。
「これでグスタフ・マックスはアタシのもの。これが私のやり方、見せてあげるわ。アタシの…支配のデュエルを!!」
(次回に続く)
<今日の最強カード>
《No.29 マネキンキャット》(小説版)
エクシーズモンスター
ランク2/光属性/獣族/攻撃力2000/守備力900
レベル2モンスター×2
このカード名の➂の効果は1ターンに1度しか使用できない。
➀:このカードは「No.」モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。
➁:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。
➂:このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと種族または属性が同じモンスター1体を自分の手札・デッキ・墓地から選んで特殊召喚する。
<次回の最強カード>
《No.81 超弩級砲塔列車スペリオール・ドーラ》
エクシーズモンスター
ランク10/地属性/機械族/攻撃力3200/守備力4000
レベル10モンスター×2
➀:このカードは「No.」モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。
➁:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターはターン終了時まで、そのモンスター以外のカードの効果を受けない。この効果は相手ターンでも発動できる。