新道、平坦にあらず 作:hawkman
ありがたくもお気に入り登録してくれている方々、
ま た せ た な !!
色々終わっていないが、やることはあるが、リアル大事にしているが、それでも更新が遅くなってしまったことをここにお詫びしたい。さらに言えばもっと話を進めたいと思っているのだがあんまり進んでいなくて申し訳ない。
いや本当にまだ対して本筋に入れていないのがね、かなしいね。あんまり更新速度上げるぜ―――とか無責任に言えないのがまた申し訳ないのですが一応エタっていないということだけお見知りおきを。
では本編のほうをどうぞ。
夜の公園。昼間ならば多くの子供たちで賑わい明るさと騒がしさに満ちる場所であるが、夜の帳が下りた公園は太陽の下には無い静謐さと月明かりの神秘を湛え、昼間とは様子を一変させている。
そんな場所に駆け込んできた二人が昼間の主である子供というのは面白おかしいかもしれない。
もっと面白いのはその子供達は夜の公園にも似合いな力を持っていることだろうか……。
「はぁ、はぁ……つ、疲れたぁ~。しばらくは走りたくないの……」
「お疲れ様。とりあえず座って休みなよ」
普賢がベンチを指差し言うと、疲労困憊といった少女は素直にベンチに腰掛けた。
一方普賢は少女の対面に立ったままだ。同じ距離を走ってきた筈なのに息一つ切れていない。休む必要は無いということだろう。
これから色々話すのだから意味なくベンチに腰掛けるより、話しやすさを取ったようだった。
「まずは自己紹介からだな、俺は天瀬普賢。海鳴小学校の三年生だ。ついでに言うと生まれつき不思議な力が使える。君は?」
「私は高町なのは、聖祥小学校に通ってます。同い年だったんだね。魔法はさっき使えるようになったばかりなの、よろしくね!」
高町なのは、ぱっと見た印象は元気で素直そうな少女であるだろうか。明るめの茶髪をツインテールにした活発な雰囲気を持った美少女だ。
「うん、よろしく。それで、自己紹介早々に、悪いん、だけど」
「えっと、なにか……なんでしょうか?」
詰め寄ってきた普賢になのはがひるむ。
月明かりに照らされた無表情は驚くほどに不気味な雰囲気を醸し出しており、その迫力に息が詰まってしまったのだ。
「さっきの砲撃を俺に直撃するコースで撃ったことに関してなにか言いたいことはある?」
普賢のこめかみがひくひくと動く。間違いなく普賢は怒っていた。
あの化物を一撃で葬り去る威力の砲撃を躱せていなかったら普賢の命は危なかった。
普賢の見たところ、あの砲撃の威力は自身の放ったエナジークラッシャーを上回っていた。
普賢はろくな防御もせずにエナジークラッシャーの直撃を食らって生き残れる自信などなかった。
つまり、彼女の砲撃の直撃を喰らっていたら普賢はその命を落としていたのだ。
「え、え~と、それは……」
「それに関しては僕が撃ってくれって頼んだんです、普賢君。警告もギリギリになってしまって本当にごめんなさい」
実はなのはの肩にしがみついて移動してきていたユーノが、言い淀むなのはの代わりにベンチの上に立って普賢の問いに答えていた。
普賢の瞳がユーノをギロリと睨んだ。
「なんで事前に警告しなかったんだ? かなりギリギリだったぞ」
「早く決着をつけようとして焦ってしまったんだ。いつまでもあんな綱渡りな状況でいられるとは思えなくて……」
幾本もの鞭を操って、鞭の嵐と黒い弾雨を叩き落とし続けるなどという周りから見ていても緊張を強いられる戦いは、戦闘慣れしていないユーノにとって焦るなと言う方が無理のある話であった。
だからこそ一撃で勝負をつけられるなのはの砲撃を撃ってしまったのだ。しかし、焦りで仲間ごと致命の一撃を撃つ免罪符にはならない。
それも出会って直ぐという関係性ならば尚の事である。
「――――結果的には被害は無かったから、いい。けど二度とはゴメンだ。味方の攻撃で死亡とか笑い話にもならないからな」
「し、死亡!? あっ、そうか。尚更ごめんなさい。あの砲撃は非殺傷設定でしたから怪我の心配は無いんです」
「……なに?」
「非殺傷設定と言うのは――」
先程、あの砲撃を受ければ普賢の命が危ないといったがそれは正しい。しかしそれは殺傷設定の場合である。
非殺傷設定とは物理的なダメージを魔力ダメージに変換することによって殺傷力を無くしたものであり、最悪気絶で済むのだということをユーノは語った。
そしてそれが魔法を使う魔導士たちにとってのスタンダードであり、だからこそ普賢が非殺傷設定を使っていないことにも驚いたのだという。
「……なるほどね、それだったら最悪俺ごと撃つのはアリだな」
説明を聞いた普賢は怒っていたことなどすっかり忘れ、ユーノの話に何度も大きく頷いてすらいた。
あまりにあっさりと怒りを無くしたためにユーノは狐につままれたような顔をしていたが、普賢が納得したことで話は丸く収まることとなった。
普賢は決定的に自身が害されない限り大抵のことを笑って許してしまう無駄に懐の広い所があった。それでいて普段の暮らしにおいては周囲に対してまるで配慮などしない心の狭さを発揮するというチグハグさがあるが――――それは彼の度量の問題ではなく、周囲への無関心と無期待から来ているものであった。
普賢のそれは優しさではなく、もっと愚かで傷ましいものだが、それを理解するのは極めて難しいことだ。
なにせ、当の本人すらが自身の感覚に違和感を抱かず、死ななかったからそれでいいか、程度にしか考えていないのだ。
だからユーノ・スクライアという少年は、普賢がただ心優しい少年なのであると認識してしまっていた。
その認識は仕方のないものだ。誰もが普通はそう思うだろう。
もしくは、英雄願望の強い命知らずであると考えるのが関の山であるだろうか。
――――だからこそ、普賢の瞳の奥に、無関心な色の無さを見た高町なのはという少女は並外れた鑑識眼を持っているのだろう。
「? 高町さん、なにか俺の顔についているか?」
「ふぇっ!? な、なんでもないの。それより、魔法とかあの蒼い宝石とかについて私もっと知りたいの。い、いいかな?」
ただ、じっと見ていることに気づかれて慌てる様子は、年相応らしい可愛らしさがあった。
「ああ、その辺は俺も知りたいところだったんだ。ユーノ、説明お願いできるかな?」
「うん、二人には申し訳ないけど僕も出来れば君たちに力を貸してほしいんだ……。だから説明するよ」
ユーノの語ることは二人にとって実に衝撃的なことであった。
次元世界と呼ばれる幾つもの異なる世界。
次元世界の中心となっている魔法と魔導士。
古代文明の遺産であり超技術による産物ロストロギア。
化物の原因となったロストロギア:ジュエルシードが所有者の願望を大雑把に叶えるという機能を携えた高エネルギー結晶体であること。
その発掘者がユーノ自身であり事故によって輸送中にジュエルシードが地球に落ちてしまったので回収に来たが、自身では力不足であること。
だからこそ、全部で21個あるジュエルシードの封印・回収を手伝って欲しいということだった。
「地球に来てから一つは何とか封印出来たんだけど二つ目では君たちに助けを呼ばなきゃどうにもならない様だった。ごめんなさい、図々しい事も迷惑なのもわかっています……だけどどうか、ジュエルシードの回収を手伝ってくれませんか?」
そう言って、ベンチの上で頭を垂れる。
ユーノにとって二人に助けを求めるのは実に心苦しいことだった。事故とはいえジュエルシードという災厄を持ち込んだのは自分たち次元世界・魔導士側の不手際、それを自分ではどうにもならないからといって被害者側の現地の人間の手を借りることは申し訳なさで胸がいっぱいになってしまうことなのだ。
しかし、
「大丈夫だよ。私はお手伝いさせてほしいな」
「あんな危険物を放置しておくわけにはいかないからな、一人でやらずに済んで助かるくらいだ」
そう言って引き受ける二人はユーノの内心も責任も知らないとばかりに笑みすら浮かべていた。
「……二人ともありがとう、本当に助かります」
二人の笑顔にユーノは救われたのか、はたまた罪の重さが増したのか、知るのは本人のみである。
ユーノへの協力を約束したものの二人は子供であり、また今は夜であった。
「もう大分遅い時間になったからもっと細かい話は念話で連絡と確認を取るということでいいか?」
必然、今後の段取りを話し合ったら解散という流れになった。
「う、うーん。念話ってユーノ君がやってたみたいにやるんだよね? 私はまだ勝手がよくわからないからケータイでやり取りしたいんだけど駄目かな?」
そういって、なのはがピンク色の可愛らしいケータイを取りだすがその提案には一つ問題があった。
「あー、悪いけど俺ケータイ持ってないんだよ。だから念話にしたいんだけど……難しいか?」
「あ、そうなんだ。じゃあ無理だよね……」
孤児院に世話になっている小学生がケータイなど持っているわけも無い、かといって連絡手段が不安定なのは見過ごせることではない。
実に参った事であるが、それを解決できるものがこの場に一機。
『問題ありません。私がマスターを補佐しますので不備なく念話を繋げることが出来ます』
女声の合成音が会話に混ざる。
その声の出所はなのはの首元であった。そこには艶めいた紅色の宝玉が下げられている。
合成音が響くたびにその宝石が点滅しているために、その宝石が話しているのだということが容易く見てとれた。
「おお? もしかしてその首に下げているのが?」
「うん。レイジングハート。ユーノ君がくれたデバイスっていう物らしいの」
ユーノが魔法と魔導士についての話をしていた時に上がった現代の魔導士達の杖。機械仕掛けの演算装置、デバイス。
そして、このレイジングハートこそが、なのはの魔法の力を引き出したデバイスであるという。
「レイジングハートはインテリジェントデバイスですから、使用者の代わりに自発的に魔法を発動も出来るくらいですからなのはの念話もなんとかしてくれると思います」
「へえ、それは便利だ。よかったな高町さん」
「うん。よろしくなの、レイジングハート」
『了解です。マスター』
連絡手段の問題は実にあっさりと解決。一段落というところで区切りになったのかなのはが声をあげた。
「あのね、さっきから気になっていたんだけどユーノ君喋りづらくない?」
「えっ?」
なのはの指摘に意表を突かれたのか思わず声が漏れるユーノ。だがその指摘を意外に思ったのはこの場ではユーノだけだったらしい。
「ああ、そうだな。何を遠慮しているのか知らないけど別に敬語とか使わなくていいぞ。元々敬語で話してるわけじゃないんだろう?」
普賢も同様のことを感じていたようでユーノに素で話しても良いと伝える。そもそも普賢はジュエルシードの封印に関する事で悲鳴混じりに言い合いをしたこともあって、ユーノの素の口調を知っているため、尚のことユーノの敬語には違和感が強かった。
「で、でも」
「ユーノ君」
言い募ろうとするユーノを遮って、なのはは言う。
「私ね、ユーノ君と友達になりたいの。あ、もちろん普賢君ともだよ? だから出来れば普通に話して欲しいなって私思うの。それともユーノ君は嫌、かな?」
なのはの言葉には不思議な引力があった。彼女の真摯さや友達というものに対する想いが籠っているのか、本当のところはわからないがそれでもユーノにはそれを蔑ろにすることがとてもではないが出来なかった。
「……ううん、嫌じゃないよ。こんな話し方になるけどいいかな?」
「うん! すっごく嬉しいよ! ありがとうユーノ君」
つい、頬が緩んでしまうようなやりとりを見ていた普賢は、
「――――」
僅かに目を見開き驚いていた。
普賢にとって、同年代の子供はあまり話が通じず、また合うことのない対処に疲れる存在であった。
だからこそ、普賢は友人を作るのはしばらく諦めていたし、孤立することもまた良しとしたのだ。
だが、目の前の二人は普賢の知っている色々と拙い同級生たちとは違い、隔絶して精神が出来上がっているのだ。
それは、普賢にとって今までの認識をぶっ壊す出来事なのである。
それは勿論。今、なのはが普賢にもその真っ直ぐな瞳を向けたことさえも。
「普賢君。さっき言ったけど、私普賢君ともお友達になりたいの。どうかな?」
少女の問いに対しての答えを普賢は一つしか持っていなかった。
「……ああ、これからよろしくな、高町さん――「なのは」――えっ?」
「なのはって、名前で呼んで欲しいんだ。友達にはそう呼ばれてるから」
それは本当のことだったが、友達の前には親しいという一文が入る間柄でのことでクラスの男子達には大体名字で呼ばれていた。なのに名前で呼ばせようとしたのは普賢の本質の一端に触れたからか。
高町なのはという少女はそういった手合いを放って置けないのだ。
「……わかったよ。よろしく、なのは」
「うんっ!」
幼い少女を下の名前で呼び捨てにすることに少しの抵抗を感じた普賢であったが、直後に見せられた太陽のような笑顔でそんなことはどうでもよくなってしまった。
「それじゃあ、とりあえず今日は解散ってことでいいか?」
「そうだね。じゃあまた明日!」
そして、二人は明日の約束を交わして別れる。
明日からはジュエルシードという危険物を回収する戦いの日々が始まるのだ。その非日常になのはは小さな正義感を燃やし、普賢は静かに解決を誓っていた。
「……えっと、僕はどうしようか?」
「「あっ……」」
最後に想定していなかった問題が発覚したことによって色々台無しになったのは御愛嬌である。
結局、養護施設住みの普賢にはユーノを連れ帰るのは難しく、なのはの家に厄介になることが決まった。
ちなみにその話し合いにおいて普賢が孤児であることが発覚したが、特に問題は起こらなかった。
ジュエルシードを集めることをユーノと約束した普賢となのは。
しかし、本格的な戦闘をしたことのないなのはにとって戦闘とはまさしく未知の世界で……?
それでも私は諦めない。だって私は主人公(原作)なんだから!
次回、新道試練
マーズランキング三位。
デュエルスタンバイ!
……うん、一回こういう予告系やりたかったんだ。