スタンド使いは惹かれ合う。一体誰が言った言葉だっただろうか。
この世界には引力が存在している。街灯に引き寄せられる蛾のように、あるものを中心に役者が引っ張られてくるのだ。
我々はただ運命に導かれるまま、演じ切らればならないのだ。
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昼下がりの午後、カフェ・ドゥ・マゴのオープンテラス席で二人の男が話し合っていた。一人は僕でもう一人は……。
「一応聞いておくがよ~、お前が承太郎さんが言っていたスタンド使いでいいんだよな~」
妙に間延びしたしゃべり方をするちょっとお近づきになりたくない強面の人は虹村億泰と名乗った。かつて杜王町で起こった事件を解決した人間の一人らしい。
「なんつ~かよ~。俺は馬鹿だからあんましいいこと言えね~が、俺のことは兄貴だと思ってくれてもいいからよ~」
彼はそう言い恥ずかしそうに頭を掻く。正直とてもありがたい。僕は世間一般で言う不幸な生い立ちを送ってきたのだ。とは言ったものの、生まれた時からそうだったのでよくは分からないが。
それを聞くと彼はオロロンと泣きながら僕の背中をおもいっきり何度も叩いた。正直痛いのでやめて欲しいが、この状態で言うのも何だし素直に受け止めることにした。
「それでよ~、今日は一体なんの用で俺を呼び出したんだ~」
ああそれは……。僕が口を開いた時それは突然起こった。
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最初に康一から話を聞いた時はいけすかね~ガキだと思ってたんだがよ~。話を聞いてみりゃあ、なんともまぁ救いようがない話じゃねえかよ~。
実の母親からも目の敵にされて味方が誰もいねえ状態で、よくもここまで歪まずに育ったもんだぜ。俺だって兄貴がいたから馬鹿だがまっとうに育ったんだからよ~。
そんでよ~、ちょっとした同情心があったことは否めねえが俺がこいつの家族、兄貴になってやろうと思ったわけよ。そしたらよ~そいつがまたよ~、なんともまぁ悲しいというかやりきれない気持ちになることでよ~。
「ありがとございます。兄貴。今まで家族がいたことがないのでちょっとむず痒いですね」
もう耐え切れずに俺は泣いちまったんだよ。恥も外面もなしにそいつの背中を叩きながらオロロンとよ~。まぁ、そいつも困った顔しながらまんざらでもなさそうにしてたからいいがよ~。
俺が落ち着くまで待っていてくれてよ~、正直どっちが兄貴か分かんなくなりそうだぜ。
そいつが何か言いたそうに口を開きかけた時それは起こりやがった。
近くの道路を歩いていたガキに車が突っ込みやがった。そのまま車は逃げやがったが絶対見つけてとっちめてやるぜ。
それでよ~、ガキが頭から血を流して倒れてやがんだよ~。マジでやべ~と思ったんだがよ~、近くに仗助はいねえしよ~、救急車をちんたら待ってたらそのガキは絶対に死んじまうってことがなんとなくだが分かっちまったんだ。
俺がよ~オロオロしてたらそいつが近くまで来て『スタンド』を出しやがったんだよ~。
「兄貴、ここは俺に任せてください。怪我を治すことはできませんが。命をつなぐことぐらいはできます」
そいつがガキの頭に手を乗せると、そこから黒いタールみてえなもんが、うじゅうじゅ湧いてくるんだよ。俺はひと目見てピーンと来たね、こいつは形兆の兄貴やしげちーと一緒の群体型のスタンド使いだってことによ~。
それがガキの頭を覆ったと思ったら。ピタッと出血が止まってよ~、マジに驚いたぜ。
俺が間抜け面晒してたらよ~そいつが俺が見てるのに気がついたのかちょっと顔を伏せやがった。俺がなんでだ、ッて聞いたらよ~そいつはよ~、自分のスタンドは弱いからあんまり見せたくないってい言うんだぜ~。
俺はそいつを拳で殴っちまったぜ、ちょうど親が子供をしつけるみたいによ~。そいつはあっけに取られた顔をしてなんでだって聞いてきやがってよ~。俺はよ~馬鹿だからあんまうまく言えなかったがよ~、人間一人一人個性があっていいところも悪いところもあんだから気にするなって言ってやったんがよ~。
そしたらそいつがオンオン泣き出しちまってよ~、救急車がくるまで大変だったぜ。
だからよ~、何が言いたいのかというとよ~、親があんなやつだからってあんま気にすんなよ仗助。
次回予告(仮):アンダーカバー②