「なんだ………?今の効果は………?」
俺は訳が分からなくなっていた。
原作だとワンハンドレッド・アイ・ドラゴンが破壊されたときの効果は、デッキから任意のカードを1枚手札に加えるというものだった。
だが今発動された効果は、デッキから指定されたカードを1枚加えるものだ。
「なんで変わってるんだ…?
シンクロデストラクターとダメージ・トランスレーションも、発動しなかったし………
これじゃあ、地縛神のリリース素材がないぞ………?」
まさか俺たちが来たことで、ストーリーが変わったのか?
そんなバカな………⁉︎
やってしまったのか………⁉︎
だが、地縛神はいるはず。
霧の中の影は、確かにccapac・apuだった………
詳しくは見えなかったが、そっくりだった。
まさか、地縛神が変わった………⁉︎
そんなバカな⁉︎
だけど………
「ヘヘハハハハハハ…ヘェァッハハハハハハハハハハ‼︎」
「何がおかしい⁉︎」
「笑いが止まらねェよ。
テメェがワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを葬ったことで、ダークシグナー最強カードを召喚できるようにしてくれたんだからんだからなぁ‼︎」
「なに⁉︎」
「イッツ、ショーターイム‼︎」
「ダークシグナー最強カード………
やはり地縛神なのか…⁉︎」
「行くぜ‼︎
俺は手札から魔法カード、RDMー冥府の神(ランクダウンマジック ・ダークシグナーズソウル)を発動‼︎」
「RDMだと⁉︎バカな‼︎⁉︎なぜ⁉︎」
あのカードは、九十九遊馬が辿り着いた境地の1つのはずだ!
「ランクダウンマジック?
なんだそりゃ?」
「このカードは、自分の墓地にダークシンクロモンスターがいるときにのみ、発動することができるんだよ!
まずはそのモンスターを復活させることができる!
ただし効果は無効化され、攻撃力は0となる!」
「なにをする気だ…⁉︎」
「RDMー冥府の神のさらなる効果‼︎
この効果で復活させたダークシンクロモンスターを素材として、エクシーズ召喚することができる!
その際そのモンスターは、2体分の素材として扱える!」
「2体分………⁉︎」
「俺は2体分となったレベル-8のワンハンドレッド・アイ・ドラゴンで、オーバーレイ!
2体分のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
突然、炎の中に人が現れた。
まさかこの人たちは………
生贄になるものたちか…⁉︎
「人々の魂を生贄に!降臨せよ!
ランク-8!No.-4 地縛神 Ccapac・apus‼︎」
「な…なんだ………⁉︎こいつは………⁉︎」
「ありえん‼︎」
「こんな巨大なモンスターが………⁉︎」
みんな驚いていたが、俺はそれどころじゃなかった。
「バ………バカな………⁉︎
なぜ地縛神が、エクシーズモンスターなんだ…⁉︎
見た目はコカパク・アプにかなり似ているのに………」
それに……
「マイナスだと………⁉︎ありえない………」
確かにダークシンクロで、レベルはマイナスとなる。
そこまではいい。
いかにも闇の世界といった感じだ。
だが、マイナスランク………
ランク0は存在したが、まさか………
ダークシンクロモンスターで、エクシーズ召喚………
言うなれば、ダークエクシーズといったところか?
そんなことが、あり得るのか………⁉︎
だが実際に起こっている以上、信じるしかない。
なぜかはわからないが、この世界の地縛神はエクシーズモンスターだ。
それも、マイナスランクを持つ………
もう一つ気になることがある
さっきRDMと言っていたのに、ランクダウンしなかった。
どういうことだ………?
「ヘハハハ…スゲェ力だ……
あの男にもらった、このカードはよ……!」
俺は鬼柳が呟いたその言葉を聞き逃さなかった。
「あの男……?
だれだ……?」
もし鬼柳が言っていたことが本当ならば、地縛神のエクシーズモンスター化やランクダウンマジックは、その男の仕業ということになる。
だがそんな男は、ゴッズにはいなかった。
調べてみる必要がありそうだな……
「我が神 ccapac・apusよ!
宿敵シグナーに、裁きの鉄槌を下せ‼︎」
ヤベッ、攻撃だ!
まぁでも、その直前に遊星のDホイールが壊れるから、大丈夫だろう。
雑賀さんに、迎えも頼んである。
あっ、転んだ!
助かったけど、痛そうだ…
「敗北寸前でDホイールの故障でデュエルが中断するとはなぁ。
命は預けておいてやる。
次に会うときまで、せいぜい生き恥を晒すがいい!
だが地縛神の恐怖は、こんなものだと思うなよ‼︎」
「遊星‼︎」
クロウが遊星を助けに行った。
マーサのところに連れて行くらしい。
頼むぞ、無事に連れて行ってくれ。
しばらくして、雑賀さんが来た。
遊星のDホイールと俺たちを迎えに来たのだ。
そのまま、マーサのところへ連れて行ってくれるらしい。
俺たちもマーサのところへ行こう。
「マーサ!マーサー!俺だ!
早くここを開けてくれー!早くー!」
「誰だい?
こんな夜中に…あぁ、クロウ…!」
「マーサ!大変なんだ!」
「ん…?…遊星‼︎
………これはひどい………!
誰か!力を貸しておくれ!
遊星を中に運ぶんだ!
「…ど…どう…した…んで…す…か?」
「あああんた、ユーヤとか言ったね、あんたも死にかけだろうけど、この子を中に運ぶのを手伝っておくれ。」
「え…?あ、はい…!」
「しっかりをし、必ず助けてあげるからね!」
ーーーーー時は戻り、同日昼ーサテライトの別の場所ーーーーー
気がつくと俺たちは、廃墟らしきところにいた。
「ここがシンクロ次元………?」
「なんだこりゃ?これがシンクロ次元か?」
「ここもアカデミアの侵攻に遭ったのか?」
そこでは、廃墟みたいな場所でデュエルをする若者が溢れていた。
シンクロ次元は、このようなところなのだろうか?
「とりあえず、少し見回ってみよう」
「悪いが私は、一人で探す」
「セレナ!」
「じゃー俺も、一人で探すぜ」
「お前も⁉︎」
「こんなとこで固まってても、時間のムダだ。
赤馬零児たちの居所も知りたいしなぁ」
「兄様!」
「零羅!まて!」
「あっ!」
「くそっ、どうすればいいんだ…
零羅もこんな状態だし…」
…とりあえず見回ってみるか…
何処か、休める場所を探しておかなきゃ。
いろいろ散歩してみたが、どうやらこの崩れたビルとかは、アカデミアとは関係がないようだ。
カードにされている様子もないし、どうやらこの光景が普通らしい。
「いいな…ここ………」
俺は思わずそう思う。
ここの生活は見たところ、決して豊かではない。
だが住民同士協力しあって生きている。
何よりも、ここには笑顔が溢れている。
毎日を楽しく生きているのだ。
今の俺たちには、楽しく生きるなんて無理なことだ。
アカデミアを倒すまでは
それに…
「仲間っていいなぁ…」
今のランサーズは、仲間とは言えない。
ただ強い人が集まっただけだ。
でもいつか俺が、笑顔にしてみせる!
俺は改めて、そう思った。
さて、捜索を再開しますか。
もうしばらくして、暗くなり始めてきた。
そこへ、沢渡とセレナが戻ってきた。
どうやら見つからなかったらしい。
「そうか…柚子………」
「とりあえず、今日寝るところを探すか」
そんな感じの会話をして歩いていると、近所の叔母さんらしき人が話しかけてきた。
「あんたたち、住むところがないのかい?」
「あ…はい………」
「なら、うちへおいで。
その子も、寝るところがないんじゃかわいそうじゃないの」
「え………いいんですか?」
「遠慮することはないよ。
私はあんたたちみたいな、親がいない子達を拾って育てているんだ。何人いたって、同じさ」
親がいないわけではないけど、正直助かった。
このままだっだらどうしようかと思っていたところだ。
「じゃあ、お願いします。
あ、俺の名前は榊遊矢で、この子は零羅、こっちは………」
「セレナだ」
「俺様は沢渡シンゴ。
舞網市じゃ、無敗のデュエリストと呼ばれた男だ!」
「そうかい、よろしくね。
私はマーサ。
孤児院みたいなところで、子供達を見ているんだよ」
「さぁ、ついた、ここだよ。」
「ここは………」
着いたのは、大きくはないが、かなり立派な建物だ。街の建物と違って、しっかり手入れされている。
そこへ、子供達が来た。
やっぱり平和だな、ここは…
「さて、君たちには働いてもらおうかね」
そう言って、便所ブラシを渡された。
「へ………?」
「働かざる者、食うべからずだよ!
さぁ、働いた、働いた!」
「ええっ、ちょっ、ちょっと!」
「なんでこの沢渡様までやんなくちゃなんねぇんだよ⁉︎」
「つべこべ言わないの、男でしょ?
ここでは、みんなで家事を分担しているんだよ。
さあ、行きな!」
「「ええ〜〜〜!」」
「仕方がない、やりますか………」
「ちょ、セレナはなんもやんないのかよ、この沢渡様は働くってのに!」
「この子には、とっておきの仕事があるからね。」
「とっておきの仕事だと?」
「そうだよ」
「なんだそれは?」
「それは………
晩ご飯を作ることさ‼︎」
「えっ⁉︎」
「女の子なら、料理の一つや二つ…いや、10個ぐらいは軽くこなせないとね!さあ、台所へ案内するよ!」
「えっ…いや、私は………」
「あんたたちは、子供達がトイレへ案内してくれるよ」
「はーい!お兄ちゃんたち、行くよ!」
「「「ええっ、ちょ、ちょっとまってぇ‼︎」」」
「はぁー、ひどい目にあったぜ………」
「ま、まぁ、たまには便所掃除もいいんじゃないのか?
元々結構綺麗だったし………」
「良くなぁい!
なぜこの俺様が便所掃除なんでしなくちゃなんないんだよ!
ったく、来るんじゃなかったぜ………」
「まぁ、住まわせてもらうんだから、これくらいはやらなくちゃ………」
「ふっざけんなぁぁぁ‼︎
別に臭くはなかったが、もう二度とやんねぇぞ!
便器をあんなに擦るなんぞ、トラウマにもほどがある!」
「ええー…」
「何よりあのババア、細かすぎんだよなぁ…
ここが汚れているだの、あそこが汚いだの……自分でやれってんだよ!」
「何か言ったかい?」
「げげ!」
「何がげげ!だい!
ほら、ご飯ができたよ!」
「おお〜‼︎待ってました‼︎」
「セレナが作ったのか…!」
「あ、ああ、まぁな………」
「ウヒョー!うまほー!」
「待ちな、ちゃんと食べる前に、言うことがあるだろう⁉︎」
「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」
「あーむ!」
「「「「「「「ブフーーーーー‼︎」」」」」」」
「な…ナンダコレハ………
ホントニタベモノカ………⁉︎」
「なんだと…⁉︎正真正銘食べ物だ‼︎
この素晴らしい味がわからな……パクッ
………ブフーーーーー‼︎
な………ナンダコレハ………
ホントニタベモノカ………⁉︎」
「セ……セレナ………
もしかして…料理…作ったことって………⁉︎」
「ない‼︎何か悪いか‼︎」
「ま………まじかよ………‼︎」
「まぁ、ね………なんかそんな予感がしたから、私も作っておいたよ…」
「「「「「「「「流石です‼︎マーサ様‼︎」」」」」」」」
「マーサ!マーサー!俺だ!
早くここを開けてくれー!早くー!」
「な…なんだ………?」
「私が出てくるよ」
「お…俺も…行きます………」
「無茶言うんじゃないよ、ここで休んでな」
「誰だい?
こんな夜中に…あぁ、クロウ…!」
「マーサ!大変なんだ!」
「ん…?…遊星‼︎
………これはひどい………!
誰か!力を貸しておくれ!
遊星を中に運ぶんだ!」
「マーサ、どうかしたのかな?」
「お…俺が出てくる」
「た…頼んだぞ…」
「…ど…どう……した…んで…す…か…?」
「あああんた、ユーヤとか言ったね、あんたも死にかけかもだけど、この子を中に運ぶのを手伝っておくれ。」
「え…?あ、はい…!」
「しっかりをし、必ず助けてあげるからね!」
俺は突然運び込まれた男を背負って、孤児院の一室に連れて行った。
その男は、腹に鉄片が刺さっていた。
痛そう…
遊星というらしいその男は、今緊急治療中だ。
大丈夫なのだろうか?
腹に鉄片が刺さっていて、よく生きているものだ。
そこへ、一台の車が到着した