あっ主は初執筆です。
「シドー!あのおっきな白い物は何なのだ⁉」
ある晴れた日の学校帰り、隣を歩いていた十香が唐突に尋ねてきた。
「ん、どうしたんだ?十香」
士道と同じ来禅高校の制服を纏った街中を歩けば誰もが振り返るような見目麗しい少女が、その水晶のような双眸を見開き、ある一点を凝視していた。
「うむ、いやあの建物の上に付いている物が何なのか気になってな」
「あぁ、あれはボーリングのピンだな」
「む、そのぼーりんぐとは何だ?」
「簡単に言うと、あのピンが正三角形に10本並べられたところに向かってボールを投げて、倒れたピンの数を競うゲームかな」
「ふむ、要するにいっぱい倒したやつが勝つというわけだな⁉、しかしあんなにおっきな物を倒せるのか?」
士道は思わず苦笑してしまった。十香は特殊災害指定生命体、通称精霊と呼ばれており、この世界の常識や知識に疎いのだ。しかし中には人間界に完全に溶け込み人間として活動していた精霊もいたことをここに明記しておこう……。
「はは、実際に倒すピンはあんなにでかくはないぞ、これぐらいだ」
士道は両手でピンのサイズを示した。
「おぉ!それぐらいなら簡単かもしれないな!」
「いや、それが意外と難しくてだな……、そういえば耶倶矢と夕弦はボーリングが得意だったんじゃないかな、話を聞いてみるのもいいかもしれないな」
「うむ!では急いで帰らねばな!」
そう言うと十香は士道の手を引いて走り出した。
「おっと、そんなに焦らなくても二人はどこかに逃げたりはしないし、転ぶと危ないぞ」
「む、しかし善は急げというからな!」
「はは、まあそうだな、転ばない程度に急ぐか」
何事も楽しみなことは早く来てほしいと思うものだと考える士道だった。
「かっかっか、この我から助言を仰ごうとは、ついに我の有用性に気付いたのか?士道」
帰宅し例によってここは五河家のリビング、そこの真ん中でやたらとかっこいいポーズを決めながら耶倶矢が言った。
「いや、まあ聞いてるのは十香なんだけどな……」
「くく、どちらが聞こうとも些細な違いよ、いかにも!我と夕弦は真の倶風の巫女を決める折にボーリング対決をし合った仲!我らに倒せぬピンなどなかろうて」
やはりかっこいいポーズを決めながら耶倶矢が言った。
「密告、嘘です、あの戦いでは耶倶矢はガタ―を連発して涙目でした」
「なっ!連発なんかしてないし!てか涙目なんかなってなかったし!」
「はは、ガタ―は何回かしたんだな」
「うー……そら難しかったし?いくら私でも何回かは……ね?」
「む、がたーとは何だ?シドー」
「あぁ、それは……」
と、士道たちがそんな話をしていると、
「あら、みんな揃って何の話?」
中学校から今帰ってきたのか琴里が声を上げた。
「おお、琴里おかえりなのだ!」
「くっくっく、よくぞ帰ってきたの琴里」
「大義、お勤めご苦労様です琴里」
「あ、おっお疲れ様です、琴里さん」
『おつかれー琴里ちゃん』
「おかえり、琴里」
「ええ、ただいま、みんな、士道もね」
琴里はここにいる精霊たちとの対話による空間震災害の平和的な解決を目指し、結成された秘密組織ラタトスク機関の一員であり、その組織が所有する空中艦フラクシナスの艦長でもあるのだ。
「うむ、琴里、みんなでぼーりんぐなる物について話していたのだ」
「ボーリング?どうしてまた」
「ああ、下校時にたまたま目についてな、十香が興味を持ったんだよ」
「ふぅん……いいんじゃない?明日みんなでやりにいきましょ」
「え⁉いいのか?」
「いつも言ってるでしょ、精霊たちのストレスは溜め込まないようになるべくお願いは聞いてあげないとね」
そう、もしも精霊たちの精神状態が不安定(極度のストレスを感じるなど)になると、士道との経路を通して力が逆流してしまい、天使と霊装を不完全ながら顕現させてしまうことになるのだ。
「……そうだな、よし、みんな明日は折角の休日だ!ボーリングに行かないか?」
士道の提案にその場にいた精霊たちは目をキラキラと輝かせた。
「おおっ!それは名案だと思うぞ、シドー!」
「楽しみ……です!」
『ボーリングなんて初めてだからねぇ、よしのんもはりきっちゃうわよー』
よしのんが四糸乃の左手で狂ったように暴れていた。
「くく、では我も久方ぶりに本気を出すとしようかの」
「首肯、また耶倶矢の翔乱闇黒旋風弾(ドゥンケルハイト・ヴィントホーゼ)が見れることを期待しています」
精霊たちの同意が得られると士道は言った。
「よし、じゃあここにいない折紙、美九、二亜は後で電話でもするとして……あれ?七罪はどうしたんだ?」
いつもなら四糸乃のそばにぴったりとくっついているはずの少女の姿がこの時ばかりは見当たらなかったのだ。
「あ、あの……七罪さんなら二亜さんに連れていかれましたよ」
四糸乃がおずおずと手を挙げて言った。
「あー確かに前から誘われてたからな」
七罪は以前二亜と同人誌の売れ行き対決をした折に、ラタトスクチームの同人誌をメインで描き上げたのだ。その作品の出来栄えは、プロの二亜からしても舌を巻くほどの物であり、結果的に二亜から猛烈なアシスタント勧誘を受ける羽目になったのは……またの機会に。
「じゃあ二亜に連絡すれば七罪にも繋がるかな、チームは明日みんなが揃ってから決めればいいし……よし、じゃあみんな今日は明日に向けてしっかり寝るんだぞ」
「おー‼」
見事に返事がシンクロし、思わず微笑んでしまう士道であった。
どうだったでしょうか?何分初投稿のため勝手が分からないのですが、温かく見守ってください~ 感想がありますと主喜びます。