悪しからず……
やっとこさタイトル通りボーリングの話に入れました。
しばらくお付き合いくださいな。
「喰らえ!我が必殺にして究極の奥義!翔乱闇黒旋風弾ぇぇぇ!(ドゥンケルハイト・ヴィントホーゼ)」
耶倶矢が仰々しい技名を叫び、放ったボールはすさまじい音と風を巻き起こし……ガタ―に吸い寄せられた。
「嘲笑。すばらしい技ですね翔乱闇黒旋風弾(ドゥンケルハイト・ヴィントホーゼ)とは」
「うっうっさいし!たまたまだし!手が滑ってカーブしただけだもんね!」
耶倶矢が周りを見やるとほぼ全員が生温かい視線を送っていた。しかしそんな中、
「たとえまだ練習だとしてももっと集中して投げるべき、士道がかかっている」
「うーごめん、だってこのボール油ですっごく滑るんだもん……」
そう、折紙ただ一人だけがウォーミングアップの1ゲーム目から本気だった。その眼には鬼気迫るものすら感じる。
「折紙……俺は商品じゃないからな」
「そんなことない、士道なら店頭に並んでいるだけで客寄せになる、私なら在庫まで全ての士道を買い占める」
「確かに少年がたっくさんいたらみんなの間で喧嘩が起ったりしないかもね~、ちょっと少年分身してみない?」
二亜が士道に片目をつぶりウインクしたまま指を指してきた。
「俺は忍者でもないから分身はできないぞ……」
士道が頬に汗を垂らしながら答えると
「でもみなさんもしだーりんが一人一人に付いているとしたら……一体どんなことをするんでしょうね?」
美九がほくそ笑みながら言った。
「……ッ!」
なぜか精霊たちみんなが頬を赤くしている、耶倶矢に至っては耳まで真っ赤だ。ここにいる精霊たちは髪型や体格は全く違えど、みな一切の例外なく容姿端麗という言葉では生ぬるいほど人間離れした容姿を持っている。そんな子たちにこんな反応をされて、喜ばない男子はいないだろう。
もちろん士道も精霊の力を封印する能力を持っているとはいえ、それ以外はごく普通の健全な高校生だ。嬉しくないわけがない。
「あたしはもちろん少年にヌードデッサンのモデルになってもらうかな~」
「……俺の喜びというか感動を返せ」
「デッサンするときは是非呼んで」
「しないからな!折紙!」
なにやら会話の方向性は合ってるが危険になってきたのでゲームを再開させることにした。
つつがなく第1ゲームは終わり、問題の第2ゲームが始まろうとしていた。第1ゲームの各メンバーの点数は士道が130点、十香が110点、四糸乃が60点とほぼ平均点といったところだ。
対する相手チームは、琴里が70点、耶倶矢が100点、夕弦が90点、美九が80点、二亜が120点そして折紙はなんと200点といった具合だった。
「意外と折紙以外はみんな普通の点数なんだな……」
点数は普通だったとしても人数差があまりにも激しすぎる、これではいくらすごい点数を叩き出そうとも絶対に勝てないだろう。
『あっれー士道クン?女の子たちに意外とっていうのは失礼じゃないかな?』
「ああ、そうだなすまんかったよしのん、みんな」
「うむ、何の問題もないぞシドー!気にするな」
「くく、あまり舐めてもらうと困るぞ士道よ、我の真の力はこんなものではない!顕現せよ、神々の血肉を喰らいし黒き暴竜……我が右手に宿れ‼」
耶倶矢が聞いているこっちが恥ずかしくなる台詞と共に、自分で選んだであろう真っ黒なボールを掲げていた。
あのボールは確かこのボーリング場に置いてあるボールの中で一番重たかったはずだ。右手がプルプルしている。しかも若干涙目だ。
「耶倶矢、あんまり無理すると手首を痛めるぞ」
「くっくっく……闇の障気を身にまとった我はもはや無敵!何を心配することがあろうて」
「いや、本当にそのボール重そうだからな、耶倶矢スラッとしてて腕細いんだからさ、それにケガしたら元も子もないだろ?ほら、新しい軽いボール一緒に選んでやるからさ、それは返しに行こうな?」
「……うん」
「感嘆。説き伏せ尚且つ耶倶矢をデレさせました、いつもながらさすが士道ですね」
「デレてないし!ホントに危ないなって思っただけだし!」
「まあまあ、ほら早く行こうな」
士道が耶倶矢の腕を引いて立ち上がった。
「耶倶矢だけずるい、私も手を握って欲しい」
「いや、別に握ったことに他意はないんだが……」
士道が頬をぽりぽり掻きながら答えた。
「ついでに飲み物も買いに行くか」
「そっちは私たちが用意するから士道は耶倶矢のボールを選んできてあげなさい」
「ん、そうか?なら頼んだ、じゃあ行こうか耶倶矢」
「……うん!」
そんな綺麗な花が咲いたような満面の笑顔を向けられると本当に照れるなあと考える健全高校生、士道であった。
顕現せよ……一か所見覚えのあるような無いような決め台詞がありましたが気にしないでくださいwノリです、すみません。
さてさてあと何回ぐらいで終われるかな?